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皓星社メールマガジン 
第23号
2023年4月29日
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このメルマガは、株式会社皓星社の「ざっさくプラス」最新情報や、新刊案内等を配信します。弊社サイトから購読を申し込まれた方や、これまでご縁があった方にお送りしています。

 

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  目 次

   ★第23号をお届けします

   ☆【連載】長澤延子生誕90周年 母よ、黒い旗で遺骸を包み…… 第6回(福島泰樹)

   【連載】大検索時代のレファレンス・チップス 第4回(小林昌樹)

   ☆【連載】玩物創始 第2回(稲岡勝)

   ★【読切】神保町のんしゃら日記 〜出張!あめりか編 〜(晴山生菜)

   ☆ざっさくプラスニュース〜無償公開再び!〜

   出版ニュース

   ☆【イベント開催】大石トロンボ『新古書ファイター真吾』刊行記念イベント2連続!

   ★【イベント開催】宇野マサシ展

   ☆【イベント開催】『中澤系歌集 uta0001.txt』増刷記念 岡野大嗣さん×青松輝さんトークイベント

   ★既刊紹介「編集者が選ぶ弊社この一冊」

   ☆編集後記

    

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★第23号をお届けします

 

皓星社メールマガジン第23号をお届けいたします。
このメルマガでは月に一回、弊社の本やデータベースの新着情報とともに、近代出版研究所の活動報告も配信してまいります。
お知り合いの方々へぜひ転送、拡散をお願いいたします。
 

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☆長澤延子生誕90周年 母よ、黒い旗で遺骸を包み…… 
第6回 「ピエロ」デカダンスへの韜晦
                                福島泰樹(歌人)

 

死の前年の5月、16歳の延子は、「コムニストに」「なれないとゆう予感を信じていたから、その秋には死ぬつもりで春と夏を過した」(手記B)と記した。……が、学内での活動(壁新聞「ホノホ」の創刊)、社会思想の学習と創作(小説、詩、評論)、青共(青年共産同盟)への加入とオルグなどに身を挺することで辛くも持ちこたえた。年が明けた春、死は決定的となり、延子は書き溜めた詩稿を整理する。二冊の大学ノートに書き写されたノート「A」「B」がそれである。

 

 …続きはこちらから

 

このたび福島先生は、弊社刊の歌集『百四十字、老いらくの歌』(弊社刊)を中心とした永年の功績に対して、第14回日本歌人クラブ大賞を受賞されました! 誠におめでとうございます。

 

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★大検索時代のレファレンス・チップス

第4回 予算無限大の理想のコレクションから、現役のレファ本を見つけるワザ

小林昌樹(図書館情報学研究者)

 

■大検索時代にはこれ! レファ本フェア開催中

前回予告で思考実験の意味での「壁打ち」用例を探す、としたけれど、答えは分かったものの説明がかなり複雑と判明したので別の機会に譲りたい(答えはダイヤモンド社HPの読書猿さんとの対談に近日中に出ます)。かわりに現在全国書店で開催中の「『調べる技術』の小林昌樹が選んだ「調べの本」50選」フェアにちなんだノウハウをここに書いておく。
 

…続きはこちらから 

 

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☆玩物創始

第2回 金港堂の大番頭岩田僊太郎のこと

稲岡勝(明治出版文化史)

 

ひと昔前のこと、河原努と『出版文化人物事典』(日外アソシエーツ 2013年)なる手間ばかりかかる厄介な事典づくりをしていた。ある時河原が勢い込んで言ってきた。

「岩田僊太郎の没年がわかりましたよ!」

「本当かよ、なにに出ていた?」

「『出版年鑑』昭和29年版の訃報欄に、昭和28年1月18日と」

河原がコツコツと出版人の訃報調査をしてデータ入力していることは知っていた。かくも早く効験あらたかとは、いささか驚いた。

 

…続きはこちらから

 

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★神保町のんしゃら日記 〜出張!あめりか編 〜

晴山生菜(皓星社)

この変なタイトルの文章は私が『歌誌月光』(福島泰樹主催「月光の会」の結社誌)に執筆している日記連載です。まもなく発売になる78号では「あめりか漫遊編」として、今年3月のアメリカ出張記録を書きました。本稿は「月光」の内容と一部重複しますが、紙幅の都合上書ききれなかったことや写真も含めた拡大版になっています。

 

……続きはこちらから

 

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ざっさくプラスニュース

 
【「ざっさくプラス」無償公開】
先月からいくつかの書店様で、「『調べる技術』の小林昌樹が選んだ「調べの本」50選」フェアを開催中です。同書のベストセラー(3万部!)と今回のフェアを記念して、3年ぶりに「ざっさくプラス」の無償公開を行います!新入生&新社会人の皆さんの調べ物支援の側面もありますので、ぜひこの機会にご活用ください!
 
