ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【予備役兵が暴言「軍ではなく首相の指令のみに従う」】(Y,P,H) ガザでの作戦に参加中の予備役兵が「ガラント防衛相では戦争に勝てないので、辞職しろ。私たちが従うリーダーはただ1人、防衛相・参謀総長ではなく首相のみ」と、武器を持った姿で呼び掛けるビデオがSNS上で拡散された。上官への命令拒否はもちろん兵士の政治的言動なども軍法違反であり、軍内での蜂起を呼び掛けるような過激なメッセージから、軍警察が調査を開始。 予備役兵は取り調べに対して「怒りと不満が溜まっていた」と容疑を認め、予備役からの解任が決まり釈放された。しかしこの動画が広く拡散された理由に、首相の長男ヤイール・ネタニヤフによるSNS上でシェアがあり、彼の行動に対する批判も上がっている。(5/25-26)

 

【ハマスがイスラエル軍兵の拉致を主張も、軍は否定】(Y,P,H) 25日夜にハマスはガザ北部ジャバリアの地下トンネルで、複数の国防軍兵士をおびき寄し殺害し遺体を拉致したと、ビデオを公開して主張した。公開された映像には血でにじんだ軍服を身に着けた遺体が引きずられている様子や、ヘルメットや防弾チョッキなど軍の装備・ライフル銃の写真などが含まれている。 ハマスによる発表の直後にレバノンやヨルダンでは祝賀の様子が見られたが、国防軍の報道官は「兵士が拉致されたといったことは、起こっていない」と疑いを否定している。イスラエルメディアでは「ハマスによる心理的テロ」との論調で報じられている。(5/26)

 

【4か月ぶり、ラファよりテル・アビブにロケット弾が飛来】(Y,P,H) 26日の昼頃、ハマスがラファから8発の長距離ロケット弾をテル・アビブとその周辺に向かって発射し、アイアンドームが数発を迎撃し残りは市街地外に着弾した。テル・アビブの北にある町では迎撃後のロケット弾の破片による住宅への被害が複数起こり、女性2人がシェルターに急いで向かう途中に軽傷。 テル・アビブ周辺へのロケット弾飛来とそれによるサイレンは、4か月以上ぶり。8発のロケット弾は全てラファからのもので、その中にはラファ作戦で活動している国防軍からわずか800mの場所から発射されたものも。これには、A.ハマスの武力の誇示とB.国防軍により制圧され破壊されるまでに残っている兵器を使い切りたい、という2つの意図があるもよう。(5/26)

 

【ラファ、ハマス司令官への空爆により数十人が死亡】(Y,P,H) 26日夜に国防軍がラファ市内へと空爆を行い、西岸地区におけるハマス軍部司令官のヤシン・ラビアら2人の高官を殺害したと発表した。ラビアらは西岸地区でのハマスによるテロ行為を指揮しており、第2次インティファーダーでも複数のテロに関わっていた。 しかしこの空爆に巻き込まれ、40人以上の避難民が死亡。この報道を受け国防軍は「非戦闘員の犠牲に関しては遺憾の意を表する」とコメントし調査開始を発表、ネタニヤフ首相も「悲劇的な過ちであり、調査で真相を究明する」と国会で演説した。 27日に発表された一時調査の報告書によると、空爆はラファ内にある『人道ゾーン』からは1.7kmの場所だったことや、空爆に使用されたのは弾頭17キロほどの小爆弾だったが、空爆した場所の隣にハマスの武器倉庫がありそれに引火し爆発、大規模な火災になった可能性があるとの可能性を示唆した。軍はガザ市民2人が、武器倉庫に引火しての火災だったと話し合っている録音も公開している。(5/27,28)

 

【ラファ検問所での銃撃戦で、エジプト兵が死亡】(Y,P,H) エジプトとガザ地区を結び、現在はイスラエル国防軍が制圧しているラファ検問所で27日、国防軍とエジプト軍の間での銃撃戦が起こり、エジプト兵1人が死亡、複数が負傷した。 エジプトはアラブメディアに対してイスラエル側からの発砲により銃撃戦が起こったと話す一方、国防軍関係者はエジプト側からの発砲が最初だと食い違った主張をしている。 両軍ともに独自の調査を行っている反面、両軍の上官同士では話し合いが持たれている。そこでは両国間のこれ以上の関係悪化は望ましくないという点で一致しており、この事件について「お互い大事にはしない」と取り決めたもよう。これを受け両国では、メディアによる報道の制限・検閲が敷かれている。(5/27)

 

【ラファ中心地へ国防軍が進軍】(Y,P,H) 28日、国防軍の戦車がラファ中心にあるモスクの近くで目撃された。ガザ内からの報道によるもので、今までは郊外での作戦で中心部へは進軍していなかった。現在ラファ内ではナハルや戦車旅団など計4旅団が作戦を行っており、ハマスなどの密輸に使用されていたエジプト・ラファ間のトンネル10以上や、ロケット弾の武器工場、大量の武器等が市内で発見されている。 軍は「非戦闘員への被害を避けながらの作戦」と話しており、人質がラファ内に居る可能性もあるため進軍ペースはゆっくりのよう。またラファ作戦に反発するエジプトへの配慮へもあり、多くの映像・画像は発表されていない。(5/28)

 

【国防軍、エジプト・ガザ境界の「回廊」を制圧】(Y,P,H) 国防軍は29日エジプト・ガザの境界線に位置する細長い土地、フィラデルフィア回廊をコントロール下に置いたと発表した。制圧のための作戦やその後の調査で約20の(エジプトに繋がる)密輸地下トンネルが発見されており、これによりエジプト→ガザへの武器などの密輸は不可能になった。 軍は「ハマスは酸素チューブを失った」と話しており、発見されたトンネルなどの情報はエジプトにも共有された。自身の国境でもあるためエジプトはイスラエルによる同回廊での作戦を終始把握していたが黙認したのは外交的成果、との見方も。また回廊内からは、発射可能な数十のロケット弾やその発射台、大量の武器が発見されている。(5/29)

