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Volume 9, Number 4 | August 2012 Published bi-monthly
 
SPOTLIGHT

 アフガニスタンに関する東京会合に黒田総裁らが出席

ADBは7月、都内で開催された『アフガニスタンに関する東京会合』に参加、2016年末まで総額12億ドルの支援を含めた同国に対する長期コミットを再確認しました(写真)。


 

アフガニスタンはアジアにおける最貧国の一つで、経済移行を進めるため新たな成長源確保の必要に迫られています。同国に対するADBの支援は、交通や電力、農業用水や灌がいなど、経済社会開発の基盤となるインフラ整備に重点が置かれ、2002年以降の融資やグラント(無償援助)、技術協力など、総額約28億ドルにのぼります。
→和文リリースはこちら
→ADBの対アフガニスタン支援全般はこちら
→ゲアハウザー局長の関連動画(英語、2分11秒)はこちら

NEWS

JAXAの衛星技術を活用した洪水予測プロジェクトが始動

ADBと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月、衛星を活用した洪水対策の策定を目的とする技術協力(TA)プロジェクトのパートナーシップ協定に署名しました。プロジェクト(「河川流域管理へのリモートセンシング技術の適用」では、バングラデシュ、フィリピン、ベトナムの一部地域を対象に、JAXAが開発した降雨レーダを搭載した熱帯降雨観測衛星を通じて河川上流の雨量情報を取得するほか、JAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(写真提供:JAXA)による地表の標高情報をもとに、雨が河川に流れ込んだり、河川からの氾濫水が流れる経路を分析することで、より精度が高く、早期の洪水予測の実現を目指します。今回のプロジェクトは、ADBとJAXAの協力意向書(LOI)取り決め合意(2010年)以降、初の大規模協力案件例となります。
→和文リリースはこちら
→プロジェクト詳細(英文)はこちら
→JAXAの関連サイトはこちら

 
キー・インディケーターズ2012年版発表

ADBは8月15日、「キー・インディケーターズ(主要指標集)2012年版」(Key Indicators for Asia and the Pacific 2012)を発表、アジアで進む都市への人口集中がもたらす問題に着目し、潜在的なリスクや対策について分析と提言を行いました。
→和文リリースはこちら
→報告書(英文)はこちら
→李チーフ・エコノミストのインタビュー動画(英文、2分44秒)はこちら


《特別寄稿》

ADBは、民主化が進むミャンマーへの融資再開に向け、8月1日、仮事務所となる現地オフィスをヤンゴンに開設しました。東南アジア局長顧問として仮事務所の代表を務めるプトゥー・カマヤナ前カンボジア・カントリー・ディレクターに、支援再開の見通しや抱負を寄せてもらいました(ADBのミャンマー・カントリーサイトはこちら

―ADBのミャンマーオフィスについて、現在の体制と今後の段取りは。

今回開設したのは「エクステンデット・ミッション」で、世界銀行、IFC(国際金融公社)と一緒に、ヤンゴンのインヤ・レイク・ホテル内に入居しています(写真)。スタッフは、ヘッドである私のほか、インフラ専門官とアドミ・スタッフの計3名ですが、近くカントリー・エコノミストも加わる予定です。ジョイントオフィスの発足は、3機関がしっかり連携していることを内外に示すだけでなく、ミャンマーに対する支援の実効性向上にもつながりますが、各機関の業務量が今後増えれば、広いスペースへの移転が必要になるかもしれません。
一方、駐在員事務所への移行には、本格的な支援業務の再開が前提です。そのためには、残っている問題、例えば債務も解消しなければなりませんし、ADB支援の骨格となる暫定国別支援戦略(ICPS)を策定して関係者の了承を得る必要もあります。国際開発金融機関は、こうしたステップを踏んではじめて融資を再開できるのですが、来年を目処にクリアできればと希望しています。

―これまで、カンボジア、ベトナム、バングラディシュ、カザフスタンやトルクメニスタンなど、多くの途上国勤務経験を積んでこられました。赴任が決まった時の感想は。 

ミャンマーに携わるチャンスを与えられたことを大変光栄に思うと同時に、責任の重さに身の引き締まる思いです。幸い、これまでに培った経験があるので、ミャンマーがADBや国際社会とのつながりを再構築するプロセスをお手伝いする中で、過去の教訓が活きる局面もあるでしょう。人々の生活水準の向上と、国の発展を手助けできればと思っています。

―ミャンマーが持つ経済的強みとは。そのポテンシャルを引き出すため、ADBとして何ができるか。

ミャンマーの経済・社会的ポテンシャルは、きわめて大きいといえるでしょう。中印やASEAN諸国とも近いという地理的優位性はもとより、天然資源、森林、耕作可能な土地にも恵まれ、大洋に面して長い海岸線があるので、深海港の開発も可能です。

