要素その2・「苦しみと不完全さは万人共通」という意識(Common Humanity)
二つ目の大切な要素は、「人間は誰しも不完全であり、さまざまな形で苦しみを体験しながら生きている(Common Humanity)」と認識することです。
不完全さと苦しみは万人共通のこと。私(智子)が苦しみの中にいる時感じている痛みは、例えその内容は違っても、あなたが苦しい時に感じる痛みと同じです。
自分が今置かれている苦しい境遇、状況で、同じように苦しんでいる人がいる、この苦しみをわかってくれる人が世界のどこかに必ずいるのです。たとえ見たことも会ったこともない人でも、自分と同じ苦しみを知っている人がいる、そう思うだけで心が少し軽くなりませんか?人は幸せや愛の心でつながることもできますが、不完全さと苦しみを通してつながることができるのです。
このように「私は苦しみの中にいるけれど、決して孤独ではない」と思うことは、「なんで私がだけがこんな目に…」「なんて不幸な私…」という自己憐憫に陥るのを避けることにもつながります。
「人間は不完全な生き物」ということは、「誰もがその成長過程にあり、人生に失敗はつきもので、失敗から学んでいくのが人間らしさである」ということでもあります。これが腑に落ちると、失敗した自分に優しさと共感を向けることができ、失敗から学び、また前に進む勇気を得ることができるようになります。
この「共通の人間性」は腑に落とすのが難しいので、来週のメルマガで深掘りしていきます。
要素その3・マインドフルネス(Mindfulness)
マインドフルネスは、この一瞬一瞬の体験をクリアでバランスの取れた意識で気づき、どんな思考・感情・感覚も避けたり抵抗したりすることなく受け入れていくことです。セルフ・コンパッションの実践には、このマインドフルネスが欠かせません。
セルフ・コンパッションで苦しみと向き合うには、
1.自分の痛み・苦しみに気づき、理解する
2.痛み・苦しみから逃げず、抵抗せずに向き合い、ケアする
ことが必要ですが、これがまさにマインドフルネスの実践そのものなのです。
私たちが苦しみの中にいる時やりがちなのが、苦しみから逃れるために「じたばたする」、つまり問題解決への行動にばかり目を向けてしまうことです。自分の心がどのように痛みを感じているのか、どれほど自分が辛いのか感じることなく、そこから抜けだすことばかり考えてしまい、痛んだ心が置き去りになるのです。
マインドフルネスは、問題解決(Doing-Mode)を一旦止め、苦しんでいる自分に穏やかに、しっかりと目を向け、寄り添い癒す(Being-Mode)ことに方向転換してくれます。
また、苦しみの渦中にいると、つい
…自分は失敗作である
…自分は何をやっても駄目だ
…人生には失望しか感じられない
のような極端な見方になることがありますが、マインドフルネスの気づきを使えば、バランスの取れた見方を取り戻し、視界が開けてきます。自分は失敗作ではなく、「今、自分は失敗作だと思えるような気持ちになっている(だけ)」、自分は何をやっても駄目なのではなく、「今回チャレンジしたことは想定外の結果になった(だけ)」、人生には失望しか感じられないのではなく、「今、人生に失望を感じるほど、苦しい状況にある(だけ)」と捉えることができるようになります。
このように、マインドフルネスのクリアな視界、穏やかであたたかい受容の姿勢はセルフ・コンパッションに欠かせないものなのです。