MAMEHICOのエンターテインメントを担当している永井です。
本名はヒロシですが、あだ名はセツオです。笑
コロナ中に井川さんたちと作った、
連続ドラマ「ノッテビアンカ」の主役セツオ役から来ています。
そしていまは、毎月やっている、「面白可笑ひこ」でも出演する側でやっています。
さて昨日、第二回「面白可笑ひこ」が無事終了しました。
参加してくれた方々、どうもありがとう!
みんなと催し物を楽しんだ時間。
一緒に話した時間。
たしかな「輪」を感じたひとときでした。
さてさて。
この1週間、だいぶバタバタした。
「面白可笑ひこ」というイベントは大変スパルタで、
台本を渡されるのが本番1週間前。
ダッシュで仕上げなきゃならない。
いや仕上がらなくても、なんとかやり切らないといけない。
ちなみに、3月末に行われる『ワーニャおじさん』は半年前からやってる。
同じお芝居をするのでもいろいろだ。
先週の日曜日に最初で最後の本読みがあった。
演出の井川さんより、
「ゴンギツネのゴンはきつねなので、まぁそういう感じで。」
ボクは今回、ゴンギツネのゴン役をやったのです。
YouTubeで「狐 演劇」「狐 動き」と検索してみる。
でも人間のやる狐の動きが、なかなか見つからない。
本物の狐と、お笑いコンビ「キツネ」の動画が出てくる。
キツネは狐のコントをしていない。
途方にくれる。
火曜日にこれまた最初で最後の稽古があった。
「バラバラのネタはサイコパスっぽくやってほしい。ではそんな感じで。」
一方で、「バラバラ」というブラックショートコントも今回やるのです。
サイコパス…
映画が大好きなので、サイコパス役のデータはいっぱいある。
しかしやってみたとて、どれもしっくりこないし、
だいたい1週間でジャック・ニコルソンにはなれない。
途方に暮れる。
キャラがどうのこうのというより、まずはセリフを覚えなければ。
演者のまあさから、
「まずはみんなの動きをしっかりつけておこう」という話があり、
水曜日に演者で集まる。
おかげでなんとなく動きが整理された。
ちゃんとした役者が1人いてくれてほんとに助かる。
ボクには全体を見る余裕がない…
しかし動きはついても、そもそもの演技がしっくりこない。
余計にモヤモヤしてくる。
さて、あと2日。
繰り返し繰り返しやってみる。
しっくりこない。
また、繰り返してみる。
フィットしない芝居をすると、セリフに違和感が出る。
無理矢理言っている感じになる。
やっては直し、やっては直し。
とにかく必死。
なんとか、こういう感じかという感触を掴んで、当日へ。
朝9時からゲネ(リハーサル)があった。
井川さんより
「バラバラはもっと、妻のこと大好きキャラの方がいいと思う。」
井川さんは平気で直前に芝居を変える。
初めて『ぽうく』という演劇に参加した時も、
公演2日目にクライマックスの演出を大幅に変更した。
これにはちゃんと理由がある(はず)。
予定調和にさせないためだ。
たくさん練習をして、決まった動きとセリフをばっちりやりました、
イエイ!みたいのはここではNGだ。
要するに「舞台の上だろうが下だろうがお前はお前だろ」ということだ、
と理解している。
とにもかくにも、本番が終わった。
本番が終わるとすぐにみんなで振り返りをする。
振り返りの際賑やかなのは、演者よりむしろ制作スタッフだ。
前回のクリスマスチキンの時は…
今回はハンガーラックと札があって…
お稲荷さんの油揚げを煮るのに…
理性と感情が入り乱れて大変なことになっている。
井川さんが話をまとめようとしても終わらない。
「1人づつしゃべる」という大人のルールは全く守られない。
いや、むしろ大人であっては、こんな催しはできないのだと思う。
ボクが演技で精一杯になっている中、現場は戦場なのだ。
前回も今回も徹夜でお料理を用意してる人。
急に起こる事象に対応してるフロアスタッフ。
三茶店のシフトに入りながら、一瞬銀座に来て戻っていく人もいる。
総力戦で繰り広げる1日。
MAMEHICOはなぜか、こんなことを年中やっている。
終わってみて綺麗さっぱり、ああやりきったなんてことは一度もない。
「もっとできたはず」がいっぱいある。
井川さんがトークイベントの中で、「失敗できる場所が大事」と語っていた。
「失敗が大事」は「失敗すればいい」ということではない。
必死こいて全速でダッシュしたにも関わらず、
すっ転ぶ。これが大事なのだ。
実際、ドラマ『ノッテビアンカ』の撮影の時、
文字通り全力で走ってすっ転んだことがあるが、マジで痛い。
もうあのヒラヒラのパンツは履きたくない。
私なんて、どうせお役に立てないし。
ご迷惑をおかけするんじゃないか。
そう思って、および腰になることがある。
このような態度は一見謙虚そうに見えて、謙虚ではない。
内心は逆だからだ。
全力を出して、本当に何もないのが分かるのが怖い。
きっかけさえあれば、何かしらキラリと光るものがきっとある、
と思っていたい。
そのようなズルい態度が隠れている。
「全力を出してこんなものか。くそっ。俺はもっとできるはずなのに。」
全力で転ぶとそのように思う。
これがかけがえのない経験になるのだと思う。
「どうせできない」と「もっとできたはず」には大きな差がある。
さて、すっかり気分はゴンギツネだが、
来週からは「ワーニャおじさん」のセレブリャコーフに戻らないといけない。
次の稽古で動物っぽい立ち姿をしていたら、注意してもらおう。
ということで、次回の「面白可笑ひこ」は4月15日(土)です。
ぜひ一緒に遊びましょう。