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Volume 11, Number 5 | October 2014 Published bi-monthly
 

スポットライト

アジア開発銀行(ADB)の駐日代表事務所(JRO)では、ADBの長期戦略枠組み「ストラテジー2020」の中間見直し結果を、民間企業、アカデミア、地方公共団体、市民社会団体など日本のステークホールダーの皆様に説明する機会を設けています。以下、そのような活動の一端をご紹介します。

ADBの融資能力強化構想についての市民社会団体向けセミナー開催

9月12日、ADB戦略・政策局の坂井和局長が来日し、市民社会団体の皆様を対象に、「ストラテジー2020」の中間見直し結果と、その実施の裏づけとなる融資能力強化構想について、ご紹介しました。アジア・太平洋地域では、経済発展に伴って中所得国へと移行する国がある一方で、格差の拡大や気候変動などの課題に直面しています。
ADBは、変容するアジア・太平洋地域が抱える課題により効果的に対応し、開発パートナーと共に、アジア・太平洋地域の人々の生活の質の向上を目指すことを、これまで以上に求められています。

その一方、引き続き多額の開発資金を必要としているアジア・太平洋地域のニーズに応え、貧困削減をさらに確実なものとしていく上で、ADBでは融資能力強化が課題となっています。そこで、ADBでは、低所得国向けの譲許的財源として活用してきたアジア開発基金(ADF)による融資業務を、比較的所得の高い国への融資財源である通常資本財源(OCR)とバランスシート上2017年1月より統合することでOCRを拡大(約530億ドル規模)し、レバレッジをかけて融資等の業務を行うとの提案を検討中です。ADFの融資業務のOCRとのバランスシート上の統合は、ADBが加盟途上国に対する準マーケット・ベースでの支援を伸ばすとともに、ADFに任意拠出しているドナー国側の財政負担軽減にも資するとのメリットが見込まれます。

セミナーでは、こうした状況について、具体例も織り交ぜながら説明を行いました。質疑応答では、ドナー国である日本の立場からの質問や市民社会団体との協力のあり方についてのご意見などが出され、有意義な意見交換が行われました。
→当日のスライドはこちら

 

 

日本防災プラットフォームで玉置駐日代表が講演

9月11日、防災関連の海外プロジェクトに関連する産官学の連携の促進を目的として本年6月に設立された日本防災プラットフォームの第1回年次総会においてこのほど玉置知己駐日代表が講演を行いました(写真)。

玉置代表は、約300名の聴衆に対し、「ストラテジー2020」とその中間見直し結果を取り上げ、ADBが環境、とりわけ気候変動への取り組みを強化していく中で、災害リスク管理が重要項目として位置づけられている状況を説明、防災分野において専門的な知見を有する機関との連携が鍵となるとことを強調しました。さらにそうした取り組み強化の具体策として、①災害リスク軽減につながる方策や要素を開発に盛り込むこと、②災害リスクの管理と気候変動への適応に一体として取り組むこと、および③ファイナンス面の能力・手段の強化を挙げ、同プラットフォームとのパートナーシップ構築を呼びかけました。
ADBの「統合的な災害リスク管理のための業務計画(2014-2020年)」(英文)はこちら



ニュース

『アジア経済見通し2014年改訂版』を発表

 ADBは9月25日、『アジア経済見通し2014年改訂版』を発表し、先進国経済の成長率は想定よりも鈍いにも関わらず、アジア・太平洋地域では主要な国で構造改革が進むことから、同地域の成長スピードは引き続き世界で最も早いものとなるとし、日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域全体のGDP成長率について、2014年が6.2%、2015年が6.4%とする(本年4月に公表されたADO2014(『アジア経済見見通し2014年版』)での)見通しを据え置きました。

ADBのシャンジン・ウェイ(Shang-Jin Wei)チーフエコノミストは、「一部の域内国は外需鈍化の影響を受けているものの、全体でみれば、アジア・太平洋地域の本・来年の成長の足取りはしっかりとしている。中国、インド、インドネシアの域内3大経済国で構造改革のプロセスが進むかどうかが、経済成長の行方を占う重要な要素となるだろう」としています。
→和文抄訳リリースはこちら
→報告書本体(英文)はこちら

 

官民連携部の新設

ADBは9月1日、新たに官民連携部(Office of Public Private Partnership)の新設を発表しました。同部は、アジアの途上国におけるインフラ整備のためにより多くの投資を呼び込む重要な手法となる官民連携(PPP)の組成において、独立した立場からの助言を各国政府・自治体・政府機関に行います。

