ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【イラクからの無人攻撃機により兵士2人が死亡、24人が負傷】(Y,P,H)
2日未明にイラクから飛来した無人攻撃機がゴラン高原の基地に着弾した件について4日、国防軍はゴラニ旅団に所属する19歳の兵士2名が死亡し、重傷2人を含む24人が負傷したと発表した。犠牲者の1人タル・ドロールさんは5月1日に兵役に就き、新兵訓練を終えたばかりだった。
イランから飛来したのは2機でその内の1発は迎撃に成功したものの、着弾したもう1発については防空システムが検知出来なかったため、基地内の警報が作動せず多くの死傷者が出たもよう。イラクの親イラン組織からの攻撃による死者は初で、7月にフーシ派の攻撃により死者が出た際、イスラエルはフーシ派の重要な拠点ホデイダ港を攻撃したことから、今回の攻撃にどう対応するのかが注目されている。(10/4)

 

【空軍がダヒヤ地区を攻撃、ナスララの後継者が死亡か】(Y,P,H)
空軍は3日夜、ベイルートのダヒヤ地区にある複数の建物に対して地中貫通爆弾を含む大規模な攻撃を行った。アラビア語の報道官が緊急の避難勧告を発表し、その数分後に空爆が。標的は地下にあるヒズボラ諜報司令部で、攻撃時にはナスララのいとこで後継者の有力候補ハシェム・サフィディンが会談のために居たとされている。
翌5日にサフィディン死亡とのイスラエル関係者の談話をアラブメディアが報道し、会談参加者全員が消息不明だとの情報もあるが、正式な発表はまだされていない。サフィディンはヒズボラ内の軍・執行部であるジハード協議会の主要メンバーで、ナスララの代わりに公共の場に姿を現すなど、ナスララの後継者とされてきた。また息子が(2020年に米により殺害された)イラン革命防衛隊の司令官カセム・スレイマニの娘と結婚しているなど、イランに近く過激な人物とされている。(10/4-5)

 

【国防軍、イスラエル国境付近のヒズボラトンネルを公開】(Y,P,H)
国防軍のハガリ報道官は5日夜に記者会見を行い、レバノン南部での地上作戦によって見つかったヒズボラ特殊部隊『ラドワン部隊』の地下トンネルの動画を公表した。イスラエル国境から300mの地点から見つかったもので、長さは約250mでイスラエル領内には到達していなかった。
動画には小さなキッチンや冷蔵庫や同部隊の司令部・大量の武器なども発見されており、このようなトンネルから(ハマスが行ったような)ガリラヤ地方への越境攻撃を企てていたと、報道官。またトンネル発見時にはテロリストたちとの戦闘もあり、地上作戦が始まってから440人のテロリストが排除されている。
軍部記者によるとガザとは地質が全く違い、硬い岩盤を掘削したヒズボラのトンネルは彼らの技術力の高さを物語っており、トンネル建設に掛かる時間などから数年単位の計画だった、とのこと。8日には別の場所でイスラエル領に10m侵入した地下トンネルが見つかったと、国防軍は発表している。(10/5,8)

 

【南部バスターミナルで乱射テロし、女性兵士1人が死亡】(Y,P,H)
南部の中心都市ベエルシェバで6日午後、テロリストが中心部のバスターミナルで銃を乱射、1人が死亡し9人が負傷した。犯人はベドウィン系イスラエル市民で防弾チョッキを着け、拳銃・サバイバルナイフを手にバスターミナル内のマクドナルドへ入り、昼食時で混雑しているなか拳銃を乱射した。
死亡したのは南部の国境警備隊兵士のシラ・ススリックさん(19)で、国境警備隊の兵士たちと共に居たところを至近距離から銃撃を受け、現場で死亡が確認された。このバスターミナルでは7か月前にもテロが起こっており、10月7日にはハマスが大規模なテロを再び起こそうとしている機密情報もあり、南部はいつも以上に厳戒態勢だったなかのテロだった。
犯人は2015年に同じバスターミナルでテロを行った犯人と親戚関係にあり、その犯人はハマスと関係があったため、警察はこのテロもハマスによるものではと調査している。(10/6)

