ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【国防軍「人道物資をめぐる銃撃はパレスチナによるもの」】(Y,P,H)
14日夜に人道支援トラックの近くで起きた銃撃事件について、翌15日に国防軍は「調査を行ったところ、車両部隊に対する発砲・砲撃は行われていなかった」と発表した。
ハマス保健省は少なくとも21人が死亡したと主張、パレスチナ側では約40人が死亡・100人以上が負傷と報道されたが、国防軍の調査によると支援物資を待つ群衆に向かって武装したパレスチナ人複数が発砲、またそれにより起きた混乱によりトラックに轢かれて死傷者が出たとのこと。報道官は「他の場所を戦闘に巻き込むため、ラマダン最初の金曜日前にハマスが起こしたメディア戦」と断罪した。(3/15)

 

【ヘブロンのイマームが銃撃テロ未遂】(Y,P)
16日にヘブロンのイスラム教墓地からユダヤ人地区へ向け、アサルトライフルを乱射する事件が発生した。テロリストはヘブロンにあるモスクのイマーム(指導者)マフムード・ノファルで、ハマスのメンバー。近くに居合わせたユダヤ人の若者と子供が標的となったが、2人とも怪我無く逃げることができた。
若者はその後付近に駐在していた部隊に通報、急行した兵士たちとテロリストの数分間にわたる銃撃戦に発展し、犯人は射殺された。前日にはパレスチナ人の若者2人がナイフを手にユダヤ人入植地に侵入しようとしたところ逮捕されるなど、ラマダンが始まってからはテロ未遂事件の数が増えている。(3/16)

 

【ファタハがハマス批判「7つ星ホテルで悠々自適」】(Y,P,H)
戦後にパレスチナで樹立される予定となっている、テクノクラート(実務者)政権の首相任命をアッバス議長が行い、ハマスがその人選に反発していることを受けファタハが17日に反論した。声明文は「10月7日の危険な旅に出る前に、ハマスはパレスチナ指導層の誰に相談しただろうか。これにより48年(ナクバ)以上の惨劇が引き起こされた」と厳しい口調。
カタールのハマス指導層に対しても「7つ星ホテルで悠々自適。なぜハマス指導者の大半が海外で自身の家族と暮らし、パレスチナの民を残し残酷な戦争を強いているのか」と述べ、さらにイランとの関係性に対しても暗に批判している。ファタハがハマスをここまで非難するのは珍しい。(3/16)

 

【シファ病院で特別作戦】(Y,P,H)
18日の午前2時半頃、海軍の特殊部隊をはじめとする合同部隊がガザ地区最大のアル・シファ病院に突入、特別作戦を実行した。諜報部からの情報が入ったことによるもので、作戦初日はハマス治安維持部門の北部司令官をはじめ、約20人のテロリストを排除、80人を逮捕した。
この司令官は数日前、ハマスを介さない支援物資配給のためイスラエルが接触していた有力部族の長を、内通の罪で死刑に処していた。司令官の部屋周辺からは、大量の武器・現金が発見された。作戦の数日前から軍はハマス保健省に対し病院が軍事利用されていると伝え、テロリストを排除するよう要求していた。翌19日には2014年の軍事作戦の引き金となった、未成年のイスラエル人3人の誘拐殺害事件の計画・資金調達を行ったハマス高官や、11年に国防軍兵解放の引き換えとして釈放された計1000人のテロリストのうちの一部も逮捕された。
作戦はまだ続いており、21日朝までの段階でハマスのテロリスト140人以上が排除、数十人の役職についているメンバーを含む約350人が逮捕されている。この作戦については、ドーハで行われている停戦・人質解放交渉でハマスに圧力を掛けるため、参謀総長が明言している。(3/18, 20-21)

 

