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Volume 12, Number 2 | April 2015 Published bi-monthly
 

スポットライト

ADBが第6回ビジネス・オポチュニティ・フェアを開催(マニラ)

3月25-26日、ビジネス・オポチュニティ・フェアが本部(マニラ)にて開催されました。駐日代表事務所からは、次席代表の前利正が参加しました。フェアには、ADBのプロジェクトへの機材・サービス等の提供に関心を持つコンサルタント、コントラクター、メーカー等から約760人の参加登録がありました。日本からも34人の参加があり、また、在フィリピンの日系企業からの参加をいただきました。

機材・工事等の調達やコンサルタントの雇用に関するセッションでは、調達等の機会に関する情報(ウェブ上の公開文書)の探し方、ルール・手続き、腐敗対策、入札書類作成の際の留意事項、入札書類の評価方法のほか、コンサルタント雇用に係る参加登録・情報検索・応札などが出来るウェブ・システム、リード・コンサルタント個人の経験・専門性の重要性などについて、ADBより説明がありました。

個別セクター(エネルギー、水・都市インフラ、運輸・通信等)毎のセッションではまず、当該セクターの現状・課題、ADB全体としての業務方針などの紹介が、ありました。その後、各地域局(東アジア、東南アジア、南アジア、中央・西アジア、大洋州)の当該セクター担当スタッフから、各地域内のサブセクター別・国別の業務比率・方針、進行中や実施予定のプロジェクトや関連する調達情報について紹介があったほか、現地企業との連携、当該地域・国での経験・専門性、個別プロジェクト担当ADBスタッフからの情報収集の重要性の紹介もありました。

この他、ADBスタッフ(調達等担当または特定セクター・地域担当)との面談を希望する参加者には、個別面談がアレンジされました。休憩時間等には、参加者は他の参加者やADBスタッフとの間で積極的にネットワーキングや情報交換をされていました。

参加者からは、ADBの調達等の手続きだけでなく、各セクター・地域におけるADBの業務の最新情報や今後の調達機会の情報が得られるとして好評でした。


開発途上加盟国の税務行政の能力向上を支援するワークショップを開催

2月24日、ADBは、ADB研究所の共催、国税庁のご協力を得て、「Consultation Workshop on Enhancing Transparency and Exchange of Information for Tax Purposes」を東京で開催しました。これは、ADBがガバナンス・公共部門マネージメント分野におけるキー分野のひとつとしている公共ファイナンス・マネージメントに関し、開発途上加盟国の税務行政の能力向上を支援するものです。金融サービス、投資、貿易の急速なグローバル化が進展する中、クロスボーダーの金融取引が租税回避及び脱税の可能性を高め、結果として、国内の税収基盤を弱めかねません。このような現象は特にアジアで顕著になりつつあるといわれます。クロスボーダーの租税回避及び脱税を防止するために、アジア各国の税務当局間の情報の交換、共有が重要となってきています。OECDの「税における透明性と情報の交換に関するグローバル・フォーラム」によって促進されている税情報共有化の国際標準に沿って、各国の抱える具体的、技術的な問題を討議する場として、アジア・太平洋地域の開発途上加盟国9カ国が、ワークショップに参加しました。同ワークショップのオープニング・リマークスでは、玉置知己駐日代表が、経済のグローバル化の進展の下、租税当局間の協力が不可欠であるとして、ワークショップの重要性を強調しました。
税務当局近代化促進関連のADB支援例はこちら(地域モルディブフィリピンモンゴル


「二国間クレジット制度日本基金」(JFJCM)の第1号案件が承認

昨年6月、ADBは日本政府から18億円(1,658万ドル相当)の拠出金を得て、二国間クレジット制度(JCM)を活用した新たな基金JFJCMを新たに設置しました。JFJCMを用いた1号案件が3月19日、ADBで承認されました。これは、モルディブ(アッドゥ環礁)における太陽光エネルギー導入支援を目的としたADBプロジェクトに対し、JFJCMから500万ドルの追加グラントを提供するものです。モルディブでは、太陽光発電をより多く導入する予定ですが、太陽光発電の場合、雲の出現等により発電量が大きく変動します。そこで、JFJCMからのグラントにより、先進的なエネルギー・マネジメント・システム(EMS)と充放電速度の速い高性能バッテリーを導入することで、安定的かつ質の良い電力を提供し、停電等のリスクを回避することを目的としています(写真は、アッドゥ島の既存のディーゼル発電施設。手前の空き地に、新設される太陽光発電用のバッテリー及びEMSを導入予定)。

