皓星社メールマガジン、第33号をお届けします。月に1度、株式会社皓星社の「ざっさくプラス」最新情報、新刊案内、近代出版研究所の活動等を配信します。弊社サイトから購読を申し込まれた方、これまでご縁があった方にお送りしています。お知り合いの方々へぜひ転送、拡散をお願いいたします。
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目 次
☆【連載最終回】大検索時代のレファレンス・チップス 第13回(小林昌樹)
★【連載】趣味の近代日本出版史 第31回(河原努)
☆【連載】神保町のんしゃら日記2 2024年1月(晴山生菜)
★ ざっさくプラスニュース
☆ 出版ニュース
★近代出版研究所だより
☆「皓星社友の会」のご案内
★編集後記
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☆【連載最終回】大検索時代のレファレンス・チップス 第13回(小林昌樹)
テキストマイニングって知っているだろうか? 図のようなワードクラウドを作る技術だ。これは、ある文章に出てくる言葉の数を数えて、回数により重み付けをして大きく示してくれる図である。では特定の単語の出現頻度が、だんだん増えているのか減っているのか、経年変化の増減を知るにはどうしたらいいだろう? そういう場合には…(続きを読む)
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☆【連載】趣味の近代日本出版史 第30回(河原努)
その日は夕方に近代出版研究所の面々で集まる予定で、5時くらいに神保町を周遊した森洋介さんが待ち合わせ場所であった弊社にやってきた。「これが玉英堂で1300円だったんだよ、やっと買えたよ」と見せられたのは宮田昇『小尾俊人の戦後』(みすず書房、平成28年)。「ここに松井巻之助という人がやっていた学芸社という出版社を吸収したという記述があってさ」と畳みかけ…(続きを読む)
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★【連載】神保町のんしゃら日記 第1回(晴山生菜)
2024年1月1日(月)蒼前神社で元朝参りをし、盛岡をでてIの実家へ。新幹線で来年度の計画を考えているうちに、あっという間に関東に着く。在来線のホームへの階段を下りていると、緊急地震速報が鳴った。…(…続きを読む)
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☆ざっさくプラスニュース
新規登載雑誌は、X(旧Twitter)ざっさくプラスアカウント(@zassakuplus)で随時お知らせしております。8年前に開設したこちらのアカウント、先日フォロワーさんが1000人になりました!一時は、需要がないなら縮小しようかとさえ思っていただけに、喜んでいます。
これからも、端的に登載雑誌の内容を紹介できるように努めていますので、フォロー&リアクションいただければ励みになります。真面目なものからとぼけたものまで、世の中にはいろんな面白い雑誌がありますよ。
【先月からの新規登載情報】
〇今井館教友会様提供分
内村鑑三の活動拠点として知られる今井館教友会様から、下記の雑誌目次の提供を受け「ざっさくプラス」に登録しました(6誌7274文献)
「ギリシヤ語聖書硏究」第1巻第1號(1934年3月)~終刊號(1938年3月)
「舊約知識」創刊号(1934年4月)~第60号(1944年4月)
「十字架の言」1-1(1965年1月)~44-12(2008年12月)
「小さき声」1(1962年9月)~276(1986年3月)
「神学研究」創刊号(1975年10月)~第50号(1995年11月)
