さて、ではこの連鎖をどう癒し、どう止めていくことができるのでしょうか。
先のセッションでは、戦争から受けていた影響に気づき、
その恐怖や悲しみを受け止め、
押し込めていた怒りを、安全な方法で解放しました。
そして世代間のねじれや思い込みを一つずつ解いていきました。
クライアントさんは落ち着きを取り戻し、家族の座にあたたかな空気が流れていきました。
また、こうした連鎖は、日常の親との関わり方の中に、深く刻まれています。
だから私はセッションでよくこう尋ねます。
「親から本当はどのような関わりが欲しかったですか?」
どの世代にお聞きしても、心の奥底で求めているのは、厳しさや我慢を強いることではありません。
それは、例えばこんな想いです。
- ただ、自分の気持ちに耳を傾けてほしかった
- 自分に意識を向けてほしかった
- 尊重してほしかった
- 抱きしめてほしかった
- 無条件に愛してほしかった
どれも、とてもシンプルで根源的な願いです。
けれど、その願いが叶わなかったとき──
人は、自分を守るために、心に鎧をまといます。
自分を忘れ、自己犠牲を課し、役に立つ自分を演じ、
人を疑い、恨み、敵を作って生きてしまうのです。
(心の防衛反応です)
世代間の痛みを丁寧に見ていくと、最終的に誰も悪くないことがほとんど。
ただ、どこかで捻れが生じ、その傷が連鎖しているだけなんです。
敵がいるとしたら、資源のなさや、環境の貧しさ、知識の未発展、そして人間の心の弱さです。
つまり──あなたを愛していなかったから、欲しい関わりを与えてこなかったのではありません。
そうできない土壌の中で、愛情を十分に伝える手段を持てなかっただけなのです。
家族の座から、重荷をとり除くと、親は自然に子どもにあたたかな眼差しを送り始めます。
もちろん、これは暴力や加害行為を容認する話ではありません。
また、「親世代を許しなさい」ということでもありません。
まずは何よりも、自分自身の味方であること。
そして、親世代との関係で生まれた痛みや悲しみ、怒りに、
そっと寄り添ってあげることが大切です。
私たちにできることは──
-
戦争トラウマの影響や家族間連鎖に気がつき捻れを整理すること
- 自分が悪かったわけではないと理解すること
- 傷ついたことに対して、怒りをきちんと表すこと
- 未消化の感情や、脅威への防衛反応を解消すること
- 自分の尊厳や価値を取り戻すこと
そして最後に、自分が欲しかった関わり方で、自分に接してあげることです。
あなたが癒やされることはあなた一人のためだけではありません。
それは、世代間に続いてきた負の連鎖を、あなたのところで終わらせる力になります。