 

日本政府は、途上国における温室効果ガス(GHG)削減を進めるため、新たなメカニズムとしてJCMを推進しています。JCMとは、日本とJCMに関する文書を取り交わした途上国における優れた低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラの普及や緩和活動の実施を加速し、途上国の持続可能な開発に貢献することを目的としています。具体的には、廃棄物発電やスマートグリッド、上下水道や交通インフラなどにおける省エネ、再生可能エネルギーなど、高い投資コストで長期の回収期間を要する先進的な低炭素技術のコストの削減のための資金をプロジェクトに提供します。

 

JFJCMは、政府主体で行うADBソブリン・プロジェクト、地方公共団体や民間セクターのADBノンソブリン・プロジェクト共に対象としており、ソブリン・プロジェクトに対してはグラントとして、ノンソブリン・プロジェクトに対しては利子補給として、資金を提供していく予定です。支援対象国は、JCMに参加しているADBの発展途上加盟国(現時点では、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、ラオス、モルジブ、モンゴル、パラオ、ベトナムの8カ国)です。今後、2号、3号案件が進められ、低炭素プロジェクトの普及が促進されることが期待されています。

 

(地域・持続的開発局杉本留三・環境専門官記)

 

ADBの地域協力・統合の促進への取り組み

[中央アジア・シンポジウム]

玉置駐日代表は、3月27日、外務省、グローバル・フォーラム、東京大学大学院総合文化研究課「人間の安全保障」プログラム、The Japan Times共催の「中央アジア・シンポジウム」に参加する機会をいただき、「中央アジアの運輸・物流」を議論するセッションにて、ADBが事務局を務め支援するCAREC(Central Asia Regional Economic Cooperation)における運輸セクターの取り組みについて、ご紹介させていただきました。

なお、CARECにおける経済コリドーの議論については、"Operationalizing Economic Corridors in Central Asia: A case study of the Almaty-Bishkek Corridor"をご参照ください。


[大メコン圏における運輸セクター]

大メコン鉄道協会(Greater Mekong Railway Association;GMRA)の第一回総会が3月11日に中華人民共和国の昆明で開催されました。GMRAは、大メコン圏(カンボジア・タイ・ベトナム・ミャンマー・ラオスの五カ国と中華人民共和国の雲南省及び広西チワン族自治区からなる)経済協力プログラムの一環として、鉄道網の整備を通じて大メコン圏の更なる経済発展を図ることを目的として設立されたもので、1990年代以降道路整備を中心に進められてる経済回廊の整備をさらに推し進めるものです。ADBは、加盟国の要請により当面の間事務局としての役割を担うことになっています。GMRAの設立は2010年頃からGMS加盟国間で検討され、2013年から2014年にかけて、組織形態の検討および組織の設立に関する覚書(MOU)の調印が進められ、2014年末までに全加盟国がMOUに調印しました。3月に開催された総会では準備段階での議論を踏まえ、ワーキンググループの設置とその担当国、ワーキンググループでの検討対象とする国境部の鉄道未整備区間(ミッシングリンク)、持続的な組織体制のあり方、当面の活動計画などが議論されました。

 

近年、大メコン圏各国が鉄道整備に関する計画を打ち出してきました。今年2月にはベトナム政府が鉄道整備に関する新たな方針を打ち出し南北幹線の整備をプライオリティとするとしています。タイ政府と中国政府が昆明を起点としてラオスを経由しバンコクの外港までを結ぶ標準軌の鉄道の整備に関して検討を進めているとの報道もあります。ミャンマーでは、日本政府の支援による鉄道の近代化プロジェクトが始まっています。

 

鉄道は、長距離での大量の物資の輸送や大都市圏での旅客輸送に長所があり、国境をまたぐ鉄道網の整備は、道路網と補完しあいながら交通システム全体としての効率性を向上させることが期待できます。鉄道整備への支援は、環境負荷の小さい交通システムの形成につながるものであり、この観点からもGMRAの活動は非常に意義のあるものです。鉄道の整備は長期的な視点に立った経済・財務分析や社会・環境への影響評価、更に国境通過に関する手続き合理化などソフト面での合意形成も重要であり、ADBではGMRA事務局としての役割に加えて、このような観点での技術的な支援を引き続き進めていく考えです。

