ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【ガザ・レバノン南部で計13人の兵士が死亡】(Y,P,H)

国防軍は24~25日の24時間で、ガザとレバノン南部で計13人の兵士が戦死したと発表した。ガザでは25日朝、北部ジェバリアの病院内で軍事作戦を行っていた指揮官訓練部隊の戦車が、爆発物による攻撃に遭い戦車の中に居た兵士たち3人が死亡、1人が負傷した。同病院内にテロリストが潜伏しているとの機密情報があったことによる作戦で、作戦前に入院者の輸送と病院への燃料搬入を行っている。

対ヒズボラ戦線の南レバノンでは24日夜、予備役兵部隊が一時駐屯していた建物に対してロケット弾が撃ち込まれ兵士5人が死亡し、重傷4人を含む19人が負傷。南レバノンでは他にも5人の兵士が死亡しており、1日の間に13人という多くの犠牲者が出た。防衛関係者によると南レバノンでの地上作戦は最終段階にあり、現状のまま進めば1・2週間で終わる見通し。

(10/25)

 

【ヒズボラからのロケット弾によりアラブ系市民2人が死亡】(Y,P,H)

北部のアラブ人町ムジュド・アル=クルムで25日、ロケット弾が町の中心部に着弾し20代の男女2人が死亡し、27人が重軽傷を負った。国防軍によると同じ時刻に約30発のヒズボラによるロケット弾がガリラヤ地方に飛来しており、そのなかの1発により大きな被害が出た。この町には約半月前にも迎撃されたロケット弾の破片により、4人が負傷している。アラブ人の町では自宅内のシェルターが普及しておらず、ユダヤ人の住む町と比べて公共の場のシェルターも少ないためより多くの被害が出ているため、住民たちは「ユダヤ人の自治体と比べてシェルターは7分の1。二級市民としてではなく、政府は私たちを同等に守るべき」との、怒りの声が上がっている。

(10/25)

 

【イスラエルがイランへの大規模な報復攻撃を実施】(Y,P,H)

今月1日にイランから弾道ミサイル181発による攻撃を受けたことへの報復として、イスラエルは25日深夜から26日明け方までの約3時間、数十の戦闘機によるテヘランを中心としたイラン国内への空爆を行った。主な標的は、ロシア製のS300・400といった防空システムや4・10月の攻撃時に使用された弾道ミサイルの製造施設や弾道ミサイル発射のための基地、そしてテヘラン近郊パルチンにある軍事施設とされている。パルチンの施設は間接的に核兵器開発に関連している可能性はあるものの、イスラエルはアメリカからの要請を受けて核やエネルギー施設などへの攻撃は自粛し、軍事施設に限定した攻撃を行った。しかし攻撃はテヘランをはじめ6つの都市圏にある約20の軍事施設と大規模なもので、F35・15・16などの戦闘機や観測機・給油機などを入れると計140機が攻撃に参加したとの報道もある。

攻撃の直後に国防軍報道官は報復攻撃の旨とイランに対する警告のメッセージを出したが、具体的な標的やその数などといった具体的な情報は公表していない。国内メディアは、具体的な被害などを公けにしないことによってイラン側が甚大な被害を否定することができ、これによりイランが隠蔽しイスラエルに対する一連の攻撃をここで打ち切る、または攻撃したとしてもごく小規模なものに抑えることができる、とイスラエル側の意図を解説している。イランとしては戦力を削がれているなかイスラエルとのこれ以上の全面対決は避けたいが、内外に甚大な被害だと知れ渡ると威信のためにも報復せざるを得なくなるため、その間を狙うような攻撃をイスラエルは行った。実際にイラン当局はTVなどで「被害はごく限定的なもの」と主張し、市民の「寝ていて攻撃にも気づかなかった」などといったインタビューを意図的に報道している。

米ホワイトハウスは、両国間の攻撃はこれにて決着がついたとの見解を示すと同時に、「さらなる攻撃を行えば、重い代価を支払うことになる」とイランに対して警告。

(10/26)

 

【テルアビブ北で追突テロか、1人が死亡37人が負傷】(Y,P,H)

