【緩衝地域近くで国防軍がシリア人の抗議者に対して発砲】(Y,P,H)
ゴラン高原南部、イスラエル・ヨルダンとの国境部にあるシリア・マルバ村でイスラエルの緩衝地帯駐留に反対するデモが発生。国防軍の駐屯所が村の西にあり抗議行動を注視していたが、その後抗議者たちに対する発砲が行われた。
軍報道官は「抗議者たちに対して駐屯所から離れるよう警告したが、接近を続け部隊に対する脅威が生じたための発砲。銃弾が抗議者1人の足に当たったとの報告を受けている」と声明を発表している。
SNS上に上がっている動画では銃声が聞こえるなか、「政権打倒の祝賀に(イスラエルによって)水を差されることがあってはならない」と住民たちが声を上げている様子が分かっている。(12/20)
【フーシ派からの弾道ミサイル、テルアビブに着弾】(Y,P,H)
21日の午前4時前、フーシ派が発射した弾道ミサイルが中央部に飛来。アローやダビデスリング、アイアンドームで迎撃を試みたが全て失敗、テルアビブ南部にあるヤッホ地区の住宅地内の公園に着弾した。公園に隣接する住宅を中心に爆破による物損が発生し、30人以上が負傷。
ヤッホなど広範囲でサイレンが鳴ったが、周辺住民からはシェルターに向かう間に爆発音を聞いたとの証言もあり、サイレンを鳴らすタイミングが遅すぎたことについて現在国防軍が調査を行っている。
これを受けイスラエルは4度目のフーシ派への報復攻撃を計画しており、アメリカ・イギリスなどと連携を取っている。フーシ派はイスラエルやアメリカによる同派リーダーを標的とした暗殺作戦・空爆を恐れ、指導層がイエメン首都サナアから逃亡し始めているとの情報も。(12/21)
【ハマス:テロリストのリストは作成も人質のリストは未提出】(Y,P)
イスラエル側で前向きな報道が連日続き、英BBCにパレスチナ関係者が「90%合意している」と話す中、人質解放を含む休戦案の最大の障害が判明した。それはハマスがイスラエルに釈放を要求するテロリストのリストは作成・提出したが、ガザで生存または死亡している人質のリストはイスラエルへの提示を渋っているというもの。
複数のイスラエル側の関係者はメディアに対して「人質のリストなしに交渉を進めることはできない。ボールはハマス側のコートにある」と話している。
ハマスから釈放を要求されているテロリストの中には、第1・2インティファーダを指揮しファタハの幹部であるバルグティや、2001年の閣僚暗殺を計画したPLO内過激派幹部などが含まれているとされ、イスラエルは釈放拒否またはトルコなどへの第三国への追放ならば容認すると見られている。(12/22)
【元モサド工作員がポケベル爆破作戦について語る】(Y,P,H)
米大手TVが9月にイスラエルがヒズボラに行った大規模なポケベル爆発の特集番組を放送。「最近退役した」というモサド諜報員2人のインタビューを流した。
2人は構想当初の10年前にはウォーキー・トーキーでの作戦を考えていたこと、モサドはポケベル1.6万台をヒズボラに売るため実体のない会社を複数作り、YouTube上にCMをアップしたこと、ポケベルを実際に所持している人間だけが負傷するよう何度も実験を重ねたこと(番組にはその実験画像も)などを語った。
爆発物をバッテリー内に組み込むため結果的にサイズが大きく、重くなったためモサド長官が激怒し反対したが、マーケティングが上手くいきヒズボラ以外にも購入したいとの問い合わせがあり、ヒズボラ以外には割高な値段を提示して興味を無くさせたよう。
インタビューに対して2人は「モサドには実体のない会社を複数組み合わせ、イスラエルとの関係性が100%判別不可能にする方法がごまんとある。私たちは筋書きに合わせて仮想世界を作る制作会社であり、監督や主演俳優であった」と話した。
9月のポケベル爆破では約30人が死亡、3000人ほどが負傷。有力な情報では当時のヒズボラ最高指導者ナスララの側近もこのポケベルを所持しており、目の前で負傷者が出るなど、ヒズボラ指導者層を心理的な恐怖に陥れる作戦となった。(12/23)
