ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【シリア反体制派、イスラエルについて初めて言及】(Y,P,H)
アサド政権を倒しシリア臨時政府を樹立させた反体制派のリーダー、HTSのジャウラニ氏がイスラエルについて初めて言及。「シリアには法と統治機関が必要であり、現段階では様々な情報を集めているが、イスラエルとの紛争を行うつもりはない」と発言、イスラエルとの軍事衝突については否定した。
またアサド政権打倒は地域全体を危険に陥れたイランに対する勝利であると強調し、イスラエルとの直接的な敵対関係に入るつもりはない姿勢を示した。しかし同時にシリア内での大規模な空爆や緩衝地帯の一時的占領については、「イスラエルのシリア内への介入には、正当な理由はない」と批判。
暫定政府はイスラエルの空爆停止と同地帯からの撤退を求め、国連安保理に対し働き掛けている。
ジャウラニ氏の発言を受け、国防軍のハレビ参謀総長は「シリアで起こっていることに干渉するつもりも、コントロールする意図もない。ただイスラム過激派が国境部に居座ることもないだろう」と軍の会議内で語っている。(12/14)

 

【自治政府、ジェニンで異例の軍事作戦】(Y,P,H)
9日から活動を始めていたが、パレスチナ自治政府は14日にジェニンでテロ組織に対する掃討作戦を開始したと発表した。ジェニンは自治政府の影響力がほぼゼロで、実質ハマスやイスラム聖戦のテロリストたちが支配する状態が続いている。
直接的な作戦開始の要因は10日前にテロリストたちが治安維持部隊の車両を強奪、ハマス・聖戦の旗を掲げて町の中でパレードを行ったことだが、その裏には3つの大きな理由がある。
1つ目はアサド政権崩壊に感化され、過激派が自治政府転覆を狙うという芽を事前に摘むこと。
2つ目は過激派を鎮圧しジェニンを統治することにより、米をはじめ国際社会に対し「自治政府に戦後のガザを任せられる」との印象を与えること。
そして3つ目には、ガザ戦争と並行してイスラエル軍がジェニン内で特別作戦を行った結果、ハマス・聖戦の戦力が大きく削がれ自治政府でも鎮圧できるレベルになったことがある(3年ほど前にも同様の試みがあったが、国防軍が数か月活動を停止したところ自治政府は何もできず、テロ組織が町を支配する結果になった)。
14日には聖戦の司令官が殺害されたが、19歳の一般市民が治安維持部隊に射殺されたことから反感が西岸地区中で広がるなど、実際に鎮圧できるかは不透明。(12/14)

 

【フーシ派による弾道ミサイル飛来、イスラエルは近く報復攻撃か】(Y,P,H)
イエメン・フーシ派がイスラエルに向かって弾道ミサイルを発射したため、テルアビブを中心とした海岸部から内陸約30キロの入植地までという広範囲でサイレンが鳴った。防空システム『アロー』がミサイルを領空外で迎撃したため着弾はなかったが、迎撃ミサイルの破片が入植地に落ちた。
飛来時のテルアビブではネタニヤフ首相が地方裁で、汚職・背任に関する証言中だったがホール全体がシェルター仕様になっているため、中断することなく続けられた。またベングリオン空港でもサイレンが鳴ったため、1時間弱ほど離着陸が行われなかった。被害は、シェルターに向かう際に出た5人の負傷者のみ。
4日前そしてこの日の朝にもイエメンからは無人攻撃機が飛来してきており、国防関係者は「フーシ派への攻撃はより複雑なものだが、次の報復攻撃はより大規模なものとなるだろう」と話している。(12/16)

 