「聖書第一年」創刊号(1950年5月)~第255号(1971年7月)
〇独自登載分
「ザ・スニーカー」1993年Spring(1993年4月)~2011年4月号(2011年2月)
※角川書店が発行した角川スニーカー文庫の母艦的なライトノベル雑誌(季刊→隔月刊)。山中智省様からご協力を得て、3922文献を登載しました。全104冊。
「現代の探検」No.1(1970年8月)~No.9(1972年7月)
※山と溪谷社のAdventure&Science雑誌。国会図書館未所蔵。林雄二郎、西丸震哉、小松左京、深田久弥、樋口敬二、本多勝一、三浦雄一郎、園山俊二、須賀次郎、中岡俊哉、戸川幸夫、芳野満彦、森田勇造らが寄稿。9号で休刊。
「季刊絵本」創刊第1号(昭和56年9月)~第10号(昭和60年2月)
※すばる書房発行の季刊誌で、1973~79年に発行された「月刊絵本」の復刊誌。特集「センダック」(3号)、「トミ・アンゲラー」(4号)、「漫画家の絵本」(5号)、「長谷川集平グラフィティ」(6号)など。全10冊か。
「秩序」第1号(1952年1月)~第11号(1963年7月)
※白林社→文学グループ秩序発行の文芸誌で、編集人は小檜山俊。国会図書館未所蔵。丸谷才一、中山公男、篠田一士、木島始、窪田般彌、福永武彦、永川玲二、安東次男、三輪秀彦、菅野昭正、飯島耕一、田村隆一らが執筆。全11冊か。
「随筆四季(戦前)」第1輯(昭和16年5月)~第4輯(昭和17年3月)
「随筆四季(戦後)」第1輯(昭和21年6月)~第4輯(昭和22年11月)
※ウスヰ書房(臼井書房)の臼井喜之介が出した随筆誌。戦前戦後併せて8冊中、国会図書館所蔵は戦後1冊のみ。のち「人間美学」に改題。
【閉鎖するデータベースのデータ、お引き受けします】
ざっさくプラスは、閉鎖予定のデータベースのデータを引き取り、続けて公開します。かねてより、図書館関係者の方から「科研で作られたデータベースで、非常に有益なものなのに、教授の退官時や公開サイトの閉鎖時に消滅してしまうものが多い」という声を聞いておりました。そうしたデータを消さず、拾い上げたいと考えています。方法は主に以下の2通り。
①データを引き取り「ざっさくプラス」に登載。(無償)
②独立したデータベースとして引き取り連携検索して検索結果を「ざっさくプラス」と共に一覧表示。(費用等応相談)
過去にお引き受けしたものに「日本の参考図書WEB版」があります。
どちらも検索結果に元のデータベースのデータであることを示すアイコンを表示します。
詳しいお話をお聞きになりたい方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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★出版ニュース
【近刊】
中我生直佑著、4月上旬刊行予定、予価1500円
本好きにしか見えない本の妖精・夫久山徳三郎(ぶくちゃん)と、ぶくちゃんが住み着いている中規模書店・きらら書店の店員たちの日常を描いたお仕事漫画。著者の中我生直佑さんは現役書店員でもあり、書店の仕事がわかるミニコラム、著者のエッセイも収録しています!「下を向いていいのは本を読む時だけだぜ!」というぶくちゃんの言葉に、編集中なんども励まされました。帯コメントは紀伊國屋書店福岡本店の宗岡敦子さん、解説は現役書店員芸人として活躍するカモシダせぶんさんです。
北見継仁著、4月上旬刊行予定、定価4500円
戦前、民俗学の勃興期に精力的に活動した青柳秀雄についての初めての研究書が刊行されます。愛書家としても全国区で名を知られましたが、戦後、表舞台からは消えてしまいます。本書はその足跡を、同郷の郷土史家が年譜形式で丹念に辿った労作です。青柳が出版した郷土史誌の復刻・翻刻も収録!
