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Volume 9, Number 2 | May 2012 Published bi-monthly
 
SPOTLIGHT

 アジア経済見通し(ADO)2012年版を発表、域内で広がる格差に注目

cover-ado2012ADBは11日、『アジア経済見通し(ADO)2012年版』を発表、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)の経済成長について、本年は外需の軟調が重しとなるものの大半の国は堅調を保ち、2013年は民間消費に支えられて回復するとした上で、これらの国のGDP伸び率は、2012年は6.9%だが、2013年は7.3%に改善するとの予測を示しました。


JRO-02ADOは、ADBが毎年春に発表する代表的報告書。ADBの李昌鏞(イ・チャンヨン)Changyong Rhee)チーフエコノミストは、「アジア経済にとっては、ユーロ圏の不確実性が続いているほか、貿易が更に停滞するかもしれない点が、最大の懸念材料だろう」とする一方、「各国では市場開拓による多様化が徐々に進んでいるほか、民間消費が上向いている。全体でみれば、欧州経済に対する直接的なエクスポージャーが限定的だったことも、成長のモメンタム維持につながっているはずだ」としています。

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JRO-03これにあわせ、JROでは4月16日、李チーフエコノミストを迎えADOセミナーを実施しました(写真)。セミナーでは、アジアで広がる格差の問題について説明を行ったのち、国内専門家の皆様にもご登壇いただき、アカデミズム、ドナー機関、ビジネス、メディアの視点から、貧困削減に向けた取り組みや課題について、お話しいただきました。
 

NEWS

ウズベキスタン・タシケントに太陽エネルギーの研究拠点を設立
 

JRO-04ADBはウズベキスタンの首都タシケントに「国際太陽エネルギー研究所」(仮称、ISEI)を設立することで合意、2月に署名式が行われました。ADBでは、2010年に発表した「アジア太陽エネルギーイニシアチブ」(ASEI)の中で、アジア太平洋地域の加盟途上国における太陽発電能力を、2013年までに3,000メガワット(=300万キロワット)規模に引き上げるとして、投資などの支援を行っています。ISEIは、太陽エネルギー開発の研究開発、知識の蓄積のほか、人材の育成も行う地域研究拠点としての役割が期待されます。

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フィリピンの幼児教育を支援、貧困層を対象に
 

JRO-05ADBは、フィリピンに対し、貧困層を対象とする幼児教育推進プロジェクトへの無償援助(グラント)支援を決定しました。支援額は150万ドルで、「貧困削減日本基金(JFPR)」から拠出されます。プロジェクトでは、ルソン島南部などの貧困層を対象に、3年間で60件の幼稚園を建設します。ADB東南アジア局の間崎恵美子・社会セクターエコノミストは、「貧困地域では、経済的な理由で就学を断念する子供が多いだけでなく、栄養不良や健康状態がよくないために学習能力が低下する例も少なくありません。子供へのこうした支援が長期的な貧困削減につながれば」としています。

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 カンボジアの洪水被害復旧を支援
 

ADBは、昨年大きな洪水被害を受けたカンボジアに対し、道路や橋などの再建と、災害リスク管理の向上を目的とする支援を行うことで、カンボジアおよび豪州の両政府と合意しました。ADBの融資額は約6000万ドル相当で、アジア開発基金(ADF)から拠出されます。プロジェクト(洪水被害緊急復興プロジェクト)では、特に被害が深刻だった6つの州を対象に、道路や橋、灌がい施設の復旧・再建工事を行うほか、政府機関や地方における災害リスク管理の強化を支援する予定です。

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《特別寄稿・JAXA(宇宙航研究開発機構)宇宙利用ミッション本部》
 
JRO-06 3ADBは、日本の優れた技術をアジアの途上国支援に役立てるため、2010年、宇宙航空研究開発機構(JAXA、本社・東京)とLOI(協力関係)を締結しました(写真)。このたび、JAXA宇宙利用ミッション本部・衛星利用推進センターの矢(や)部(べ)志(し)津(づ)様、および川(かわ)井(い)淳(まこと)様より、その後の進捗状況などについて、原稿と写真提供のご協力をいただくことができました。
 
