ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【極右テロ行為に対するシンベトの権限が制限?】(Y,P,H)
極右のロットマン議員が議長を務める司法委員会が週明けから、テロ行為を起こしたユダヤ人に対して行政拘禁を行うというシンベトの権限を、大幅に制限する法案についての審議を開始することが分かった。この法案が成立すれば、国が指定したテロ組織のメンバーでない限り、シンベトはユダヤ人被疑者への行政拘禁ができなくなる。
背景には、この2年でユダヤ人に対する行政拘禁の数が倍増していることに対する右派の不満があり、議長は「市民の自由を守るため」とその意図を説明。しかしシンベトは、西岸地区内での暴力を伴う衝突を防止するためには現状の行政拘禁制度が必要とし、同委員会に対して激しく反発している。(6/28-29)

 

【シュジャイヤ地上作戦、民用物のテロ拠点化が明らかに】(Y,P)
27日に開始されたガザ地区北部シュジャイヤでの地上作戦が進み、ハマスが数百人規模のテロリストたちを補充するなど再軍備を進めていた様子が分かってきた。例えば同地区内の国連の学校はテロリストたちの潜伏地になり、数十の武器とハマス軍部の書類などが発見され、隣接する診療所からも通信機器や見張りで得た情報などの資料が発見され、ロケット弾の発射台として機能しているなど民用物のテロ拠点化が明らかになった。
また再軍備と同時にハマスはテロリストを含む組織員たちへの給与支払いを再開しており、シュジャイヤで現在対峙しているテロリストのなかには新しく加わった者も多いと、国防軍。現時点では、数十人のテロリストが排除されている。(6/29-30)

 

【シファ病院長を釈放、責任の所在は不明瞭】(Y,P,H)
1日にイスラエルはシファ病院のアブ・サルミヤ院長を含む、54人のパレスチナ人をガザへ釈放した。監督下の病院でテロ行為が行われていた疑いから11月に逮捕され、約7か月間イスラエルの刑務所で留置されていた。
この知らせを受け政府は紛糾、シンベト長官・ガラント防衛相による決定と批判されているが、ガラント氏は「収監・釈放はシンベトと(警察内の)刑務所管理局が管轄」と、ベングビル国家治安相による決定だと示唆。シンベトも「1年以上警告し続けてきた刑務所不足により囚人が釈放され、国の安全が脅かされている」と警察とベングビル氏に責任があるとのコメントをした。
ネタニヤフ首相は「決定は最高裁で行われた議論からのもの」としているが、責任の所在については「調査中」とのこと。
アブ・サルミヤ院長は釈放後に「どの囚人も最低25キロは痩せるなど、酷い収監状態」とコメント、イスラエルへの『抵抗』を呼び掛けている。(7/1)

 

【ガラント防衛相、ガザへの電力供給を許可】(Y,P,H)
ガザ内の電力会社は2日、海水の淡水化と下水処理のためにイスラエルから供給される電気を通すための、工事を行い始めた。国防軍内にあるパレスチナでの活動調整官組織は、「人道的理由からの政府による電力供給の決定」と説明している。
ガラント防衛相も各地から避難民が集まる人道ゾーンに対して飲料水を供給するのは、「基本の人道的必要性だ」としているが、スモトリッチ財務相はガラント氏とネタニヤフ首相に対して、「この狂った行為をやめるべき」と猛反発。(7/2)

 

【北部のモールで刺殺テロ、犯人は近隣のアラブ系市民】(Y,P,H)
北部の町カルミエルから車で数分の距離にあるアラブ人集落の21歳の男性が刃物を持ち込み、兵士を後ろから切りつけ、隣に居たもう1人の男性とともに複数回上半身を刺すという刺傷テロが発生した。
最初に切りつけられた兵士がテロリストは病院で死亡が確認され、もう1人も重傷。射殺されたアラブ人男性は過去の犯罪歴やテロ組織との関連性も確認されておらず、警察などは捜査を行っている。テロリストの母と兄妹は逮捕されて取り調べを受けており、彼らの住むアラブ人集落からは驚きと男性への批判、そして真相究明を求める声が上がっている。(7/3)

