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目 次
★第三号をお届けします
☆在野研究者のレファレンスチップス 第三回(小林昌樹)
★書評未満/抄記以上 第三回(森洋介)
☆趣味の日本近代出版史 第三回(河原努)
★ざっさくプラスニュース
☆出版ニュース
★『訴歌』イベント開催(本屋B&B)のお知らせ
☆編集後記
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★第三号をお届けします
いつも弊社刊行物をご愛読、またデータベースをご愛用いただき誠に有難うございます。皓星社メールマガジン第三号をお届けいたします。
このメルマガでは、弊社の本やデータベースの新着情報とともに、弊社付属機関である近代出版研究所の活動報告も配信ししてまいります。
月1回配信いたします。お知り合いの方々へぜひ転送、拡散をお願いいたします。
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☆在野研究者のレファレンスチップス
第三回 見たことも、聞いたこともない本を見つけるワザ――件名の本当の使い方
小林昌樹(図書館情報学研究者)
■「未知文献」を見つける方法がある
見たことも、聞いたこともない本を見つけるなんてことはできるだろうか? そんなことはできないからこそ、本好きは毎日、本屋へ寄ったり、図書館の中をぶらついたりするのではなかったか。学者だって見たことも聞いたこともない本を見つけることはできない。
しかし、あるのだ、そんなワザが――そんなバカなと思うだろうけれど、本当である。というか、アメリカの司書は誰でもこれができる。できるからこそ、司書はアメリカで、学者に準ずる専門家として認知されたのだ。
○本の中身をコトバに
見たことも、聞いたこともない本とはどんな本だろう。それは、見たことも、聞いたこともないけれど、自分が欲しい、読みたい本のことだろう(図書館学では「未知文献」と呼んだもの)。では自分が読みたいとは何か?
こういった感じの本、こういったことがらについての本ということになる。
アメリカの各図書館では受入れる本に片っ端から、その本の内容を、特殊なキーワードとして目録屋(cataloger)の司書が所蔵データに記載している。
実はこの特殊なキーワードは、レファ司書やユーザが使う部分なのである。というのも、この特殊なキーワードのカラクリに通じさえしていれば、「見たことも聞いたこともないけれど、ある特定の内容の本」の「有無」を確認することができるからなのだ。
「有無」というのはまさに、無いことも分かっちゃう。世界中の図書館データ(まさに「世界書誌」)にあたれば、無いこともわかる悪魔の証明システムなのだ(無いことの証明は「悪魔の証明」と呼ばれ、不可能ごとに類する)。
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★書評未満/抄記以上
第三回 貧しき中にも読書あり――アガンベン『いと高き貧しさ――修道院規則と生の形式』
森洋介(書物蔵・選)
■ジョルジョ・アガンベン『いと高き貧しさ 修道院規則と生の形式』上村忠男・太田綾子訳、みすず書房、二〇一四年十月
読了 2016/2/2
目次:http://www.msz.co.jp/book/detail/07853.html
「Ⅲ〈生の形式〉」、就中「3 いと高き貧しさと使用」で、「瀆神礼賛」(『瀆神』月曜社、二〇〇五年九月、pp.119-121)で閃かしたフランシスコ会による所有と使用の区別論を詳論する。併せ読む。
Cf. http://www.sociallibrary.jp/entry/4901477196/
何を読んでも、書物関聯の記述に目を止めてしまふのは読書人のさがである。脇筋ながら、中世修道院における読書史に関してメモ。