 

【ハマス:ガザ内での作戦が続く限り、交渉には応じない】(Y,P,H) ハマスは30日夜イスラエルから提示されていた終戦・人質解放案に対し、「戦闘が続いている間、交渉は行わない」との声明を発表した。声明の中では、自身たちは交渉の場において柔軟かつ前向きな姿勢を見せ続けてきたとの主張を強調したうえで、「もし占領軍(イスラエル)がガザの民に対する攻撃・侵略を止めるのであれば、人質(と囚人の)交換を含む包括的な取引に対して前向きになる、と仲介役に伝えた」とのこと。 また声明内には、検問所制圧などラファに関する批判が明記されている。先週末にパリで米イとカタールでの交渉再開に向けた話し合いもあったが、やはり交渉再開への最大のネックはラファ作戦のよう。(5/30) 

内政

【エルサレム・デーの行進、例年通りダマスカス門を通る予定】(Y) 1967年の第三次中東戦争で、イスラエルが東エルサレムを占領・再統一したことを記念するエルサレム・デーが来週水曜日にせまるなか、戦争による緊張もあり毎年恒例の『旗の行進』の順路が議論を呼んでいる。現状では行進の始点(新市街)と終点(嘆きの壁)以外は明記されていないが、ベングビル国家治安相やエルサレム警察は東エルサレムにあるダマスカス門を通る、例年通りの行進経路での開催を許可したもよう。 しかしここ数年、ハマスによる行進を狙ったロケット弾攻撃や地元アラブ人との衝突なども起きており、ガザ戦争中の行進ということから内外から経路変更を支持する声も。(5/30) 

国際情勢

【国際司法裁判所、ラファ作戦の中止を命令】(Y,P,H) 国際司法裁判所(ICJ)は24日、南アフリカが求めているガザでの軍事作戦中止の訴えをほぼ全面的に認め、イスラエルに対しラファ作戦中止を命令した。15人の裁判官のうち、イスラエル・ウガンダの2人を除く13人が賛成しての決定。南アが求めたガザ全土での戦闘中止命令は認められなかったが、国連によるジェノサイド容疑を調査する委員会の無条件のガザ入りの許可や、ラファ検問所からの支援物資の搬入、いかに今回のICCの決定を守ったかについてのレポートの南アへの提出、などがイスラエルに命じられた。 議決に参加したイスラエル人裁判官は、発表後に自身の見解を発表。あくまで「ジェノサイドを引き起こし得る」軍事作戦に対しての中止命令であり、イスラエルがジェノサイドを行っていない限り軍事作戦は正当なもの、と述べている。 その一方関係者からは、「ガザ全域ではなくラファに限定された点は、南アの要求が通らなかったため一見プラス。しかしラファ作戦のみに限定されたため、同作戦に一貫して反対の立場であるアメリカはこの決定に対し反対しにくくなった。もしこの議題が安保理で決議された場合、アメリカが拒否権行使をせずに賛成に回ってしまう可能性もある」と危惧する声も。(5/24)

 

【エジプト、ラファの物資をイスラエル経由でガザへ】(Y,H) 国防軍によるラファ検問所の制圧以降、エジプトからの支援物資が未搬入の状態が続いている問題を受け24日、米バイデン大統領とエジプトのシシ大統領が電話会談。エジプトは1日当たり約200台のトラックを国連の協力のもと、イスラエルのケレム・シャロム検問所を通してガザに搬入することで同意した。 ガザ側のラファ検問所を制圧した直後にイスラエルは、エジプトに対し2国間での検問所の再開、そしてガザ戦後の国防軍撤退後の同検問所のあり方に関する協議を申し出ていたが、エジプトは「検問所はパレスチナ自治政府によってのみ管理されるべき」との理由から全面拒否し、ラファ検問所は閉鎖状態となっている。(5/25)

 

【サウジ、反イスラエル的教育の歴史に終止符か】(Y,P) イスラエルのNPOがサウジアラビア内で使用されている教科書に対する調査を行ったところ、反イスラエル的内容が大幅に修正されていることが分かった。例えば中東地図の中のイスラエルが、今までであれば「パレスチナ」と表記されていたが空欄になっていたり、シオニズムに対する「パレスチナ人追放を掲げるヨーロッパの人種差別的運動」という従来の定義や、イスラエルに対する「敵であるシオニズム」といった表現も消されていたりする。 また、現代シオニズム以前にもユダヤ人たちがイスラエルの地に住んでいることも書かれており、『歴史修正主義』への修正が見られる。イスラエルとの国交正常化への土壌づくりでは、と専門家はコメント。(5/28)

 

【ブラジル・イスラエル間の関係悪化、大使不在の事態に】(Y,P,H) ブラジルのルーラ大統領は29日、イスラエル駐在大使を正式に召喚すると発表した。今年2月に大統領がイスラエルをヒトラーになぞらえた発言をし、イスラエルはこれに対し駐在大使に対し抗議とホロコースト博物館での見学・案内を行った。 しかしこの反応への反発からか大統領は「本国での協議」のため大使を一時的に帰国させ、そのまま3か月が経っていた。先週大使はテル・アビブに戻っていたのだが、この発表により任務再開ではなくイスラエルを離れるためのものだったことが判明。新大使が任命される可能性は低く、大使不在の事態が長期的に続くもようで、イスラエルはこの召喚についてメディアを通じて知らされるなど、両国の関係は過去最悪のレベルに。(5/29) 


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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