ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【ヒズボラのドローン、ナザレ地方に飛来】(Y,P,H)
7日の午後、国境部から40km離れたナザレ周辺部やイズレエル平原でサイレンが鳴り、ヒズボラが発射したドローン攻撃機が複数飛来。そのうちの1発は、ナザレ南の同平原内に着弾した。この地域でサイレンが鳴るのは昨年12月以来で、国防軍はアイアンドームによる迎撃が失敗したための着弾との事実を認めた。
これまでヒズボラによる短距離ミサイル・ドローンは、ゴラン高原やガリラヤ湖よりも北だったが南ガリラヤ地方での着弾は住民に衝撃と不安を与えている。ナザレ近郊の市長は「町のシェルターを整備し臨時シェルターも設置したが、驚きだ」とコメント。(6/7)

 

【ノア・アルガマニさんら4人が救助され、8か月ぶりにイスラエルへ】(Y,P,H)
8日の11時ごろ、国防軍・シンベト・警察隊テロ部隊の合同部隊がガザ地区中部のヌセイラットの市場で特別作戦を行い、ノア・アルガマニさんやアルモグ・メール=ジャンさんら計4人を救出した。4人は約200m離れた別の建物で、ハマスに加担していた市民の自宅で監禁されていた。
周辺には見張りを含む100人以上のハマスのテロリストたちが居り、救出の際には銃撃戦に発展。また救出後も、人質を乗せたトラックがテロリストたちによるロケットランチャー・機関銃による集中砲火に遭い、別の部隊が救出のため援軍として駆け付けて銃撃戦を切り抜け、ガザ海岸で人質たちをヘリコプターに乗せ、テル・アビブの病院へと搬送した。
イスラエル側の犠牲者は、救出時の銃撃戦で先頭を切り突入した警察の対テロ部隊の警部1人。拉致被害者の4人は直後に家族と8か月ぶりの再会を果たしたが、海外でも拉致映像が報道されたノア・アルガマニさんと家族の再会については特に盛んな報道が。
国民への感謝を伝えつつも、「まだ120人の人質が拉致されていることを忘れてはいけない」といった父親のコメントや、末期ガンを患い意識が混濁している中国系の母親との『無言の再会』などがニュースになっていた。
またイスラエルは中国をルーツに持つアルガマニさんの救出について同国政府に協力を何度か求めていたが、『半中国人』でしかないとの理由から拒否されたことが明らかになっている。中国メディアでは、アルガマニさんが中国系であることは一切報じられていないよう。(6/8-9)

 

【アルジャジーラの記者が、ノア・アルガマニさんを監禁】(Y,P)
ガザの人道団体による報告を受け国防軍は9日、救出時にノア・アルガマニさんを監禁していたのは、アルジャジーラのために働いた過去を持つジャーナリスト、アブドラ・アル=ジャマルの家族であると公表した。また内科医で父のアフメッドも同居しており、彼らは救出作戦中に死亡したことが分かっている。ハマスは多くの人質を、メンバーである民間人の自宅に監禁している事が分かっている。
アルジャジーラのエルサレム支局長は「過去・現在において働いたことはなく、誰かも知らない」と、一切の関係を否定するコメント。その後同局はXを通じ、「2019年に論説を寄稿しただけ」と公式声明を。(6/9)

 

【イスラエルが、開戦以降最も重要なヒズボラ司令官を攻撃】(Y,P,H)
イスラエル空軍は11日深夜レバノン南東部の司令部に対して空爆を行い、レバノン南部を指揮するヒズボラ司令官タレブ・アブダラを殺害した。ヒズボラ寄りのメディアも「開戦後では最も重大な殺害」と認め、報道している。
アブダラはイスラエル北部、特にここ数日間多くの被害が出ているゴラン・北ガリラヤを標的としたミサイル攻撃を指揮し、イラン革命防衛隊をはじめイラン指導部とも近い存在だった。12日にベイルートで行われた葬儀でヒズボラの指導者は、「タレブの殺害に対する私たちの報復は、より強力そして断固たる攻撃だ。見ているが良い」と、警告のメッセージをイスラエルに送っている。(6/12)

 

【司令官殺害を受け、ヒズボラが10月以来最大の攻撃】(Y,P,H)
昨夜のタレブ・アブダラの殺害を受けヒズボラは12日、午前を中心に200発以上のロケット弾をイスラエル北部に向けて発射した。中にはガリラヤ湖畔南部のティベリアにも昨年10月以来に飛来し、サイレンが。アイアンドームによる迎撃もあり市街地への着弾はなかったが、ロケット弾や、迎撃時の破片などによってガリラヤ地方の森では複数の場所で大規模な山火事に発展し、軍や消防隊が夕方まで1日中消火活動に当たった。
司令官殺害への報復攻撃ということで、10月7日以来ヒズボラによる攻撃の中では最大。ガザでのラファ作戦は現在終盤に差し掛かり、近くイスラエル政府は主戦場をガザから北部へ移し、ヒズボラとの大規模な戦闘を始めるかどうかの決断を下すもよう。(6/12)

