【国連部隊の基地から200mの場所にヒズボラの拠点】(Y,P)
国防軍は南レバノンでの地上作戦中、予備役兵による第9旅団が国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の基地からわずか200mの場所で、ヒズボラによるテロリストの訓練施設を発見したと発表した。
敷地内からはイスラエル北部に標準を合わせて設置されたロケット弾発射台や、テロリストのためのトレーニングマニュアル、またイスラエル北部で作戦を行うための地図など、テロリストを養成するための資料が発見されている。また施設内からは自動小銃の銃弾や手榴弾、ロケット弾、ロケットランチャー、対戦車ミサイル、暗視装置やスコープ、イラン製の車両の上に設置できる無反動砲など、大量の武器が見つかり、押収されている。(11/8)
【カタール、仲介停止とハマス追放か】(Y,P,H)
ハマス政治部がありアメリカと共に休戦交渉の仲介役となっていたカタールが、仲介役としての働きを停止するとアメリカ・イスラエル・ハマスに対し通達していたことが判明した。カタールは両者が交渉に対して真剣な姿勢を見せるまでは仲介を停止すると同時に、同国内にあるハマス政治部の事務所閉鎖と幹部らの国外追放を考えており、(ハマスは否定しているが)幹部たちに対して「望まれない存在」であることを伝えたもよう。
この背景には米国籍を持つイスラエル人が8月末、ハマスにより地下トンネルで殺害されたことがある。米国籍でもあることから、その人質は死なせないようにとカタールからハマスに特に強い圧力があったが、結果的には殺害されたことから米はそれ以降カタールを通じてハマス幹部の追放を要求していた。
外交関係者によると、カタールはハマス政治部を残すことによって休戦交渉を進められると考えていたが、ハマスが案に対して拒絶の姿勢を続けるため結果的にテロ組織であるハマスを匿っている状態になっており、トランプ氏就任を前にハマスとの距離を取りテロ支援国家ではないことを示したいのではとのこと。(11/9)
【ハマスによる政権反対者に対する拷問動画が公開】(Y,P)
国防軍は46分間にわたる、ハマスの治安維持部が政権に反対するガザ市民に対して行った拷問の様子を捉えたビデオを公開した。2019~20年に行われたハマスに対する抗議運動に参加していた市民が、ジェバリア地区にある通称「第17拠点」で取り調べを受けている様子で、天井や床に鎖で繋がれて顔に袋を被らされながら吊るされた状態でむち打ちされているのが分かる。
イスラエルメディアの取材に応えたエジプトに逃亡中の元ガザ市民は、「何も驚かない。日常的に行われていたことで、証拠がない場合はこういった『圧力』が掛けられる」と、ハマスによる統治の実態を語っている。
この映像は今年3月にジェバリアで行われた特別作戦時に押収されたもので、諜報機関が解析などを行ったのちに公開された。この拠点はハマス軍部ではなく治安維持部門に属しており、拠点の司令官であるタウフィカ・アブ=ナイムはいまだにガザ内で潜伏している。(11/10)
【200発以上のロケット弾が飛来、国境部ではすでに再軍備か】(Y,P,H)
ヒズボラはこの日、正午から夕方にかけてイスラエル北部に向けて計200発の大規模なロケット弾による攻撃を行った。特に被害が大きかったのは約90発が飛来したハイファ近郊で、5発が住宅に直撃し全壊し、約20人が病院で治療を受けた。
また北部のアラブ人の町にも住宅への着弾があり、隣接する住宅に住んでいたアラブ市民がベランダに残っていたことから、着弾時の破片に当たり負傷している。国境部に住む市民の目撃情報によると、複数のロケット弾は国防軍が軍事作戦を行いヒズボラが居なくなったはずの地域から発射されており、ガザと同様軍事作戦の終了と同時にテロリストたちが戻り再軍備・テロ拠点化が進んでいるもよう。
ちなみにヒズボラ系ヨルダンメディアは、攻撃の中には弾道ミサイル2発が含まれていたと発表している。ヒズボラからの連日の攻撃と並行して休戦交渉が進んでいるが、カッツ新防衛相は軍の会議で「軍事作戦を継続すべき。イスラエルが直接ヒズボラに協定を守らせ、テロを防ぐことが出来ない休戦案は拒否する」と発言、ヒズボラが協定に違反した場合は自ら直接攻撃が出来る条項が必要との立場を明らかにした。この条項に対して、ヒズボラは難色を示している。(11/11)
【カッツ新防衛相、ヒズボラの武装解除を戦争の目的と明言】(Y,P)
就任後初めて北部軍を視察で訪れたカッツ防衛相は司令官たちの前で「この戦争の目的であるヒズボラの非武装化を含まない休戦案には賛成しない」と語り、ヒズボラの武装解除が戦争の目的だと明言した。もともとの戦争の目的には含まれていないこともあり、ハレビ参謀総長はこの発言に驚いた様子を見せたことが現地メディアでは報じられている。
北部戦線では半月前に軍が、国境部のテロ拠点を壊滅させたことによりイスラエルへの越境攻撃・侵入の芽を摘む、という当初の地上作戦の目的は達成されたと発表。しかし作戦の延長・拡大が決定され、現在は国境から約10キロの地点まで到達している。
ヒズボラからの攻撃はこの日も続き、ロケット弾の他にも7機の無人攻撃機が撃ち込まれ、ロケット弾が2日連続で中央部に飛来、テルアビブ上空で迎撃されている。(11/13)
【空軍、イラン高官訪問時にダマスカスを空爆】(Y,P,H)
国防軍報道官は、シリアにあるイスラム聖戦の複数の軍事施設と司令部を攻撃したと発表した。「イランの指示とシリア政権の庇護のもと、イスラム聖戦は中東においてイランの代理勢力となっている」と攻撃の意図を説明している。
シリア国防省によると攻撃があったのはダマスカス郊外で、15人が死亡・16人が負傷しており女性や子供も含まれているとのこと。この日ダマスカスにはイラン最高指導者ハメネイの側近が『特別作戦』として訪問しており、そのタイミングでの空爆となった。
この住宅地ではここ数年、イラン革命防衛隊やイランの代理勢力がアパートを購入して拠点化を進めている。空軍はレバノンでもヒズボラ拠点への空爆を広範囲で行っており、特にヒズボラ拠点のダヒヤ地区では48時間の間で30以上のテロ拠点に空爆があり、空港周辺部も攻撃。攻撃前にはアラビア語の軍報道官が、標的の住民に対して多くの避難勧告を出している。(11/14) |