Untitled document
チャンネル登録   
Volume 10, Number 1 | January 2013 Published bi-monthly
 JRO e-Newsletterは、2ヶ月に一度発行しています。

NEWS

 ブータンの現地事務所開所が決定

 

ADBは2013年の半ば頃までに、ブータン現地事務所のオープンを目指しています。ブータンは、ヒマラヤ山脈の南東に位置する山岳国で、面積4万km2未満、人口71万人余ですが、国境を隔てて中国とインドに接しています。2008年に絶対君主制から立憲君主制に移行して首相が選出されたほか、国民総幸福量(GNH)という尺度を導入していることでも知られます。ADBとの関係では、1982年の加盟以来、電力や交通セクターなど累計で4億ドル近い資金支援を受けており、同国にとってADBは最も重要な援助パートナーの一つと言えます(2012年9月現在)。

→英文リリースはこちら     →ADBのブータン・カントリーサイトはこちら     →ファクトシート(英文)はこちら

 

自転車シェアリングの域内導入を支援、フィリピン、インドネシアなどで

ADBは昨年11月、域内向け自転車シェアリング導入プロジェクトへの無償援助(グラント)支援を決定しました。事業の総経費200万ドルは「貧困削減日本基金」(JFPR)から拠出されます。プロジェクトでは、フィリピン(ダバオ)、ラオス(ビエンチャン)、およびインドネシア(都市未定)で試験的導入を行ないます(計7拠点、約100台(写真))。

→和文リリースはこちら

 

域内成長率見通しを発表、東南アジアの堅調がアジア全体を牽引

 ADBは昨年12月、域内国の3四半期のデータが出揃ったことなどを受けて『アジア経済見通し補足版』(Asian Development Outlook Supplement)を発表、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)の2013年のGDP伸び率は、前回予測値よりやや低い6.6%程度との見通しを明らかにしました。個別国では、中国の成長率予測が据え置かれる一方、経済が好調なマレーシア、フィリピンなどが全体を下支えしているとしています。

→英文リリースはこちら
→フル・リポート(英文PDF)はこちら

 

副総裁ポストを新設 

ADBに新設された、総務と組織運営担当の副総裁ポストに、オーストラリアのブルース・デイビス・駐アイルランド大使が着任しました(写真)。氏はオーストラリア国際開発庁(AusAID)に30年以上勤務し、1999年からの10年間は、局長として豪政府のODA政策の企画・実施を担当したほか、組織の効果や説明責任向上に向けた改革などにも携わりました。

→英文リリースはこちら


 

特別寄稿

 

昨年12月、ADBの電動3輪プロジェクト(正式名称:「省エネ型EV導入による市場変革プロジェクト」)が理事会で承認され、フィリピンに対する3億ドルの融資が正式決定しました。同プロジェクトは、ガソリンを燃料とする3輪タクシー(写真)をEトライク(電動3輪車)10万台に入れ替えることで、CO2排出量を年間約26万トン削減することを目指す試みとして、注目を集めています。日産自動車などで活躍され、同プロジェクトのコンサルタントとしてプロトタイプ製作に関わっておられる畑山一郎氏に、原稿と画像提供のご協力をいただきました。


―ADBとのコンサルティング契約のご感想をお聞かせ下さい。 

今回の電動3輪プロジェクトに関わらせて頂き、とても光栄で名誉なことと感じています。ビジネスの中心がアジアに移る中、発展著しいフィリピンでのプロジェクトは、非常に刺激的で挑戦的なものでした。日本では標準と思われている価値観や基準が、アジア・ビジネスの最先端では、ギャップを持ち始めているという事が衝撃と共に非常に印象に残っています。一方、フィリピンの人々の情熱や熱気を肌で感じ、アジアの更なる成長のポテンシャルを実感し、これまで培ってきた技術や経験を、アジアの人々の生活向上に活かしたいとも感じました。関係者の皆様には心から感謝しています。


 ―試作車(5人乗り、写真)製作にあたってのご苦労は。アジア圏では、マレーシアで電動2輪の実績をお持ちですが、フィリピンで電動3輪を大量導入するというプロジェクトの目的を果たす上で、どんな工夫をされましたか。

移動のニーズや文化は、その国や地域ごとに独自に形成されるので、日本人の感覚や価値観が通用するとは限りません。デザインを起こすにあたり、実際にEトライクを利用するドライバーや乗客のライフスタイルや価値観から潜在ニーズを抽出し、プロトタイプに反映させました。例えば、乗客の安全確保のため、乗降口を歩道側1箇所だけにしたほか、大雨で車体が多少水に浸かっても走行できるよう、電装部品を防水ユニット化した点です。フロントフェイスは、親しみを持ってもらえるよう丸みを帯びたデザインを採用。ルーフ部分はキャンバストップにすることで、透光性向上とコスト削減を両立させました(写真)。