テルアビブ北郊外の軍基地近くのバス停で、トラックがスピードに乗ったまま追突し1人が死亡37人が負傷するという事故が発生した。基地の入口付近にあるバス停で起こったのだが、死亡した70代男性を含め死傷者の大半は基地内にある博物館訪問ツアーに参加していた、高齢の市民たち。トラックの運転手はアラブ系市民で、近くに居合わせた武器を所持した市民によって無力化された。働いていた運送会社は「もともとは飲酒もしていたが、ここ数週間は祈り始めるなど敬虔なイスラム教徒に。彼は通るべきルートを外れて、事故が起こったエリアを意味なく周回していた」と話している。しかし家族や親戚は慢性的な病気や疾患がありそれによるものだと主張、テロの容疑を否定している。現在検死など、医学的要因による事故かテロなのかの調査が行われている。

(10/27)

 

【最近までハマスがガザ病院を軍事目的で使用】(Y,P,H)

国防軍はガザ北部ジェバリア地区にある、カマル・アドワン病院での特別作戦を終えたことを発表した。病院内にテロリストが潜伏しているとの機密情報があったことによる作戦で、(一部は10.7にも関与)60人のテロリストが逮捕され、数十の武器やテロ資金・ハマスの書類などが押収された。同病院の救急車の運転手兼救命士は取り調べのなかで、「(作戦直前まで)ハマスの軍事部のメンバーたちが中庭や病棟のゲート、オフィスなどに駐在していた。彼らは救急車を市民ではなく、(医療とは関係のない)自分たちの目的に使用していた。北部の市民はそんな状況に飽き飽きしている」と話し、ハマスが引き続き病院を軍事目的で利用していると証言している。国防軍によると未だにジェバリア地区には数千人のハマスのテロリストが潜伏しているとのことで、病院での特別作戦は終わったが引き続き地区内での活動は続くもよう。

(10/28)

 

【1年間の戦争で、1.2万人の兵士が負傷】(Y,P,H)

国防軍のリハビリテーション部門は、1年続く戦争で約1万2千人の兵士や警察官・諜報員が負傷したと発表した。ここ1月間はレバノン南部での地上作戦があるため、910人が負傷するなど北部戦線での負傷者が増えている。また負傷者全体の1/8にあたる1500人が、1年間で2度負傷しているというデータも公表された。同部門によると負傷兵1人に対する治療・リハビリには600万円が掛かるとされており、現状では約3000億円の予算が充てられているが、同部門長は「十分かつ適切なケアを行うためには、さらなる予算が必要」と話し、警鐘を鳴らしている。また4割に当たる5000人は精神的な傷を負っているとの発表だが、1月の段階で9000人の兵士がメンタルケアの相談窓口に問い合わせているというデータもあるため、実際には報告の何倍もの兵士がPTSDなどに苦しんでいると予想される。

(10/29)

 

【ヒズボラ・イスラエル間で停戦交渉前進の兆し】(Y,P,H)

南レバノンでの地上作戦は最終段階にあるとの先週末の報道に続き国内メディアが、ヒズボラ・イスラエル間で停戦交渉が進みつつあると一斉に報じた。それによると現状での停戦案は60日間で、イスラエルは戦略的な数か所を除き大半の兵力をレバノンから撤退させる代わりに、ヒズボラはリタニ川以北に撤退。そしてレバノン軍が5000~10000人規模で南レバノンに駐屯し国連駐留軍と共に監視を行いヒズボラによるテロ拠点化を防ぎ、アメリカの監視やロシアが後見役となってヒズボラが再軍備しないよう監視し、圧力を掛けるというもの。またイスラエルはこれらをヒズボラが違反した場合、自らヒズボラの拠点を攻撃する権利を条件として求めている。現状イスラエルは停戦交渉中は戦闘継続の意を示す反面、ヒズボラは交渉期間中からの停戦を要求しているなど停戦交渉はまだ本格化していないが、ガラント防衛相が「ヒズボラのイスラエルを攻撃する(ミサイルなどの)能力は、戦前の20%」と発言したことからも、イスラエルは戦闘から停戦という外交的解決に向かいつつある。

(10/29)

 

【ヒズボラとの停戦案が報道される】(Y,P,H)

