【先週に引き続き、ハマスが20代人質の映像を公開】(Y,P,H)
ハマスが昨年10月7日にニル・オズの自宅で拉致された、マタン・ツィンガウケルさん(24)の映像を公開した。動画の中で「420日以上の間」という表現が使われていることから、直近に撮影したものと思われる。
その動画の中でツィンガウケルさんはネタニヤフ首相に対し「敵について全く分かっていない。10月7日以降、あなたと政府は大失態を犯し続けている」と批判。
そしてメディアへの取材にも積極的に応え、被害者家族を代表する存在となっている母エイナブさんに対しては、「母さんのことはたくさん見聞きしているし、あなたが私のためにしていることは理解しています」と述べ、1日も早い再会への希望について語っている。(発言内容はハマスから指示された内容の可能性が高い)
先週に続いての動画公開だがエイナブさんをはじめ家族は、「これは『心理的テロ』ではなく、命の兆候だ」と話している。(12/7)
【シリア政権が10日で崩壊、イスラエルは大規模な空爆を実施】(Y,P,H)
イスラエル・ヒズボラ間の休戦が始まった先月27日に、シリア反体制派が進撃を開始。北部・中部の要所を次々と占領し8日には(散発な戦闘はあったが)ダマスカスが無血開城され、54年間にわたるアサド父子による政権が終焉した。わずか10日ほどでの政権崩壊には、ウクライナ侵攻によりロシアの支援が得られなかったほかに、イスラエルの攻撃によりアサド政権の後ろ盾だったイラン・ヒズボラが弱体化したという背景がある。
そのためネタニヤフ首相は8日に「中東にとって歴史的な日。私たちがイラン・ヒズボラに与えた打撃による直接的な結果だ」と語っている。またイスラエルは7日国境部で国連軍が反体制派による攻撃を受けたため、同組織の兵士たちに攻撃を行い撃退のために加勢。
そしてアサド政権が崩壊しシリア軍が解体状態となると、イスラム過激派である反体制派の武装組織によるゴラン高原内での駐屯を防ぐため、シリアとの間にある緩衝地帯に部隊を送り込み、ヘルモン山のシリア側の山頂などを管理下にした。ネタニヤフ首相・カッツ防衛相共に、「防衛態勢のための一時的なもの」として内外に向けて明言している。
またシリア軍が機能不全になったことに乗じ、反体制派がシリア軍の強力かつ最新の武器を得るのを防ぐため、ダマスカス郊外の空軍基地をはじめと数十か所に大規模な空爆を行っている。『抵抗の枢軸』の一員であり、イランとヒズボラを(地理的にも)繋ぐシリアのアサド政権が終焉したことはイスラエルにとっては良いことで、特にイランからヒズボラへの武器密輸ルートにシリアがあったため、これが断ち切られたことは大きい。
しかしその一方、アルカイダやイスラム国の系譜を継ぎ、トルコの支援を受けた反体制派がシリアを支配することには大きな懸念がある。9~10日にかけても化学兵器やミサイル・戦闘機に関する軍事工場や港など、大規模な攻撃が行われ、「3日間で計320の軍事拠点を攻撃し、シリア軍の軍事力の約80%を削いだ」と軍は話している。
これらシリア軍への攻撃に関しては欧米だけでなくアラブ諸国からも表立った非難は出ておらず、これにはジハードを標榜するイスラム過激派がシリア軍の現有戦力を手にすることへの強い危機感があるからだと考えられている。(12/6-8,10)
【イエメンからの無人攻撃機が中央部に、サイレンは鳴らず】(Y,P,H)
テルアビブの南で南部にも近い町ヤブネの住宅地にある16階建ての集合住宅に、イエメンからの無人攻撃機が着弾。最上階の部屋のベランダが大破し、リビングなどにも被害が出た。住民は不在だったため死傷者は出なかったが、周囲にはいくつかの学校・幼稚園などがあり、サイレンが鳴らないなか着弾により大きな爆発音が発生したことで、あたりは一時騒然となった。
その後国防軍はイエメンからの無人攻撃機の発射については把握していたが、イスラエル領空への侵入後は民間の小型機と誤って認識されたため、サイレンを含む防空システムが作動しなかったとの、調査結果を発表した。(12/9-10)
【南北で1日に兵士7人が死亡】(Y,P,H)
ガザ地区北部にあるジャバリアで活動しているギバティ旅団の19歳の兵士たち(現役)3人が、テロリストによる対戦車ミサイルの攻撃を受けて死亡した。3人はジェバリアでの数週間にわたる軍事作戦を終えて、インターバルとしてガザ地区を一時離れる予定になっており、そのための輸送トラックを待っていたところ、ロケットランチャーや機関銃をもった10人のテロリストの奇襲を受けて死亡した。3人のほかにも重傷2人を含む、12人の兵士が負傷している。
また北部戦線の南レバノンでも、森林の中にある地下トンネル内で爆破装置が爆発し、その中にいた予備役兵部隊の4人(20~40代)が死亡。このトンネル内には国防軍が設置した爆破装置があったにもかかわらず兵士たちが中に入り、爆破によって起こったトンネル崩落によって下敷きとなって犠牲になったとされている。軍は現在、調査を行っている。(12/9)
【エルサレム近郊で乱射テロ、12歳の少年が犠牲に】(Y,P,H)
エルサレム近郊の交差点で11日深夜、アサルトライフルAK-47を所持したパレスチナ人男性が、自身の車からエルサレムに向かう路線バスに向かって23発を乱射するテロが発生した。バスの運転手を含む3人が負傷し、12歳の少年トビア・シムハ君が死亡した。
少年は一家で揃って乗車しており、婚約した姉の結婚前の祝いの場に出席、その後エルサレムにバスで帰宅する途中だった。テロリストは乱射後にベツレヘムに逃亡し地元の警察に出頭したが、パレスチナ自治区警察はライフル銃の押収だけを行い逮捕を拒否した。これには自治政府が同胞の(抵抗運動の)英雄を逮捕してイスラエルに引き渡す、という事態を避けるという意図があったもよう。
数時間後、国防軍・シンベト・警察によるベツレヘム包囲が行われ、犯人は逮捕された。(12/12) |