 

【国防軍、ヒズボラ南部部隊の司令部を殺害】(Y,P,H)
現地レバノンメディアは2日夜、イスラエル軍の無人攻撃機による攻撃がレバノン南部の港町ティルスにあり、ムハンマド・ネエマ=ナセルが殺害されたと報道した。
レバノン南部にある3つの部隊の1つアズィズ部隊の司令官で、軍の階級では先月11日に殺害されたアブダラ司令官と同階級で、10月7日以降最高位のヒズボラ司令官の殺害になる。ヒズボラも事実を認めており、死亡したもう1人の身元については息子との報道もあるが不明としている。
攻撃・殺害の数時間後にヒズボラは約50発のロケット弾をイスラエル北部に発射、サイレンが鳴っている。(7/3)

 

【開戦以降最大、200発近いヒズボラのロケット弾が北部に飛来】(Y,P,H)
4日の午前10時頃、150以上のロケット弾と20発以上の無人攻撃機がヒズボラによりイスラエル北部の幅広い地域に対して発射された。
前日のネエマ=ナセル指令官への攻撃に対する報復で、10月7日以来最大の攻撃。怪我人はシェルターへ急ぐ際に負傷した女性2人だけだったが市街地内の着弾も複数確認され、ガリラヤ・ゴラン地方の計10か所で大規模な火災が起こった。
1時間以上サイレンが鳴り続ける場所もあり、ヒズボラは「200発以上のロケット弾を発射。3か所の基地に対してもミサイルを撃ち込んだ」と、犯行声明。その後ゴランの基地では着弾したロケット弾による、予備役兵1人(38)の死亡が確認されている。(7/4)

 

【ハマスからの反応を受け、イスラエル側では休戦交渉に楽観的な声も】(Y,P,H)
前日にあった人質解放を含む休戦案に対するハマスからの正式な返答を受け、イスラエル国内では休戦交渉が数週間のうちに締結されるのではという前向きな声も上がっている。ネタニヤフ首相はコメントを出していないが、4日にイスラエルの交渉チームの出発を承認し、モサド長官がカタールに向かった。
現状は3段階による休戦案で、33人の女性と高齢者の人質(遺体を含む)をハマスが解放し、イスラエルはパレスチナ人囚人を釈放するという、第1段階に関しては合意している。争点になっているのは第2段階で国防軍のガザからの完全撤退するか否かで、ハマスの完全撤退要求をイスラエルは拒否している。しかし交渉関係者は「前進を可能とする大きなブレークスルー」と話している。(7/4)

内政

【欧州のパレスチナ国家承認への対抗か、5つの違法入植地を認可】(Y,P,H)
27日に安全保障内閣は、西岸地区内の極右ユダヤ教徒による5つの違法入植地を合法化することを決定した。加えてパレスチナ自治政府の高官たちに対する、西岸地区から出るなどの移動制限を含めた制裁措置に関しても了承。
スモトリッチ財務相は閣議での決定を、国際司法裁判所・国際刑事裁判所でのパレスチナ自治政府による反イスラエル的行動への対抗措置、そして5つの違法入植地の認可に関しては欧州5か国による一方的なパレスチナ国家承認を受けてのものだと説明、「パレスチナを承認する国の数だけ、入植地を作る。このように、愚かな考え(パレスチナ国家樹立)に終止符を打つのだ」とコメント。(6/27-28, 7/1)

 