「メディターティオー(meditatio)」について。「ハインリヒ・バハトは、この用語は近代的な意味での「瞑想/沈思黙考」を指すのではなく、もとはレクティオー(lectio 朗読)と区別されたものとしての聖書の暗唱(一人で、または共同での)を指していたことを示した」(Ⅰ「1 規則の誕生」1・10、p.33)。これは音読から黙読へといふ読書の歴史の基本傾向に重ねて見られる。「四世紀以降、沈黙の読書の習慣が広まっていったことはよく知られている。アウグスティヌスは、師のアンブロシウスがそうしていることに驚いている。[……]メディターティーオーは、もはやレクティオーを必要としなくなったこの実践を受け継ぐものだった。
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☆趣味の日本近代出版史
第三回 広島原爆で亡くなった3人の書店人と「平和の火」
河原努(皓星社)
■広島原爆で亡くなった3人の書店人
数年前から国立国会図書館で新聞・出版・広告の業界紙『文化通信』(昭和21年5月1日創刊)のバックナンバーをめくっている。出版関係者の訃報探しをしながら気になった記事のコピーを取っているのだが、創刊間もない23年6月21日号の記事「業界今昔記②」に次のような記述があった。「丸岡才吉、山本弥助、岡原佐太郎の三氏が原子爆弾でたおれたのは痛ましい思出である」。記事タイトルの“業界”は小売業界(書店業界)のことで、丸岡は広文館、山本は金正堂、岡原は広島積善館の主人。『出版文化人物事典』(日外アソシエーツ、平成25年)を編集したときに原爆で亡くなった出版関係者を書いた記憶は無く、気になって調べてみることにした。筆者は別に広島出身ではなく同地の書店事情には疎いのだが、『文化通信』平成23年1月11日号「金正堂(広島市)が1月末で閉店へ」という記事によると「同書店(筆者註・金正堂)は1926年(大15)の創業で、広島積善館、廣文館と並んで広島御三家と呼ばれた」とある。
…続きはこちらから
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★ざっさくプラスニュース
【zoom商談・使い方ガイダンス 始めます】
Zoomを使ったご案内を始めます。ご契約機関様には使い方のご案内を、導入をご検討中の機関様には商品説明をさせていただきます。
1回30分単位~ご予約いただけます。ご予約や、トライアルのお申込みはこちらから。
【閉鎖するデータベースのデータ、お引き受けします】
ざっさくプラスは、閉鎖予定のデータベースのデータを引き取り、続けて公開します。かねてより、図書館関係者の方から「科研で作られたデータベースで、非常に有益なものなのに、教授の退官時や公開サイトの閉鎖時に消滅してしまうものが多い」という声を聞いておりました。そうしたデータを消さず、拾い上げたいと考えています。方法は主に以下の2通り。
①データを引き取り「ざっさくプラス」に登載。(無償)
②独立したデータベースとして引き取り連携検索して検索結果を「ざっさくプラス」と共に一覧表示。(費用等応相談)
どちらも検索結果に元のデータベースのデータであることを示すアイコンを表示します。
詳しいお話をお聞きになりたい方、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
【先月からの新規登載情報】
〇独自登載分
「迷宮」第1巻第1号(昭和54年7月)〜第1巻第3号(昭和55年7月)
※迷宮編集室のオカルト雑誌で、「地球ロマン」の後継誌。編集人は武田洋一(武田崇元)。竹内健、稲生典太郎、四方田犬彦、由良君美、武邑光裕、井村宏次、吉永進一、芦田献之らが執筆。全3冊。
「花曜」創刊号(昭和59年7月)〜第5号(昭和60年8月)