更に、EVの生産が地場産業として定着しやすいよう配慮も行っています。複雑な面を多用したデザインだと、生産コストが上がるほか、現地の技術では再現できない可能性もあるからです。そこで、構造をシンプルにし、部品数を抑えることで現地生産に適したデザインを心がけました。マレーシアのEVスクーター開発とはターゲットは異なりますが、エンドユーザーの立場に立つという点は同じです。単にデザインや製品を提供するだけでは、グローバル市場で競争に勝ち残れません。

―今回のご経験を今後どのように事業に活かしていきたいか。他の新興国への応用の可能性はありますか。

Eトライクにはいくつか強みがあります。まず、アジアで長年親しまれてきたモビリティなので、他のアジア諸国にも対応できるというポテンシャルがある。また、自動車より低コストで開発・生産でき、2輪にはない輸送効率性と走行安全性があり、この点は日本など先進国でも魅力的なビジネス展開が可能かもしれません。今後は、世界経済の中心となったアジアの新興国に、効率的で心地よいモビリティデザインを提供することで、アジアの交通文化醸成に貢献できればと思います。

―アジアへの進出を目指す企業の方へメッセージをお願いいたします。 

先進国企業が新興国に進出する場合、自国マーケットの延長線上で自社の技術や製品を売り込みがちですが、今回改めて認識したことは、ローカルユーザーの立場になってそのニーズを正しくつかむことがビジネスの基本であるということです。これからのグローバルビジネスでは、このユーザー目線に立った問題解決法を持っているかどうかが、技術や製品の先進性と同じかそれ以上に重要となるでしょう。

もう一つのポイントはデザインです。世界市場を舞台に、製品やサービスの魅力をユーザーにわかりやすく伝える上で、良質なデザインは不可欠です。スピードの速い海外ビジネスで一歩先を行くには、ユーザー視点から得たニーズを即座に「見える化」し、チームや企業の中で共有していく「プロセス・イノベーション」が、強みになるのではないでしょうか。

日本経済は閉塞感に包まれており、アジア市場への進出を視野に入れている企業も多いと思います。日本の企業やビジネスマンの能力や技術は世界レベルで見ても大変優れていますが、多くの企業が陥りやすい「自社の製品や技術の売り込み」から脱却し、①ユーザー視点、②ローカル視点、③グローバル視点、の3つの視点を持つことが、今後のビジネスのポイントだと思います。また、技術の独自性を追求するとともに、「もてなしの心」や「心遣い」「礼儀作法」といった、日本人が得意とする細やかな気配りを取り入れることも、グローバルマーケットで生き残る戦略の一つかもしれません。

 

イベント

2012年12月11-12日(大阪、東京)
アジア経済セミナーを実施 

駐日代表事務所(JRO)は、マニラ本部の経済調査局(ERD)より、ズベグリッチ・アシスタント・チーフエコノミストを迎え、経済セミナーを行いました。セミナーには、アジア開発銀行研究所(ADBI)のウィグナラジャ研究部長も参加、先の衆院選でも争点の1つとなったTPPなど、アジアで進む地域統合の流れや日本のあり方について、プレゼンテーションと質疑応答を行いました。

 

2013年3月20-21日(マニラ)
ビジネス・オポチュニティ・フェア(BOF)開催予告


 ADBマニラ本部では、恒例のビジネス・オポチュニティ・フェア(BOF)を開催します。BOFは2日間にわたり、ADBのプロジェクトに関心のある企業や個人を対象に、ADB職員が担当案件を説明したり面接を行なうもので、多くの方々が来場しています(写真は昨年)。参加ご希望の方は、お早目に次のURLから事前にオンラインご登録ください。  

http://www.adb.org/news/events/4th-adb-business-opportunities-fair

 

ADB出版物

調達に関するガイドライン」と「アジア開発銀行およびその借入者によるコンサルタント雇用に関するガイドライン」は、内容の一部改訂に伴う新しい和訳がウェブサイトにアップされました。調達ガイドラインは、ADBが資金支援するプロジェクトの実施者に対してプロジェクトに必要な機材、工事、およびサービスの調達に関する方針を示したもので、コンサルタント・ガイドラインは、これらプロジェクトにおいてコンサルタントを雇用する場合の選定や契約、モニタリングに関する方針と手続きを示したものです。ご活用ください。
→ダウンロード(PDF)はこちら

  

お問合せ

  • 本ニュースレターに関するお問合せ・ご感想は、望月まで:amochizuki@adb.org
  • その他のお問合せは、前まで:tmae@adb.org
  • ADB出版物についてのお問合せは、河津まで:kkawazu@adb.org

 

JRO連絡先
アジア開発銀行駐日代表事務所
〒100-6008
東京都千代田区霞ヶ関3-2-5

霞が関ビル8F
Tel. +81 3 3504 3160
Fax. +81 3 3504 3165
Web site: http://www.adb.org/JRO/
地図はこちら