【レバノン北部へ上陸し、上官特別作戦実施】(Y,P,H)
1日未明に海軍特殊部隊の第13艦隊が、国境から北に140キロの場所でベイルートの北にあるバトルーンに上陸し、ヒズボラ海軍の司令官を拘束するという特別作戦を行ったことが分かった。拘束されたのはイマッド・ファデル=アムハズで、当初はヨルダン海軍士官と報道されたが、その後ヒズボラ海軍内にある数十人規模の小さな秘密部隊の司令官であることが判明。
秘密部隊の司令官ということからヒズボラによる対艦巡航ミサイルでの攻撃など、海上での活動における有力な情報源としての拘束ではと考えられている。現地レバノンメディアによると当初はイスラエルへの内通者との可能性も指摘されたが、危険を伴う異例の作戦であったことからも拘束を目的とした作戦だったとのこと。
報道翌日の3日にはレバノンメディアが、作戦は20人のイスラエル兵によるわずか4分ほどのもので、イスラエル軍が防犯カメラのデータを遠隔操作で削除していたこと、そして拘束されたアムハズの自宅からはパナマを含む海外の旅券や、海外のSIMカードが大量に見つかっていることなど続報を伝えている。(11/2-3)
【ネタニヤフ首相の訪問直前に無人攻撃機が飛来】(Y)
ネタニヤフ首相はこの日、イスラエル最北部で多くの住民が避難しているメトゥラへの訪問を予定したが、到着の約20分前に無人攻撃機が町に飛来。北部戦線の駐屯地近くに着弾したことを受け、ネタニヤフ首相は訪問と北部指揮官との会談を急きょ取りやめて別の場所へ向かった。
この日発表されたデータによるとメトゥラは、10月の間にヒズボラによるロケット弾が81発飛来するなど最も攻撃を受けている場所。ちなみに先月の間にヒズボラからは、北部中心だがテルアビブなどを含め1158発のロケット弾が飛来しており、これはそれまでの1月平均数と比べると420%増で、テルアビブに向けても12発が撃ち込まれている。(11/3)
【イランのためにスパイ行為を行うシリア人を拘束】(Y,P,H)
国防軍は7月に対ゲリラの特殊部隊であるエゴズ部隊がシリア領内で特別作戦を行い、イランに内通しイスラエルへのスパイ行為を行っていたシリア人、アリ=スレイマン・アル=アシを逮捕していたことを発表した。アル=アシはイランによって雇用され、国境部からイスラエル軍の動きを報告していた。
取り調べ動画と共に逮捕を公表した報道官は、「この逮捕は将来的な攻撃を阻止したと同時に、ゴラン高原でのイランによるテロネットワークを暴くことへと繋がった」とコメントしている。
エゴズ部隊はここ数年の間シリア・レバノン領内で、イスラエルに対する攻撃を未然に防ぐための極秘作戦を数々行ってきていおり、アル=アシについても作戦実行の数週間から彼の行動をつぶさに監視していたことが分かっている。(11/3)
【空軍、ダマスカスのヒズボラ諜報司令部を空爆】(Y,P,H)
空軍はダマスカス近郊にあるヒズボラ諜報部の3拠点に対して空爆を行い、ヒズボラのメンバー2人が死亡、5人が負傷した。
シリアメディアで報道された後、国防軍報道官も「シリア内にヒズボラが持つ軍や諜報部の拠点への攻撃は、国防軍のレバノン内での作戦に貢献し、ヒズボラに損害を与えている」と、イスラエルによる攻撃であると公表した。イスラエルはこれまでシリアへの攻撃については沈黙を守ってきたため、自らシリアへの攻撃を認め声明を出すのは異例。
防衛関係者は今回の攻撃について、シリアがヒズボラ・イラン間のパイプ役になることの阻止が目的だと語っている。同時に国防軍は先月初めにイスラエルが行い、ナスララ後継者の有力な1人だったハシェム・サフィディンが死亡した空爆で、シリアのヒズボラ諜報部トップも死亡していたと発表もしている。(11/4)
【イラン、イスラエルに対して『複合的攻撃』の実施か】(Y,P)
米WSJ紙はイラン政府が外交官を通じて複数のアラブ国に対し、イスラエルに対してより大規模で『複合的』な報復攻撃を行う意向を伝えた、と報じた。先月末にイスラエルが報復攻撃を行った直後には、イランが報復せずに幕引きとなるとの論調が強かった。
しかしイラン軍部が最高指導者ハメネイに被害の規模を報告したところ無視するには被害が大き過ぎ、報復を行わなければ敗北を認めることになるとの姿勢をハメネイが示したため、イランは報復攻撃に向けて動き始めたもよう。
記事内ではイランからの情報を得たエジプト・バーレーン・オマーンの関係者たちのコメントがあり、イランからは「前回(10/1)よりも大規模かつ攻撃的なものとなり、より強力なミサイルを用いつつ別の武器を使用することも計画されている」との警告があった。また報復攻撃のタイミングについては、米大統領選(11/5)と就任式(来年1月)の間になるだろう、とイラン関係者は言及している。(11/4)
【中央部で1日に2度のサイレン、北部では18歳の少年が死亡】(Y,P,H)
この日もヒズボラからイスラエルに向けて数百発のロケット弾が撃ち込まれ、11時と16時には中央部の広範囲に飛来し、サイレンが鳴る事態となった。午前の攻撃では10発のミサイルがテルアビブをはじめ中央部まで飛来し、そのうちの1発はベングリオン空港の敷地内にある駐車場に着弾。
少し離れた場所で駐車していた車も少なく被害は微少だが、空港内着弾の様子は国際的に報じられたため空港関係者は、「現状でイスラエルに就航している海外の航空会社は15社で、世界的な大手はフライトを見合わせている。この着弾により、便再開に動き始めていた大手航空会社も二の足を踏むだろう」と話している。
また夕方にあった北部へのロケット弾攻撃では海岸部の農地に着弾があり、地元住民で農作業をしていた18歳の少年が死亡している。(11/6)