※花曜社の出版PR誌。塚本邦雄、黒井千次、伊藤信吉、八木義徳、矢内原伊作、河野多恵子、松永伍一、竹西寛子、川崎洋、遠藤周作、鮎川信夫、堀多恵子、吉村昭、岡野弘彦、山室静、武田百合子、佐々木基一らが執筆。6号は未見。
「蟹行」創刊号(昭和61年7月)〜第6号(平成18年4月)
※蟹行の会発行の日本近代文学の研究同人誌。同人は阿毛久芳、酒井英行、太田鈴子、玉村周、小林修、鶴谷憲三、小林幸夫、箕輪武雄、近藤裕子。全6冊。
「文脈」創刊号(昭和58年3月)〜第6号(昭和62年11月)
※文脈の会発行の日本近代文学の研究同人誌。会員は越前谷宏、小島輝正、直原弘道、下橋邦彦、土倉莞爾、中尾務、水上勲、玄善允で、6号は小島の追悼号。7号は未見。
「漫画百年」第1巻(昭和42年1月)〜第39号(平成14年11月)
漫画家・佐宗美邦が発行していた同人誌で、明治百年にあたる昭和42年創刊。森熊猛、森比呂志、大野鯛三、うしおそうじら世代の古い漫画家たちが多数寄稿。宍戸左行、幸内純一、宮尾しげを、藤子・F・不二雄らの追悼記事も。
「医療と人間と」創刊号(1973年3月)〜第4号(1974年1月)
※勁草書房の医療・保健・福祉誌(季刊)。若月俊一、曽田長宗、家永三郎、羽仁進、和気朗、一番ケ瀬康子、小川政亮、都留重人、武谷三男、安田武、藤枝静男、山代巴、松田道雄、津村節子、吉行淳之介らが執筆。全4冊。
「思想國防」第1巻第1號(昭和10年10月)〜第2巻第2號(昭和11年2月)
※国防教育会の月刊誌。紀平正美、田辺元、武藤章、伊藤整、津久井龍雄、後藤文夫らが寄稿。2巻1号まで国立国会図書館デジタルコレクション有だが、2巻2号は国立教育政策研究所教育図書館のみ所蔵。以降は未見。
「日本自身」第1巻第1号(昭和51年12月)〜第7巻第4号(昭和58年12月)
※日本自身社の季刊誌。「日本人と○○(風景・信仰・旅・文房具など)」という特集主義で、吉田健一、遠藤周作、開高健、戸板康二、加藤秀俊、鶴見俊輔、宮本常一ら一流どころが寄稿。通巻29号以降未見。
「長崎談叢」第1輯(昭和3年5月)〜第100輯(平成27年10月)
※長崎史談会発行の長崎県の郷土史誌(現在も継続刊行中だが最新は平成27年刊)。林源吉、越中哲也、増田廉吉、島内八郎、浦川和三郎、結城了悟、中村重嘉、松尾利信らが執筆。雄松堂書店からの復刻版は40輯まで。全100冊。
「三十日」第1號(昭和13年1月)〜第8號(昭和13年8月)
※野田書房の月刊随筆誌。1日を1人に割り振って毎号30人が随筆を寄稿する趣向。創刊号は辰野隆、佐藤春夫、日夏耿之介、飯田蛇笏、山田珠樹、坂東三津五郎、金田一京助、山内義雄、井伏鱒二、神西清、川端康成らが寄稿。全8冊。
「國粹」第1號(大正9年10月)〜第2巻第12號(大正10年12月)
※国粋出版社の月刊文芸誌。本誌顧問に巌谷小波、伊東忠太、戸川残花、土岐哀果、幸田露伴、鏑木清方、内藤鳴雪、村上浪六ら。泉鏡花、宇野浩二、竹久夢二、三上於菟吉、室生犀星、広津和郎、有島武郎、正宗白鳥らが執筆。
「折口学と近代」1(昭和50年10月)〜15(平成元年8月)
※折口信夫講読会の機関誌(年刊)。編集発行人は石内徹、誌名は森安理文の命名。朝倉治彦、有山大五、小野憲男、鈴木国郭、竹内清己、谷口陽子、服部勉、槇村吉泰、森磐根、四本健治、伊馬春部、村松定孝、中河与一らが執筆。
「修験」第1冊第1号(大正12年7月)〜第10冊第124号(昭和19年1月)
※聖護院門跡内修験社の修験道誌(隔月刊)。宮城信雅、牛窪弘善、大島伝次郎、玉川玉浪、松岡確幢、中里龍雄、森徳太郎、吉田光俊、三井豊興、中西猷淳、藤井覚猛らが執筆。名著出版の複製版総目次から登載。
「太宰研究」創刊号(昭和37年7月)〜第20号(昭和48年4月)
「太宰治研究資料」第21号(昭和48年6月)〜第22号(平成元年5月)