期間は 2023年4月20日(木)〜5月20日(土)の1ヶ月間になります。
 
ざっさくプラスについては、小林さんの連載「在野研究者のレファレンス・チップス」第12回もぜひご参照ください。
 
【先月からの新規登載情報】
 
〇独自登載分
 
「美術グラフ」9巻第2号(昭和35年3月)~311号(2011年4月)
※時の美術社の美術研究誌で、美術評論家の菊地芳一郎が創刊・主宰(のち娘の菊地明子が復刊)。国会図書館所蔵分230冊から5151文献を登載。1952~1959年の同館未所蔵分は未登載。皓星社友の会会員の登載希望に対応。
 
「大学出版」第1号(昭和61年5月)~第100号(2014年10月)
※大学出版部協会の季刊PR誌。酒井道夫、青木淳一、三浦義博、山本俊明、植村八潮、箕輪成男、中野三敏らが執筆。101号からNDL「雑誌記事索引」に採録されており、雑索欠号補充により全号通しての検索が可能に。継続刊行中。
 

〇NDLデジタルコレクションからの追加分

 

「遷喬」第2號(明治26年2月)~第20號(明治30年4月12日)[デジコレ]
※明治義会尋常中学校の交友会誌。NDLデジタルコレクションから「論説」「学説」「叢譚」「文苑」「雑録」などの粗い目次を取り直して553件の記事を登載。6、13号は欠。

 
…続きはこちらから

 

【閉鎖するデータベースのデータ、お引き受けします】

ざっさくプラスは、閉鎖予定のデータベースのデータを引き取り、続けて公開します。かねてより、図書館関係者の方から「科研で作られたデータベースで、非常に有益なものなのに、教授の退官時や公開サイトの閉鎖時に消滅してしまうものが多い」という声を聞いておりました。そうしたデータを消さず、拾い上げたいと考えています。方法は主に以下の2通り。

 ①データを引き取り「ざっさくプラス」に登載。(無償)

 ②独立したデータベースとして引き取り連携検索して検索結果を「ざっさくプラス」と共に一覧表示。(費用等応相談)

 

どちらも検索結果に元のデータベースのデータであることを示すアイコンを表示します。

詳しいお話をお聞きになりたい方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

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出版ニュース

※定価はすべて税別
【新刊】
近代出版研究所編、4月7日刊行、定価2,000円
第2号の特集は「雑著・雑本・ミセレイニアス」。内容見本、版元営業、コンビニ本、大正グラフ雑誌、新聞内報、新聞縦覧所、雑誌屋……これまでほとんど論じられることの無かった近代出版史の様々なテーマを取り上げます。今年も斯界の重鎮から気鋭の研究者、在野研究者・出版人までユニークな執筆陣が揃いました!
 
〈ご案内〉
・小林昌樹編集長が「日本の古本屋」メールマガジンの「自著を語る」(4/4)に第2号の紹介文を寄稿しました!  編集実務担当者・河原による第2号編集余話はこちら
・ 第2号の刊行にともない、問い合わせの多かった創刊号も増刷が決定! 
・東京堂書店様では、発売週の4/11付の週間ベストで第2号が総合1位、創刊号が3位に入りました。創刊号の3位にはさすがにビックリ。
 
日本植民地教育史研究会運営委員会編、4月7日刊行、定価2,000円
「植民地教育史」をテーマとする学会「日本植民地教育史研究会」の年報第25号。今号では、植民地教科書と「アジア民衆像」を特集しました。昨年逝去された竹中憲一先生(早稲田大学名誉教授)の追悼記事も掲載。
 
【近刊】
大石トロンボ著、5月9日刊行予定、定価1,400円
ライトな古本探しの楽しさと可笑しさを描く、唯一無二の「古本あるある」バトル漫画。夏葉社さんの『ブックオフ大学ぶらぶら学部』に抄録されたことでご記憶の方も多いはずのこの作品が単行本化します!著者の古本探しの日々を綴ったエッセイや、夏葉社・島田潤一郎さんの特別寄稿「友人のような本」も掲載。予約も近日中に開始します。
イベントも5/6(土)、6/3(土)の複数開催決定! 詳細は後半のイベント欄をご覧ください。
 