ADBとしては、他のアジア国での経験を踏まえながら、すでに始まっている経済改革の実行と、持続的で衡平な成長実現、そして社会の発展をサポートしていきます。支援内容には、体制や枠組みの強化、政府関係者の能力育成なども含まれます。民間セクターのための環境整備も欠かせません。民間セクター開発は成長源として、雇用を創出するのみならず、内外の投資を促進し、中小企業の発展にも資するからです。従って、交通や物流、電力供給といったインフラ開発と、労働力としてのスキル向上が重要となるでしょう。

―ADBは80年代半ばまで様々な融資を行ってきましたが、その債務については。

現在、ミャンマー政府と協議を重ねながら解決策を探っています。ADBや世界銀行に対する同国の債務は、同様の条件で解消されなければなりませんので、世銀、そして日本政府とも緊密にコーディネートしています。

―日本と並んでADBの最大の出資国である米国は、経済制裁を全面解除していません。ミャンマー政府の改革努力をどうみますか。

米政権内では最近、ミャンマー政府が推進する政治・経済改革を後押しすべきとの気運が広がっているとの見方もあり、前向きな兆候と捉えています。制裁問題解決に向けた取り組みも進んでいるとのことです。ミャンマーが進めようとしている改革案は大変野心的かつポジティブなものですが、実施に携わる政府関係者が改革の意義を理解し、遂行能力を身につけるには、開発機関がしっかり支えなければなりません。改革を進めるということは、数十年続いた慣習とは全く異なるやり方や考え方を必要とするからです。政府機関や人々の思考パターンを変えるには多大な労力を要しますが、続けることが肝心です。

―日本には、どのような役割を期待されますか。

日本はこれまで、医療や教育面などで様々な人道支援を行うなど、ミャンマーの人々に支援の手を差し伸べてきました。日本政府はミャンマーの債務問題を解消する方針を決定し、改革プロセス支援のための新規融資の準備も始まっているようですが、ADBは、そうした日本政府とも緊密に連携をとっています。ミャンマーだけでなくアジア・太平洋全域にわたって、日本政府と強いパートナーシップを維持できることに深く感謝しています。

国内でのADBのイベント

7月17・18日(東京)、20日(大阪)
ビジネス・オポチュニティ・セミナーを実施
駐日代表事務所では、マニラ本部の中央業務サービス部(COSO)より、アマル・カリ、および宮尾泰助の2名を迎え、BOSセミナーを行いました(写真)。セミナーの模様は、『国際開発ジャーナル』9月号にても紹介される予定です。

 

ADB出版物

「アジア経済見通し」補足版(Asian Development Outlook Supplement)が発表されました。
欧州経済の不調などを受け、中国やインドなどアジア新興国の成長見通しが、本・来年とも下方修正されました。
→英文リリースはこちら
→フルレポート(英文、4頁)はこちら


「アジア経済統合モニター」(Asia Economic Integrtion Monitor)が発表されました。
これまでの「アジア経済モニター」(AEM)より対象地域・国が拡大し、マクロ経済や金融、貿易、インフラの連繋性といった分野ごとにアジアを見渡す内容となっています。
→英文リリースはこちら
→フルレポート(英文、74頁)はこちら
→担当エコノミスト(イワン・アジス)のインタビュー動画(英文、2分19秒)はこちら

 

お知らせ

ADBウェブサイトのプロジェクトページが模様替えしました。
http://www.adb.org/projects
新サイトのサーチ画面では、フィルター機能が左側のナビゲーション・メニューに移動したため、検索結果を見ながら、国やセクター、年度による絞込みや解除をかけやすくなりました(図)。プロジェクト関連文書のページも一新。各案件の概要を示すPDS画面では、右上のフェイスブックやツィッターアイコンをクリックすれば、サイトのURLアドレスをEメールに貼付送信しなくても、ソーシャルメディアを通じて簡単に情報をシェアできます。
基本機能のチュートリアル(英語)はこちら。http://www.adb.org/faqs-projects

 

JRO次席の日向(ひなた)は異動し、後任として、アジア開発銀行研究所(ADBI)の前(まえ)利正(としまさ)が8月15日付で着任しました。

お問合せ

  • 本ニュースレターに関するお問合せ・ご感想は、望月まで:amochizuki@adb.org
  • その他のお問合せは、前まで:tmae@adb.org
  • ADB出版物についてのお問合せは、河津まで:kkawazu@adb.org

 

JRO連絡先
アジア開発銀行駐日代表事務所
〒100-6008
東京都千代田区霞ヶ関3-2-5

霞が関ビル8F
Tel. +81 3 3504 3160
Fax. +81 3 3504 3165
Web site: http://www.adb.org/JRO/
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