※太宰治研究の第一人者であった山内祥史の個人誌。21号の総目録から登載。「太宰府の研究誌と誤られたことがあった」ため同号から誌名変更した。全22冊。
「民衆」第1號(大正7年1月)〜第16號(大正10年1月)
※福田正夫を中心とした文芸同人誌(民衆社発行)。井上康文、花岡謙二、小栗又一、桑原国次、宮代直吉、渡辺順三、川崎長太郎や加藤一夫、百田宗治、白鳥省吾、富田砕花らが執筆。教育出版センターからの複製版あり。全16冊。
「神乃日本」創刊號(昭和12年11月)〜2巻1號(昭和13年2月)
「神日本」第2巻第2號(昭和13年3月)〜第5巻第12號(昭和16年12月)
※神乃日本社の右翼…というよりは神代文字・神霊現象・言霊学・ムー大陸など神代史研究誌。八幡書店の復刻版からの登載で、2巻3号・2巻4号は欠。
「障害者教育研究」第1号(1978年1月)〜第13号(1984年3月)
※現代ジャーナリズム出版会の雑誌(年2回刊)。津田道夫、柴崎律、平林浩、石川愛子、斉藤光正、関戸嘉光、宮崎隆太郎、篠崎恵昭、野村みどり、正木欽七、銀林浩らの他、大江健三郎も執筆。全13冊。
「列島の文化史」1(1984年3月)〜11(1998年10月)
※日本エディタースクール出版部の民俗学・歴史学誌(年刊)。編集委員は網野善彦、塚本学、坪井洋文、宮田登。大林太良、大月隆寛、河野通明、篠原徹、盛本昌広、千野香織らも執筆。全11冊。
「収書月報」第1号(昭和11年2月)〜第91号(昭和18年9月)
※旧満洲にあった満鉄奉天図書館の収書月報。衞藤利夫、彌吉光長、大内直之、中村道冏、植野武雄、山下雄児、千田萬三、滝川政次郎、八木義徳らが執筆。緑蔭書房からの復刻版あり。全91冊。
「國民學校」第1巻第1號(昭和15年4月)〜第1巻第13號(昭和16年5月)
※東洋図書の月刊初等教育誌。顧問・相談役は林博太郎。三橋喜久雄、清水甚吾、西原慶一らの他、創作欄に長谷健、石森延男、松田解子、塚原健二郎らの名前も。エムティ出版からの複製版あり。全13冊。
「感化教育」第1號(大正12年2月)〜第19號(昭和6年3月)
※日本感化教育会の雑誌(非売品)で、非行少年や保護者のいない少年の保護・更生の専門誌。菊池俊諦、留岡幸助、池田千年、田中藤左衛門らが執筆。湘南堂書店からの複製版あり。全19冊。
「樹」創刊号(1979年)〜第6号(1981年)
※小高達雄が編集発行人を務めた、“樹”をモチーフとした絵と随想・詩・評論の雑誌。創刊号は駒井哲郎を特集し、草野心平、粟津則雄、安東次男、大岡信、中村稔、野見山暁治、串田孫一、篠田桃紅、宗左近らが執筆。全6冊。
「郷土誌うとう」第1號(昭和8年1月)〜第27號(昭和17年9月)
※青森県の郷土史誌。国書刊行会の複製版から戦前分27冊を登載(同誌は平成元年の94号まで刊行された)。編集発行人は郷土史家の肴倉弥八。板谷八郎、岡村奇峰、種市有隣、松野武雄、小友叔雄らが執筆。
「記録者」第1号(1986年5月)〜第12号(1998年8月)
※停車場の会(→記録者の会)の同人誌で、発行人・誌名命名者は中薗英助、編集者は木村和。宮部虔、楠木誠一郎、熊沢正人、横山康子、飛鳥次朗、柴田鐵造、柏木薫、向井茉莉夫、栃窪宏男、緑川京介、高嶋哲夫らが執筆。全12冊。
「季刊まだん」第1号(1973年10月)〜第6号(1975年6月)
※創紀房新社の在日朝鮮人雑誌。まだんは朝鮮語で“広場”の意で「在日朝鮮韓国人のひろば」を標榜。金一勉、呉炳学、金両基、呉林俊、高史明、陳昌鉉、金嬉老、村松武司、梶山季之らが執筆。全6冊。
「芸亭會報」創刊号(昭和33年2月)
「芸亭」第2号(昭和36年12月)〜第23号(昭和58年12月)
※天理大学図書館学研究室の年報・芸亭会報。仙田正雄、富永牧太、高橋重臣、高橋慶男、相場弘一、竹林熊彦、森耕一らが執筆。創刊号はNDL未所蔵。全23冊。
