皓星社メールマガジン、第34号をお届けします。月に1度、株式会社皓星社の「ざっさくプラス」最新情報、新刊案内、近代出版研究所の活動等を配信します。弊社サイトから購読を申し込まれた方、これまでご縁があった方にお送りしています。お知り合いの方々へぜひ転送、拡散をお願いいたします。
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目 次
☆【連載】趣味の近代日本出版史 第33回(河原努)
★【連載】神保町のんしゃら日記4 2024年3月(晴山生菜)
☆ ざっさくプラスニュース
★ 出版ニュース
☆ 近代出版研究所だより
★【イベント開催】ひじりばし博覧会2024
☆「皓星社友の会」のご案内
★ 編集後記
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☆【連載】趣味の近代日本出版史
第33回 特別編・『近代出版研究』第3号を刊行しました
河原努
■今年も編集余話を書きます
今月の10日、近代出版研究所の年刊研究誌『近代出版研究』第3号が発売になりました。去年の4月に第2号が出た際にも「特別編・『近代出版研究』第2号の編集余話」と題して裏話を書いたので、今年も慣例に従うことにします。と、いっても昨年ほど大きな話題はないのですが……
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★【連載】神保町のんしゃら日記 第4回(晴山生菜)
3月2日(土)今日も葉山町から神保町へ。おまたたかこさんの『ハムスターまものすてきなおうち』(ハッピーオウル社)の原画展でギャラリートーク。友達とおしゃべりしているかのような自然なおまたさんの話し、つい引き込まれちゃうなぁ。このお話はハムスターの「まも」一家が…
(…続きを読む)
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☆ざっさくプラスニュース
【本文閲覧機能、プロトタイプ版を公開します】
本日より、ざっさくプラスで、一部雑誌の本文を閲覧できるようになりました!
国会図書館にはない雑誌、デジタル化されていない雑誌を中心に登載していきます。
第一回登載タイトルは以下の通り、予告より1件増えました。
ビューワーの構築などはこれから行いますので、全くのプロトタイプ版ですが、ご活用いただければ幸いです。リクエスト、ご所蔵雑誌のご提供など、ぜひお問い合わせフォームからお送りください。
「みくに」創刊号~9巻3号
※キリスト教伝道者・今泉源吉が主宰した国粋的キリスト教誌。国会図書館未所蔵。幕末の蘭学者についての証言である今泉みね(源吉の母)の回想録「名ごりの夢」の初出誌。
「滑稽風雅新誌」第55号(1878年11月)~「風雅新誌」第90号(1880年8月)
※開新社発行の、明治初期の文学雑誌。58,61-66,77,78,80-82,87,88は欠。国会図書館未所蔵。ナダ書房から「明治初期文学雑誌集成」としてマイクロフィルム復刻あり(1993)。
「吾妻新誌」23号~44号、107号~125号(欠号あり)
※九春社発行の、明治初期の文学雑誌。41,108,111-118,120-124は欠。全冊、国会図書館未所蔵。ナダ書房から「明治初期文学雑誌集成」としてマイクロフィルム復刻あり(1993)。
「教室童話」昭和19年11月号~昭和20年2月号
※教室童話研究会が発行した月刊の会員向け冊子で、疎開児童の教育用に作られた。国会図書館未所蔵、CiNii Booksでもヒットせず。
「修身研究」1-2(1923年5月)~1-5(1923年8月)
※斯道学会の機関誌で、中文館が発行した修身(道徳)教育誌。1-4は欠。国会図書館未所蔵。発行期間は1923-1927、全51号か。
「現株世界」2-2(1919年1月)
※広瀬株式商店調査部発行の、大正時代の株式情報誌。国会図書館未所蔵、CiNii Booksでもヒットせず。
「日本之青果」創刊號(大正11年9月)
