お釈迦様の生きていた時代、キサ-・ゴータミ-という女性がいました。キサ-・ゴータミ-は、やっと授かった子供をそれはそれは可愛がっていましたが、その子は一歳にという年齢で突然亡くなってしまいます。
半狂乱になったキサ-・ゴータミ-は、お釈迦様に縋りつき、泣きながら子供が動かなくなってしまったことを訴えて、「どうかこの子を生き返らせてください」と懇願します。
子どもを抱きしめ、泣き崩れる彼女を見たお釈迦様は哀れに思い、優しくこう言います。
「あなたの気持ちはよく分かる。かわいい子供を治す薬を教えよう。
これから町へ行って、芥子の種をもらってきなさい。
ただ、一つだけ条件がある。
その芥子粒は、今まで死んだ人のなかった家からもらってこなければならないよ」
それを聞いたキサー・ゴータミーは、町に向かって無我夢中で走り、町へ着くと、一軒一軒周り歩き、こう尋ねます。
「つかぬことをお伺いしますが、この家では、今までに亡くなられた方はおられますか」
「はい、うちでは昨年、母が他界しました」
「うちは先日、妻が亡くなりました」
「5年ほど前ですが、子供を亡くしました」
…どの家を訪ねても、死人を出した家ばかりです。 それでもキサー・ゴータミーは諦めることができません。死人を出したことのない家を探して歩き回りましたが、どれだけ訪ね歩いても、一向に芥子の種は手に入りません。
あたりが薄暗くなるころ、歩く力も尽き果てたキサー・ゴータミーは、すっかり冷たくなった子供を抱きながら、お釈迦様のところへ戻ってきます。
「芥子の種は手に入りましたか?」
「いいえ。死人のない家は一軒もありませんでした…」
うなだれて涙を流すキサ-・ゴータミ-に、お釈迦様は、
「そうだよ、キサー・ゴータミー。人はみな、いつかは死ぬ定めなのだよ」
「誰も死から逃れることはできないのですよ」
と優しく言います。
そしてキサ-・ゴータミ-は、人として生まれた以上、死を避けて通ることはできないということを理解し、悲しみを乗り越え、お釈迦様の弟子となりました。
…というお話です。
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