 【機構の特性・強み】
JAXAは、宇宙航空分野における基礎研究から開発・利用に至るまで一貫して行う機関です。アジア各国との国際協力では、地球観測衛星、通信・測位衛星などを用いた貢献に力を入れています。
 
【ADBとの連携強化のきっかけ、機構にとっての狙い】
JAXAではかねてより、台風や洪水などの水害に見舞われることの多い日本において水循環観測が果たす役割の大きさに着目、取り組みを重ねてきました。ADBとのLOI締結にあたっては、当時、内閣府・総合科学技術会議におられた廣木謙三参事官が、こうしたJAXAの実績を深く理解され、橋渡し役を担われました。LOIの狙いは、JAXAが持つ宇宙からの地球観測衛星技術を、アジアの途上国における災害管理や気候変動の緩和と適応、森林監視、水資源管理などの分野に効果的に活用することです。
現在、バングラデシュ、フィリピン、ベトナムを対象に、衛星による降雨観測データを導入し、川の上流に降る雨の量を衛星で捉えることで洪水警報を現在よりも1~2日早く出したり、予測精度を向上させて市民の携帯電話に警報を配信することを目指しています(ADBのTAプロジェクト「河川流域管理へのリモートセンシング技術の適用」)。プロジェクトの最終承認は4月下旬予定ですが、JAXA内では既に特別専門チームが立ち上がりました。
 
【苦労した点など】
JAXAは宇宙技術の専門家集団ですが、その技術がそのままアジア各国の要望に当てはまるとは限りません。上記プロジェクトでも、各国で使われている洪水予測・警報システムはさまざまです。そのため、まず洪水予測・警報システムを調査し、先方のシステムに合うようにJAXAの衛星降雨データを変換する手法を検討しなければなりません。さらに、降雨データをもとに河川水位データを予測する作業は、JAXAにとって専門外のため、大学など外部機関と議論を重ねながら、どうやって適用させるかを決定するプロセスで苦心しました。
 
【今後の目標など】
JRO-07 2まずは現在のプロジェクトを、力を合わせて着実に進めたいと思います。次の予定は未定ですが、ADBや各国からは、干ばつの監視、海面上昇被害評価、都市拡大把握などの分野でご相談をいただくなど、宇宙技術に高い期待を寄せていただいています。セミナー開催などを通じたニーズ調査も始まっており(写真)、アジア途上国の持続可能な開発支援において、宇宙技術面から貢献できるよう、次につなげていきたいと考えています。
 
【日本の企業へのメッセージ】
JRO-08アジアにネットワークを持ち、各国の開発の現状とニーズを把握しているADBは、魅力的なパートナーです。プロジェクトでは、相手国側のニーズと、こちらから提供できる技術のギャップをうまく埋めることが重要ですが、より良いソリューションを実現するには、お互いのコミュニケ-ションがカギになります。JAXAでは、日本の高い技術力を知っていただくことも重要と考えています。ADB関係者の皆様には、筑波・宇宙センター(写真)をご訪問いただき、JAXAの応援者になっていただくことができました。

国内でのADBのイベント

最近行われたイベント

4月19日(東京)
キャリア・セミナーを実施
 
JRO-09マニラ本部より、神崎康史・予算人事経営システム局長、本田恵理・東南アジア局主席案件管理専門官、および久保田真・主席人事専門官を迎え、ADBで働くことに関心を持つ社会人、大学院生、学生の皆様を対象に、ADBで働くということ、求められる人材像、および採用プロセスなどについて、説明を行いました(写真)。

ADB出版物


cover-adb-ar2011-v1『Annual Report 2011』
 

ADBの年次報告書2011年版(英文)が、ウェブサイトにアップされました。
http://www.adb.org/documents/adb-annual-report-2011

  

お問合せ

  • 本ニュースレターに関するお問い合わせ・ご感想はJRO望月まで:amochizuki@adb.org
  • その他のお問い合わせはJRO日向まで:shinata@adb.org
  • ADB出版物についてのお問合せはJRO河津まで:kkawazu@adb.org

 

JRO連絡先
アジア開発銀行駐日代表事務所
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