【予備役兵が暴言「軍ではなく首相の指令のみに従う」】(Y,P,H) ガザでの作戦に参加中の予備役兵が「ガラント防衛相では戦争に勝てないので、辞職しろ。私たちが従うリーダーはただ1人、防衛相・参謀総長ではなく首相のみ」と、武器を持った姿で呼び掛けるビデオがSNS上で拡散された。上官への命令拒否はもちろん兵士の政治的言動なども軍法違反であり、軍内での蜂起を呼び掛けるような過激なメッセージから、軍警察が調査を開始。 予備役兵は取り調べに対して「怒りと不満が溜まっていた」と容疑を認め、予備役からの解任が決まり釈放された。しかしこの動画が広く拡散された理由に、首相の長男ヤイール・ネタニヤフによるSNS上でシェアがあり、彼の行動に対する批判も上がっている。(5/25-26)
【ハマスがイスラエル軍兵の拉致を主張も、軍は否定】(Y,P,H) 25日夜にハマスはガザ北部ジャバリアの地下トンネルで、複数の国防軍兵士をおびき寄し殺害し遺体を拉致したと、ビデオを公開して主張した。公開された映像には血でにじんだ軍服を身に着けた遺体が引きずられている様子や、ヘルメットや防弾チョッキなど軍の装備・ライフル銃の写真などが含まれている。 ハマスによる発表の直後にレバノンやヨルダンでは祝賀の様子が見られたが、国防軍の報道官は「兵士が拉致されたといったことは、起こっていない」と疑いを否定している。イスラエルメディアでは「ハマスによる心理的テロ」との論調で報じられている。(5/26)
【4か月ぶり、ラファよりテル・アビブにロケット弾が飛来】(Y,P,H) 26日の昼頃、ハマスがラファから8発の長距離ロケット弾をテル・アビブとその周辺に向かって発射し、アイアンドームが数発を迎撃し残りは市街地外に着弾した。テル・アビブの北にある町では迎撃後のロケット弾の破片による住宅への被害が複数起こり、女性2人がシェルターに急いで向かう途中に軽傷。 テル・アビブ周辺へのロケット弾飛来とそれによるサイレンは、4か月以上ぶり。8発のロケット弾は全てラファからのもので、その中にはラファ作戦で活動している国防軍からわずか800mの場所から発射されたものも。これには、A.ハマスの武力の誇示とB.国防軍により制圧され破壊されるまでに残っている兵器を使い切りたい、という2つの意図があるもよう。(5/26)
【ラファ、ハマス司令官への空爆により数十人が死亡】(Y,P,H) 26日夜に国防軍がラファ市内へと空爆を行い、西岸地区におけるハマス軍部司令官のヤシン・ラビアら2人の高官を殺害したと発表した。ラビアらは西岸地区でのハマスによるテロ行為を指揮しており、第2次インティファーダーでも複数のテロに関わっていた。 しかしこの空爆に巻き込まれ、40人以上の避難民が死亡。この報道を受け国防軍は「非戦闘員の犠牲に関しては遺憾の意を表する」とコメントし調査開始を発表、ネタニヤフ首相も「悲劇的な過ちであり、調査で真相を究明する」と国会で演説した。 27日に発表された一時調査の報告書によると、空爆はラファ内にある『人道ゾーン』からは1.7kmの場所だったことや、空爆に使用されたのは弾頭17キロほどの小爆弾だったが、空爆した場所の隣にハマスの武器倉庫がありそれに引火し爆発、大規模な火災になった可能性があるとの可能性を示唆した。軍はガザ市民2人が、武器倉庫に引火しての火災だったと話し合っている録音も公開している。(5/27,28)
【ラファ検問所での銃撃戦で、エジプト兵が死亡】(Y,P,H) エジプトとガザ地区を結び、現在はイスラエル国防軍が制圧しているラファ検問所で27日、国防軍とエジプト軍の間での銃撃戦が起こり、エジプト兵1人が死亡、複数が負傷した。 エジプトはアラブメディアに対してイスラエル側からの発砲により銃撃戦が起こったと話す一方、国防軍関係者はエジプト側からの発砲が最初だと食い違った主張をしている。 両軍ともに独自の調査を行っている反面、両軍の上官同士では話し合いが持たれている。そこでは両国間のこれ以上の関係悪化は望ましくないという点で一致しており、この事件について「お互い大事にはしない」と取り決めたもよう。これを受け両国では、メディアによる報道の制限・検閲が敷かれている。(5/27)
【ラファ中心地へ国防軍が進軍】(Y,P,H) 28日、国防軍の戦車がラファ中心にあるモスクの近くで目撃された。ガザ内からの報道によるもので、今までは郊外での作戦で中心部へは進軍していなかった。現在ラファ内ではナハルや戦車旅団など計4旅団が作戦を行っており、ハマスなどの密輸に使用されていたエジプト・ラファ間のトンネル10以上や、ロケット弾の武器工場、大量の武器等が市内で発見されている。 軍は「非戦闘員への被害を避けながらの作戦」と話しており、人質がラファ内に居る可能性もあるため進軍ペースはゆっくりのよう。またラファ作戦に反発するエジプトへの配慮へもあり、多くの映像・画像は発表されていない。(5/28)
【国防軍、エジプト・ガザ境界の「回廊」を制圧】(Y,P,H) 国防軍は29日エジプト・ガザの境界線に位置する細長い土地、フィラデルフィア回廊をコントロール下に置いたと発表した。制圧のための作戦やその後の調査で約20の(エジプトに繋がる)密輸地下トンネルが発見されており、これによりエジプト→ガザへの武器などの密輸は不可能になった。 軍は「ハマスは酸素チューブを失った」と話しており、発見されたトンネルなどの情報はエジプトにも共有された。自身の国境でもあるためエジプトはイスラエルによる同回廊での作戦を終始把握していたが黙認したのは外交的成果、との見方も。また回廊内からは、発射可能な数十のロケット弾やその発射台、大量の武器が発見されている。(5/29)
【ハマス:ガザ内での作戦が続く限り、交渉には応じない】(Y,P,H) ハマスは30日夜イスラエルから提示されていた終戦・人質解放案に対し、「戦闘が続いている間、交渉は行わない」との声明を発表した。声明の中では、自身たちは交渉の場において柔軟かつ前向きな姿勢を見せ続けてきたとの主張を強調したうえで、「もし占領軍(イスラエル)がガザの民に対する攻撃・侵略を止めるのであれば、人質(と囚人の)交換を含む包括的な取引に対して前向きになる、と仲介役に伝えた」とのこと。 また声明内には、検問所制圧などラファに関する批判が明記されている。先週末にパリで米イとカタールでの交渉再開に向けた話し合いもあったが、やはり交渉再開への最大のネックはラファ作戦のよう。(5/30) |