「名古屋読書会報告」第1年第1号(1934年6月)〜14号(1934年12月)
「他山の石」第1年第15号(1934年12月)〜廃刊の辞(1941年9月)
※戦前のジャーナリスト・桐生悠々の個人雑誌。廃刊に追い込まれるまで30回近い発禁や削除の弾圧を受けた。不二出版からの復刻版あり。
「敎育の世紀」創刊號(大正12年10月)〜第5巻第10號(昭和2年10月)
※野口援太郎、下中弥三郎、為藤五郎、志垣寛の4人が結成した教育団体教育の世紀社の月刊教育誌。自由主義的な内容で、一光社からの複製版あり。
・新規登載情報につきましては、Twitter皓星社ざっさくプラスアカウント(@zassakuplus)でも随時お知らせしております。どうぞご覧ください。
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☆出版ニュース
【新刊】
『天河庭園の夜』
7月30日刊、定価2,500円(+税)
福島泰樹著。2020年に前衛歌人・岡井隆が没しました。寺山修司、吉本隆明、冨士田元彦、小野茂樹、岸上大作、桶本欣吾……叛逆の時代を共に生きた者たちへ捧げる第33歌集。
巻頭の一首。「歳月は蜜であったろ厳かな罰であったよ 雲ながれゆく」
『新版 吹雪と細雨』
7月30日刊、定価2000円(+税)
清原工著。ハンセン病との闘いの日々を『いのちの初夜』などの作品に残した作家・北條民雄。その苦悩と功績を辿る評伝の増補版です。コロナ禍、そして国のハンセン病隔離政策を憲法違反とした熊本地裁判決から20年の今年だからこそ学ぶべき事実があります。
【近刊】
『叛乱の時代を生きた私たちを読む 自己史としての短歌評』
9月10日刊、定価2,500円(+税)
岡部隆志著。1960年代後半から70年代にかけて、自らの体験した政治闘争の時代を短歌に詠まざるを得ない歌人たちがいます。その切実さの理由はどこにあるのか。研究者、評論家、元活動家という立ち位置を明らかにし、自身のライフヒストリーをもとに論評します。
『虹のむこうには 為さん・大作さんの言葉ーーハンセン病取材二十年の記録』
9月30日刊予定
小川秀幸著。三重テレビ放送に勤める著者が、取材でハンセン病回復者と出会ってからおよそ20年。ふたつの国立ハンセン病療養所がある長島(岡山県瀬戸内市)を舞台に、療養所の入所者の皆さんとの親しく深い交流を通じて、ハンセン病をめぐる諸問題を考察した取材記です。俳優の常盤貴子さんの特別寄稿も収録。
『アナキズムを読むーー〈自由〉を生きるためのブックガイド』
10月7日刊予定
田中ひかる編。不自由を強いられるパンデミックが長引くなかで、私たちはどう生き、将来をどう思い描いたらいいのでしょうか。ここに一つの手がかりがあります。それはアナキズム。みんなが生きやすい社会を構想するために、豊かな生き方と考え方を探る“希望と解放”の読書案内です。55のブックガイドとコラム・エッセイのほか、編者による「アナキズムの歴史と現在」を収録。
『大正アナキストの夢——渡辺政太郎とその時代』
10月7日刊予定
多田茂治著。渡辺政太郎(1873-1918)は、堺利彦、幸徳秋水と同世代、後輩格の大杉栄、荒畑寒村らとも苦楽をともにした大正期の社会運動家でアナキスト。本書は、彼らの活動を陰で献身的に支えた政太郎の生涯と、彼が生きた時代を活写した本格的評伝です。土筆社刊(1992年)の新装版。
【増刷】
『訴歌 あなたはきっと橋を渡って来てくれる』
8月2日2刷出来、定価1800円(+税)
ハンセン病療養所で詠まれた作品を、編者・阿部正子が「希望」「ふるさと恋し」「偏見」など1000のテーマで排列。短歌、俳句、川柳のハーモニーが深い余韻を残す異色のアンソロジーです。朝日新聞夕刊やNHKラジオ他メディアで多数取り上げていただき、この度増刷が決定いたしました!