解説 菊地 暁「民間伝承の会「支部」をめぐって」
小林昌樹「ブックコレクターとしての青柳秀雄」
岡部隆志著、3月末刊行予定、予価2000円
いつの時代も、社会や国家は人が「悲しみ」を引きずり過ぎることに否定的です。止まることのない「社会生活」は立ち止まることを許さず、悲しむ心を置き去りに日々は流れてゆく…。しかし万葉の時代から現在に至るまで、じつに多くの「悲しみ」が詠われてきました。市井の人々の短歌とは、忘却への抵抗でははなったでしょうか?現代短歌と万葉集の接点を探る短歌評論集が纏まりました。
月光の会発行、2月29日刊行、定価1000円
2023年2月に急逝した評論家・黒岩康を追悼。山中智恵子研究でも知られる黒岩の論考を再録するほか、交流を深めた人々による追悼文を収録しました。そのほか、第11回黒田和美賞。受賞者・髙嶋和惠の作品30首と選考経過を掲載します。
【新刊】
森山浩二監修 2月9日刊 定価35,000円(分売不可)
内村鑑三の直弟子である金教臣・宋斗用の著作選集。日韓の関係者によって刊行が数
十年に渡って準備され、2020年にキリスト教図書出版社・岡野行雄さん(1930-2021)により刊行が始まりましたが、翌年岡野さんが91歳で亡くなり4冊での中断を余儀なくされました。今回、生前の交友により皓星社がその志を引き継ぎ、残された6冊を編集し、既刊と併せて装いを新たに出版します。なんと、今まで出版活動の全貌が明らかでなかった、キリスト教図書出版社の刊行目録付き。
とくに雑誌「聖書朝鮮」に連載された「日記1〜4」は、植民地下の朝鮮人知識人の日記という観点からもユニークな価値を持ちます。金教臣は1936年のベルリン五輪男子マラソンに日本代表として出場して金メダルを獲得した孫基禎の恩師でもあり、その頃の日記にはたびたび孫の名前が登場しています。新組の「日記2~4」には索引が付きます。
1 〔金教臣〕信仰と人生 上 320頁【復刻】
2 〔金教臣〕信仰と人生 下 284頁【復刻】
3 〔金教臣〕山上の垂訓研究 278頁
4 〔金教臣〕日記1 1930-1934年 244頁【復刻】
5 〔金教臣〕日記2 1935-1936年 242頁
6 〔金教臣〕日記3 1937-1938年 316頁
7 〔金教臣〕日記4 1939-1941年 326頁
8 〔宋斗用〕信仰文集 上 256頁
9 〔宋斗用〕 信仰文集 下 218頁
10 【別巻】金教臣――日本統治下の朝鮮人キリスト者の生涯 420頁【復刻】
『阿佐ヶ谷歳時記』
松本純著、1月29日刊行、定価2,000円
阿佐ヶ谷に五十年つづく名酒場・だいこん屋主人による、酒と俳句の日々を描いたエッセイ集。著者の地元・阿佐ヶ谷の書楽さん改め八重洲ブックセンターさんでも取り扱って頂いています。阿佐ヶ谷界隈の方はぜひ八重洲ブックセンターさんでお求めのうえ、だいこん屋さんへ!
【ピックアップ】
『新古書ファイター真吾』
TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」との連動フェア「 #アトロクブックフェア2024 」が複数の書店さんで始まり、『真吾』も陳列していただいています!開催書店さんはこちら。
また、「小説新潮」3月号に、大石トロンボさんのエッセイ「ブックオフ・トーキョー」が掲載されています。ぜひ『真吾』と合わせてお楽しみください!
【出版目録】
『皓星社出版目録』2023年10月現在、在庫のある書籍300点弱を、書影・紹介文付きで収録しています。「書名索引」「人名索引」付き。
ご希望の方はこちらから。送料は無料です。
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☆近代出版研究所だより
「近代出版研究叢書・資料編」第4弾の近代書肆懇話会編『帝国図書館コレクション案内――請求記号から見た蔵書構成』(定価2,000円、B5判70頁)、弊社ウェブストアで好評通販中です!
『近代出版研究 第3号』も鋭意編集中。
原稿がほぼ出揃いました(あと数本追加があるかも?)。
今年もバラエティに富んだ内容になっております!