※明聲社発行の、大正時代の蔬菜専門誌。国会図書館未所蔵。2号まで存在を確認。
【先月からの新規登載情報】
〇今井館教友会様提供分
内村鑑三の活動拠点として知られる今井館教友会様から、下記の雑誌目次の提供を受け「ざっさくプラス」に登録しました(2誌5681文献)
「永遠の日本」1号(1962年12月)~176号(1999年3月)
「永遠の生命」第1號(大正15年3月)~第422号(昭和41年11月)
〇独自登載分
「ドラゴンマガジン」1988年1月号(1988年3月)~2024年3月号(2024年3月)
※富士見書房→Kadokawa発行の富士見ファンタジア文庫の母艦的なライトノベル雑誌。山中智省様からご協力を得て、直近の号まで35年分・13598文献を登載しました。
「ニコニコ」1(1911年2月)~81(1917年10月)
「夢の世界」82(1918年4月)~100(1919年10月)
「ニコニコ」101(1919年11月)~106(1920年4月)
※ニコニコ主義を唱道した不動貯金銀行頭取・牧野元次郎が主宰したニコニコ倶楽部の機関誌。40、93、105号が欠。
「ざこくらぶ」1(1960年1月)~16(1973年5月)
※雑魚くらぶ発行の文人の釣魚随筆誌で、編集人は丸岡明→立野信之→岡村夫二。麻生豊、井伏鱒二、瀧井孝作、島村利正、那須良輔、梅崎春生、土師清二、幸祥光、野村万蔵、福田蘭童、桜井均らが寄稿。国会図書館未所蔵。13号欠。
「推理界」1-1(1967年7月)~4-7(1970年7月)
※浪速書房の月刊推理小説誌。創刊号には鮎川哲也、笹沢左保、大藪春彦、眉村卓、佐賀潜、土屋隆夫、西村京太郎、山村正夫、西東登、天藤真、草野唯雄らが執筆。全37冊。
【閉鎖するデータベースのデータ、お引き受けします】
ざっさくプラスは、閉鎖予定のデータベースのデータを引き取り、続けて公開します。かねてより、図書館関係者の方から「科研で作られたデータベースで、非常に有益なものなのに、教授の退官時や公開サイトの閉鎖時に消滅してしまうものが多い」という声を聞いておりました。そうしたデータを消さず、拾い上げたいと考えています。方法は主に以下の2通り。
①データを引き取り「ざっさくプラス」に登載。(無償)
②独立したデータベースとして引き取り連携検索して検索結果を「ざっさくプラス」と共に一覧表示。(費用等応相談)
過去にお引き受けしたものに「日本の参考図書WEB版」があります。
どちらも検索結果に元のデータベースのデータであることを示すアイコンを表示します。
詳しいお話をお聞きになりたい方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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★出版ニュース
【新刊】
中我生直佑著、4月17日刊行、定価1500円
本好きにしか見えない本の妖精・夫久山徳三郎(ぶくちゃん)と、ぶくちゃんが住み着いている中規模書店・きらら書店の店員たちの日常を描いたお仕事漫画。著者の中我生直佑さんは現役書店員でもあり、書店の仕事がわかるミニコラム、著者のエッセイも収録しています!「下を向いていいのは本を読む時だけだぜ!」というぶくちゃんの言葉に、編集中なんども励まされました。帯コメントは紀伊國屋書店福岡本店の宗岡敦子さん、解説は現役書店員芸人として活躍するカモシダせぶんさんです。本に関わる仕事をしてみたい!という学生さんにもオススメです。
近代出版研究所編、 4月10日刊行、定価2300円
第3号の特集は「近代出版 調べる技術」。出版業界紙、白ポスト、風俗壊乱絵葉書、新聞の欄外記事と版次、饅頭本、明治期のパブリッシャーズ・マーク、出版流通の社史、税関検閲、読書週間の起源、1980年代のカセットブック……これまでほとんど論じられなかった近代出版の様々なテーマを取り上げます。今年も斯界の重鎮から気鋭の研究者、在野研究者・出版人までユニークな執筆陣が揃いました!