加賀隆一部長は、「潤沢な民間資金を活用するPPPのビジネスモデルは、資金調達が可能な形で組成できれば、2020年までに8兆ドルを要するともいわれるアジアの巨大なインフラニーズを満たす最適な解決法の一つだ。インフラ案件を効率的に進める上で、民間企業が有する専門性にアクセスできるようになることも、PPPのメリットと言える」と述べています。
→和文抄訳リリースはこちら

 

『キー・インディケーターズ』を発表

ADBは8月20日、『キー・インディケーターズ2014年版を発表、アジア・太平洋地域にとって貧困問題は今後数十年にわたり重要課題であり、食料の安定的確保や経済的脆弱性の問題解決のため、更なる努力が必要との見方を示しました。一日1.25ドル未満で暮らす絶対貧困層の割合は、2030年までに全体の1.4%まで低下すると試算されていますが、報告書は、生活費が一日1.25ドルという基準では絶対貧困の範囲は十分に捉えられないともしています。

これに関連し、当事務所ではマニラ本部から、ジュージョン・ジュアン(Juzhong Zhuang)副チーフエコノミストを迎え、セミナー「アジアの貧困(Poverty in Asia: A Deeper Look)」を開催しました(写真、8月28日)。絶対貧困層の基準となっている一日1.25ドルという生活費について、アジア・太平洋地域における生活の実態にあわせた消費バスケットのほか、食物CPI、そして、多発・大規模化する自然災害への脆弱性など、アジアの貧困層に大きなインパクトを与える要素も考慮すべきとの議論を行いました(写真)。
→和文抄訳リリースはこちら
→報告書本体(英文)はこちら


プライベート・エクイティ・ファンドを設立

ADBは8月19日、オリックス株式会社、およびロベコ・インスティテューショナル・アセットマネジメントBV(オランダ)とともに、アジア地域における環境関連や低炭素化事業への幅広い投資を目的としたプライベート・エクイティ・ファンド「アジア・クライメート・パートナーズ」を設立することを発表しました。ACPの運営開始時の資本金は約4億ドルで、拠点は香港です。再生可能エネルギー、クリーンテクノロジー、天然資源利用の効率化、水資源、農業、林業などの事業分野で、環境や社会に貢献しうる事業や企業に投資を行います。
→和文抄訳リリースはこちら


新しいチーフエコノミストが着任

8月6日、ADBの新しいチーフエコノミストに、米国コロンビア大学ビジネススクールのシャンジン・ウェイ(Shang Jin Wei)教授が就任しました。氏は中国出身の米国籍で、経済学、国際金融・貿易の分野で長年活躍し、入行直近は、コロンビア大学でディレクター職にありました。今後はアジア経済に関するADBのスポークスパーソン、および経済調査局局長として、アジア・太平洋の開発課題に関する政策研究をリードする傍ら、『アジア経済見通し(ADO)』をはじめとするADBの代表的報告書の刊行を担います。

パラオに事務所をオープン

8月1日、ADBのパラオ開発調整事務所が旧首都コロールに開所しました。パラオは2003年にADBに加盟し、同国に対するADBのこれまでの支援総額は、融資4480万ドル、技術協力が290万ドルです。ADBでは今後、水や衛生、官民セクター、気候変動対策の分野で同国政府との協力関係を強化・維持したいとしています。
→リリースの和文抄訳はこちら
→同国に対するADB業務の詳細はこちら



イベントのご案内

10月4-5日(東京)
グローバルフェスタに出展します
恒例の日比谷公園でのグローバルフェスタに、今年も当事務所のスタッフがブース参加します。国際協力60周年でもある本年は、賑やかなイベントが盛り沢山です。ぜひお気軽にお越し下さい。
フェスティバル詳細はこちら(http://www.gfjapan2014.jp

 

11月12日(東京)
『アジア経済見通し2014年改訂版』についてのセミナーを開催します
当事務所では、先に発表された『アジア経済見通し2014年改訂版』のセミナーを、11月12日(水)開催予定です。域内国の経済成長率予測を含むマクロ情勢のほか、グローバル化が進むバリューチェーンにおけるアジア各国の参入状況、さらに個別国として、カンボジアとミャンマーをとりあげ、議論を行います。日時や参加申し込みなど詳細は、後日ウェブサイトにてご確認下さい。

 

アジア開発銀行駐日代表事務所(JRO)連絡先

アジア開発銀行駐日代表事務所 (JRO)                                       
〒100-6008
東京都千代田区霞ヶ関3-2-5
霞が関ビル8F


  
Tel. +81 3 3504 3160
Fax. +81 3 3504 3165
Web site: http://www.adb.org/JRO/

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