 

【ネタニヤフ首相がヒズボラ後継者死亡と発言】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相は8日、レバノン国民に向けたメッセージ動画を英語で発信。その中で「数千人のテロリストを殺害し、その中にはナスララと彼の後継者、そして後継者の後継者も含まれる」と発言し、ハシェム・サフィディンの死亡を認める発言をした。
サフィディンはナスララの後継者筆頭とされており、3日夜にイスラエルが行ったダヒヤ地区司令部への攻撃より消息を絶っており、イスラエル関係者からは死亡の可能性が高いとの声が上がっていた。しかしこのメッセージ後に国防軍報道官は、「ヒズボラが攻撃による被害を隠しており、まだ調査中」と首相の発言と矛盾する声明を発表している。(10/8)

 

【ヒズボラ指導者は停戦明言も、ハイファ地区に過去最大の攻撃】(Y,P,H)
8日昼に北部最大の都市ハイファとその近郊に2度サイレンがなり、約30分の間に100発を越えるロケット弾が飛来した。ハイファへはここ1週間ほど攻撃が続いているが、最大の規模。その多くは迎撃されたが最低でも3発は市街地に着弾、また迎撃されたミサイルの一部や、迎撃ミサイルの破片が落下しての被害なども報告されている。またガリラヤ湖畔のティベリアへの約25発のロケット弾攻撃も、確認されている。
直前にはナスララの補佐役で現在ヒズボラの指導者となっているナイム・カセムが、ガザでの停戦という条件なしに「停戦を支持する」との声明を出したなかでの攻撃となった。翌9日にも北部から中央部カイサリアまでの広範囲に200発以上のロケット弾が飛来、2人が死亡している。(10/8-9)

◯ 内政

【祭りで公共交通が運休、千人以上の兵士が基地に行けず】(Y,P,H)
2日からユダヤの新年・安息日と4日間に渡って聖日になるため公共交通が停止するなか、千人規模の急きょ招集を受けた予備役兵たちが南北の基地まで行く術がないという事例が多数起こった。
緊急招集を受けたにもかかわらず兵士が動くためのバスがない事態を受け、民間のNPOやテルアビブ市が共同で無料シャトルバスを運行。また同時に数十のチャットグループが即席で開設され、自家用車に乗り合って基地に向かうなど、市民による努力により多くの兵士たちが無事に基地にたどり着いたが、大きな問題となった。
非難を受けている交通省・防衛相はお互いの管轄だと責任転嫁しており、同様の事例が去年の10/7の際にも起こっていたため、右派・左派や宗教・世俗派を越えて批判・失望の声が広がった。(10/4)

 

【10.7から1年:分裂を象徴するような2つの追悼式典】(Y,P,H)
10月7日から1年を迎えたこの日、19時からは拉致被害者や戦没者の家族たちなどによる『市民による追悼式典』が、そしてその直後の21時からは国主催の『公式式典』という、2つの異なる追悼式典が行われた。10.7から1年にどのような式典を行うかについては8月から活発な議論がなされ、国家式典の責任者に問題発言などで知られるミリ・レゲブ交通相が任命されていたことに、拉致被害者の家族・遺族たちは反発。
その後、式典のあり方などについて家族・遺族がレゲブ交通相に批判的な声を上げると、レゲブ氏はそれに対し『ノイズ』と形容し無視すると発言。また家族・遺族たちが独自の式典開催を模索し始めると、「(戦没者記念日に行われ、極左色が強くテロリストと犠牲者の死が同列にされていると非難もされている)イスラエル・パレスチナ共同の追悼式典のようなものだ」と批判。
また10月7日における政府の過ち・責任問題について、「言及の必要なし」との姿勢を示したことにより両者の決裂が決定的となり、国家と家族・遺族が2つの式典を別々に行うことになった。有名歌手からのレゲブ氏の代わりに遺族の女性たちが企画に加わる案や、(非政治的な)大統領が代わりにホスト役をするなどといった代替案も提示されたが、レゲブ氏は拒否していた。
そんな背景から行われた2つの式典に対して右派の1局を除き、公共・民放TV局は両方を続けて放送。視聴率は家族・遺族による式典の方が概ね高く、(右派系を除く)メディアは一様に「格式張った国家式典と比べ、被害者やその家族が前面に出て人間味があり、23名の有名アーティストが無償出演し、数万人から集まった募金によって実現したといった背景もあり、より感動的だった」と2つを比較し論評。そして同時に、2つの式典が必要だったという事実がイスラエル社会の亀裂の深さを物語っている、と警鐘を鳴らしている。(10/7)

