ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【イスラエルが米の人質解放案を受け入れ】(Y,P,H)
膠着状態が続いていた人質解放交渉についてイスラエルは、アメリカが提示した折衷案を受け入れる姿勢を示していることが24日分かった。これによると人質40人の解放のために、イスラエルは700人のパレスチナ人テロリストを釈放することになっており、これは1・2月にパリで取り決められた案(400人)のほぼ倍で、8~900人というハマスの要求に近いもの。
また女性兵士1人の解放に対しては、ハマスが選択した7人の終身刑中のテロリストを釈放するとなっており、誰を釈放するかについてイスラエルに拒否権はない。関係者からは大幅な譲歩にもかかわらず、「ハマス側は恐らくこれすらも拒否するだろう」と悲観的な声が。(3/24)

 

【人質だった女性が性的暴行を証言】(Y,P,H)
米NYT紙に対してガザで人質だった女性アミート・スサナさんが「銃口を向けられながら、性的行為を強要された。足を開けようとしたので抵抗すると殴られ、銃を顔に向けられた。そして寝室に連れて行かれた」と、ハマスによる性的暴行について語った。
彼女は同じような内容を11月30日の解放直後に、専門医・ソーシャルワーカーに対し語っているが、公の場で当事者がハマスによる性的暴力について語るのは初めて。
また日常的に生理がいつ終わるか聞かれ、服をたくし上げられ体に触れられたとも語った。スサナさんは「まだ囚われの身の人質たちがどんな状況か認識して欲しい」との願いで総時間8時間にもわたるインタビューに応えた。同紙は詳細な内容に関しては掲載しないとしている。(3/26)

 

【ハマスが米折衷案を拒否、イスラエル交渉団は一部帰国】(Y,P,H)
26日にハマスはアメリカが提示していた人質解放に関し、拒否するとの回答を行った。ハマスは①より多くの凶悪犯を含むテロリストの釈放、②ガザ北部の住民の全面的な帰還、➂国防軍のガザ全土からの撤退、という2週間前に自身が提示していた条件から少しも妥協するつもりはないとのこと。
イスラエル側は「ハマスの返答はアメリカの妥協案に全く触れておらず、誰を釈放するかに関しても自分たちが全て決めるという、馬鹿げたものだ」と批判しており、このハマスの回答を受けてモサド長官は交渉団の一部に帰国を命じた。しかし交渉の決裂ではない様子。(3/26)

 

【最北端の町にミサイルが飛来、ドゥルーズ人市民1人が死亡】(Y,P,H)
27日朝に最北端の町キリヤット・シュモナとその周辺に対し、ヒズボラが約40発のミサイルを発射しそのうち数発が市内に着弾。1発は市内の工場を直撃、勤務していた32歳のドゥルーズ人男性が死亡した。
ヒズボラは7人のパレスチナ人テロリストが殺害された、イスラエルによる同日未明の攻撃に対する報復だと犯行声明を出している。
ハマスよりも軍事力があり武装解除は非現実的なヒズボラに対し、軍部では停戦協定による一時的終結を想定しているが、米・仏の仲介による交渉が今すぐ行われることはなく、攻撃の応酬はまだしばらく続くという悲観的な観測。(3/27)

内政

【ガラント防衛相、超正統派の兵役免除法案に反対】(Y,P,H)
ガラント防衛相は24日、ネタニヤフ首相が近く国会に提出する予定の超正統派に対する兵役法案に対し、反対する意向を示した。同法案によると兵役免除が26→35歳へ引き上げられ、超正統派向け部隊の整備などの改正は見られるが、徴兵人数の目標設定や兵役拒否時の刑事処罰などは全くなく、実質的には兵役免除が継続される内容となっている。
ガラント氏は「与党内のコンセンサスを得ていない法案には協力しない」と発言、歩み寄りを呼び掛けた。また同日には元参謀総長で開戦後連立入りしたガンツ党首も、現状の法案のままであれば連立離脱も辞さないと発言。軍関係者の主要閣僚が反対するなか、兵役法案が起草されている。(3/24)

 

【新希望党サアル氏、連立政権から離脱】(Y,P,H)
右派リベラル政党『新希望党』のサアル党首が25日、連立政権から離脱すると記者会見を行い発表した。開戦後にガンツ氏と連立入りしたサアル氏は、戦争に関する決定を行う戦争内閣のメンバー入りを求めていたが認められておらず、このタイミングで政権から離れる決定を下した。
会見では、ハマス殲滅のためにはより迅速に動くべきだが足踏みをしていると、政権と戦争内閣を批判した。サアル氏はポスト・ネタニヤフの最右翼だったが2020年にリクード党を離れ新党を結成、22年にはガンツ氏の青と白党と合流したが、2週間前に統一会派から脱退していた。(3/25)

 

【海外向け政府報道官が解雇される】(Y,P,H)
ガザ開戦後に政府報道官に就任し、海外からの取材に対しイスラエルの立場について説明してきたエイロン・レビ氏が、今月限りで契約打ち切りになったことが27日分かった。ここ数か月の間イスラエルを擁護し続けてきたレビ氏だが、今月初めにイギリス・キャメロン外相のツイートに対する返信の内容・文体が外交問題に発展。
英政府はイスラエルに対しレビ氏の(攻撃的)発言が政府の見解かどうかの回答を求める、公式の抗議文書を送っていた。これを受けイスラエル側はレビ氏を一時休職処分にしていたが、今月での雇用契約打ち切りを決定した。(3/26-27)

 