福島泰樹(主宰)他編、5月11日刊行予定、予価1,000円
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、第二歌集『歌峠』より35年、戦後日本を誠実に生き抜き、2021年11月に逝去した歌人・下村光男とその遺歌集『海山』。
 
【書評情報】
調べる技術――国会図書館秘伝のレファレンス・チップス
小林昌樹著、12月9日刊行、定価2,000円(+税)
※おかげさまで7刷決定いたしました!
4/1 産経新聞
4/10 『週刊東洋経済』2023年4月15日号

 

【フェア情報】
『調べる技術』著者の小林昌樹さんに選書して頂いた「「調べる技術」の小林昌樹が選んだ「調べの本」50選」フェアを、現在下記の書店様で開催中です。各書店様では小林さんが各書籍につけたコメントポップをまとめた冊子も無料配布しています。今後、フェア実施書店は増えていく予定です。開催をご希望の書店様、ぜひご連絡ください!
 
・MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 様
 
5月以降には
・ジュンク堂書店大宮高島屋店 様
・丸善日本橋店 様
・ブックファーストアトレ大森店 様
でもフェアが開催される予定です。
 

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 【イベント開催】大石トロンボ『新古書ファイター真吾』刊行記念イベント2連続!
【その1】
GW中にときわ書房志津ステーションビル店様で開催される志津スモールBOOKフェスにて、大石トロンボさん初の単行本『新古書ファイター真吾』記念の先行販売&サイン会を開催いたします!
トロンボさんの地元であるときわ書房志津ステーションビル店様からは刊行前にもかかわらず熱い声援をいただいております。BOOKフェスでは、その他
千葉にゆかりのある書店や出版レーベルも集うとか。大石さんの貴重な直筆サインをもらえるイベント、お見逃しなく!

【日時】2023/5/6(土)14:00 ※フェスは11:00~17:00まで

【場所】ときわ書房志津ステーションビル店(千葉県佐倉市上志津1663)

詳しくはこちらをご確認ください。

 

その2〈速報!〉

大石トロンボさん×島田潤一郎さん(夏葉社)のトークイベントを開催させていただくことになりました! 詳細はTwitterなどで追ってご案内いたしますので、こちらもどうぞご期待ください。

【日時】6月3日(土)18時〜

【場所】青山ブックセンター本店

お問合せは弊社まで。

 

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 ★【イベント開催】宇野マサシ展

 

2022年3月に弊社で『宇野マサシ画集 賚ーらいー』を刊行した放浪の画家・宇野マサシさんの展覧会です。

現場で描くスタイルを貫き、自転車の荷台に画材を入れた茶箱を積んで、市井の暮らしを、人々を、風景を描いている宇野マサシさん。アビアントでは6年振りの個展です。宇野さんは傍ら、美術史に名を残す洲之内徹、木村東介との関わりや折々の心情などを綴った故郷愛知県の「矢作新報」に自伝エッセイを連載。弊社からも『ぼくの旅 ―放浪と人と絵と―』という自叙伝を刊行されています。ぜひ作品展にお運びください。

 

【日時】
2023/5/13(土)~5/21(日) 会期中無休
11:00~19:00(日曜日、最終日は17:00まで)

【場所】
ギャラリー アビアント(東京都墨田区吾妻橋1-23-30 リバーピア吾妻橋1F)
 
…詳しくはこちら

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☆【イベント開催】『中澤系歌集 uta0001.txt』(皓星社)増刷記念 岡野大嗣さん×青松輝さんトークイベント

 

3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって

意味あまた中空に浮く 花火大会に擾乱などを思えば

あきらめることだねきみのまわりには秩序が透き間なく繁茂した

メリーゴーランドを止めるスイッチはどこですかそれともありませんか

スクロールする速度ならもう慣れた加速するのはシステムとぼく

 

自由を享受しているようでありながら、その行動がシステムによって誘導され制限されたものであることを中澤系は繰り返し歌に詠みました。オートマチックに進む社会のなかで何かを選び取ることは、翻って自分を自分たらしめる最後の手段でもあるのです。しかし、考えることを放棄した後に到来する世界を、中澤系はその目で確かめることなくこの世を去りました。

作歌のハードルが格段に下がり、短歌を読む/詠む人口が増えた今、中澤系という歌人ののこした歌を鑑賞すること。トークイベントでは、皓星社第二版の栞にご寄稿いただいた岡野大嗣さん、青松輝さん、そして復刊プロジェクトに長く関わってこられた本多真弓さんを司会にお迎えし、その意味を探っていきます。


