地球市民の会では12月31日まで、在住外国人の活躍を支援するクラウドファンディング「『国籍に関係なく輝ける地域コミュニティをつくる!』 ~人間誰でん一緒!!外国人活躍支援プロジェクト~」を実施中です。今回、この企画は、私(山路)の思いからスタートしました。なぜこの企画に取り組んだのか、私の思いをつづらせていただきます。
私は、大分の立命館アジア太平洋大学(APU)の出身です。学生の半分が国際学生という国際色豊かな大学です。その中で経験した出来事が、今のこの活動につながっています。
一つ目は、APUの短期語学留学で行った中国でした。1か月、上海の大学寮に住みながら語学研修を受けていました。週末に、友達と「南京に行ってみよう」ということになりました。当時は高速鉄道も未開通で、上海からは電車で6時間ほどだったでしょうか? 本来は日帰りで考えていましたが、雨で遅れ、着いたのは夜。仕方なく、どこかホテルを探して泊まることにしました。
しかし、ここで困ったことが。上海の寮に、パスポートを置いてしまっていたのでした。中国で外国人は、パスポートなしでは泊めてもらえませんでした。受付で断られ、泣く泣く外に出た私たちに声をかけたのは、南京駅からこのホテルまで連れてきてくれたタクシー運転手さんでした。
私たちは、南京は大虐殺が起きた都市とされ、「日本人だと分かると差別をされるのではないか」と考えていました。「韓国人といった方がいいかな?」などと話していました。しかし、運転手さんは日本人と名乗っても「日本は行ってみたいんだよ!」などと気軽に話してくださる方でした。泊まれない旨を拙い中国語で伝えると、「じゃあ、俺が探してやるよ!」といって、車を走らせてくれました。
4軒、5軒と断られる中、運転手さんは、最後は自身のクレジットカード(中国語で『信用卡』と書きます)を見せながら「こいつらは信用できる奴だから」と言いながら交渉してくれ、1軒のホテルに泊まることができました。
そこまで、メーターを上げずに走っていたので、「せめてこのくらいのお金で…」と渡そうとすると、運転手さんはこう話しました。「いらないよ! 俺たちはもう友達だろ!」—
地球市民の会のプロジェクトで再訪した上海=2013年
この中国での経験や、アイデンティティに悩む在日コリアンの友人たちとの交流を経て、私は、国籍や民族を超えて「人をヒトとして好きになれる社会をつくりたい」という思いにいたり、新聞記者や青年海外協力隊、そして地球市民の会の仕事をしています。
地球市民の会は、1983年の設立当時から国際交流をはじめ、「人間な誰でん一緒じゃった」という理念に行きつきました。国同士はいがみ合っていても、人間同士で向き合えば、お互いの幸せを願うことができる。そんな幸せを願い合う人ばかりの世界だったら、もっと世界が平和になるはず―というのが、「地球市民運動」の原点だと思います。
今、日本には多くの外国人が暮らしています。しかし、コロナ禍での差別があったり、技能実習生としてつらい境遇に置かれたりしています。世界中すべての者の幸せを願う地球市民の会としては、この状況をほっておけないと思い、日本人と外国人の「心のディスタンス」をなくしていきたいと考え、クラウドファンディングに挑戦しています。
一人でも多くの外国人が「日本に来てよかった」「第二のふるさとができた」と感じられるように、様々なプロジェクトに取り組んでいきます。その企画のために寄付を募っております。ぜひとも最後まで、ご支援をよろしくお願いします! |