ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【9割以上のパレスチナ人が、ハマスによる虐殺を否認】(Y,P,H)
西岸地区のシンクタンク「パレスチナ政策調査研究センター」が世論調査を行い、10月7日のハマスによる攻撃について3月の71%からは減少したものの、3分の2のパレスチナ人が現在でも支持している事が分かった。また90%以上が、「イスラエル市民に対してハマスが虐殺を行ったとは考えていない」と回答。
そして10月7日への支持と反比例するように2国共存への支持は減少、イスラエルへの軍事的抵抗への指示が増加する結果に。またパレスチナ内の問題では6割がパレスチナ自治政府の解体、89%がアッバス議長の退任を支持するなど、自治政府に対する不満が浮き彫りとなった。
調査は西岸の760人、ガザの750人を対象におこなわれたもの。(6/14, 16)

 

【ガザ仮設埠頭、修繕・改築のため一時撤去へ】(Y,P,H)
5月中旬に完成、人道支援物資輸送のために使用されていたガザの仮設埠頭を、米軍が一時的に撤去する予定であるということが14日明らかになった。2.3億ドルの予算が投入され、1日200万食提供との目標が設定されるなど、アメリカが力を入れていたプロジェクトだったが、「予想外の海の気象状況」から結局機能していたのは10日間ほど。
当初の予想は9月までは埠頭を使用できるとの試算だったが、このまま設置したままにしておくと来月には崩壊する恐れがある。埠頭の構造を修繕するため一時撤去されるが再開の目処はなく、代わりにイスラエル南部のアシュドド港が利用されることになる。(6/15)

 

【ラファで装甲車が爆破され、兵士8人が死亡】(Y,P,H)
15日ラファ近郊で、戦車の車体を改修して作られた装甲兵員輸送車が爆破され、中に居た8人の国防軍兵士が死亡した。仕掛けられた爆破装置または対戦車ミサイルによるもので、車両が輸送していた数十から数百キロの爆薬に引火し、巨大な爆発になったと考えられている。爆発と火災により車両は全壊・全焼、2時間もの間軍は救助活動なども出来なかった。しかしドローンを使い、上空から遺体がテロリストにより拉致されていないかは監視していたとのことで、8人全員の遺体は収容された。
開戦から装甲兵員輸送車が爆破に遭うのは3度目で、11月に起こった同様の事例以降、武器などの爆破物の輸送に関してはより厳しい基準が課されていたのだが、車両内に8人もの兵士が居たことから徹底されていなかったもようで、軍は調査を行っている。犠牲者の1人はアラブ系のドゥルーズ人兵士。(6/15)

 

【国防軍が人道的な戦闘停止を行う― 政府は反発】(Y,P,H)
国防軍報道官は16日、ラファにおいて午前8時から午後7時までの戦闘停止を「戦術的かつ人道的観点」から、毎日行う意向であると発表した。ケレム・シャロム検問所から人道物資を載せたトラックに対し、安全な経路を確保するのが目的で、対象となるのはサラディン通りをはじめとする幹線道路。
イスラエルと国連やその他国際組織との議論の末の決定であり、国防関係者は「首相を含む、政府の決定」としているものの、ネタニヤフ氏は「メディアを通じて知り、認められるものではなく、私との連携がないままの決定」と矛盾した主張をしている。戦闘停止の背景には国際社会からの非難の他、近く発表されるであろう国際刑事裁判所/司法裁判所の決定などがあると言われている。(6/16)

 

【ガザ師団、10月7日直前に越境攻撃・拉致を警告】(Y,P,H)
10月7日のハマスによる攻撃前の9月19日、ガザ師団はハマスの特殊部隊「ヌフバ」が行っていた軍事訓練についてのレポートを提出していたことが分かった。その訓練はガザ境界上の前線基地やキブツへの襲撃や兵士や一般市民たちの拉致に特化したもので、この3週間後にハマスはそれを実行に移したことになる。国防軍の前線基地に似せた建築物を建て、計4部隊がそれぞれの基地を制圧する訓練を行っていた。
レポート内では諜報部の分析結果もあり、成功した場合は200~250人のイスラエル人が拉致されるとの概算が出ており、これは実際に拉致された数とほぼ同数。訓練には生け捕りにした人質の監禁方法や、どの状況下であれば処刑すべきなのかについてといった内容も含まれていた。報道の数日後、軍関係者は「女性哨兵たちは正しく報告したが、単なる一訓練に過ぎないとの結論が上層部によって出された」と述べている。(6/17-18,20)

内政

【ネタニヤフ首相、戦争内閣を解散】(Y,P,H)
ガンツ元参謀総長が率いる国家団結党が開戦直後に連立入りし発足した戦争内閣だが、今月9日に同党が連立を脱退したことを受け、ネタニヤフ首相は17日に戦争内閣の正式な解散を発表した。
戦争内閣はネタニヤフ首相とガラント防衛相、そしてガンツ党首の3人に加え3人のオブザーバーで構成されており、機密性の高い戦闘に関する決定などを行ってきた。ガンツ党首が脱退した後もアメリカは、(極右閣僚が居らず比較的穏健だった)同内閣の継続を要請していたが、極右のベングビル国家治安相が戦争内閣入りを要求したことにより解散が決定的となっていた。
今後もネタニヤフ氏は防衛相や関係者たちと「安全保障上の協議」を行うが、最終的な決定は通常の内閣で行われることになる。戦争内閣では3人が協議して取り決めていたため投票なども不要だったが、今後は50人を超える内閣での協議・採決が必要になる。(6/17)

