ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【レバノン北部へ上陸し、上官特別作戦実施】(Y,P,H)
1日未明に海軍特殊部隊の第13艦隊が、国境から北に140キロの場所でベイルートの北にあるバトルーンに上陸し、ヒズボラ海軍の司令官を拘束するという特別作戦を行ったことが分かった。拘束されたのはイマッド・ファデル=アムハズで、当初はヨルダン海軍士官と報道されたが、その後ヒズボラ海軍内にある数十人規模の小さな秘密部隊の司令官であることが判明。
秘密部隊の司令官ということからヒズボラによる対艦巡航ミサイルでの攻撃など、海上での活動における有力な情報源としての拘束ではと考えられている。現地レバノンメディアによると当初はイスラエルへの内通者との可能性も指摘されたが、危険を伴う異例の作戦であったことからも拘束を目的とした作戦だったとのこと。
報道翌日の3日にはレバノンメディアが、作戦は20人のイスラエル兵によるわずか4分ほどのもので、イスラエル軍が防犯カメラのデータを遠隔操作で削除していたこと、そして拘束されたアムハズの自宅からはパナマを含む海外の旅券や、海外のSIMカードが大量に見つかっていることなど続報を伝えている。(11/2-3)

 

【ネタニヤフ首相の訪問直前に無人攻撃機が飛来】(Y)
ネタニヤフ首相はこの日、イスラエル最北部で多くの住民が避難しているメトゥラへの訪問を予定したが、到着の約20分前に無人攻撃機が町に飛来。北部戦線の駐屯地近くに着弾したことを受け、ネタニヤフ首相は訪問と北部指揮官との会談を急きょ取りやめて別の場所へ向かった。
この日発表されたデータによるとメトゥラは、10月の間にヒズボラによるロケット弾が81発飛来するなど最も攻撃を受けている場所。ちなみに先月の間にヒズボラからは、北部中心だがテルアビブなどを含め1158発のロケット弾が飛来しており、これはそれまでの1月平均数と比べると420%増で、テルアビブに向けても12発が撃ち込まれている。(11/3)

 

【イランのためにスパイ行為を行うシリア人を拘束】(Y,P,H)
国防軍は7月に対ゲリラの特殊部隊であるエゴズ部隊がシリア領内で特別作戦を行い、イランに内通しイスラエルへのスパイ行為を行っていたシリア人、アリ=スレイマン・アル=アシを逮捕していたことを発表した。アル=アシはイランによって雇用され、国境部からイスラエル軍の動きを報告していた。
取り調べ動画と共に逮捕を公表した報道官は、「この逮捕は将来的な攻撃を阻止したと同時に、ゴラン高原でのイランによるテロネットワークを暴くことへと繋がった」とコメントしている。
エゴズ部隊はここ数年の間シリア・レバノン領内で、イスラエルに対する攻撃を未然に防ぐための極秘作戦を数々行ってきていおり、アル=アシについても作戦実行の数週間から彼の行動をつぶさに監視していたことが分かっている。(11/3)

 

【空軍、ダマスカスのヒズボラ諜報司令部を空爆】(Y,P,H)
空軍はダマスカス近郊にあるヒズボラ諜報部の3拠点に対して空爆を行い、ヒズボラのメンバー2人が死亡、5人が負傷した。
シリアメディアで報道された後、国防軍報道官も「シリア内にヒズボラが持つ軍や諜報部の拠点への攻撃は、国防軍のレバノン内での作戦に貢献し、ヒズボラに損害を与えている」と、イスラエルによる攻撃であると公表した。イスラエルはこれまでシリアへの攻撃については沈黙を守ってきたため、自らシリアへの攻撃を認め声明を出すのは異例。
防衛関係者は今回の攻撃について、シリアがヒズボラ・イラン間のパイプ役になることの阻止が目的だと語っている。同時に国防軍は先月初めにイスラエルが行い、ナスララ後継者の有力な1人だったハシェム・サフィディンが死亡した空爆で、シリアのヒズボラ諜報部トップも死亡していたと発表もしている。(11/4)

