第三十六候「大雨時行 (たいうときどきふる)」
七十二候が大暑の末候へと変わりました。
「大雨時行」は夏の最後の候で、集中豪雨や夕立などの夏の激しい雨が降る頃です。
「夕立」のように、古くから日本人は雨に様々な名前をつけてきました。
暑い夏の雨は恵の雨として「慈雨」「喜雨(きう)」「錦雨(きんう)」等とも呼ばれてきました。
農家にとっては、夏に日照りが続けば、せっかく植えた作物が全滅してしまいます。
雨乞いをし待ちわびて、ようやく訪れた恵みの雨に、人々は名前で感謝を表現したのですね。
待ち望んだ雨が降ると、近隣が寄り合って「おしめり休み」「雨遊び」「雨祝い」「雨喜び」などで喜びを表す風習が、いまも各地に残っているといいます。
「夏雨人に雨(ふ)らす」という諺は、夏の雨が涼をもたらすように、苦しみのさなかの人に恵みをもたらす、という意味。
「旱天の慈雨(かんてんの じう)」は、日照り続きだったところへ降る恵みの雨。
ここから、困難なときに救いに恵まれること、待ち望んでいたものがかなえられることを意味します。
各地で進むワクチン接種がまさに「旱天の慈雨」となってくれるよう、願うばかりです。
今月も最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。
次号は9月6日に配信予定です。