国連開発計画(UNDP) 東京事務所
ニュースレター1号(2011年11月22日発刊)    

UNDP東京事務所はこれから、定期的にニュースレターを発刊していきます。世界の開発現場でのUNDPの活動、日本政府の資金が投入されたUNDPの開発プロジェクト、日本人職員の活躍ぶりなどを紹介していきます。
丹羽敏之UNDP臨時駐日代表からのごあいさつ 

この度の東日本大震災により被害を受けられたみなさまには心よりお見舞い申し上げます。

さて、今年3月の震災では、世界160か国以上の国・地域と40以上の国際機関や団体から支援が寄せられました。そのなかには日本が長年にわたり開発援助をしてきた国々や草の根団体からの支援も多くあったことは、日本の人々が開発援助を通じて世界と育んできた絆を実感させてくれました。

震災後日本では復興にむけた取り組みが始まりましたが、世界でも自然災害から飢饉、経済危機に至るまで、さまざまな課題に対処するため必死の努力が続いています。その中でもUNDPは最も厳しい状況におかれている人々が、危機を乗り越えて持続可能な人間開発を実現できるように支援を続けています。

このような情勢の下、日本政府は震災後もUNDPとともにミレニアム開発目標(MDGs)フォローアップ会合の開催、中東の民主化支援の表明をするなど、自らの復興に取り組みながら国際社会にも貢献していく姿勢を明らかにしています。またUNDPにおいても80名以上の邦人職員が世界各地で、日々さまざまな開発課題の解決に取り組んでいます。

UNDP東京事務所では、こうした多岐にわたるUNDPの活動や邦人職員の活躍を日本の人々に広くお伝えし、ご理解とご支援をお願いするためにニュースレターを発行することにいたしました。このニュースレターを通じて、日本の皆さまがUNDPや世界との絆を感じる機会を提供するために、定期的に情報発信をしていきますのでよろしくお願い致します。
                                       

丹羽敏之UNDP臨時駐日代表が朝日新聞に寄稿しました
                                          
UNDP東京事務所の丹羽敏之臨時代表が2011年11月17日の朝日新聞朝刊「私の視点」に寄稿しました。東日本大震災後、途上国を含む各国、機関から日本に寄せられた支援の背景となる、日本が長年かけて、各国と築いてきた「絆」や国際世論形成のための戦略的な政府開発援助(ODA)の活用などを提言しております。記事全文はこちらをご覧ください。
第1回UNDP職員リレーエッセイ「開発現場から」
UNDPスーダン事務所 危機予防・復興ユニット・プログラムアナリスト 和泉寿之さん
                               

                                                                     
はじめまして、UNDPスーダン事務所の和泉寿之といいます。2009年から、JPOとして派遣されています。2008年から1年間は、UNVとして同事務所で働いていたので、スーダン勤務も早いものでかれこれ丸3年になりました。この間、スーダンでは、総選挙、南部スーダンの分離独立の是非を問う住民投票、そして南部スーダンの独立と、国際社会が注目するイベントが目白押しでした。さらには、長引くダルフール紛争やアビエイ問題、南北境界線に位置する南コルドファン州では今年6月から南北間の激しい対立が続いていて、気の休まる暇がありません。ただ、こういう話をするとスーダンはどんなに危ないところなのかと思うかもしれませんが、実は、首都ハルツームを含めほとんどの地域の治安はとても良いです。また、スーダン人はとても優しくて親切、家族や友人をとても大切にします。何もないけど何かある、そんな気にさせてくれるとても魅力的な国です。(続きはこちらから)。

シグリット・カーグUNDPパートナーシップ局長とジョルダン・ライアンUNDP危機予防・復興局長が来日しました

シグリット・カーグUNDPパートナーシップ局長とジョルダン・ライアンUNDP危機予防・復興局長が来日し、10月4日に外務省との戦略政策対話を行いました。

戦略政策対話は、日本とUNDPの開発支援に関する政策調整や共通重点分野・地域における連携強化促進のために行われました。外務省側からは平松地球規模課題審議官、草賀アフリカ審議官、松富中東アフリカ局長らが出席しました。                          

協議では、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成、2012年6月ブラジルで開催される「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」や気候変動、防災分野における国際協力、アフガニスタンにおける活動等について議論が行われました。地域別の対話においては、南スーダンを含む対アフリカ支援ならびに中東・北アフリカ地域に対する支援について意見交換を行いました。また、2013年開催予定のTICAD Vの成功に向けて、日本とUNDPが緊密に協力していくことを確認しました。

カーグ局長、ライアン局長の訪日についての詳細はこちらをご覧ください。また、Japan Times に掲載されたライアン局長へのインタビュー記事はこちらからご覧いただけます。

