【関係悪化の中、ガラント防衛相が重要なワシントン訪問】(Y,P,H)
22日夜に、ガラント防衛相がワシントン訪問のためにイスラエルを出発した。先週ネタニヤフ首相が米の武器供給遅延を批判するビデオを公開し、米イ間の溝がさらに深まっているなかの訪米になり、離陸前にガラント氏は「米は最も重要な同盟国であり、現在この関係は今まで以上に重要なものと言える」と話していることからも、米との緊張緩和と関係改善が訪米最大の目的であることが分かる。
国防関係者からは「武器供給のペースが全体に遅いのは事実だが、アメリカとは問題解決の合意に至る直前だった。しかしそのタイミングであのビデオが公開された」とネタニヤフ氏が遅延問題に関し公表したことがかえって事態を悪化させた、と批判する声が上がっている。
米政府内ではネタニヤフ氏への反感が高まっているため、ガラント氏訪米の第1の目的は米をなだめて武器供給の問題を解決すること。その他にも国防長官・CIA長官などとガザでの大規模な戦闘の収束と対ヒズボラへの注力、イラン問題などについての話し合いを持つ予定。(6/23)
【100人以上のイスラエル人がUNRWAを提訴】(Y,P,H)
人道支援団体でありながら10月7日の虐殺や暴力行為・性的暴行に加担したとのことで、100人以上のイスラエル人被害者が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を相手取り、NY連邦裁判所で集団訴訟を起こした。
訴状ではA .UNRWAは10億ドル単位での資金洗浄を行い、それが軍事部・テロ部門を含むハマスに流れていること、B.UNRWAはハマスによるテロのための地下トンネル建設を黙認していたこと、C.UNRWAの一部職員たちが虐殺に参加していたこと、D.テロを含めイスラム的聖戦を助長させる教育要領を認可していた、などの主張がされている。(6/24)
【ガラント防衛相、米国防長官と対談】(Y,P,H)
訪米中のガラント防衛相がオースティン国防長官とペンタゴンで会談を行い、「世界における最大の脅威はイランで、時間はなくなりつつある。イランに核武装させないという米のコミットメントを、具体化させる時だ」と述べた。
この発言の裏にはイスラエルをはじめとした中東が11月の大統領選に米国内での関心が集まっているのをイランが利用し、核濃縮などを秘密裏に進めることへの恐れがある。またヒズボラとの戦線などについての話し合いも行われたが、先週にネタニヤフ首相が米を批判したビデオを出したこともあり、大きな進展はなかったもよう。米国防長官はイスラエル・ヒズボラ間の戦闘は「容易に地域戦争へと発展しかねない」と、懸念する発言をした。
翌26日には安全保障担当のサリバン大統領補佐官とも会談。その後防衛相は「大きな前進があり、障害物は取り除かれた」とコメントし、米イ間で起こっていた武器供給の遅れについても解消される見通しだと語った。(6/25-26)
【イスラエルの元軍部トップら「ネタニヤフを米議会に呼ぶべきでない」】(Y,P,H)
米NYT紙に、元首相・防衛相のエフード・バラク氏と元モサド長官のタミル・パルド氏が「ネタニヤフは私たちのためには語っていない。米議会は彼の招待を取り消すべき」と題した論説を寄稿した。論説はネタニヤフ首相こそが「戦争終結と人質解放への最大の障害」とし、ネタニヤフ氏の米議会での演説はイスラエル国を代表するものにはならず、彼の自国に対する「破壊的かつ恥ずべきリーダーシップへのプレゼント」になってしまう、と米側を警告。
またネタニヤフ氏が戦後のガザ計画についていっこうに言及せず、自身も承認したとされるイスラエルによる休戦案に対してもコミットするような姿勢を見せていないことへの批判も展開されている。上記2人の他にもイスラエルの著名な(政治的には左派陣営の)文化人・専門家複数が連署。(6/26)
【ネタニヤフ首相「イランの最終目的はサウジとアラビア半島の征服」】(Y,P)
ネタニヤフ首相は退役したアメリカ軍の陸軍・海軍大将経験者たちと会談し、ハマス・ヒズボラ・フーシ派を含むイランの「抵抗の枢軸」の脅威について強調した。
「私たちが対峙しているのは枢軸全体で。これは私たちだけではなく、あなたたち(米)にとっての脅威でもある。この枢軸は中東を征服するために行進している。これは実際的な占領―サウジアラビアやアラブ半島も含まれている。時間の問題だ」と、異例の発言をした。また現在イスラエルが南北で行っている戦いは「自由世界全体の戦争でもある」というイスラエルの従来の立場を強調している。(6/27) |