ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【アルガマニさんの肉声をハマスが公開】(Y,P,H)
ハマスは31日、人質となっているノア・アルガマニさん(26)の肉声をビデオで公開した。アルガマニさんはパートナーのアビナタン・オールさんと音楽祭で拉致され、助けを求めながらバイクでガザに連れ去られる映像は海外で広く報道され、ハマスの虐殺・拉致を象徴する被害者の1人となっていた。「237日間囚われの身で、いつまでになるのか…テル・アビブのデモに参加して。ネタニヤフ政権に私たちを殺させてはいけない」と語っているが、恐らくハマスの原稿を読んでいるもの。
音声のみだが、ビデオ内には彼女が描いたであろう絵も見られる。今年1月にハマスが発表したビデオにもアルガマニさんら3人の姿があったが、その翌日に他の2人は殺害されたことが分かっている。(5/31)

 

【バイデン大統領、イスラエルによる案を発表し休戦呼び掛ける】(Y,P,H)
31日に米バイデン大統領は演説を行い、イスラエルがハマスに提示した休戦案について言及した。「ハマスは10月7日を再び実行することは不可能で、イスラエルが考える『完全勝利』はハマスの敗北・人質救出のどちらももたらさない」と両者を牽制した上で、3段階からなる休戦案を発表した。
6週間の第1段階ではイスラエルは戦闘を休止し市街地から撤退、ハマスは女性・高齢者・負傷者の人質を解放し、イスラエルは数百人のパレスチナ人囚人を釈放する。その間の交渉がうまく進めば、兵士・男性を含む人質の全員解放とガザからの国防軍完全撤退の第2段階となり、第3段階はガザの復興となっている。
休戦・交渉に反対しているイスラエルの政治家・市民に対して協力を求める一方、ハマスに対しては「休戦を望んでいると彼らは言っており、それを証明する瞬間」と交渉のテーブルに着くよう求めるなど、両者に対して呼び掛けるような演説内容だった。(5/31)

 

【ネタニヤフ、ハマス壊滅・人質解放という従来の姿勢強調】(Y,P,H)
前日の米バイデン大統領によるイスラエルの休戦案発表を受け、ネタニヤフ首相は1日に「終戦のためのイスラエルの条件は、Aハマスの軍事・統治能力の壊滅 B全人質の解放 Cガザが再びイスラエルの脅威にならないこと、と変わってはいない」とXに投稿、イスラエルの従来の姿勢を再び強調した。
また「これらの条件が満たされる前にイスラエルが恒久的停戦を認めるというのは、大きな間違い」とも述べた。大統領の休戦案発表時には戦後のハマスによるガザ統治への明確な否定がなく曖昧なものだったが、それに対してネタニヤフ首相はハマス解体が必須条件であるとはっきりさせた形。(6/1)

 

【ガリラヤ西部でサイレン続き、12万人がヒズボラの射程圏内に】(Y,P,H)
イスラエル北部の海岸部(ガリラヤ西部)のナハリヤとアッコは、ここ4か月以上サイレンが鳴ることもなく比較的平穏な町だった。しかし2日にナハリヤでは3度サイレンが鳴りヒズボラからのドローン攻撃機の飛来による火災が発生、アッコでも3日連続でサイレンがありこちらでもドローンの一部が市街地で見つかっているなど、攻撃に晒されている。
これにより新たに12万人の市民が、ヒズボラの攻撃・射程圏内に入ったことに。また内陸部にある最北端のキリヤット・シュモナでも弾道ミサイルが飛来するなど砲撃が激化し、数時間に渡って町の上に黒煙が立ち込めた。5月はイスラエル北部に対して325件のヒズボラによる攻撃があり、これは4月の238件を越えてガザ開戦後は最多。(6/2)

 