【イスラエル・ハマスともに「休戦に最も近づいている」】(Y,P,H)
人質解放を伴う休戦交渉が合意に近づいているとの報道が続く中、カッツ防衛相が初めて交渉の進展について「(前回の休戦以降)今までで最も近いところに来ている」と明言した。
現段階で進められている交渉案は全人質ではなく部分的かつ段階的な解放であり、今まで何度も問題になっていたネツァリーム・フィラデルフィの両回廊についても、「交渉の妨害にはなっていない」とのこと。
この2つの回廊に関しては、ハマスが態度を軟化させたとされている。また野党議員からの質問に対して、「内閣の大多数は交渉成立に向かっている」とし、政府全体で交渉案を支持する流れになっているとカッツ氏は語った。
この日の数時間前にはサウジメディアに対してハマス幹部も、交渉成立に最も近づいているとコメントしており、人質解放・休戦への期待が高まっている。(12/16)

 

【防衛トップを引き連れ、ネタニヤフ首相がヘルモン山視察】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相がカッツ防衛相やハレビ参謀総長に北部軍の司令官たち、そしてシンベト長官とともにシリア側のヘルモン山を視察した。ネタニヤフ氏は「イスラエルの安全を約束する体制が見つかるまでの間、私たちはこの最も重要な場所に残ることになる」と、国防軍による管理が一定期続く意向であると語った。
カッツ氏は長期間の駐屯に備え、簡易的な駐屯地設置などといったインフラ整備を考えていることを明かし、シリア反体制派に関しては「穏健派を装っているが、イスラム主義の過激派であることには違いない」とコメント、彼らを監視する意味でもヘルモン山の重要性について強調している。
ちなみにこのヘルモン山視察を理由にネタニヤフ氏は自身の裁判での証言延期を申請しており、この視察が裁判を延期させるほどの国の防衛にかかわる視察だったのか、についての角度からもニュースになっている。(12/17)

 

【イスラエルが3度目のフーシ派への攻撃を実施】(Y,P,H)
ここ1月間、イエメン・フーシ派から弾道ミサイル・無人攻撃機による攻撃が7度もあったことを受け、イスラエルはイエメン内にあるフーシ派の拠点5箇所を空爆した。標的となったのは過去にも攻撃を行った海運の要所ホデイダ港と、海岸部の石油施設、そして内陸部にある首都サナアとその周辺にある2つの発電所。
イスラエルが首都サナアを攻撃したのは、ガザ開戦とともに始まったフーシ派との交戦では初めてになり、イスラエルから1700キロ以上も離れているということで空中給油をしながらの特別作戦だった。
サナアはイエメン西部に位置しており、フーシ派の本拠地。カッツ防衛相はこの攻撃について「イスラエルを攻撃するものは、その7倍のダメージを受けることになる」と言及、軍報道官も「フーシ派政権は地域の安全保障を脅かしており、彼らの背後にいるのはイランだ」と英語でコメントしている。
攻撃を行う1時間前の午前2時半ごろには、フーシ派からの弾道ミサイルが飛来し学校に着弾。大きな被害が出ている。(12/19)

◯ 内政

【与党リーダーたちが検事総長の免職について会談】(Y,P,H)
与党党首や主要議員が集まり、ミアラ検事総長の免職と昨年の戦争前までイスラエルを二分していた司法改革の再開についての議論が持たれた。司法府の抑制を試みている現政府の法律顧問ということもあり、ネタニヤフ首相をはじめ閣僚たちの決定に反対することも多く、先月には首相による「彼女は政府を妨害する存在。問題解決をレビン法相に要請した」との発言があり、ここ1月の間ミアラ氏の免職を求める声が与党内で上がっている。
最高裁裁判官の任命の投票で与党が過半数を占めれるようにするなど、政府・国会と裁判所のバランスを変えようとしているネタニヤフ政権。法律的観点からではあるが政府に対し批判的な姿勢を見せることの多いミアラ氏の免職から、戦争により中断していた司法改革が本格的に再開されるのではとされている。(12/15)

 