 

(東南アジア局岩崎秀明・運輸情報通信課長記)



地方自治体との連携

 

[ADBがカンボジアの公務員制度改革を支援]

2月17日から21日にかけて、カンボジアのブントン公務員省大臣らが、日本の公務員制度を学ぶとともに、公務員の人材開発、人事制度などの分野における意見交換をすることを目的に、来日されました。ADBは、同国のガバナンス分野での取組みの一部として、同国の公務員制度改革を支援しています。滞在期間中、総務省、人事院、内閣人事局、自治大学校を訪問するとともに、地方自治体視察の機会として、福島県庁を訪れました。今回の訪問は、公務員制度改革を実施中のカンボジアにとって、具体的なヒントを得るよい機会となったようです。


[ADBがアジア・リーダーシップ・プログラムを開催し、北九州市を訪問] 

3月2日から7日にかけて、「第3回持続可能な開発と気候変動に関するアジア・リーダーシップ・プログラム(ALP)」が開催されました。同プログラムは、 ADB主催のナレッジシェアリングの試みとして始まり、これまでデリー(2013年2月)、ソウル(2014年4月)で開催され、日本での開催は初めてです。アジア・太平洋地域における持続的な開発と気候変動に関するイノベーティブな解決策を政策や開発計画に反映させることを目指し、各国のリーダーが互いの経験を持ち寄るというもので、第3回会合開催にあたっては、環境省およびIGES(地球環境戦略研究機関)のご協力を頂きました。

3月5日には、同プログラム参加者は、北九州市を訪問しました。北九州市では、北橋健治市長を初めとする市幹部の方々から、環境未来都市の取り組みについてお話を伺いました。その後、参加者は、運輸、エネルギー、都市開発の3つのグループに分かれ、北九州市の取り組みの実例を見学する機会を持ちました。

 

[『埼玉アジアクラブ会議』にて玉置駐日代表が意見交換] 

埼玉県が主催する埼玉アジアクラブ会議は、埼玉県に所在する企業、大学、NGOsなどが持つ技術、ノウハウ、システムなどを活用し、アジア諸国が抱える諸問題の解決に貢献することを目的として、情報交換を行う場です。3月13日の会合では、玉置駐日代表が参加し、フィリピンでの埼玉・セブものづくり人材育成事業とラオスでの青少年の収入向上のための木工職業訓練事業について、プロジェクトの実施主体者からお話をうかがうとともに、意見交換を行いました。ADBのストラテジー2020の中間見直しの概要、特に民間部門業務への取り組みについてご紹介させていただきました。

 


出版物のご案内

アジア経済見通し発表

ADBは3月24日、『アジア経済見通し2015年版』(Asian Development Outlook (ADO) 2015)を発表しました。ADO 2015は、日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域の2015年および2016年の経済見通しについて、軟調な一次産品価格や主要先進国経済の回復に支えられて力強い成長を維持するとともに、アジアの主要国にて経済改革の進展が期待されることから、地域全体のGDP成長率は、2015年および2016年とも6.3%とする見方を示しました。
→ADO 2015のフルリポート、ハイライト等はこちら




イベントのご案内

ナレッジパートナーシップフォーラムを開催: 5月19-20日(マニラ)
ADBは加盟途上国への革新的なテクノロジーの移転を、政府機関や民間企業等とのパートナーシップ等により、積極的に進めています。特に、エネルギー・交通・水道・都市セクターにおける、災害に強く、スマートなコミュニテイの開発は、重点施策のひとつです。このような視点から、先進国の政府機関に加え、ナレッジパートナーとなる民間企業をお迎えして、一緒に途上国政府機関等の革新的な技術や金融に関する知見の深化を通じた能力開発を図るための会合、ナレッジパートナーシップフォーラムを本年5月19-20日にADB本部で開催することとなりました。このフォーラムは同週に開催される「ナレッジウイーク」の一環として開催されます。本イベントに関するお問合せは、地域・持続的開発局の酒井直樹・上級ナレッジ共有サービス専門官まで(nsakai@adb.org)。

 

 

アジア開発銀行駐日代表事務所(JRO)連絡先


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