【国防軍がジェニンでテロリスト3人を排除】(Y,P,H)
20日午後に国防軍はシンベト協力のもと、西岸地区ジェニンで走行中の乗用車に軍用無人機から空爆を行い、乗車していたテロリスト4人のうち3人が死亡、1人が重傷した。
死亡したテロリストの1人は昨年5月、入植地近くで銃撃テロを行い、1人を殺害するなど複数のテロに関与しており、重傷した1人もイスラム聖戦のジェニンにおけるテロ活動の司令官として、多くのテロ事件・未遂に関わっていた。国防軍と諜報機関の情報によるとこの2人は、テルアビブ中央部での大規模な自爆テロ未遂が10日前にあったのだが、そのテロを計画・指示していた。(3/20)

 

【イスラエルに協力したとされる未成年、ジェニンで処刑】(Y,P)
20日深夜、イスラム聖戦がイスラエルに密告したとの疑いで、19歳の同団体戦闘員カレム・ジャバリンをジェニンで処刑した。パレスチナの報道によるとジャバリンはイスラエルに機密情報を密告し、それにより同日の国防軍による4人のテロリストへの攻撃が行われたとのことで、銃殺刑の前に本人も事実だと自供したもよう。
また死刑執行したのは、双子の兄弟だったとの報道もある。ネットで公開されているビデオからは、入院中の病院に武装した戦闘員たちが押し入り逮捕しベッドから引きずり下ろし連行する様子や、処刑後に遺体が見せしめにされ暴行を受けている様子が見られる。(3/21)

 

【ユダヤ教に改宗したパレスチナ人、誤射により死亡】(Y,P,H)
ヘブロンに住みユダヤ教に改宗した63歳のパレスチナ男性が21日、入植地近くのバス停で兵士の発砲を受け死亡した。男性は長年改宗を希望していたが、パレスチナ人ということで国家ラビ機関による改宗手続きは難航。改宗を終えた後の2019年には、パレスチナ警察により逮捕され約2月間拘留され、その後もパレスチナからの嫌がらせや迫害が続いていた。
兵士がバス停で男性に対してセキュリティーチェックを行ったところカバンの中にナイフを発見、テロリストと認識し発砲に至ったとのこと。しかし男性の背景から自衛のためであり、兵士による発砲の際にはナイフを振り上げるなど兵士に危険はなかった可能性が高いため、軍警察が取り調べを行っている。(3/21)

内政

【ネタニヤフ、米をはじめ国際社会を批判、ラファ作戦にも明言】(Y,P,H)
米バイデン政権をはじめ国際社会が停戦を働き掛けているなか、17日ネタニヤフ首相は国際社会に対して「10月7日をそんなにすぐに忘れたのか。イスラエルの自衛権をそんなに簡単に否定するのか」と発言した。そのうえで、イスラエルではなくハマスとそのバックのイランにこそ圧力を掛けるべきだと呼び掛けた。
その後CNNの取材に応え、民主党有力議員からの「ネタニヤフ氏は道を誤った。総選挙を行うべき」との批判に対し、「私たちはバナナ共和国ではなく、不適切な発言。退陣させるべき唯一の政府は、ハマスだ」とけん制。民主党との関係悪化はここ2か月ほど顕著だが、再選を目指すトランプ前大統領もこの日「ガザでの戦争を終え、平和な世界に戻るべき」と発言している。そんななか翌18日には、ネタニヤフ・バイデン間の電話会談が1月ぶりに行われ、ラファについての話し合いがあった。(3/17,18)

 

【10月7日の虐殺の記念日が制定される】(Y,P)
ネタニヤフ首相とレゲブ文化相が主導となり17日に政府は、10月7日の虐殺を追悼する記念日を制定した。独立記念日をはじめイスラエルの記念日はユダヤ暦に基づくため、記念日はティシュレイ月の24日となり、安息日の関係もあり今年は10月27日になる。当日は11時には戦没した兵士たち、13時には民間人犠牲者を追悼する国家式典が持たれる予定。
今年は「国内ならびに世界に対して、この日を刻む」という目的から特別に西暦の10月7日にも国家式典が行われる。現在この戦争は「鉄の剣」と呼ばれているが、これは軍が軍事作戦名として決めたもので公式の名称ではないため、いずれ戦争・記念日の正式名称も決められる予定。(3/17)