 

【イラン、イスラエルに対して『複合的攻撃』の実施か】(Y,P)
米WSJ紙はイラン政府が外交官を通じて複数のアラブ国に対し、イスラエルに対してより大規模で『複合的』な報復攻撃を行う意向を伝えた、と報じた。先月末にイスラエルが報復攻撃を行った直後には、イランが報復せずに幕引きとなるとの論調が強かった。
しかしイラン軍部が最高指導者ハメネイに被害の規模を報告したところ無視するには被害が大き過ぎ、報復を行わなければ敗北を認めることになるとの姿勢をハメネイが示したため、イランは報復攻撃に向けて動き始めたもよう。
記事内ではイランからの情報を得たエジプト・バーレーン・オマーンの関係者たちのコメントがあり、イランからは「前回(10/1)よりも大規模かつ攻撃的なものとなり、より強力なミサイルを用いつつ別の武器を使用することも計画されている」との警告があった。また報復攻撃のタイミングについては、米大統領選(11/5)と就任式(来年1月)の間になるだろう、とイラン関係者は言及している。(11/4)

 

【中央部で1日に2度のサイレン、北部では18歳の少年が死亡】(Y,P,H)
この日もヒズボラからイスラエルに向けて数百発のロケット弾が撃ち込まれ、11時と16時には中央部の広範囲に飛来し、サイレンが鳴る事態となった。午前の攻撃では10発のミサイルがテルアビブをはじめ中央部まで飛来し、そのうちの1発はベングリオン空港の敷地内にある駐車場に着弾。
少し離れた場所で駐車していた車も少なく被害は微少だが、空港内着弾の様子は国際的に報じられたため空港関係者は、「現状でイスラエルに就航している海外の航空会社は15社で、世界的な大手はフライトを見合わせている。この着弾により、便再開に動き始めていた大手航空会社も二の足を踏むだろう」と話している。
また夕方にあった北部へのロケット弾攻撃では海岸部の農地に着弾があり、地元住民で農作業をしていた18歳の少年が死亡している。(11/6)

◯ 内政

【2025年の予算成立、戦争を支えるために多くの増税が】(Y,P,H)
内閣は23-7の賛成多数で2025年国家予算案を可決し、国会での審議・議決に入ることになった。国家予算の総額は24兆6000億円で、戦争の影響がまだ続くことから予備役兵のための治療費・ケアなどへ3600億円、そしてヒズボラからの被害を受けている北部の復興・開発に6000億円が充当されることになっている。
各省庁でも様々な予算削減がなされることになっているが、予算をカバーするために大規模な増税が決まっており、消費税は17%から18%に上がり、所得税や国民保険料も揃って引き上げられることに。常に予算時に議論となっている超正統派への助成金などについてはおおむね維持されているため、労働・中間層が最も増税の影響を受ける結果になっている。
スモトリッチ財務相は「戦争をサポートしながらも、経済的成長をもたらすもの」と成果を強調する一方、ラピード野党議長は「イスラエルの各家庭が年間80万円の増税負担に苦しむなか、10の不要な省庁が存続している」と批判の声を上げている。(11/1)

 

