皓星社メールマガジン、第38号をお届けします。月に1度、株式会社皓星社の「ざっさくプラス」最新情報、新刊案内、近代出版研究所の活動等を配信します。弊社サイトから購読を申し込まれた方、これまでご縁があった方にお送りしています。お知り合いの方々へぜひ転送、拡散をお願いいたします。
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目 次
☆ 【連載】趣味の近代日本出版史 第36回(河原努)
★ 【連載】神保町のんしゃら日記7 2024年6月(晴山生菜)
☆ ざっさくプラスニュース
★ 出版ニュース 鎌田慧セレクション 9月刊行開始!
☆ 近代出版研究所だより
★「皓星社友の会」のご案内
☆ 編集後記
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☆【連載】趣味の近代日本出版史
第36回 笹と松の健康法、そして崔承喜……学風書院の高嶋雄三郎
河原努(皓星社・近代出版研究所)
■『笹に憑かれて』
10年近く人物方面から近代出版史を見ていると、たくさんの名前と顔なじみ(?)になる。その日も週末古書展の棚に刺さっていた本の背で、なじみの名前と行き逢った。高嶋雄三郎。戦前の仏教学者・高嶋米峰の息子と言えばわかるかしらん。彼は戦後の一時期、学風書院という出版社を経営していた人である。
(……続きを読む)
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★【連載】神保町のんしゃら日記 第7回(皓星社・晴山生菜)
6月1日(土)Ⅰさんがウツボを釣ってくる。哺乳類のような手足もなければ、魚のような鰭もなく、蛇のようにうねりながら海の中で生きている魚類。顔は凶悪だし歯もするどい、まさに海のギャングだ。(……続きを読む)
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☆ざっさくプラスニュース
【新しいパンフレットあります】
ざっさくプラスのパンフレット、2024ver.が出来上がりました!
ご希望の方はこちらから。送料は無料です。
【先月からの新規登載情報】
〇独自登載分
「ユーモアクラブ」1-1(1937年10月)~6-12(1942年12月)
※春陽堂書店発行の大衆誌。佐々木邦、獅子文六、辰野九紫、サトウ・ハチロー、乾信一郎、岡成志、中村正常、徳川夢声らが執筆。国会図書館未所蔵分を可能な限り埋め、3169文献を登載。3(7),4(7)(8),5(1)(8),6(1)が欠
#ざっさく新規登載
「LOG OUT(ログアウト)」第1号(平成4年6月)~第3巻第12号(平成7年12月)
※アスキーが発行したTRPG、小説、コミックのメディアミックス誌で、ログアウト冒険文庫の母艦的存在。高井信、菅浩江、羅門祐人、大原まり子、梶尾真治、火浦功らが執筆。国会図書館未所蔵。全39冊。
「オカルト時代」1-1(昭和51年9月)~2-4(昭和52年4月)
※みのり書房発行のオカルト雑誌。中岡俊哉、武内裕(武田崇元)、団精二(荒俣宏)らが執筆、団鬼六の心霊小説、黒田みのるの劇画の連載も。水木しげる、浪越徳治郎、神田山陽、土屋嘉男、日影丈吉らが随筆を寄稿。全8冊。
「トーキングヘッズ叢書」1(1992年5月)~94(2023年5月)
※アトリエサード編集・発行、書苑新社発売の、アート・文学・映画・ダンスなど様々なカルチャーシーンをオルタナティヴな視点から紹介・評論するテーママガジン(年4回刊)。16-19号欠。継続刊行中。
【閉鎖するデータベースのデータ、お引き受けします】
ざっさくプラスは、閉鎖予定のデータベースのデータを引き取り、続けて公開します。かねてより、図書館関係者の方から「科研で作られたデータベースで、非常に有益なものなのに、教授の退官時や公開サイトの閉鎖時に消滅してしまうものが多い」という声を聞いておりました。そうしたデータを消さず、拾い上げたいと考えています。
過去にお引き受けしたものに「日本の参考図書WEB版」があります。
どちらも検索結果に元のデータベースのデータであることを示すアイコンを表示します。
詳しいお話をお聞きになりたい方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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★出版ニュース
【今月の新刊】
『パパイヤのある街 台湾日本語文学アンソロジー』
山口守編、8月9日刊行、定価2700円
表題作「パパイヤのある街」ほか、日本統治期の台湾人作家による7篇の日本語文学作品を収録。多層的な言語空間をもつ台湾で生まれた作家たちは日本の言語政策の変遷にいかに翻弄され、そのアイデンティティを形成し、自己表現へと辿り着いたのか。
植民地・台湾の日本語作品は、これまで日本の文壇からは閑却され、ほとんど手に入らない状況でした。言語という枠組みからその過程に光を当てることで、植民地主義の歴史を考え直します。
作品解説は、台湾文学研究の第一人者である山口守さんと垂水千恵さん。刊行記念イベントも企画中です。
『シリーズ紙礫19 掟』
大月隆寛編、8月9日刊行、定価2300円
開港地ヨコハマを舞台に白人掏摸“バブ”と日本人掏摸“くノ一”との死闘を描いた長谷川伸「舶来巾着切」、中国戦線で古兵から女性を抱くように仕向けられた若い伍長の姿を描いた富士正晴「童貞」など、民俗学・民衆文化論を専門とする編者一流の視点で、“渡世”と“掟”が交錯する小説アンソロジー。解説は2万7000字・45頁に及びます。
『増補版 頭脳警察 七〇年代、日本ロック胎動期の証言者たち』
須田諭一著、8月9日刊行 定価3000円
1969年、学生運動がやせ細り先鋭化する時代にデビューし、「過激」「政治的」な音楽を求める若者のシンボルとなったバンド・頭脳警察。この伝説的バンドの全貌を、レコーディングエンジニア、70年代頭脳警察メンバー、ライブハウスオーナーら、そしてPANTAさんとTOSHIさんによる証言から描き出した幻のドキュメントを増補復刊します。TOSHIの最新インタビューを掲載。
【近刊】
鎌田慧セレクション 9月刊行開始!