国際情勢

【アメリカに国際法に則った武器使用を約束】(Y,P,H)
14日夜にイスラエルは米政府に対し、アメリカからの軍事支援による兵器について国際法に則った形で使用すること、そしてガザに対する人道支援を妨げないことを文書で約束した。
これはイスラエルだけでなく、アメリカが兵器を供給する同盟国に課されたガイドラインで、国際法を逸脱したとアメリカが判断した場合、45日間以内に軍事支援を停止できることになっている。この文書にはガラント防衛相が署名をしており、在イ米大使館を通じてブリンケン国務長官に送付された。(3/15)

 

【アメリカ、ハマス・ナンバー3の死亡を明言】(Y,P,H)
9日深夜に行われた、ガザハマス・ナンバー3の軍司令官マルワン・イサの暗殺作戦に関して、アメリカのサリバン大統領補佐官は18日、「イスラエルはハマスの追跡で前進しており、1週間前にはナンバー3のマルワン・イサが殺害された」と発言した。イスラエル側はネタニヤフ首相・ガラント防衛相が暗示はしていたものの、まだ明言はしていない。
関係者は取材に対し「イスラエルもアメリカと同様に考えているが、100%の情報が入ってから発表するつもり」と答えている。イサは10月7日の攻撃・虐殺を主導となり計画・実行したハマス高官の1人であり、殺害が本当であればガザ戦争における最大の戦果になる。(3/18)

 

【カナダがイスラエルへの兵器輸出停止を決定、英も条件を提示】(Y,P,H)
カナダは19日に国会での決定を受け、イスラエルへの兵器輸出を停止すると発表した。「停戦に対する支持を続け、兵器を売ることはせずに、人質解放が確かなものとなるよう働き掛ける」と同国外務省。カナダは開戦以降、イスラエル警察への装甲車や暗視装置の輸出に関して手続きを遅らせていた。
カッツ外相は「カナダを歴史が厳しく裁くことになる」と反発したが、先週の外相会談が友好的だったのを受け、カナダは『強い友人』であり続けるとも強調。カナダからイスラエルへの武器輸出はほぼなく決定は象徴的なものにすぎないが、英国などの重要な武器供給国へのドミノ現象に対する危惧が広がっている。21日には第2の武器供給国イギリスが、ヌフバ部隊を含む10月7日の勾留中のテロリストたちへの国際赤十字の訪問を輸出継続の条件として提示。外務省・国家治安省やシンベトなどは一様に、反対の意を示している。(3/19, 21)

 

【イスラエルは反対も、ガザの埠頭建設にカタール関与へ】(Y)
ガザへの人道支援を拡大するため臨時の埠頭建設を進めるバイデン政権が、このプロジェクトにカタールを加えると決定したと、イスラエル政府関係者が明かした。
米政府は海からの人道回廊構築のため先週、貨物船が出航するキプロスやイギリス・UAE・EU・国連との会議を行ったがそこにイスラエルの姿はなく、その代わりにカタールが出席していた。イスラエル側はハマス最大の支援者であるカタールの埠頭への関与については反対してきており、この決定を「ハマスの夢が実現した形」と関係者。(3/20)

◯ 文化

【エルサレムでのプリム・パレード開催が物議】(Y,H)
25日のプリムの祭にエルサレムで仮装パレードが42年ぶりに開催されることとなり、議論を呼んでいる。イスラエルに帰還したユダヤ人が20世紀初めに始めた行事だが、今年は戦争と多くの人質がガザに居るままの祭ということで、テルアビブなどは人質・犠牲者の家族への配慮から中止を決めていた。
そんななかのエルサレムでの復活に対しては、「国で実際に起こっていることから、乖離している」と中止の声が。そんななか21日エルサレム市長と家族の代表者が会談、イベント名の変更しパレード時の音楽の音量を抑え、パレードの先頭に人質解放を呼び掛けるテーマにすることで、開催するとの合意があった。(3/19,21)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、シオンとの架け橋からのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは sorami@zion-jpn.or.jp よりsorami@zion-jpn.or.jp 宛に送信しております。
シオンとの架け橋、京都府


配信停止 | 登録情報更新 | 迷惑メールと報告する