【アルガマニさんの肉声をハマスが公開】(Y,P,H)
ハマスは31日、人質となっているノア・アルガマニさん(26)の肉声をビデオで公開した。アルガマニさんはパートナーのアビナタン・オールさんと音楽祭で拉致され、助けを求めながらバイクでガザに連れ去られる映像は海外で広く報道され、ハマスの虐殺・拉致を象徴する被害者の1人となっていた。「237日間囚われの身で、いつまでになるのか…テル・アビブのデモに参加して。ネタニヤフ政権に私たちを殺させてはいけない」と語っているが、恐らくハマスの原稿を読んでいるもの。
音声のみだが、ビデオ内には彼女が描いたであろう絵も見られる。今年1月にハマスが発表したビデオにもアルガマニさんら3人の姿があったが、その翌日に他の2人は殺害されたことが分かっている。(5/31)
【バイデン大統領、イスラエルによる案を発表し休戦呼び掛ける】(Y,P,H)
31日に米バイデン大統領は演説を行い、イスラエルがハマスに提示した休戦案について言及した。「ハマスは10月7日を再び実行することは不可能で、イスラエルが考える『完全勝利』はハマスの敗北・人質救出のどちらももたらさない」と両者を牽制した上で、3段階からなる休戦案を発表した。
6週間の第1段階ではイスラエルは戦闘を休止し市街地から撤退、ハマスは女性・高齢者・負傷者の人質を解放し、イスラエルは数百人のパレスチナ人囚人を釈放する。その間の交渉がうまく進めば、兵士・男性を含む人質の全員解放とガザからの国防軍完全撤退の第2段階となり、第3段階はガザの復興となっている。
休戦・交渉に反対しているイスラエルの政治家・市民に対して協力を求める一方、ハマスに対しては「休戦を望んでいると彼らは言っており、それを証明する瞬間」と交渉のテーブルに着くよう求めるなど、両者に対して呼び掛けるような演説内容だった。(5/31)
【ネタニヤフ、ハマス壊滅・人質解放という従来の姿勢強調】(Y,P,H)
前日の米バイデン大統領によるイスラエルの休戦案発表を受け、ネタニヤフ首相は1日に「終戦のためのイスラエルの条件は、Aハマスの軍事・統治能力の壊滅 B全人質の解放 Cガザが再びイスラエルの脅威にならないこと、と変わってはいない」とXに投稿、イスラエルの従来の姿勢を再び強調した。
また「これらの条件が満たされる前にイスラエルが恒久的停戦を認めるというのは、大きな間違い」とも述べた。大統領の休戦案発表時には戦後のハマスによるガザ統治への明確な否定がなく曖昧なものだったが、それに対してネタニヤフ首相はハマス解体が必須条件であるとはっきりさせた形。(6/1)
【ガリラヤ西部でサイレン続き、12万人がヒズボラの射程圏内に】(Y,P,H)
イスラエル北部の海岸部(ガリラヤ西部)のナハリヤとアッコは、ここ4か月以上サイレンが鳴ることもなく比較的平穏な町だった。しかし2日にナハリヤでは3度サイレンが鳴りヒズボラからのドローン攻撃機の飛来による火災が発生、アッコでも3日連続でサイレンがありこちらでもドローンの一部が市街地で見つかっているなど、攻撃に晒されている。
これにより新たに12万人の市民が、ヒズボラの攻撃・射程圏内に入ったことに。また内陸部にある最北端のキリヤット・シュモナでも弾道ミサイルが飛来するなど砲撃が激化し、数時間に渡って町の上に黒煙が立ち込めた。5月はイスラエル北部に対して325件のヒズボラによる攻撃があり、これは4月の238件を越えてガザ開戦後は最多。(6/2)
【ヒズボラのドローンがドゥルーズ人村に着弾、11人が負傷】(Y,P,H)
北部にあるドゥルーズ人の町ホルフェシュに5日、ヒズボラによって発射された複数のドローン攻撃機が着弾、3人の重傷者を含む少なくとも11人が負傷した。攻撃には数分の時間差があり、これは最初の着弾後に駆け付けた救命士や兵士たちに対しての攻撃を狙ったもののよう。
またアイアンドームやサイレンも発動しておらず、国防軍は調査を行っている。その後ヒズボラは犯行声明を出し、前日にイスラエルが国境部にある町へ攻撃し戦闘員1人を殺害したことへの報復攻撃と発表。翌6日には救助に駆け付けた兵士1人の死亡が確認されている。
イスラエルは戦争内閣を翌日夜に招集しヒズボラに対する開戦なども含めた議論がされる予定だが、イスラエルは南北で同時に戦争を行うことには否定的で、ヒズボラとの全面戦争が起こるとしてもラファ作戦などガザでの戦闘や人質交渉が落ち着いてからと予想されている。(6/5,6)
【UNRWA学校に潜伏中のテロリストを空爆、パレスチナ「45人が死亡」】(Y,P,H)
6日未明、国防軍はガザ地区中央部にあるUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の付属校に対して空爆を行った。国防軍は、10月7日の虐殺に関与した者を含むテロリストたちが潜伏していたための空爆としているものの、パレスチナ側は「民間人45人が死亡」と主張している。
UNRWA付属校への攻撃は海外からの批判を呼び、同日夜に国防軍のハガリ報道官は会見を実施。殺害したハマス2人・イスラム聖戦7人の身元を明かした上で報道官は、虐殺への参加者がいること、教室に潜伏していたテロリストたちがイスラエルへの攻撃を計画していたこと、そして数日間空からこの学校をモニタリングしており民間人が居たために2度攻撃を直前で中止していたことなどを語り、海外メディアに対して「事実確認の前にハマスの主張を報道している」と批判的発言をした。(6/6)
【ハマスによる休戦案受け入れは望み薄か】(Y,P,H)
米WSJ紙は6日、ガザのハマス指導者シンワルのエジプト・カタールに対するコメントを報道。それによるとシンワルは「イスラエルが恒久的停戦に入らなければ、休戦案は受け入れない」としたうえで、「ハマスが武器を置くことはなく、そう求める提案に署名することはない」と述べた。
また同日にハマスは複数のアラブメディアを通じ、バイデン大統領が発表した案とイスラエルが提示した案が「根本的に違う」と主張している。ハマス・イスラム聖戦ともに、恒久的停戦とイスラエル軍のガザからの完全撤退という2点については従来の姿勢を崩していないため、ハマス側からの正式な回答はまだだが二つ返事で休戦案を受け入れる可能性は低いよう。
イスラエルでは「これまでの交渉と同様、あの手この手で修正やイスラエル側の譲歩を引き出そうとし、暗礁に乗り上げるのでは」といった論調。(6/6) |