私は父親にとても強い憎しみを感じながら何十年も生きてきました。真剣な殺意を抱いたこともあります。父は20年近く前に他界しましたが、存命中は顔を見る度、声を聴くたびに憎しみが沸き上がり、赦すこと等などとてもできる状態ではありませんでした。
憎しみという感情に向き合う準備ができたのは、マインドフルネスを使っての感情調整に慣れ、セルフ・コンパッションで自分の痛みを抱きしめることができるようになってからです。
マインドフルネスの実践を続けていく中で私が気づいたのは、憎しみの下にはとても深い悲しみがある、ということでした。
私が大好きなマインドフルネス指導者であるTara Brachさんは
Vengeance is the laziest form of grief.
復讐は深い悲しみを一番楽に表現する方法だ
と言いますが、本当にその通りなのです。
悲しみが深いがゆえに、深すぎるがゆえに、それに触れることが苦しすぎるがゆえに、悲しみは怒りに、怒りは憎しみに、そして復讐心へと成長します。身を切るような悲しみに触れるより、それを憎しみに変えて相手にぶつける方が、悲しみで充分以上に苦しんでいる自分を傷つけないで済むからです。
つまり、憎しみを感じることは、深い悲しみに苦しんでいる自分を救うための、ある意味「自分へ愛の行為」と考えることができるものなのです。
そのことが腑に落ちた時、私は父に意識を向けるのを止め、傷ついた自分を優しく抱きしめること、自分の悲しみに触れ、自分の涙を何度でも拭いてあげることに集中しました。父に言って欲しかった言葉、して欲しかったことを、自分で自分に与え続ける中で、父への憎しみは次第に弱くなっていきました。