岡部隆志著、4月4日刊行、定価2000円
「悲しむ」という行為について考えてみたことはありますか?いつの時代も、社会や国家は人が「悲しみ」を引きずり過ぎることに否定的です。止まることのない「社会生活」は立ち止まることを許さず、悲しむ心を置き去りに日々は流れていきます。しかし万葉の時代から現在に至るまで、じつに多くの「悲しみ」が詠われてきました。市井の人々の短歌とは、忘却への抵抗でははなったでしょうか? 現代短歌と万葉集の接点を探る、新視点の短歌評論集が纏まりました。
北見継仁著、4月1日刊行、定価4500円
戦前、民俗学の勃興期に精力的に活動した佐渡の青柳秀雄についての初めての研究書が刊行されます。愛書家としても全国区で名を知られましたが、戦後、表舞台からは消えてしまいます。本書はその足跡を、同郷の郷土史家が年譜形式で丹念に辿った労作です。青柳が出版した郷土史誌の復刻・翻刻も収録!解説 菊地 暁「民間伝承の会「支部」をめぐって」
小林昌樹「ブックコレクターとしての青柳秀雄」※日本の古本屋メールマガジンの連載「自著を語る」で編著者の北見継仁さんが本書について書かれています!
【近刊】
『歌誌月光84号』
月光の会発行、4月30日刊行、定価1000円
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、関東大震災から100年を迎えた2023年刊の福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』。自身の父母や血縁と地続きにあったという関東大震災。大杉栄、伊藤野枝、辻潤、宮嶋資夫、古田大次郎……当時を生きた人物の声が「住み着き」「生き返る」とはどのような体験か? 著者インタビューのほか、会員による一首評などを掲載しました。大和志保による短歌評論連載では、2023年下半期以降の歌集を取り上げます。
佐中由紀枝著、5月13日刊行、定価3500円
『月光』の装画を手がけている、画家・佐中由紀枝さんの写真集です。幻視と追憶の画家による写真とオブジェ126 点を収録しています。カメラという筆で描かれた心象、抒情の描写をご覧ください!「光の函」とは、「記憶の函」に他ならない。人生という時間の岸辺に咲いた、悲哀のようにまばゆい孤独の花々!そして、このネガとポジとの危うい逆転を観よ!--福島泰樹(歌人)
『インボイスは廃止一択 消費税の噓がよくわかる本』
犬飼淳著、5月20日刊行予定、定価2000円
2023年10月1日、インボイス制度が開始されました。実はこのインボイス、百害あって一利なしの制度です。会社だけでなく、社会で働くわたしたち全てに関係しています。この制度に反対して、大きな市民運動、「STOP!インボイス」も起こりましたが、大手メディアからは黙殺され、ほとんどの人はその実態を知らぬまま、導入が強行されてしまいました。本書は、約2年間にわたって反対運動の現場に密着し、自らも問題点を指摘し続けた筆者が、その経緯を振り返りながらこの制度の問題について指摘、分かりやすく解説します。
【重版】
『アナキズムを読む 〈自由〉を生きるためのブックガイド』
田中ひかる編、4月3日2刷出来、定価2,000円
格差、分断、差別、そして不自由を強いられる日常のなかで、私たちはどう生き、将来をどう思い描いたらいいのか。閉塞した社会に生きづらさを感じるあなたへ送る、〈アナキズム〉ーー「支配がない状態」という希望と解放の読書案内!