【ネタニヤフの関係者が防衛に関する情報漏洩で逮捕される】(Y,P,H)
先週日曜日、ネタニヤフ首相の元報道官など複数の人物が国防に直結する機密情報を漏洩させた疑いで、逮捕されていたことが判明した。警察・シンベト・軍の共同による捜査によると首謀者と見られるエリ・フェルドシュテイン元報道官は、軍・諜報部の許可がないにもかかわらずにネタニヤフ氏に同行し、機密性の高い会議に参加していた。
また彼らは9月には独大手紙をはじめ海外メディアに対し、「シンワル自身が書いた書類」といった捏造した情報をリークし、ネタニヤフ氏が押し進める戦争政策を後押しするような意図的な情報操作を行っていた疑いもある。このような事例をはじめガザでの戦闘の目標達成を阻み、国の安全保障を損なう情報を漏洩させた容疑で、首相の関係者たちが逮捕されることとなった。
この1年間政府と軍・諜報機関の間では緊張状態が続いているが、この事件発覚から軍・諜報機関は機密情報のやり取りをネットワークなどの電子的方法ではなく、配達員を使っての書類のやり取りというアナログなものに変えたとの報道もある。
4日には新しい情報が報道され、この情報漏洩がさらに続いていれば人質や兵士たちを危険に晒す可能性があったことや、容疑者のうちの4人は軍諜報部の情報セキュリティー科の予備役兵であり、このような情報漏洩を防ぐ任務を行っていたことが伝えられている。(11/1-4)

 

【ネタニヤフ首相、ガラント防衛相を更迭】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相は「戦争の進め方における大きな意見の相違が露呈した」との理由から、ガラント防衛相の更迭を発表した。戦前からガラント氏はネタニヤフ氏の進める司法改革に反対したことで一時更迭され、全国を巻き込む大規模なデモに発展したことで解任が取り消されるなど、両者の関係は良好ではなかった。
そして10/7以降はハマスへの完全勝利と人質解放の両者の間でのバランスにおいて、両者間の対立はより表面化。ある程度の妥協をしてでも人質解放・休戦へ向かうべきとする軍・諜報部、そしてそれを支持するガラント氏とネタニヤフ氏の間での亀裂は大きくなり、ここ数か月間ガラント解任についての報道は何度かされていた。
ネタニヤフ氏は「戦争の進め方」を解任の理由にしているが、現地メディアは一様に超正統派の兵役免除が背景にあると指摘している。超正統派は自身の若者たちへの兵役免除継続を条件に政権入りしていたが、戦争勃発により超正統派にも兵役を求める世論と、軍を司るガラント氏による免除継続への強い反対などもあり、兵役免除についての法案成立は一時的に断念。
その代わりに、兵役拒否をした超正統派の家庭も社会・経済的制裁を受けずに、保育料扶助成度を引き続き利用できる法律制定を目指していたが、これもガラント氏をはじめ与党内から反対が出たため過半数を確保できない事態になっていない。これを受けて超正統派は、政権運営への協力拒否をちらつかせて圧力を強め、ネタニヤフ氏は政権維持のために解決を迫られていた。
解任発表の前日に、ガラント氏の指示により7000人の超正統派に対し召集令状が送付されていたことや、ガラント解任により超正統派の望む兵役免除制度を法定化しやすくなったことから、この解任劇の裏には1年以上続く戦闘よりも超正統派の兵役問題があったというのが、国内の共通見解。ちなみに後任には、軍内でのキャリアがないイスラエル・カッツ外相が決まっている。(11/5)

国際情勢

【ネタニヤフ首相がトランプ再選を祝福】(Y,P,H)
トランプ前大統領が大統領に当選したことを受け、ネタニヤフ首相は祝電を行った。首相府によるとネタニヤフ氏は最初に祝福の電話を掛けた首脳の1人で、「歴史上最も偉大なカムバック」とトランプ氏を祝福。また、イラン問題についての話し合いを主に行ったとのこと。
イランの核問題についてネタニヤフ側はトランプ政権がより強硬な姿勢と取ることに期待する一方、トランプ氏は選挙戦中に核合意の必要性を明言しているため、どうなるかが注目されている。
またパレスチナ問題に関してもトランプ氏は「ガザで起こっていることは受け入れられず、終わらせるべき」との発言を繰り返しており、勝利演説でも「私は戦争を終わらせる」と語っているため、前政権時のようにイスラエルに対して全面的に支持するかどうかは不透明といった声も。
しかしハリス氏よりも親イスラエルであることから、ラピード野党議長も「歴史的カムバックを祝福する」とコメントするなど、与野党から歓迎する声が。(11/6)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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