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★『訴歌』イベント開催(本屋B&B)のお知らせ
2刷も完成し、様々な場で注目いただいております『訴歌』でございますが、8月29日(日)15時より下北沢にあります本屋B&Bにて、編者阿部正子さんをお招きしてのトークイベントが開催されることとなりました!
本書のはじまりは、弊社刊行の『ハンセン病文学全集』におさめられた俳句・川柳・短歌を、阿部さんが偶然図書館で見つけ感銘を受けたことがきっかけでした。全国の療養所を自ら訪問し、単行本や各施設の文芸誌などから『ハンセン病文学全集』を編集したのは当時皓星社に編集者として在籍していた故・能登恵美子です。ハンセン病と闘う中で滲み出たいのちの叫びとしての一行詩、それを埋もれたままにはしておけない。そんな二人の編集者の強い思いが交差し、『ハンセン病文学全集』からこの春新たに『訴歌』という本が生まれました。
イベントでは、本書の刊行に至るまでのその道のりを阿部さんにお話いただきます。
そして、お話のお相手には、元ハンセン病患者の女性が偏見と向き合う姿を描いた小説『あん』の作者、ドリアン助川さんがご登壇くださいます。『訴歌』の中より特に心に残った作品をご紹介いただくお時間もご用意しております。
また、8月26日(木)までに書籍の事前発送サービス付きのチケットをお申し込みいただけますと、イベント当日までに『訴歌』を送料無料でお届けいたします。どうぞこの機会にご利用くださいませ。
直前のお知らせにはなりましたが、皆様ぜひご参加ください!
【日時】
8月29日(日)
15:00~17:00 (14:30オンライン開場)
【出演】
【場所】
本屋B&Bにてリアルタイム・見逃し配信
・配信参加:1,650yen(税込)
・書籍付き配信参加(イベント後発送):1,650yen+『訴歌 あなたはきっと橋を渡って来てくれる』1,980yen(いずれも税込)※イベント後の発送となります(販売期間:8月13日〜29日)
・書籍付き配信参加(イベント前発送):1,650yen+『訴歌 あなたはきっと橋を渡って来てくれる』1,980yen(いずれも税込)※ご購入いただき次第、随時発送となります(販売期間:8月13日〜26日)
※本イベントはオンライン配信(Zoomのウェビナー機能というサービスを使用)のみとなります。
※当日ご都合がつかない方のために、リアルタイムと共に、見逃し配信(2週間)も行います。
※お申し込み、詳細につきましては本屋B&B公式サイトをご覧ください。
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☆編集後記
夏といえば怪談。という訳ではないですが、出版研の定例会議で何故だかホラー漫画家の話題に花が咲きました。中でも特に盛り上がったのは伊藤潤二について。先月代々木公園に人面気球が現れたことを受け、1994年発表の作品「首吊り気球」が無料公開され、改めて氏の発想の奇抜な恐ろしさと褪せない画力の高さにネットが騒然となったのは記憶に新しいかと思います(版元としてはいつどこに販促のきっかけが落ちているか分からないなあという感想でした)。また、テーマに《怨》を掲げた「文藝」2021年秋季号では、何故幽霊の表象は女が多いのか?という興味深い対談(藤野可織×はらだ有彩)がありました。生前は言葉を奪われていた女、そして死後ようやくその悲しみを伝えられるようになった女。現れた脅威をただ恐怖として受容する前に、「何故それが現れるのか?」「どうして私たちはそれを恐ろしく感じるのか?」と自らに引き寄せて考える機会を持ちたいものです。(楠本)