第1巻は『冤罪を追う』
鎌田慧著、9月上旬刊行 予価2700円
行動するルポライター鎌田慧の、戦後日本の闇をえぐる作品から重要作品を自選し、さらに「拾遺」として「単行本未収録文集」 を加えた『鎌田慧セレクション』(全12巻)の刊行がはじまります。第一冊目は「冤罪を追う」。
冤罪という権力犯罪の追及、雪冤運動との同伴は鎌田さんの代名詞。財田川事件の『死刑台からの生還』、狭山事件、袴田事件、福岡事件、三鷹事件、菊池事件 などの論考を再編集して収録しました。
袴田巌さんの再審の結審を控えた9月上旬、この第1巻目をお届けします。
書店様で定期購読いただくと特典がつきます。
『新版 〈海賊版〉の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争』
山田奨治著、9月10日刊行 2,700円
およそ250年前、永久の「著作権」をめぐる裁判が起こりました。権利を永久に独占しようとしたロンドンの大書店主たちに厳然と挑み、「パブリック・ドメイン」を勝ち取ったのは、なんとエジンバラの「海賊出版者」アレクサンダー・ドナルドソンでした。デジタル技術の進歩、生成AIなど、著作権をめぐる状況が急速に変わる時代の中で、保護と利用のバランスについてどう考えるべきか? 〈海賊版〉はただの悪か、あるいは、文化を広める原動力ともなりうるのか? 18世紀イギリスの法廷闘争を通じて、文化の発展と著作権法の相関性を史的に考察した労作が増補して復刊します。
【ピックアップ】
『もっと調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス2』
小林昌樹著、6月18日刊行、定価2000円
ネット情報源を活用した「調べ方」の教科書、待望の続編です!! 弊社メールマガジンで連載されたWebコラム「大検索時代のレファレンス・チップス」を単行本化。本の探し方、人(現代人・アイドル)や言葉(流行りすたりや来歴)の調べ方、無料のWEBツール(国会図書館サーチ、国会図書館デジタルコレクション)の使い方などを分かりやすく解説。図版多数、索引付き。「NDLデジタルコレクションは国会図書館のDXである」「国会図書館にない本を探す法」に加え、コラムを書き下ろし。
「調べることを仕事にしてきた人だけが知っている、ググるだけでは得られない情報の手に入れ方。情報が氾濫する現代において、求める情報を着実に、迅速に手に入れるための調べ方を身につけることは、一生ものの財産になります。」(牟田都子 校正者・『文にあたる』著者)
【出版目録】
『皓星社出版目録』2023年10月現在、在庫のある書籍300点弱を、書影・紹介文付きで収録しています。「書名索引」「人名索引」付き。
ご希望の方はこちらから。送料は無料です。
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☆近代出版研究所だより
「近代出版研究叢書・第1編」として、書物蔵著『あったかもしれない大東亜図書館学――ガラパゴス的日本主義図書館学の形成』(定価2,000円、B5判174頁)を8月12日の「コミックマーケット104」の「東X03a サークル「書物蔵」」で頒布します。
金沢文圃閣のPR紙『文献継承』に掲載された関連主題のものを一冊にまとめたもので、転載解説として、序文を寄せた小林昌樹の「戦時期ガラパゴス化の果てに見えた日本図書館界の課題:アメリカ流を奉ずる我々に日本主義図書館学が教えてくれること」(金沢文圃閣刊行『戦時下日本主義の図書館―『日本図書館学』・皇道図書館』2019.9の解題を転載)。
Xアカウントの書物蔵(@shomotsubugyo)の初めての著書になります。
残部は皓星社のウェブストアで取り扱う予定です。
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★「皓星社友の会」のご案内
ご好評頂いている「皓星社友の会」は毎年7月が切り替えの時期になります。
◉特典
・友の会割引 弊社のすべての出版物を、15%引、送料無料でご購入いただけます。
・皓星社主催のイベント参加割引
・ざっさくプラス利用権(基本プラン)
・ご希望の雑誌の目次をざっさくプラスに搭載(時期は相談)。雑誌を貸していただける場合は、入力データを提供します。