 

【テルアビブの広場での大贖罪日礼拝、今年は中止に】(Y,P,H)
ユダヤ教宣教団体がテルアビブ中心部の広場で、大贖罪日の礼拝を男女を隔てる仕切りを設置した形で開催することを求めていた事例で最高裁は9日、テルアビブ市に対して男女を隔てたままでの開催を認めるよう命令した。市は条例で「男女が別になっている行事開催を公共の場では禁じる」としており、同団体はそれに反発し最高裁に訴えていた。
しかし最高裁は中央部の大きな広場ではなく少し離れた小規模な公園での開催を決めたため、メディアは妥協案と報道。しかし翌10日に同団体は「法に則った礼拝であるにもかかわらず、妨害の計画が立てられている」との理由から、公園での大規模な礼拝を中止し地元のシナゴグで祈りを捧げると発表した。
正統派ユダヤ教は男女が共に祈ることを禁じており、世俗的なテルアビブの公共スペースで宗教イベントを行う際、度々裁判所が男女別か否かについての判決を行っている。去年も同様の問題が発生し地方裁は宣教団体の申し立てを退けたが、実際の礼拝では仕切りが設置され世俗派と正統派の間で衝突が起こっていた。(10/9-10)

国際情勢

【仏、国際社会にイスラエルへの兵器供給の中止を呼び掛け】(Y,P,H)
仏マクロン大統領は5日地元メディアの取材で、「現在は政治的解決に戻ることが最も重要であり、ガザでの戦闘に対する武器供給を私たちは止めるべきだ」と発言、国際社会に対しても同様の手段を取る必要性を述べた。
米英は、明らかな国際人道法への抵触の恐れがある戦闘/場所に使用される可能性が高いとされる輸出に関し、一部停止する処置を取って来たが、全面的な輸出停止を西側の主要国が公に呼び掛けるのは初めて。しかし、フランスはイスラエルに対して武器輸出はしていないため、実際に輸出停止が起こる訳ではない。
しかしこれを受けてネタニヤフ首相は、文明国家はテロからの自衛のために戦うイスラエルを支援すべきで、『恥ずべき』発言と厳しく非難している。(10/5-6)

 

【1月半ぶり、ネタニヤフ首相とバイデン大統領が会談】(Y,P,H)
9日にネタニヤフ首相とバイデン大統領が、1月半ぶりに首脳会談を行った。会談は50分ほど(米側は30分と主張)で、アメリカ側からは大統領候補カマラ・ハリス副大統領やブリンケン国務長官なども参加し、主にイスラエルからイランへの報復攻撃についての話し合いがもたれた。
1か月半ほど米イ首脳間で話し合いがなかったことについて米関係者は、ネタニヤフ氏との関係は冷え切っており会談は平行線になるため、バイデン氏は両国間のやり取りをできるだけ実務者間が行うことを希望していると語っている。アメリカはイスラエルに対して、核や石油施設ではなく軍事・諜報施設への攻撃にとどめるよう求めており、米国内では米政府はイスラエルとの意思疎通に満足というのと、イスラエルから何も知らされておらず不信感を募らせているという、相反する情報が報じられている。(10/9)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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