【人質だったノア・アルガマニさん、公の場で初めて発言】(Y,P,H)
先月8日の特別作戦により救出されたノア・アルガマニさん(26)が、29日の夜に行われた人質解放を呼び掛けるデモにビデオメッセージを寄せた。彼女が公の場で発言するのはこれが初めて。「私は我が家に戻れているが、拉致被害者がまだハマスのもとにいることを忘れてはならず、彼らが家に戻るために全てを行うべき」とアルガマニさん。
また自身が監禁されていた際に1番気がかりだったのは、末期がんを患っている母だったと証言し、彼女との再会を実現させた軍や諜報部に対しての謝意を述べた。その他集会では被害者の家族が登壇、人質の即時解放とそのために休戦案の交渉を進めるよう政府に対して呼び掛けた。(6/29)

 

【労働党とメレツが合併し、新党結成】(Y,P,H)
30日に左派の労働党・メレツのリーダーたちが集まり、統一会派「民主主義者たち」を結成することを発表した。2022年総選挙ではメレツが議席獲得ための得票率(3.25%)に届かず、92年の結成以降初めて国会入り出来ていなかった。
両党は2020年に(選挙後に解体される)統一会派を結成したが、今回は新党結成で、シオニズムを標榜する左派政党が1つになる歴史的出来事。過去にメレツ党で議員当選し5月に労働党党首に選出されたゴラン氏は、5月の党首選時からメレツとの新党結成を呼び掛けていた。(6/30)

 

【再会から約1月、アルガマニさんの母が亡くなる】(Y,P,H)
10月7日にノバ音楽祭から拉致され、6月8日に国防軍・シンベトによる特別作戦で救出されたノア・アルガマニさん(26)の母リオラさんが亡くなった。中国系イスラエル人であるリオラさんは末期ガンを患わっており、拉致当時は公の場に出ていたものの病状が悪化し病院での集中治療を受けていた。
救出されたノアさんが最初に兵士たちにした質問はリオラさんの安否で、意識が混濁した状態ではあるものの再会を果たしていた。葬儀でノアさんは「最後の瞬間に会い、最後の言葉を聞くことができた。私を待ってくれてありがとう」と、母リオラさんに呼び掛けた。(7/2)

国際情勢

【ICCによる首相・防衛相への逮捕状、最低でも数週間後に】(Y,P,H)
5月に国際刑事裁判所(ICC)のカリム・カーン主任検察官が、ネタニヤフ首相・ガラント防衛相に対して逮捕状を請求したことを受け、法定助言者としての地位をもつイギリスは、ICCに対してこの2人を起訴する司法権があるかどうかについての議論を行うべき、と要請した。
これは、1995年にイスラエルとPLOが締結したオスロ合意IIによると西岸・ガザ地区内でイスラエル人が起こした刑事事件に対しては、イスラエルのみがその司法権限を持つと取り決められているため、そのような状態でICCがガザ地区内で起こったことについてイスラエル人である両氏を裁けるかについて、議論する必要があるというもの。
英を含む各国が意見書を提出でき、その後の議論・決定になるため、逮捕状の発行も最低数週間先になるとの見通し。(6/27-28)

 

【パレスチナ担当の国連特別報告者に対する調査を開始】(Y,P,H)
パレスチナ自治区での人権について担当している、国連のフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者が、親パレスチナ団体から2万ドルを受け取り、オーストラリアを訪問していた疑いがあるとして、国連内部監査部が調査を開始していることが2日分かった。
これは反イスラエル的決定を中心に監視しているNGO「UN Watch」が監査部に調査を請求したもので、同団体の報告書によると複数の親パレスチナロビー団体が、彼女の訪問の「スポンサーをした」と発表しており、ロビー団体が主催したオーストリアの記者クラブ内でも会見が行われている。国連人権理事会の持つ独立性と公平性に批判している、とUN Watchのレポートは主張、彼女への捜査を要求している。疑いに対し、親パレスチナ団体は「パレスチナに寄り添うどの団体も経済的支援をしてはいない」とコメント。(7/3)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、シオンとの架け橋からのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは sorami@zion-jpn.or.jp よりsorami@zion-jpn.or.jp 宛に送信しております。
シオンとの架け橋、京都府


配信停止 | 登録情報更新 | 迷惑メールと報告する