【国防軍、ラファで殺害された6人の遺族に報告書を提出】(Y,P,H)
今年8月、地下トンネルで人質6人が射殺されて発見されたことについて国防軍は最終的な報告書を公開した。
この6人殺害とラファでの軍事作戦の因果関係はすでに多くの報道がされているため、今回の報告書に新情報はなく、今までに報道されていた1. 軍は人質の居る可能性を『低~中低』のレベルと認識していたこと、2. その数日前に別の人質がすぐ近くのトンネルから救出されたが、人質の居る可能性や警戒レベルには変更がなかったこと、3. ハマス指導者だったシンワルは同地区には居たが、この6人との面会や自身の潜伏場所で監禁した証拠はない、などの事実に関して軍が正式に認めた。
また国防軍の作戦が直接的な要因ではないとしながらも、「状況的にテロリストたちによる6人殺害という決定に影響は与えた」と以前から指摘された点については認めている。遺族からは「新しい情報は何もなく、多くの疑問が未回答のまま」と不満の声が。(12/24)
【二夜連続1週間で4度目のフーシ派によるミサイル攻撃】(Y,P,H)
23日に続き24日深夜にもフーシ派による弾道ミサイルがテルアビブをはじめとする中央部に飛来、イスラエル人口の約半数にあたる数百万人がシェルターに避難する事態となった。ミサイルはイスラエル領空に入る前に防空システム『アロー』に迎撃されたため直接的被害はなかったが、アローの破片による物損被害やシェルターに向かう途中に9人が負傷した。
2夜連続、そして1週間で4度目の中央部に対する攻撃で午後にもフーシ派の無人攻撃機が南部に着弾し火災が発生している。
これを受けてイスラエルは4度目の報復攻撃について協議しているが、現状でイスラエルと西側諸国の諜報機関は、フーシ派に有効なダメージを与えられるような標的候補についての情報を持ち合わせていない。したがってこれまでのようにエネルギー関連施設をより大規模に空爆するか、同派指導者を標的にする、またはフーシ派の背後にいるイランへの攻撃も視野に入れているという。(12/25)
【同意後にハマスが翻意― 人質・休戦交渉は暗礁に】(Y,P)
ハマスが「新たな条件をイスラエルが提示し合意が遅れている」と主張する一方、イスラエル側はハマスが合意内容について翻意していると報じている。
現状で最大の障害となっているのはハマスが人質のリスト提出を拒んでいることだが、これに加えてハマスは1度仲介国を通じて合意した数の負傷者・病人の解放について、「どの人質が負傷者・病人に分類されるのか」についての変更を求めているという。
どの程度で該当するかについて基準を厳しくすることにより、解放する人質の数を減らそうというのが狙い。イスラエル側の関係者は、「リストも提出されず、ハマスがどこに向かいたいのか不明。決裂ではないが凍結で、今は合意の有無にかかわる大切な時だ」とコメントしている。(12/25)
【先週に引き続き、イスラエルがフーシ派に4度目の空爆】(Y,P,H)
空軍は戦闘機や偵察・給油機など計25機でフーシ派関連施設に4度目の空爆を行った。先週の攻撃と同様ホデイダ港と首都サナアのエネルギー関連施設が標的の中心だったが、今回は初めて首都サナアの国際空港の管制塔・滑走路などが標的となった。
この空港は約10年に渡って国際空港として実質機能していないが、イランからの武器輸入が同空港で行われていること、フーシ派の首都支配を象徴する場所であるため、フーシ派や支持層に対して心理的ダメージを与えるためだったのでは、と考えられている。
現地メディアはサナアで4人が死亡し、複数の負傷者が出ているとの報道。軍評論家によると、前回よりは大規模ではあるが、エネルギー施設や空港などフーシ派によりテロ拠点化されている場所への攻撃という意味では今までの攻撃と同じ方式で、幹部殺害までギアは上げていないとのこと。
反フーシ派もイスラエルメディアの取材に対し、「空港という拠点攻撃は重要だが、本当に効果があるのは指導層を直接標的にすること」と話している。(12/26) |