ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【ネタニヤフ首相、米紙に対し戦後のガザを語る】(Y)
ネタニヤフ首相は米オンライン紙の取材で戦後のガザについて、「民政が敷かれなければならず、最善なのはアラブ各国の援助によるものだ」と答えた。また非過激化のプロセスのためには、学校やモスクでイスラエル殲滅・ユダヤ人虐殺の教育を止める必要があり、その後に国際社会を含めたガザ再建を行うべきと述べた。
また先週、米政権が武器供給を停止していると批判するビデオを発表したことについては、「数か月の間、落ち着いた会話において解決しようと努めバイデン大統領とも会談したが、解決しなかった。現在は極めて重要なタイミングであり、メッセージの発信が必要だった」と説明。米側は1件を除いては全て供給されているとの立場だが、ネタニヤフ氏は「届いているのは少量」と取材内で否定している。(6/21)

 

【柔道代表監督の息子が、ガザ中央部で戦死】(Y,P,H)
ガザを南北に分断している回廊で20日にテロリストによる迫撃砲による攻撃があり、イスラエル柔道代表監督オレン・スマジャの息子オメルさん(25)ともう1人の計2人が死亡、5人が負傷した。この日は父オレンさんの誕生日で、オメルさんは任務前に誕生日を祝うメッセージを送り、これが最後のやり取りとなった。
オレン・スマジャは92年五輪に銅メダルを獲得、柔道強豪国イスラエルのパイオニアで現男子代表監督でもあることから、葬儀にはパリ五輪に出場する柔道選手をはじめスポーツ関係者たちも参列。葬儀でオレンさんは兵士たちに「勝利するまで、(戦いを)やめるな」と呼び掛けた。(6/21)

 

【空軍によるハマス拠点攻撃、ナンバー4が死亡か】(Y,P,H)
国防軍は22日、ガザ北部のシャティ難民キャンプにあるハマスのテロ拠点2箇所を攻撃、軍からの発表はないがハマスナンバー4でハマス軍部創設者の1人で、シンワルの側近、ラエド・サエドを殺害したもようであると現地メディアは報道している。
国防軍は過去にも複数回サエドの暗殺・逮捕に試みており、3か月前にはシファ病院で姿が確認されたが軍事作戦が行われるなか逃亡し、軍とシンベトも彼の逮捕失敗を認める声明を出していた。ハマス保健省は、今回の一連の攻撃で最低でも42人が死亡したと発表している。(6/22)

 

【イスラエル人男性がパレスチナの町で殺害される】(Y,P,H)
イスラエル中央部に住む60代男性が約15km離れた西岸地区の町カルキリヤで、テロリストにより銃殺され車が全焼するテロが発生した。軍・諜報部の捜査によると男性は、イスラエル市民の立ち入りが禁止されている西岸内A地区に日頃から自家用車で買い物に来ていたもようで、全焼した車の中からは野菜の入った袋の跡が見つかっている。
事件直後から大規模な犯人の捜索が行われているが、テロリストはまだ逮捕されていない。ここ数日で、カルキリヤの町でイスラエル人が殺害されるのは3例目。イスラエル中央部から近く物価が安いことから出入りするイスラエル人も居るが、10月7日以降350もの軍事作戦が行われ40人以上のテロリストが排除されている。(6/22)

 

【国防軍、ガザ北部シュジャイヤで3度目の地上作戦】(Y,P)
27日に国防軍はシュジャイヤ地区の住民に対し南の人道ゾーンへの避難を呼び掛け、3度目となる地上作戦を開始した。地上作戦と並行し空爆も行われ、アルジャジーラは最低でも5人が死亡したとの報道。
この作戦も他のガザ北部の各地区と同様、ハマステロリストたちの帰還・再武装化に関する情報がシンベトに入ったことによるもの。1月前には隣接するジェバリア地区で同様の作戦が行われ、シャニ・ルークさんをはじめ4人の拉致被害者の遺体が発見・収容されているため、今回のシュジャイヤでの作戦も拉致被害者の遺体収容が目的ではないかとメディアは報道。(6/27)

内政

【ネタニヤフ首相「一部の人質解放には賛成」】(Y,P,H)
10月7日以降国内メディアの取材には一切応えてこなかったネタニヤフ首相が24日、右派系メディア『チャンネル14』の番組に出演。ラファでの作戦は1月以内に終了することや、ラファに投入していた戦力をレバノン戦線に配備する意向、そしてラファ作戦終了=ガザでの戦闘終了ではないことなどを話した。
戦争終息を条件とした人質解放を受け入れるかとの質問に関しては、「Noだ。ハマスが存続するなか、戦争を止めることは受け入れない。一部の人質解放については賛成であり、それは秘密ではない」と答え、人質全員の解放を目指している訳ではないとも取れる発言をした。支持基盤が視聴者層であるため政治的メッセージと関係者は語っているが、被害者家族たちからは猛反発。
メディアも「実質的な(イスラエルが提示したと言われる)休戦案を否定する発言」と報道している。首相府からはその後「休戦案に反対しているのはイスラエルではなく、ハマス」と火消しを図ったコメントが。(6/24)

 