【ヒズボラのドローンがドゥルーズ人村に着弾、11人が負傷】(Y,P,H)
北部にあるドゥルーズ人の町ホルフェシュに5日、ヒズボラによって発射された複数のドローン攻撃機が着弾、3人の重傷者を含む少なくとも11人が負傷した。攻撃には数分の時間差があり、これは最初の着弾後に駆け付けた救命士や兵士たちに対しての攻撃を狙ったもののよう。
またアイアンドームやサイレンも発動しておらず、国防軍は調査を行っている。その後ヒズボラは犯行声明を出し、前日にイスラエルが国境部にある町へ攻撃し戦闘員1人を殺害したことへの報復攻撃と発表。翌6日には救助に駆け付けた兵士1人の死亡が確認されている。
イスラエルは戦争内閣を翌日夜に招集しヒズボラに対する開戦なども含めた議論がされる予定だが、イスラエルは南北で同時に戦争を行うことには否定的で、ヒズボラとの全面戦争が起こるとしてもラファ作戦などガザでの戦闘や人質交渉が落ち着いてからと予想されている。(6/5,6)

 

【UNRWA学校に潜伏中のテロリストを空爆、パレスチナ「45人が死亡」】(Y,P,H)
6日未明、国防軍はガザ地区中央部にあるUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の付属校に対して空爆を行った。国防軍は、10月7日の虐殺に関与した者を含むテロリストたちが潜伏していたための空爆としているものの、パレスチナ側は「民間人45人が死亡」と主張している。
UNRWA付属校への攻撃は海外からの批判を呼び、同日夜に国防軍のハガリ報道官は会見を実施。殺害したハマス2人・イスラム聖戦7人の身元を明かした上で報道官は、虐殺への参加者がいること、教室に潜伏していたテロリストたちがイスラエルへの攻撃を計画していたこと、そして数日間空からこの学校をモニタリングしており民間人が居たために2度攻撃を直前で中止していたことなどを語り、海外メディアに対して「事実確認の前にハマスの主張を報道している」と批判的発言をした。(6/6)

 

【ハマスによる休戦案受け入れは望み薄か】(Y,P,H)
米WSJ紙は6日、ガザのハマス指導者シンワルのエジプト・カタールに対するコメントを報道。それによるとシンワルは「イスラエルが恒久的停戦に入らなければ、休戦案は受け入れない」としたうえで、「ハマスが武器を置くことはなく、そう求める提案に署名することはない」と述べた。
また同日にハマスは複数のアラブメディアを通じ、バイデン大統領が発表した案とイスラエルが提示した案が「根本的に違う」と主張している。ハマス・イスラム聖戦ともに、恒久的停戦とイスラエル軍のガザからの完全撤退という2点については従来の姿勢を崩していないため、ハマス側からの正式な回答はまだだが二つ返事で休戦案を受け入れる可能性は低いよう。
イスラエルでは「これまでの交渉と同様、あの手この手で修正やイスラエル側の譲歩を引き出そうとし、暗礁に乗り上げるのでは」といった論調。(6/6)

内政

【米イ間の意見の『相違』と、極右閣僚による「連立脱退」の声】(Y,P,H)
31日にバイデン大統領がイスラエルが提示した休戦案を発表したことを受け、政府内ではベングビル国家治安相・スモトリッチ財務相など極右閣僚たちから批判の声が上がっている。
そんななか3日ネタニヤフ首相は「発表された案は断片的。戦闘休止は人質解放のためであって、その後また議論が行われる。大統領はいくつかの条項を発表なかった」と発言。戦闘休止をハマスへの敗北と考える極右の反発を抑えるための発言とも考えられているが、数時間後にカービー米国防総省報道官はこれに関する質問に対して、「バイデン大統領はイスラエルによる案を正確に発表した」と、首相の主張を訂正するような答えをしている。
またベングビル・スモトリッチ両閣僚は、週明けからハマスに提示した案を見せるよう要請しているが首相が応じないことから、連立脱退する意向をちらつかせている。ベングビル氏は「戦闘終了を強制していない案だと言うのならば、なぜネタニヤフは案を見せないのか。もしハマス壊滅を達成しないまま休戦を迎えるような案にサインするならば、私たちの党はこの政権を解体する」と発言した。(6/2-3)