55のブックガイドと多彩なエッセイ・コラムのほか、編者の田中ひかるさんによる「アナキズムの歴史と現在」を収録しています。「アナキズムってなんだか怖いイメージ……」という方にこそ、読んでいただきたい入門書的一冊です。
【ピックアップ】
『中澤系歌集 uta0001.txt』
4/24は中澤系さんの命日でした。短歌の世界での活躍が期待されながら、難病の副腎白質ジストロフィー(ALD)に冒され夭折。2018年に長らく絶版だった本書を再刊してから反響は止まず、ずっと読まれ続けています、2刷以降には特典として書き下ろし栞を封入しています。熊倉献さん(漫画家)、萩原正人さん(臓器移植芸人)、青松輝さん(歌人)、岡野大嗣さん(歌人)の4名にご寄稿いただきました。熊倉さんによる中澤系の短歌作品から連想される様々なモチーフを散りばめた素敵な表紙イラストもぜひご注目ください。
【出版目録】
『皓星社出版目録』2023年10月現在、在庫のある書籍300点弱を、書影・紹介文付きで収録しています。「書名索引」「人名索引」付き。
ご希望の方はこちらから。送料は無料です。
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☆近代出版研究所だより
「近代出版研究叢書・資料編」第4弾の近代書肆懇話会編『帝国図書館コレクション案内――請求記号から見た蔵書構成』(定価2,000円、B5判70頁)、弊社ウェブストアで好評通販中です!
『近代出版研究 第3号』、好評販売中です!
神田神保町の東京堂書店では2週連続で週間ランキングで3位に入りました! 同書店でご購入いただいた皆さま、ありがとうございます。
4号は、出版・古書・図書館・ニューメディアなどを横断的に取り上げてこられ、怪奇・幻想系にも造詣の深い、あの大先達の特集を予定しています。乞ご期待。
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★【イベント開催】ひじりばし博覧会2024 in ソラシティカンファレンスセンター
日時:2024年5月5日(日)12時〜19時半
場所:御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都千代田区神田駿河台4-6)
入場料無料(*プログラムによって、事前予約が必要なものがあります)
当日、出入り自由(一部企画は事前予約制あり)
https://tcha.jp/hijiribashi-exhibition2024/
同イベントに、弊社に縁が深い著者の方々が参加いたします。
対談:「本の町 神保町を極める!」
場所:Room A
時間:14時〜15時半
国内外でも有数の本の町として知られる神保町。古今東西、過去から現在まで、ありとあらゆる文化や知の宝庫である神保町の楽しみ方、極め方について語ります。
〈登壇者〉
・小林昌樹(近代出版研究所所長)
・大尾侑子(東京経済大学准教授)
座談会:「神保町未来形 ― これからの担い手が語る」
場所:Room B
時間:15時半〜17時半
これからの神保町を担う書店、出版社、大学、飲食店等新世代から、これからの神保町の未来について議論します。
〈登壇者〉(敬称略)
大内学(書泉グランデ店次長)
大矢靖之(文芸春秋社マーケティング総局営業推進部)
小栗山美紀(日本酒バルterrA女将)
カラサキ・アユミ(古本収集家・漫画家)
草薙彩音(共立女子大学助教)
森川嘉一郎(明治大学准教授)
司会:玉置泰紀(角川アスキー総合研究所エリアLOVEウォーカー総編集長)
弊社も会場での物販で参加する予定です。お声がけください!
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☆「皓星社友の会」のご案内
友の会は、2020年コロナ禍における「ざっさくプラス」の無償公開を機に、弊社の書籍やデータベースをご愛読・ご愛用くださる会員の皆様の便宜と、皆様と弊社スタッフの間で交流を図ることを目的とし設立いたしました。
友の会割引、イベント参加割引、ざっさくプラス利用権など、得点多数。
…詳しくはこちら。
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★ 編集後記
好評裡に終了した小林昌樹さんの連載「大検索時代のレファレンス・チップス」を再編して、『調べる技術』の続編である『もっと調べる技術』を鋭意編集中です! 第1講「NDLデジタル・コレクションは国会図書館のDXである」、第2講「国会図書館にない本を探す法――古書販売サイトを使う」は書き下ろし! 6月発売予定で進行しております。 (河原)
新刊の校了やざっさくプラスのプロトタイプ版の準備で溶けるように時間がなくなった4月でした。今日4月26日私が言葉の上で影響を受けた二階堂奥歯さんの命日で、彼女よりももう11年も長く生きてしまったと思いながらこの文章を書いています。言葉の世界では死者は死者ではなく、その邂逅を担うのが文字であり、本もデータベースもそのような意味では同じ役割を果たすものだと思います。皆様よい連休を(晴山)
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