【人質だとされていた男性2人の死亡を確認】(Y,P,H)
3日、ガザに拉致され人質となっているとされていたイスラエル人男性2人について、10月7日に死亡していたと発表した。1人目はキブツ・ベエリに住むドロール・オルさん(49)で、調査の結果10月7日にベエリの自宅で妻と殺害され、ガザに遺体として連れ去られたことが分かった。子どもたち2人は昨年の休戦時に解放されていたが、両親を失い孤児に。
もう1人はエリヤキム・リブマンさん(24)で、彼はノバ・フェスティバルの警備員をしていたがテロリストとの戦闘で負傷し、その後行方不明になっていたことから人質と認定。しかし生存・死亡を示すような情報が全く出てこず、イスラエル国内での調査が行われた結果、同じく警備員として戦い犠牲になった20代女性の墓の中に、誤ってリブマンさんの遺体も埋葬されていたことが判明した。拉致から7か月以上経ったなか、全く情報がない人質に関してはリブマンさんと同様のケースも考えられ、国内での調査・捜索も並行して行われている。(5/3)
【アラブメディア「ハマスがエジプト案を飲む」と報道】(Y,P,H)
パレスチナやサウジを含む複数のアラブメディアが4日、カイロ入りしているハマス代表団がエジプトが提示している人質解放・休戦案に対し、賛同する意を示したと報道した。エジプト案によると第1段階の40日の一時休戦期間には、33人の女性・未成年・高齢者をハマスが解放し、イスラエルは1人解放につき高齢者と禁固10年以下のパレスチナ囚人20名を釈放することになっている。アラブメディアでの楽観的な報道とは対照的に、イスラエル側はハマスの正式な回答がないということから悲観的で、「ハマスからの前向きな姿勢はラファ作戦を阻止するためにすぎない」の声も。
しかし翌5日、ハマス代表団は「指導層との協議」のために明確な回答をしないままカイロを離れ、イスラエルではガラント防衛相がラファ作戦を明言するなど、交渉決裂の様相に。(5/4-5)
【ラファ避難ゾーン近くからのロケット弾】(Y,P,H)
ラファの避難ゾーンから約350mの位置からハマスは5日、14発のロケット弾・迫撃弾を検問所もあるケレム・シャロムに向かって撃ち込んだ。そのうちの複数は、ガザ国境部にある駐屯地内の2箇所に着弾し兵士3人が死亡、9人が負傷。アイアンドームによる迎撃などがなく死亡者が出る事態となったため、軍は原因究明の調査をしている。国防軍はその後、攻撃に使用された発射台や近くにあった別の軍事施設を戦闘機の空爆によって破壊した、と発表している。軍関係者は「ハマスとの交渉を進めるためにもラファ作戦を先延ばしにしてきたが、(交渉締結が遠のいたことに加え)この砲撃により作戦実行がより近付いたのでは」と話している。(5/5-6)
【国防軍、ラファからの市民避難を開始】(Y,P,H)
イスラエル・ハマス間の交渉が暗礁に乗り上げているなか国防軍は6日、ラファ東部の住民たちに対してラファの北の海岸沿いにある避難・人道ゾーンに避難するよう呼び掛けた。軍はアラビア語の報道官を通じての発信や空からビラの散布を行い、どのルートをたどって避難すべきかについてラファの住民に知らせている。軍の推測によると避難要請を出しているラファ東部には、ラファに現在いる130万人のうち約10万が住んでいるとのこと。市民の避難はラファでの作戦実行への準備だが、現段階ではラファ全域ではなく東部のみでの避難要請であることから、現段階ではラファ作戦は局地的なものになるとされている。(5/6)
【国防軍ラファ東部の検問所を占領】(Y,P,H)
6日夜に国防軍は15万人の住民が避難したラファ東部に対して空爆と地上侵攻を行い、翌朝には戦車部隊がラファ検問所に突入、ハマスとの交戦の後にパレスチナ側を制圧した。現時点でハマスのテロリスト数十人が死亡しているが一般市民の死者は出ておらず、検問所はラファの街の郊外にあるためラファ市街地での戦闘は起こっていない。ネタニヤフ首相はハマスが出した案について「イスラエルの譲れない基本的要求から遠く離れている」とし、ハマスが歩み寄らないのであればラファ作戦の続行はもちろん、より大規模な作戦実行を示唆している。
有識者によるとこのラファにおける局地的な軍事作戦の狙いは、交渉の場でのハマスへの圧力の他に、ラファ内でのハマス関連施設の占拠・破壊、ガザ・エジプト間の密輸トンネルの制圧、そして大規模な作戦に向けた準備など。(5/7)
【休戦・人質解放交渉におけるハマスとイスラエルの違いが明らかに】(Y,P,H)
6日夜にハマスは休戦案の条件を受け入れる姿勢を示したが、この休戦案はイスラエルが受け入れた案にハマスが条件を飲むため、エジプトが一方的に修正を加えたものであることが分かった。イスラエルはもちろんアメリカもエジプトによる修正には関与しておらず、ハマス・イスラエルが2つの違う「休戦案」をそれぞれ受け入れているという状況に。現在イスラエル側はハマスが飲んだとされる案について、検討している段階。例えば休戦の第1段階でイスラエルは33人の人質解放を求めておりハマス案にも33人とあるものの「死者も含む」とあったり、1度に3人とされている人質解放の頻度(イス:3日毎・ハマス: 1週間毎)や、人質1人に対する解放されるパレスチナ囚人の数(20/30人)などにも違いがあり、メディアは「ハマスの受け入れた案をイスラエルがそのまま飲む可能性は低い」との論調。(5/7)
【イスラエル・ハマスの交渉団、カイロを離れる】(Y,P,H)
9日、イスラエルとハマスの交渉団とCIAのバーンズ長官がカイロでの休戦・人質解放交渉を終えて、エジプトを後にした。イスラエルによるラファ近郊での作戦は、仲介役のエジプトとハマス交渉団の怒りを買い交渉中断の理由の一つとなったものの、関係者によると「双方共に引き続き交渉には応じるようで、交渉決裂ではない」とのこと。米政府も「ギャップを埋めることができると信じている」と前向きなコメントをしている。イスラエルの関係者は「集中的な交渉だった。ハマス案の中で譲歩できない点を伝えたので、ハマスの返答を待つことになる。イスラエルとしては、交渉でに明確な前進が見られるまでラファ作戦を続けるつもり」と語っている。(5/9)