イスラエル国営放送が、イスラエル・ヒズボラ間の停戦案の原案をスクープした。これはバイデン大統領によりイスラエル・レバノン/ヒズボラ間の仲介役として任命された、アモス・ホフシュテイン特使によって作られた草案。そこには両者間での攻撃停止はもちろん、レバノン政府による(ヒズボラに渡らないよう)全ての武器輸入への厳しい監視、休戦8日目にイスラエルはレバノンを撤退しその代わりにレバノン軍が駐在し、ヒズボラが再軍備を進めないよう監視すること、南レバノンにおける正規軍以外の全ての組織の武装解除、そしてこれら停戦協定をヒズボラが違反しレバノンが抑制できなかった場合、イスラエルはレバノン全域で脅威排除のために行動できる、といったことなどが盛り込まれている。

アメリカ政府は大統領選(11/5)までの停戦締結は非現実的としながらも、それまでにイスラエル・ヒズボラ間での大筋の合意や停戦交渉での大きな進展を達成したいとの意向。

(10/30)

 

【イラン、米大統領選前にもイスラエルへ報復か】(Y,P,H)

米CNNはイランでの内情に明るい有力な関係者筋からの情報として、アメリカ大統領選の前にもイランがイスラエルに対して報復攻撃をする可能性があると報道した。どこからの情報かははっきりさせていないがイラン政府関係者と思われ、「イランはシオニズム政権に対し、激しく痛みの伴う反撃をするだろう」との言葉を引用。26日の攻撃直後は被害の規模などを意図的に国内で伝えず、「イスラエルによる心理的揺さぶりに過ぎない」との報道まであったが、衛星写真などとともに国際メディアから被害の全貌を明らかにする記事が多く出たため、威信を守るためにも報復せざるを得ない状況になった可能性もある。

この報道を受けホワイトハウスと国務省の両報道官は記者会見内で、「イランはイスラエルを攻撃するべきではない」と釘を刺し、もし攻撃があった際にはイスラエルの防衛のために動く旨を述べている。

(10/31)

 

◯ 内政

【国会、イスラエルでのUNRWAの活動を非合法化】(Y,P,H)

国会はUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の国内での全ての活動を禁じる法案を、賛成93人の賛成多数(定員120)で可決した。これにより東エルサレムにあるUNRWA事務所は活動停止となり、同団体のイスラエル国内における直接・間接的な活動が合法的なものではなくなる。イスラエル社会では長年にわたって「UNRWAは難民問題の解決ではなく、永続させている」との批判の声があり、そんななか10月7日の虐殺にUNRWAの職員やUNRWA付属校の卒業生が関わっていたことを受け、ここ数か月間の間UNRWA非合法化を求める声が上がっていた。国際社会はこのイスラエルの動きに懸念を示しており、この日の採決前には英仏独日韓などの外相による連名の書簡がイスラエルに対してあり、法制定の停止を求めていた。またアメリカは大使館を通じ、ラピード野党議長やガンツ前防衛相に対して反対を要請していたが彼らも賛成票を入れ、結果的には圧倒的多数の賛成で法案成立が決まった。

外務省関係者はこの法成立により、国連憲章に抵触するとの理由で加盟資格一時停止の処分を受ける可能性も指摘している。

(10/28)

国際情勢

【エジプトが部分的停戦案を提示、カタールとの見えない競走も】(Y,P,H)

エジプトのシシ大統領が行き詰った現状を前進させることを目的とした、イスラエル・ハマス間の部分的停戦案を提示したと発表した。このエジプト独自の案は48時間の停戦中にハマス側は4人の人質を解放し、イスラエル側はそれに応じてパレスチナ人囚人を釈放するというもので、この間に恒久的休戦のための交渉を行うというもの。サウジメディアは「ハマスはエジプトによるエジプト案を歓迎しているが、ガザ北部と2つの回廊からのイスラエル軍の撤退を要求している」と報道。また同じ日にはモサド長官が、2か月間凍結されていた交渉を再開するためCIA長官・カタール首相との3者会談のためドーハ入りしている。このエジプト・カタールで進む休戦交渉のための動きの裏には、誰が仲介国として主導権を握るかという両国間の見えない競い合いがあるとされ、エジプトが部分的停戦案を進め始めイスラエル・ハマス両者が歓迎していたことから、カタールがそれに対抗するためにドーハでの会談を急きょ行った、とイスラエルメディアは報道している。

(10/27)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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