・【巻頭座談会】雑誌の書物特集と書物雑誌――『近代出版研究』の先祖調べ。あるいは偽系譜作りの試み 小林昌樹・鈴木宏宗・森洋介・河原努
【特集 近代出版/調べる技術】
・エロ研究のリファレンス書籍ガイド・エロ本編 安田理央
・本屋の調べ方――「本屋誌」のための方法 松永弾正
・【再録】『出版文化人物事典』における人物調査の方法 河原努
・【再録】戦前期全出版物の形態別分類表(試案)――何が残らなかったかを知るための準備 小林昌樹
・火災保険地図の再発見――都市整図社版「火保図」の国会図書館への寄贈と復刻 辻原万規彦
・春画透かし絵葉書 松﨑貴之
・高いところにあるブドウは酸っぱいのか――欄外記事という課題 附・新聞の版次について 藤元直樹
・饅頭本(追悼録・遺稿集等)という名称の成立と特色と 鈴木宏宗
・明治期における裏表紙のパブリッシャーズ・マークに関する一考察 神保町のオタ
・社史の中で生活する人 雅子ユウ
・もう一つの出版検閲――戦時下の税関検閲について 安野一之
・昭和七年「雑誌祭」の謎――読書週間と図書祭の狭間に 木村悠之介
・「耳で聴く本」を謳うオーディオブック探訪記――一九八〇年代のカセットブック 山中智省
・黒岩比佐子さんと横田順彌さんとの思い出 嵯峨景子
・【再録】私の書籍・出版書誌 大久保久雄
・出版界の業界紙について――調べた事と知っていることを少々 戸家誠
・版権保護の始め――版権免許証とその裏書 稲岡勝
例年に比べて、進行状況がやや後ろ倒しになっているので、発売日も少しずれ込むかもしれません。
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★「皓星社友の会」のご案内
友の会は、2020年コロナ禍における「ざっさくプラス」の無償公開を機に、弊社の書籍やデータベースをご愛読・ご愛用くださる会員の皆様の便宜と、皆様と弊社スタッフの間で交流を図ることを目的とし設立いたしました。
友の会割引、イベント参加割引、ざっさくプラス利用権など、得点多数。
…詳しくはこちら。
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☆編集後記
『記憶の継承ミュージアムガイド』(2022)の企画編集、刊行記念イベントなどでお力添えをいただきました伊藤幸太さんの書店・忘日舎が3月末でお店を閉じられると聞き、西荻窪方面へ行ってきました。韓国を中心としたアジア関連書籍をはじめとする魅力的な本棚から種々の社会問題への意識の傾け方を学び、お店に伺うたび店主の伊藤さんにはいつもあたたかい言葉をかけていただきました。
すぐに記憶が飛んでしまう私ですが、忘日舎さんで買った本は今でもその時どういうことを考えながら買ったのか思い出すことが出来ます。最後に購入したのは『バッド・フェミニスト』と『族長の秋』でした。3月末まで不定期で開店しておられるそうですので、皆さんもぜひ足をお運びください。(楠本)
連載記事ですが、久しぶりに全く未知の人を調べる愉しさがありました。短期間にこれだけ調べられたのは、やはり「国立国会図書館デジタルコレクション」の力ですね。出てくる断片をどう繋いでいくかに手腕が問われるところですが、私は人名事典に記述できる最低限のことがわかれば満足ですので、こんなところに着地しました。文章として散漫になったとしても、せっかくわかったことだからと断片を漏れなく織り込んでおきました。これから築井健人研究をする方は、ここから先をお願いします。次回は「文芸春秋の第1回入社試験に合格した6人」という題材を予定しています。 (河原)
2月だというのに暖かい日が続き、庭のブルーベーリーが早くも芽吹きはじめた。花芽のつきすぎた枝を切って、挿し木で増やせないか実験中である。買ってきた葱や人参でも再生野菜をやっているのだけど、動物は部分から全体が再生するということはない。植物と動物とのこの生命の在り方の違いはいつ見ても不思議だ。人間をふくめて動物は、なんと強い不可逆性の中で生きていることか。(晴山)
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