 

【被害が拡大する北部、戦争内閣の閣議開催】(Y,P,H)
ここ数日間ヒズボラによる北部攻撃が激化するなか、国家団結党ガンツ党首の要請を受け4日夜に戦争内閣の閣議が持たれた。ヒズボラに対して全面戦争を含めどのように対処すべきかについてが議論されたが、内容や決定内容に関しては公表されていない。
閣議前にはハレビ参謀総長が国境部を視察し、配備されているゴラニ旅団の司令官たちに対し「ヒズボラはここ数日、攻撃を強めている。決定すべき瞬間が近づいており、国防軍はその決定への準備ができている」と語っている。また国内の森林などを管理するユダヤ基金は、第二次レバノン戦争(2006)と比べて現段階で2倍の火災による被害が出ているとしており、戦闘が続く限りは被害額も膨らんでいくだろうとの予想を発表。(6/4)

 

【『エルサレムの日』の行進と、神殿の丘訪問】(Y,P,H)
5日にエルサレムでは、67年にイスラエルが東エルサレムを占領し町を再統一した「エルサレムの日」が祝われた。朝には約1600人のユダヤ人が神殿の丘を訪問、午後には数千人によるイスラエル国旗を持っての『旗の行進』が開催。
ガザでの戦闘中ということで旧市街のアラブ人地区を通らない経路についても検討されたが、例年通り東のダマスカス門を通っての行進だった。ユダヤ・アラブ人間での衝突やメディアへの攻撃により18人が逮捕されたが、警官約3000人が配備されたため恐れられていた大規模な暴動は起こらなかった。
行進に参加したベングビル国家治安相は、「旧市街にユダヤ人が自由に入り、神殿の丘で自由に祈った。これが私の政策。神殿の丘は私たちのもの」と、(ユダヤ人は神殿の丘で宗教的行為をしないという)現状維持協定を破棄するような宣言を行った。直後にネタニヤフ首相は「現状維持協定が変わることはない」と、訂正するような声明を発表。(6/5)

国際情勢

【モルディブ、イスラエル人の入国を禁止】(Y,P,H)
イスラエル人の間でも高級リゾート地として知られるモルディブの政府が、閣議でイスラエル国籍保持者の入国を禁じるよう法律改正をしたと同国大統領府が2日に発表した。また同時に、近くパレスチナに対しての特命公使を任命する旨も明らかにしている。
人口の約99%がイスラム教徒ではあるモルディブには、年間で11000人のイスラエル観光客が訪れておりこれは全体の0.6%。しかしイスラエル人には重国籍者が多く、(イスラム教国であることから)他の国のパスポートを利用してモルディブに入国しているケースが多いため、実際のイスラエル人観光客はそれよりも多い。この決定を受けてイスラエル外務省は、モルディブへの渡航中止を呼び掛けた。(6/2)

 

【米、安保理を通じてハマスに休戦案受け入れを呼び掛けへ】(Y,P)
5月31日にバイデン大統領が発表した、イスラエルによる休戦案をハマスが受け入れるよう呼び掛ける決議案を、アメリカが国連安保理の理事国に対して提案していることが4日分かった。
決議案は先日の発表内容を肯定し、イスラエル・ハマスの両者に対して休戦案の履行を呼び掛けるものとなっており、特にハマスに対して人質解放を含む休戦案の内容を受け入れるよう、国際社会を通して圧力を掛ける狙いがあると見られている。前日にはG7でバイデン大統領の発表内容を歓迎する共同宣言が出されているため、今週の間にも決議が行われると関係者からの声もあるが、常任理事国の中露が拒否権を行使する可能性も。(6/4)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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