中澤系や短歌について、ご登壇いただく岡野さんと青松さんへのご質問も大募集! ハッシュタグ「#中澤系_紀伊國屋書店新宿本店」をつけてお送りください(全てにお答えできない場合もございます。あらかじめご了承ください)。

 

イベント詳細については、こちらをご覧ください。

 

【日時】
2023/5/26(金) 19:00開演(18:40開場)
【場所】
紀伊國屋書店新宿本店 2階BOOK SALON
【料金】
無料でご観覧できるイベントです(着席20席・立ち見20席)。

2023/4/29(土)より申込サイト(Peatix)にてご予約を承ります。

 

※立ち見の方も先着20名までご予約を受け付けますが、ご予約なしでご観覧いただくことも可能です。ご予約なしの場合は声が聞こえにくい、登壇者が見えにくい可能性もございますのでご了承ください。

 

歌人・穂村弘さんと社会学者・宮台真司さんをお呼びした双風舎版の刊行記念イベントの様子(2015/6/6)はこちらからお読みいただけます。

 

【登壇者】
・岡野大嗣(おかの・だいじ)
1980年、大阪府生まれ。単著に『音楽』『たやすみなさい』『サイレンと犀』。がんサバイバー当事者による、闘病の不安に寄り添う短歌集『黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える』を監修。NHK Eテレ「NHK短歌」選者。
・青松輝(あおまつ・あきら)
1998年生まれ。東京大学Q短歌会に2018年から2022年まで所属。 ユニット「第三滑走路」、合同歌集『いちばん有名な夜の想像にそなえて』(青松輝+瀬口真司)。「ベテランち」「雷獣」の名義でYouTubeでも活動。

・ 本多真弓(ほんだ・まゆみ)

未来短歌会所属。中澤系プロジェクト発起人のひとり。第一歌集『猫は踏まずに』(六花書林)。本多響乃名義でも活動する。

 

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★既刊紹介「編集者が選ぶ弊社この一冊」

 

今月の出版業界トップニュースといえば、村上春樹による6年ぶりの新刊『街とその不確かな壁』の発売一択でしょう。新潮社からはサイン入りの特別仕様本が数量限定で販売されるようで、お値段なんと10万円(家賃の支払いにお釣りがきてしまう……)。
また、トップニュースにはならずとも、ハンセン病資料館では不条理な差別の歴史に抗い声をあげてきた戦後詩人たちに光を当てた「ハンセン病文学の新生面『いのちの芽の詩人たち』」という非常に重要な展示が開催中です。ひっそり不定期連載中の既刊紹介コーナー「編集者が選ぶ弊社この一冊」。今回はこの二つの話題に関連した本をご紹介します。(楠本)

 

愛ゆえの反ハルキスト宣言
平山瑞穂著、2017年9月6日刊行、定価 1,600円

あらゆる説明を拒むようなこのタイトル……! どきどきしながらページをめくると「序にかえてー村上春樹と僕」は啖呵を切るようなこんな文言から始まります。「この本は、アンチの立場から書かれた村上春樹論である」。

本書はまさに作家・平山瑞穂さんから大衆人気ナンバーワン作家・村上春樹への絶縁状。かつて「文学の目覚め」として出会い、どの作家よりも魅力を感じながらもいつしかそれ以上の「苛立ちや怒り」(!)を抱くようになった経緯とは? 著者はこの本を通して、村上の長編作品において延々と繰り返される「雑音」を、手放しにもてはやされてきた「ご都合主義的展開」を、一つずつ丁寧に見つめていきます。

実は私自身、世間の盛り上がりを見れば見るほど面白くなくなる逆張り思考の持ち主で、読んだことのあるものといえば学生時代に人から言われるままに借りた数冊程度。「反ハルキスト」の立場から読むと、村上作品のなかでセクシャルな関係がいかに巧妙なエクスキューズのもと展開されてきたか、突きつけられる気持ちになりました。余談ですが、「こんな女いる訳ないだろ!」という私の感想とは裏腹に、村上春樹自身は女性読者に「どうしてこんなにも女性の気持ちが分かるのですか?」と聞かれたエピソードを披露しており(『職業としての小説家』)驚愕しました。(リアリティが小説の必須条件ではないとはいえ)いる訳ないだろ!

HPの紹介文末尾に燦然と輝くキャッチコピーは「炎上覚悟。批判上等。 著者、入魂の1冊」。村上春樹を読んだことのある人も、そうでない人も、このブームについて一緒に考えてみませんか?