先月初旬、3ヶ月ぶりに東京古書会館での即売展へ足を運ぶと、古本仲間の森洋介さんと兵務局さんが波多野巌松堂の棚で話している。「高森栄次の旧蔵書が出ているよ!」。高森(1902-1994)は博文館→博友社の編集者。亡くなって30年近く経つのになぜ今頃と思いつつ、本腰を入れてチェック。献呈署名や手紙、蔵書印が入っている本はいくつもあるが、初見の出版饅頭本は無かった。オーム社社長・田中剛三郎(1908-1984)の饅頭本『神田錦町 田中剛三郎著作集』(昭和60年)はやや珍しいか。3000円だったが、小林所長にその旨を伝えると購入されていた。8月中旬のいま、コロナ患者の急増で再び即売展の会場販売は休止中。早く皆さんと即売展に行ける日常が戻ってきてほしい。(河原)
総勢5人中3人が都留文科大学の卒業である我が社。母校のオンライン就活イベントに河原・楠本とともに参加し、出版業界志望の学生を対象にお話をしました。登壇に際し、斜陽産業と言われて久しい出版業界を学生たちに勧められるか、考えました。私自身は、出版は恵まれた仕事だと思っています。右肩下がりとはいえ、全国には書店・図書館という、本の仕入れを仕事の一部としている場所が国内だけでも数千箇所ありますし、たとい版元が無くなったとしても、本は図書館に残り、古本市場に流通していく。再生機器を必要としないので「本」そのものが残っていれば、何百年後でも読むことができる。他のコンテンツ産業(この言い方は好きではありませんが敢えて)と決定的に違うところです。さて、学生たちはどのように受け取り、今後の進路を選択してゆくでしょうか。(晴山)
編集者のスキルとは何か考えている。出版社が新しく脱皮しようとすれば、編集者のスキルも変わらなければならない。しかし、思うに編集者くらい保守的で新しいものに対応できない人種も珍しい。卑近な一例を挙げれば、活版時代にこの業界に入った人は活字をあくまで「号」で指定する(まあ、そういう人は現役ではほとんどいなくなったが)、写植時代の人は、活字を(もう、「活字」ではないのだが)「級」で指定する。それを印刷所は現行の「point」に換算して作業する。一度身についたスキルの入れ替えをしようとしないで印刷所任せにする。活字の大きさくらいならそれでもいいかもしれないが、紙の本に加えて電子出版も視野に入ってきた時、発注先も編集者を甘やかしてくれる印刷所だけではない。紙の本の編集スキルだけで済むはずがない。そうした新しいスキルで武装した編集者(出版社)が台頭してきたとき、旧態依然とした出版社は太刀打ちできるだろうか。(藤巻)
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第三号をご一読いただきありがとうございました。
次号、森洋介さんによる【書評未満/抄記以上】は、『哲学から文献学へ--後期帝政中国における社会と知の変動』(B.A. エルマン著)を取り上げます。前近代期において江南地域で考証学はどのような要素と結びつき栄えていったのか?古今東西あらゆる文献を用い検証する、博覧強記な森さんの辛口書評を次回もどうぞお楽しみに。
また、小林昌樹さんの【在野研究者のレファレンスチップス】の次号テーマにつきましては、記事の最後でもお知らせしました通り、近日皓星社公式ツイッター(@koseisha_edit)にてアンケートを実施いたします!文献探しにまつわる皆様のお悩みのあれこれについて、小林さんにご寄稿いただける機会ですので奮ってご投票ください。
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