・お誕生日プレゼント(お好きな弊社の本を1冊プレゼントします。価格上限は皓星社友の会の一般価格になります)
◉価格
一般:年間12,000円 学生:6,000円 (税別)
※学生割引を希望する方は、ご所属大学ドメインのメールアドレスでお申し込み下さい。
友の会会員は通年募集しておりますが、価格は固定ですので、「ざっさくプラス」利用権の観点からみると、早く入るほどお得になります。学割もございますので、学生の方は「12000円以内のお好きな弊社の本を1冊プレゼントします」だけでもお得感があると思います。
「ご参加の条件」「ご契約期間、更新方法」などにつきましては、こちらをご覧ください。
※特典の一つに「ざっさくプラス利用権」の特典がございますが、これは特定の所属を持たずに在野で研究をしておられる方(特に地方在住の方)の研究支援のために加えました。研究機関に所属されている方は、ぜひご所属機関様に、ご契約の申請をいただけければ幸いです。無料トライアルも随時承っております。
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★ 編集後記
『パパイヤのある街 台湾日本語文学アンソロジー』を刊行しました。1895年から1945年の50年間台湾は日本の統治下にあり、言語政策をはじめ様々な抑圧を受けていました。漢字文化圏としての共有財産を持つ日本/台湾ですが、そこから零れ落ちてしまった非識字環境で最も効力を発揮するのが音の力です。佐藤春夫の『女誡扇綺譚』の中でも日本人である主人公が耳にする台湾語の音声が作品展開のキーポイントとして効果的に使われており、台湾日本語小説における音声表現に着目した山口先生の解説も必見です。
中国語では果物のことを水果(shuǐ guǒ)と言いますが、私はこの拗音的なシニフィアンがとても好きです。先日趣味で短歌を作ってみた時自然とこの単語を使ってしまい、「スイカの間違いか?」と校正が入っていました。アンソロジーの中にも、日本語では見慣れない誤字のような表現が多く見られます。それはどんな意図があるのか、どこから生まれた変異体なのか、翻って正しい言葉とは何か。台湾独自の言葉、大陸由来の言葉、そして強制される支配言語としての日本語など、考え/話し/書くための道具を「使い分けなければならなかった」人々による創作の花束を通して、普段何気なく使っている言葉そのものを考えながら読むのも一つの楽しみ方です。(楠本)
仕事の合間を縫って、夏コミに出す新刊の書物蔵『あったかもしれない大東亜図書館学――ガラパゴス的日本主義図書館学の形成』を準備。金沢文圃閣のPR紙『文献継承』に掲載されていた当時、毎回感心して読んだ記憶があります。顔文字を多用した独特のおちゃらけた文体ですが、書かれている内容は戦前・戦中の図書館学の重要トピックの再発見・再検討で、他に類を見ないものです。古巣の日外アソシエーツは一般書の版元ではなかったので、河出書房新社に移った元同僚のIさんに仲介したら「文体を直さないと出せません」と。そのまま十年近く埋もれてしまいました。コミケの後に弊社のウェブストアでも頒布しますが、100部しか刷らなかったので入手はお早めに。最初に出した『「出版年鑑」掲載全訃報一覧』はもう品切れで、再版の予定もありません。後で買おうと思ったら、手に入らないものです。(河原)
7月30日火曜日、丸善雄松堂さんのウェビナーで「ざっさくプラス」についてお話しする機会をいただきました。60人を超える方々がリアルタイム視聴してくださいました。お申し込みくださった皆様、ありがとうございました。聞きそびれた、改めて聞きたいという図書館様、先生方、ぜひお声かけください!直接も、オンラインも、大歓迎です。自分の興味関心から、色々な雑誌を検索してみると楽しいですよ(晴山)
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今月も皓星社メールマガジンをご購読いただき、ありがとうございました。
ざっさくプラス、出版物に関するお問い合わせや、メールマガジンの内容に対するご意見ご感想は、弊社ウェブサイトのお問い合わせフォームからお願いします。
松本麗華さんのお悩み相談室のご相談も募集しておりますので、こちらよりご投稿ください。
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