虹のむこうには 為さん・大作さんの言葉 ハンセン病取材二十年の記録

小川秀幸著、2021年10月5日刊行、定価 1,800円(+税)

著者の小川秀幸さんは、三重テレビの報道担当として、岡山県・長島にある長島愛生園と邑久光明園という二つの国立ハンセン病療養所で暮らす人々を20年にわたり取材してきました。

その中でも、隔離政策の違憲性を問う裁判を機に出会ったのが、回復者の川北為俊さん(為さん)、吉田大作さん(大ちゃん)。二人を追った番組(2016年放送「大ちゃんと為さん〜あるまちの風景〜」、第54回ギャラクシー賞選奨)の後、全国の入所者の平均年齢が87歳以上という現状の中で、書籍として差別と偏見の歴史と強く生きてきた人々の姿を次世代に継承していきたい……。本書は小川さんのそのような強い願いのもと編まれたインタビュー集です。

療養所に収容されていた方々の証言とその生活を伝える写真の数々に加え、長島と対岸の本土を結ぶ「人間回復の橋」が果たす役割や入所者の帰郷の現状、市民が療養所を訪れたフィールドワーク、元患者家族の人生被害などのほか、多くのアンコンシャス・バイアスが取り返しのつかない政策をもたらしたハンセン病と昨今の新型コロナウイルスをめぐる教訓についても考察されています。巻末には、前掲番組の他小川さん制作の番組でナレーションをつとめた俳優・常盤貴子さんの寄稿を収録。

 

○弊社では『ハンセン病文学全集』(2002~2003)をはじめ、ハンセン病に関連する書籍を多数刊行してきました。療養所の入所者の方々による短詩型作品を集めたものから、差別と偏見の構造を民俗学的視点から読み解くものまで幅広くございますので、読者の皆様の学びの手掛かりになれば幸いです。

一覧はこちらからご覧いただけます。

 

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編集後記

 

皓星社版刊行から5年、なんと『中澤系歌集 uta0001.txt 』のトークイベントが開催されることになりました!(大拍手)今年初めに増刷した際には、熊倉献さん(漫画家)、萩原正人さん(臓器移植芸人)、青松輝さん(歌人)、岡野大嗣さん(歌人)の4名による書き下ろし栞も作成しました。

そもそもこの「栞」、著者に縁のある方が刊行を記念して寄せた小冊子のことで、短歌や俳句など短詩型文学の世界には多く見られるのですが、馴染みがない方からすると特殊な文化かもしれません。小冊子とはいえ、侮るなかれ。過去には栞から高校入試のテキストとして使われたものもあるとか……。「短歌ってどこをどう読めば良いか分かんねえ!」という時には、解説代わりにまず栞から読んでみるのも一つの手なのです。『中澤系歌集』は絶版に絶版を重ねてきた過去を持つ流浪の歌集でもあり、皓星社版ではもちろん過去の版元から出た時の栞も全て収録しています。

世は空前の短歌ブーム(らしい!)。この連休はイベントに備えて、『中澤系歌集』をゆっくりじっくり味わうお休みにしてみては?(楠本)

 

本誌創刊以来、初めて連載を休みました。元より「社員が連載陣にいると何かと都合がいいかしら」という考えで始めたもので、実際に連載が私のものだけという月もありましたが、今号は外部3本+社内1本で4本もあるので「多すぎると読む方も大変だろうから、今月はお休みさせてもらうか……」と怠け心を発揮した次第です。(河原)
 
福島泰樹先生が日本歌人クラブ大賞を受賞されました。受賞理由には「『百四十字、老いらくの歌』(皓星社)を中心とした永年の功績に対して」とありました。この数年間に先生が弊社で纏めてくださった『長澤延子全詩集』、重信房子さんの歌集『暁の星』などの刊行物がこの中に含まれていると思うと、素直に嬉しい。こうした仕事をご一緒させていただけたこと、感謝に耐えません。先生、改めておめでとうございます。(晴山)
 

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第23号をご一読いただきありがとうございました。

 

今月号は連載4本に加え、「ざっさくプラス」無償公開や『調べる技術』のフェア情報、弊社刊行物の関連イベント情報など、普段より盛りだくさんな内容になりました。いつもこれくらい、皆様にお知らせすることがある会社でありたいです。

 

本メルマガは拡散、転載、引用など大歓迎です。ざっさくプラス、出版物に関するお問い合わせや、メールマガジンの内容に対するご意見ご感想は、弊社ウェブサイトのお問い合わせフォームからお願いします。

 

松本麗華さんのお悩み相談室のご相談も募集しておりますので、こちらよりご投稿ください。

 

 

 

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