【どれだけ関与・自覚していたのか―ネタニヤフ裁判で新展開】(Y,P)
ネタニヤフ首相が被告となっている3つの汚職事件のうちの1つで、予想外の展開が起こった。これはネタニヤフ首相が大手ネットニュースに対し、自身に対する報道スタンスを肯定的なものに変えることを条件に、同サイトに有益な規制の変更を約束したという事件について。
検察側はネタニヤフ氏や彼に近い人物や家族(主にサラ夫人)からサイトに対して計315の依頼があったとの資料を提出しているが、裁判官はネタニヤフ氏からの直接ではない依頼に関し、どれだけ被告が関与・自覚していたかということを疑問視。
それに対して検察側は「1つ1つに関してはなかったとしても、仲介者・家族から依頼が頻繁にされる『システム』に関しては、間違いなく自覚していた」と主張した。
しかしその後裁判官が特定の依頼に関して質問すると、検察側は資料確認のための時間を求めた。このような間接的な依頼は1/4から半分にも上るため、今後の展開は判決に大きく影響することとなる。(12/18)

国際情勢

【次期トランプ政権、イラン核施設攻撃も選択肢か】(Y,P)
トランプ次期大統領が、イランの核武装を防ぐためには核施設空爆も選択肢に入るとしているとの内容をWSJ紙が報道した。複数のトランプ関係者への取材に基づくもので、米政府はこれまで経済制裁や外交的措置での解決に努めているため、報道内容が事実であれば政府としては大きな方向転換となる。
関係者によるとトランプ氏は米軍を巻き込むような戦争は望んでいない反面、自身の任期中にイランが核兵器を得ることはどうしても阻止したい。これについては最近行われたネタニヤフ首相との会談でも議題に上がり、危機感があると話していたもよう。
イランへの直接攻撃のほかにも、中東へのさらなる米軍派遣やイスラエルに対する(核施設を攻撃できるような)最新兵器の輸出など、より間接的な軍事的圧力を掛けて核開発を断念させるとの案も上がっているよう。(12/13)

 

【在アイルランドのイスラエル大使館が一時閉鎖へ】(Y,P,H)
サアル外相が「過激な反イスラエル的政策」を理由に、アイルランドの首都ダブリンにあるイスラエル大使館を(一時的に)閉鎖すると発表した。
アイルランドはヨーロッパで最も反イスラエル的な国であり、去年の10月末には10/7の虐殺から1月も経っていないなか、イスラエル大使のアイルランドからの追放を呼びかける運動が起こり、先週にはガザ内でジェノサイドが行われているとして、南アフリカがイスラエルに対して国際司法裁判所で起こしていた訴訟を支持し、加わる意向を表明していた。
サアル氏は発表の中で「アイルランドの反ユダヤ主義的措置やレトリックは、ユダヤ人国家を不当で悪魔的なものとすることから生まれている」と発言。この決定に対してラピード野党議長は反対の声を上げ、「大使館閉鎖は反ユダヤ主義と反イスラエル団体への勝利を意味する。正しい対処は逃げるのではなく、残って戦うことだ」とコメントしている。(12/15)

 

【トルコ軍がシリア国境部に集結、米支援を受けるクルド人と衝突か】(Y,P,H)
2011年からシリア内線に介入し、アサド政権を崩壊させた反体制派を支援しているトルコが、シリア国境部に部隊を集結させているとWSJ紙が報じた。トルコとの国境があるシリア北部にはクルド人たち住んでおり、彼らはアメリカの支援を受けながらシリアの約40%を支配下におさめている。
クルド人はシリアとトルコなどにまたがり約3000万人ほどが暮らしており、自身の民族国家・独立を願っている。そのためジャウラニ氏率いる反体制派とトルコが協力し、クルド人国家独立を阻止するためにも攻撃が行われる可能性があり、国境部にトルコ軍が戦力を配備させたことはこのための準備ではと見られている。
イスラエルとしてはイランの影響が排除されたことはプラスだが、反イスラエル色の強いエルドアン政権をバックに付けたIS・アルカイダ系政権がシリアに樹立されれば、一難去ってまた一難という状況なためメディアでも盛んに取り上げられている。(12/17)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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