人間開発報告書2011「持続可能性と公平性——より良い未来をすべての人に」を発表

人間開発報告書(HDR : Human Development Report) 2011「持続可能性と公平性——より良い未来をすべての人に」(英語版)が2011年11月2日に発表されました。 

2012年6月にブラジルのリオデジャネイロで開かれる「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」への関心が高まる中、本報告書は持続可能性を公平性の観点からとらえ、所得格差、教育、保健・衛生、世代間格差などの観点から分析し、新しい開発援助と政策を提唱しています。

HDRは、UNDPが1990年から世界各国で発刊しています(日本語版は1994年から発刊)。毎年、時代に先駆けて開発課題を定義し、「ジェンダー」や「気候変動」や「人の移動」などテーマを設け、各国の豊富な実証データを分析しながら、政策提言をしています。HDR巻末では1人当たりの国民総生産(GDP)、平均寿命、就学率などに基づき指数化した「人間開発指数(HDI : Human Development Index)」を発表するなど、世界各国の豊かさをGDP以外で数値化し、比較できる充実した統計表がついており、幅広く活用されています。

HDR2011の詳細はこちらをご覧ください。
 
日本政府が拠出する「アジア太平洋地域のジェンダーとマクロ経済に関する能力構築」プロジェクトの活動報告

日本政府の支援を受けて、UNDPアジア太平洋地域事務所が「アジア太平洋地域のジェンダーとマクロ経済に関する能力構築」プロジェクトを実施しています。同プロジェクトがフィリピン北部の農村で行った調査で、「気候変動が農作物の生産性の低下、呼吸器感染症の要因となり、結果的に女性の無給労働の負担を増やしている」ということがわかりました。

同プロジェクトは、ジェンダー予算、貿易政策が人々の生活に与える影響のジェンダー分析、ケア・エコノミーなど女性に負担の多い無償労働の課題などのジェンダー問題とマクロ経済問題に関する短期集中研修を行っています。詳細はこちら(英語)をご覧ください。
日本政府が拠出する「アフリカ気候変動適応プログラム」から、アフリカのジャーナリスト9人に奨学金を付与

日本政府の支援を受けてUNDPが実施する「アフリカ気候変動適応プログラム(AAP)」は、11月末から南アフリカ共和国・ダーバンで開催される国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)を取材するアフリカのジャーナリスト9人に奨学金を出すことになりました。途上国のジャーナリスト養成プログラムの一環で、テレビや新聞など様々な媒体で活躍するジャーナリストに気候変動に関する知識を深めてもらうことを目的としています。

奨学金を受けるジャーナリストのうち5人は、ケニア・ナイロビからダーバンまで、17日間かけてバスで移動します。その過程で、気候変動の現状や地元の人々の声を取材し、COP17の会場に届けます。詳細はこちら(英語)をご覧ください
UNDP on YouTube(英語)
「One Day on Earth  (地球上でのある一日)」を収めた共同フィルムプロジェクト
                                                

2010年10月10日、100か国以上のUNDPのスタッフが、UNDPの活動を映像で記録する共同フィルムプロジェクト「One Day on Earth  (地球上でのある一日)」に参加しました。

スタッフたちの協働の成果は、UNDPが(途上国で行っている)活動の息づかいを伝えるような8分のフィルムとなりました。フィルムでは、UNDPスタッフがどんな活動をし、どのようにグローバル・パートナーシップを組んでいるかを紹介しており、世界中のUNDP国事務所における日々の活動を垣間見ることができます。フィルム(英語)を見るには右上の写真をクリックしてください。

UNDPと「One Day on Earth  (地球上でのある一日)」プロジェクトでは2011年11月11日にも世界120か国以上で動画撮影をしております。こちらの動画を編集した長編フィルムは、2012年2月下旬に全世界で一斉に公開される予定です。

公開シンポジウム「お互い様だよ!国際協力」のご案内

UNDPと国連ボランティア計画(UNV)主催の公開シンポジウム「お互い様だよ!国際協力」が2011年12月22日(木)午後4時半から、名古屋市中村区の名古屋国際センターで開催されます。      
                                           

東日本大震災は私たちの国際協力に対する見方にどのような変化をもたらしたのか?ボランティアは世の中をどう変えるのか?途上国の問題の克服に日本の地方政府・市民はどう貢献できるのか?紺野美沙子UNDP親善大使をはじめとする国際協力の識者が熱く語ります。

参加(事前登録制)は無料で、どなたでもご参加いただけます。シンポジウム紹介のチラシはこちらからご覧ください。お申し込みはこちらからアクセスしてください。