 

【エジプト、戦後ガザの治安維持軍に軍派遣の意向か】(Y,P,H)
先週バーレーンで行われた米・イとアラブ各国の軍司令官たちの間で行われた実務者会談で、エジプト軍のオサマ・アスカル参謀総長が「条件を満たしていれば、国連が指揮する見込みのガザ治安維持部隊に派兵する準備ができている」と述べていたことが、19日カタール紙により明らかになった。エジプトは休戦交渉の仲介役や人道支援など、ガザでの戦闘においてのキープレイヤーだが、ラファ作戦開始後はイスラエルとの連携を停止している。
エジプト・ヨルダン・UAEやイスラエルと国交のないサウジ・バーレーンの軍指導部も参加した同会議では、ガザ問題の他に対イラン戦略や(フーシ派の攻撃が頻発している)紅海の鎮静化のための話し合いがもたれた。(6/19)

 

【軍報道官「ハマスは概念、殲滅は不可能」と発言、首相は批判】(Y,P,H)
国防軍のハガリ報道官が19日、民放ニュース番組のインタビューで「ハマスとは概念。それを消し去ることができるというのは、間違い。ハマスを壊滅、消し去れるという考えは、国民の目に砂を投げるようなもの」と発言した。この発言に対し首相府は「戦争の目的の1つは、ハマスの軍事・統治能力の壊滅。国防軍はそれのため、もちろんコミットしている」と、報道官を牽制する声明を発表。その後報道官も「戦闘はハマスの軍事力と統治・組織的基盤の壊滅のため。発言はハマスというイデオロギーとして捉えたもの」と釈明している。
また番組の中で報道官は、「ハマスと言う概念を消し去るには、それに取って代わる違う何かを育てる必要がある。それが何かを決めるのが、政治家だ」と、戦闘後のビジョンに欠ける政府を暗示する発言をしている。(6/19)

 

【ヒズボラ指導者、攻撃を匂わせキプロスを警告】(Y,P,H)
ヒズボラの最高指導者ナスララがビデオ演説を行い、イスラエルに加えてキプロスへ警告のメッセージを送った。「敵は北部での損害を隠しているが、42の自治体が集団避難するなど避難民の数は隠せていない。ガリラヤ地方への侵攻も選択肢の1つ」とイスラエルに対して語った後、キプロスに対して「訓練で、イスラエルがキプロスの空港を使用しているという情報がある。戦時中の使用をキプロスが許せば、彼らも戦争に身を置くこととなる。我らを止めるものは何もない」と、攻撃を匂わせるような警告を行った。
キプロスはイスラエルと共同軍事演習を同国内で行うなど協力関係はあるが、同国大統領は戦闘への関与を否定。EUも、「EU加盟国への脅迫行為は、EU全体への脅迫行為だ」とのメッセージを発している。(6/19-20)

国際情勢

【人道支援を妨害する団体、米による制裁対象に】(Y,P,H)
1月末より入植者をはじめ右派たちにより、ガザへ向かう人道支援物資の輸送団への妨害・強奪が頻発、車両への放火など過激な事例も確認されていたのを受け、ホワイトハウスは14日、妨害を主導しているとされる右派団体「ツァブ9」に対し、経済制裁を行うと発表した。2月に発表された、パレスチナ人に対し暴行を行った入植者への制裁と同様の処置が適用される見通しで、米国務省は決定に際し同団体を「過激で暴力的な組織」と非難。
団体側は暴力を伴う抗議行動は団体とは無関係の個人がやっているとしながらも、「輸送された人道支援がハマスの手に渡っているのは、映像などを見ても明らか」と米の決定、そして人道支援に対して批判するコメントを発表している。(6/14)

 

【仏、防衛展示会でイスラエル・ボイコットを決定】(Y,P,H)
世界最大級の防衛展示会「ユーロサトリ2024(パリ)」を前に、フランス地方裁は16日イスラエル国籍所持者の参加を全面禁止する判決を出した。先月末に仏防衛省はイスラエル企業の出展を禁止するとしていたが、それに続く決定。
「(出展できなかった)イスラエル企業の仲介者として参加する恐れがある」というのが司法的根拠にされているが、主催者がイスラエル人の参加を制限する意向はないとの発表後に親パレスチナ団体が反発、地方裁で審議が行われていた。
判決では主催者のイスラエル人参加の容認は、出展できなかった同国企業の代表者の入場を容認することにもなり「明らかに違法」だと批判、親パレ団体はこの判決を歓迎している。しかし主催者と仏防衛省はこれを差別的とし反発し、19日にはイスラエル人の入場が許可される決定が下された。(6/15-16,19)

 

【ネタニヤフ首相が米の武器供給の遅れを批判、米も反発】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相は18日に英語でのビデオを公開し、アメリカに対し「私たちに道具をくれ、そうすれば仕事をもっと早く終わらせる」と、武器の迅速な提供を呼び掛けた。ビデオ内では「自らの金で購入した武器が届いていないという状況は、なぜ起こっているのか」とも話しており、報道されているラファ作戦開始後の米による武器供給の制限を非難する内容。
これに対して米報道官は「何を指しての発言か分かりかねる。輸送が遅れているのは一件のみ」と、困惑したコメント出している。また別の高官からは「ビビに対しての怒りが広がっている。(国内での厳しい立場に立たされているなか)関心を違う所へ向ける必要があるのだろうが、米の顔に唾を吐きかける行為」と言った、厳しい声も。(6/18)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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