【シリア反体制派、イスラエルについて初めて言及】(Y,P,H)
アサド政権を倒しシリア臨時政府を樹立させた反体制派のリーダー、HTSのジャウラニ氏がイスラエルについて初めて言及。「シリアには法と統治機関が必要であり、現段階では様々な情報を集めているが、イスラエルとの紛争を行うつもりはない」と発言、イスラエルとの軍事衝突については否定した。
またアサド政権打倒は地域全体を危険に陥れたイランに対する勝利であると強調し、イスラエルとの直接的な敵対関係に入るつもりはない姿勢を示した。しかし同時にシリア内での大規模な空爆や緩衝地帯の一時的占領については、「イスラエルのシリア内への介入には、正当な理由はない」と批判。
暫定政府はイスラエルの空爆停止と同地帯からの撤退を求め、国連安保理に対し働き掛けている。
ジャウラニ氏の発言を受け、国防軍のハレビ参謀総長は「シリアで起こっていることに干渉するつもりも、コントロールする意図もない。ただイスラム過激派が国境部に居座ることもないだろう」と軍の会議内で語っている。(12/14)
【自治政府、ジェニンで異例の軍事作戦】(Y,P,H)
9日から活動を始めていたが、パレスチナ自治政府は14日にジェニンでテロ組織に対する掃討作戦を開始したと発表した。ジェニンは自治政府の影響力がほぼゼロで、実質ハマスやイスラム聖戦のテロリストたちが支配する状態が続いている。
直接的な作戦開始の要因は10日前にテロリストたちが治安維持部隊の車両を強奪、ハマス・聖戦の旗を掲げて町の中でパレードを行ったことだが、その裏には3つの大きな理由がある。
1つ目はアサド政権崩壊に感化され、過激派が自治政府転覆を狙うという芽を事前に摘むこと。
2つ目は過激派を鎮圧しジェニンを統治することにより、米をはじめ国際社会に対し「自治政府に戦後のガザを任せられる」との印象を与えること。
そして3つ目には、ガザ戦争と並行してイスラエル軍がジェニン内で特別作戦を行った結果、ハマス・聖戦の戦力が大きく削がれ自治政府でも鎮圧できるレベルになったことがある(3年ほど前にも同様の試みがあったが、国防軍が数か月活動を停止したところ自治政府は何もできず、テロ組織が町を支配する結果になった)。
14日には聖戦の司令官が殺害されたが、19歳の一般市民が治安維持部隊に射殺されたことから反感が西岸地区中で広がるなど、実際に鎮圧できるかは不透明。(12/14)
【フーシ派による弾道ミサイル飛来、イスラエルは近く報復攻撃か】(Y,P,H)
イエメン・フーシ派がイスラエルに向かって弾道ミサイルを発射したため、テルアビブを中心とした海岸部から内陸約30キロの入植地までという広範囲でサイレンが鳴った。防空システム『アロー』がミサイルを領空外で迎撃したため着弾はなかったが、迎撃ミサイルの破片が入植地に落ちた。
飛来時のテルアビブではネタニヤフ首相が地方裁で、汚職・背任に関する証言中だったがホール全体がシェルター仕様になっているため、中断することなく続けられた。またベングリオン空港でもサイレンが鳴ったため、1時間弱ほど離着陸が行われなかった。被害は、シェルターに向かう際に出た5人の負傷者のみ。
4日前そしてこの日の朝にもイエメンからは無人攻撃機が飛来してきており、国防関係者は「フーシ派への攻撃はより複雑なものだが、次の報復攻撃はより大規模なものとなるだろう」と話している。(12/16)
【イスラエル・ハマスともに「休戦に最も近づいている」】(Y,P,H)
人質解放を伴う休戦交渉が合意に近づいているとの報道が続く中、カッツ防衛相が初めて交渉の進展について「(前回の休戦以降)今までで最も近いところに来ている」と明言した。
現段階で進められている交渉案は全人質ではなく部分的かつ段階的な解放であり、今まで何度も問題になっていたネツァリーム・フィラデルフィの両回廊についても、「交渉の妨害にはなっていない」とのこと。
この2つの回廊に関しては、ハマスが態度を軟化させたとされている。また野党議員からの質問に対して、「内閣の大多数は交渉成立に向かっている」とし、政府全体で交渉案を支持する流れになっているとカッツ氏は語った。
この日の数時間前にはサウジメディアに対してハマス幹部も、交渉成立に最も近づいているとコメントしており、人質解放・休戦への期待が高まっている。(12/16)
【防衛トップを引き連れ、ネタニヤフ首相がヘルモン山視察】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相がカッツ防衛相やハレビ参謀総長に北部軍の司令官たち、そしてシンベト長官とともにシリア側のヘルモン山を視察した。ネタニヤフ氏は「イスラエルの安全を約束する体制が見つかるまでの間、私たちはこの最も重要な場所に残ることになる」と、国防軍による管理が一定期続く意向であると語った。
カッツ氏は長期間の駐屯に備え、簡易的な駐屯地設置などといったインフラ整備を考えていることを明かし、シリア反体制派に関しては「穏健派を装っているが、イスラム主義の過激派であることには違いない」とコメント、彼らを監視する意味でもヘルモン山の重要性について強調している。
ちなみにこのヘルモン山視察を理由にネタニヤフ氏は自身の裁判での証言延期を申請しており、この視察が裁判を延期させるほどの国の防衛にかかわる視察だったのか、についての角度からもニュースになっている。(12/17)
【イスラエルが3度目のフーシ派への攻撃を実施】(Y,P,H)
ここ1月間、イエメン・フーシ派から弾道ミサイル・無人攻撃機による攻撃が7度もあったことを受け、イスラエルはイエメン内にあるフーシ派の拠点5箇所を空爆した。標的となったのは過去にも攻撃を行った海運の要所ホデイダ港と、海岸部の石油施設、そして内陸部にある首都サナアとその周辺にある2つの発電所。
イスラエルが首都サナアを攻撃したのは、ガザ開戦とともに始まったフーシ派との交戦では初めてになり、イスラエルから1700キロ以上も離れているということで空中給油をしながらの特別作戦だった。
サナアはイエメン西部に位置しており、フーシ派の本拠地。カッツ防衛相はこの攻撃について「イスラエルを攻撃するものは、その7倍のダメージを受けることになる」と言及、軍報道官も「フーシ派政権は地域の安全保障を脅かしており、彼らの背後にいるのはイランだ」と英語でコメントしている。
攻撃を行う1時間前の午前2時半ごろには、フーシ派からの弾道ミサイルが飛来し学校に着弾。大きな被害が出ている。(12/19) |