【最高裁:兵役に就かない超正統派への助成金を打ち切り】(Y,P,H)
超正統派に対する兵役免除の期限が今月末に迫っているが、与党内での対立から法案の提出すらされていない事実を受け、ネタニヤフ首相は最高裁に対して30日間の期間延長を求めていたが、最高裁は28日に請願を却下した。また4月より兵役に就かない超正統派の若者は兵役免除者ではなく拒否者になるため、彼らへの助成金給付を打ち切るよう政府に命じた。
超正統派のイェシバ=宗教学校は、兵役の代わりにユダヤ教の学習を続ける生徒数に応じて国から様々な助成金を受け取っており、兵役免除継続とこの予算確保が超正統派にとって最も重要な政策。最高裁の決定を受け、ネタニヤフ首相は超正統派のリーダーたちと緊急会談を行っているもよう。(3/28)

国際情勢

【ネタニヤフ首相「米の同意の有無に関わらずラファ作戦を実行」】(Y,P,H)
米ブリンケン国務長官が22日イスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と会談を行った。ブリンケン氏は「ラファでの軍事作戦は国際社会内での孤立を一層深め、長期的にはイスラエルの安全保障をも危険にさらす」と警告したが、ネタニヤフ氏は市民の避難や人道支援の必要性について十分理解しつつも、ハマス殲滅のために作戦は不可欠であると強調。
「アメリカの支援を願うが、必要であれば単独でも行う」と述べた。米はイスラエルの自衛権は一貫して支持しつつも、増える市民の犠牲者やイスラエルが戦後のガザ計画を明らかにしていないことなどから、二国間の関係性は悪化している。(3/22)

 

【国連事務総長がラファ検問所を訪問】(Y,P)

国連のグテレス事務総長は23日にエジプトのラファ検問所を訪問し、停戦と人道支援拡大を再度呼び掛けた。「世界はこの悪夢をもう十分見た。人道的即時停戦の時だ」と話した事務総長。またイスラエルに対し、無制限の人道支援物資搬入を認めるよう求めた。
UNRWAに関してはガザ支援の「屋台骨」とし、10月7日の虐殺に関与した職員たちはすでに解雇され、調査も行われていると弁解。これを受けイスラエルのカッツ外相は、「ハマスのテロ行為や人道物資の窃盗に対する批判がなく、それに加担するUNRWAへの非難もなかった。国連は反ユダヤ・イスラエル的団体」と批判している。(3/23)

 

【安保理でガザ停戦決議、米は拒否権行使せず】(Y,P,H)
25日に国連安保理でラマダン中の停戦を求める決議があり、15か国中14か国が賛成し採択された。アメリカは「ハマスを非難する文面が欠けている」と棄権したが、拒否権は行使しなかった。
ガザ開戦後に安保理決議で停戦について採択されたのはこれが初めて。この決議にイスラエルは反発し戦闘続行の意思を示しており、ネタニヤフ首相は「(拒否権非行使という)アメリカの『撤退』は人質解放無しに停戦が実現するという希望をハマスに与えた。戦闘・人質解放への損害だ」と、激しく批判。そして米の拒否権非行使を受けて、首相は同日ワシントンへ出発予定だった使節団派遣を急きょ中止した。両首脳の関係性が過去最悪な状態に、と各メディアは報道。(3/25)

 

【南アのリーダーたちが連帯を示すためイスラエルを訪問】(Y,P)
国際司法裁判所でのイスラエル提訴により反イスラエル色を強めている南アフリカだが、26日に政治家や宗教・共同体のリーダーなど計14人がイスラエルを訪問した。南ア・イスラエル親善協会などが企画したもので、ノバ・フェスティバルの虐殺現場などのガザ周辺部を訪問した。
その後、国会で議長との会談が行われ、リーダーたちからは、「南ア政府がこのような道を選んだことは残念で、国民の総意ではない」や「アパルトヘイト・ジェノサイドという政府のナラティブはイスラエルと強い関係のある国内のキリスト教人口を全く無視したもの」との発言があり、オハナ国会議長は謝意を述べた。(3/26)

 

【来週初めにも中止された使節団をワシントンへ派遣】(Y,P,H)
25日の安保理決議でアメリカが拒否権を行使しなかったことを受け、ネタニヤフ首相は米への使節団派遣を直前で中止していたが、来週初めにその使節団を派遣すると28日戦争内閣の閣議で語った。
この使節団はラファでの軍事作戦についてアメリカと協議するための極めて重要なものであり、関係者は「大半の閣僚が、首相の判断は間違いだと考えていた。首相は自身の誤りに気付いたのだろう」と話している。27日にはラファに関する会談の再設定が進んでいるとホワイトハウスが声明を出していたが、ネタニヤフ側は否定していた。(3/27-28)

◯ 文化

【スピルバーグが広がる反ユダヤ主義を危惧】(Y,P,H)
ユダヤ人でもあるスピルバーグ監督が、ホロコーストを継承するため自身が設立した財団の30周年に際し、ガザ戦争によって広がっている反ユダヤ主義に関して言及。「過去を記憶しない者は、同じことを繰り返すことになる。自身がユダヤ人であるという権利のために、私たちは再び戦わなければならないかと、私は危惧している」と語った。
またハマスの凶悪行為に怒ると同時に、女性や子供たちがガザで殺されていることに対して非難することも可能、との自身の立場について話した。昨年12月に監督は、虐殺の生存者たちの証言を集める意向を示しており、それ以来のイスラエルに関する発言。(3/25-26)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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