【最高裁「超正統派も兵役に就かなければならない」】(Y,P,H)
25日に最高裁は、イスラエル市民として超正統派の男性も兵役に就かなければならず、兵役に若者を行かせてないイェシバ(ユダヤ教学校)への政府の補助金給付は停止されるべき、との判決を全会一致で下した。
裁判長は「1949年兵役に就かなかった超正統派は約400人だったが、現在はそれが6.3万人と全く違う規模。この厳しい戦争の中この社会的不平等はこれまで以上に酷い状況であり、恒久的な解決が必要」と、現状を批判した。原告側のNPOは最高裁の判決を祝福、対照的に超正統派政党からは「ユダヤ人が迫害を生き延びたのはユダヤ教のおかげ。戦争においてイェシバの若者が奇跡を起こしている」と反発の声。(6/25)

国際情勢

【関係悪化の中、ガラント防衛相が重要なワシントン訪問】(Y,P,H)
22日夜に、ガラント防衛相がワシントン訪問のためにイスラエルを出発した。先週ネタニヤフ首相が米の武器供給遅延を批判するビデオを公開し、米イ間の溝がさらに深まっているなかの訪米になり、離陸前にガラント氏は「米は最も重要な同盟国であり、現在この関係は今まで以上に重要なものと言える」と話していることからも、米との緊張緩和と関係改善が訪米最大の目的であることが分かる。
国防関係者からは「武器供給のペースが全体に遅いのは事実だが、アメリカとは問題解決の合意に至る直前だった。しかしそのタイミングであのビデオが公開された」とネタニヤフ氏が遅延問題に関し公表したことがかえって事態を悪化させた、と批判する声が上がっている。
米政府内ではネタニヤフ氏への反感が高まっているため、ガラント氏訪米の第1の目的は米をなだめて武器供給の問題を解決すること。その他にも国防長官・CIA長官などとガザでの大規模な戦闘の収束と対ヒズボラへの注力、イラン問題などについての話し合いを持つ予定。(6/23)

 

【100人以上のイスラエル人がUNRWAを提訴】(Y,P,H)
人道支援団体でありながら10月7日の虐殺や暴力行為・性的暴行に加担したとのことで、100人以上のイスラエル人被害者が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を相手取り、NY連邦裁判所で集団訴訟を起こした。
訴状ではA .UNRWAは10億ドル単位での資金洗浄を行い、それが軍事部・テロ部門を含むハマスに流れていること、B.UNRWAはハマスによるテロのための地下トンネル建設を黙認していたこと、C.UNRWAの一部職員たちが虐殺に参加していたこと、D.テロを含めイスラム的聖戦を助長させる教育要領を認可していた、などの主張がされている。(6/24)

 

【ガラント防衛相、米国防長官と対談】(Y,P,H)
訪米中のガラント防衛相がオースティン国防長官とペンタゴンで会談を行い、「世界における最大の脅威はイランで、時間はなくなりつつある。イランに核武装させないという米のコミットメントを、具体化させる時だ」と述べた。
この発言の裏にはイスラエルをはじめとした中東が11月の大統領選に米国内での関心が集まっているのをイランが利用し、核濃縮などを秘密裏に進めることへの恐れがある。またヒズボラとの戦線などについての話し合いも行われたが、先週にネタニヤフ首相が米を批判したビデオを出したこともあり、大きな進展はなかったもよう。米国防長官はイスラエル・ヒズボラ間の戦闘は「容易に地域戦争へと発展しかねない」と、懸念する発言をした。
翌26日には安全保障担当のサリバン大統領補佐官とも会談。その後防衛相は「大きな前進があり、障害物は取り除かれた」とコメントし、米イ間で起こっていた武器供給の遅れについても解消される見通しだと語った。(6/25-26)

 

【イスラエルの元軍部トップら「ネタニヤフを米議会に呼ぶべきでない」】(Y,P,H)
米NYT紙に、元首相・防衛相のエフード・バラク氏と元モサド長官のタミル・パルド氏が「ネタニヤフは私たちのためには語っていない。米議会は彼の招待を取り消すべき」と題した論説を寄稿した。論説はネタニヤフ首相こそが「戦争終結と人質解放への最大の障害」とし、ネタニヤフ氏の米議会での演説はイスラエル国を代表するものにはならず、彼の自国に対する「破壊的かつ恥ずべきリーダーシップへのプレゼント」になってしまう、と米側を警告。
またネタニヤフ氏が戦後のガザ計画についていっこうに言及せず、自身も承認したとされるイスラエルによる休戦案に対してもコミットするような姿勢を見せていないことへの批判も展開されている。上記2人の他にもイスラエルの著名な(政治的には左派陣営の)文化人・専門家複数が連署。(6/26)

 

【ネタニヤフ首相「イランの最終目的はサウジとアラビア半島の征服」】(Y,P)
ネタニヤフ首相は退役したアメリカ軍の陸軍・海軍大将経験者たちと会談し、ハマス・ヒズボラ・フーシ派を含むイランの「抵抗の枢軸」の脅威について強調した。
「私たちが対峙しているのは枢軸全体で。これは私たちだけではなく、あなたたち(米)にとっての脅威でもある。この枢軸は中東を征服するために行進している。これは実際的な占領―サウジアラビアやアラブ半島も含まれている。時間の問題だ」と、異例の発言をした。また現在イスラエルが南北で行っている戦いは「自由世界全体の戦争でもある」というイスラエルの従来の立場を強調している。(6/27)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、シオンとの架け橋からのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは sorami@zion-jpn.or.jp よりsorami@zion-jpn.or.jp 宛に送信しております。
シオンとの架け橋、京都府


配信停止 | 登録情報更新 | 迷惑メールと報告する