内政

【戦争内閣メンバーのガンツ党首、連立脱退】(Y,P)
先月18日、ガザ戦後の戦略的計画を提示するようネタニヤフ首相に求めていた国家団結党ガンツ党首が9日、連立からの脱退を表明した。当初設定していた期限は8日だったが、人質救出作戦もあったため1日遅れての発表に。
記者会見でガンツ氏は「ネタニヤフは本当の勝利へ進むのを妨害しており、極めて重要な戦略的決定が自身の政治的考慮により延期された。現実は複雑だ。この戦争は年単位で続き、私は迅速・簡単な勝利を約束はしない。国民は中身のない約束以上のものを受けるべき」と、ネタニヤフ氏を批判する発言をした。
また拉致被害者家族に対しては、「結果として私たちは失敗した、許しを乞いたい」と謝罪。ガンツ氏率いる国家団結党が離脱したことを受け、戦時のネタニヤフ政権運営はより宗教的極右に依存することとなり、ガンツ氏の会見直後にベングビル国家治安相は戦争内閣に自身を加えるよう求めている。(6/9)

 

【防衛相反対も…超正統派の『兵役』法が審議へ】(Y,P,H)
前政権時の国会解散で廃案となっていた超正統派の兵役法案が10日63対57で可決され、第2読会への審議に入った。同法案は兵役免除の年齢を21歳に引き下げや毎年の入隊者を微増させる目標があるが、多くの抜け穴があり人口増加スピードよりも徴兵が遅いことなどから、『超正統派の兵役免除法』とも。
また10月7日以降、幅広い層から「超正統派も兵役を」との声が強まるなか、民意に逆行する可決となった。与党の中で反対票を入れたのはガラント防衛相1人だが、「(超正統派の兵役拡大について)抜本的な修正なくしては、法案自体には反対」との声も与党内から複数上がっており、法案成立するまでは前途多難のよう。超正統派は歴史的に兵役免除を連立入りの条件にし、ネタニヤフ首相はこれを飲み続けて来ているという背景がある。(6/10)

国際情勢

【ハマス、休戦案を拒否すればカタールからの追放か】(Y,P,H)
米メディアは7日、バイデン大統領が先月31日に発表した休戦案をハマスが受け入れなければ、カタールが同国首都ドーハを本拠としているハマス政治部の財産取り押さえや経済制裁、逮捕や国内からの追放を視野に入れていると報じた。
政治部のハニエ、ガザのシンワル共に「イスラエルの恒久的戦闘停止がなければ、休戦案にはNo」と、休戦案に対し拒否する姿勢を見せているとされており、バイデン大統領は仲介国でもあるカタールに対し「ハマスが同意するためにすべての手段を講じる」よう要請していた。同日サウジメディアの取材に応じたイスラム聖戦高官は、カタールからの圧力を否定している。(6/7-8)

 

【安保理、バイデン大統領発表の休戦案を支持】(Y,P,H)
先月31日にバイデン大統領がイスラエルによるイニシアティブとして発表した、3段階からなる休戦案について安保理は10日、同案を支持する決議案を可決した。14か国が賛成し、ロシアは棄権したものの拒否権は行使しなかった。
決議案には「休戦案をイスラエルは受け入れており、ハマスに対しても受け入れるよう呼び掛け、両者に対して遅れや条件を付けることなく履行するよう求める」とあるが、いくつかの常任理事国からは「イスラエルによる案」とはされているものの、イスラエル自身が休戦案を受け入れていないのでは、と懐疑的な声が上がった中の採決となった。(6/10)

 

【ブリンケン国務長官:ハマスの変更案、いくつかは実行不可能】(Y,P,H)
ハマスからの休戦案への返答について12日、米ブリンケン国務長官はカタールとの会談後に記者会見を行い、「ハマスは数多くの変更を要求しており、そのうちのいくつかは可能なものだが、いくつかはそうでない」と、ハマスを批判する発言をした。
情報筋によるとハマスが求めている変更点は、A第1段階のイスラエル軍の市街地からの、そして第2段階のガザ地区全体からの完全撤退を、それぞれの1日目に実行すること、B撤退時に見張り台などの軍事的設置物を全て解体すること、C休戦案の保証人に現状の米・エジプト・カタールに、中・露・トルコを加えることなど。
ハマスの今までの要求の中になかったものも盛り込まれており、これらの中にはイスラエルだけでなくアメリカも認めない項目(特にC)もあることから、イスラエルでは「ハマスは休戦案を拒否した」との論調で報道されている。(6/12)

 

【国連報告書「イスラエルは性的暴力を含む人類に対する犯罪を行った」】(Y,P,H)
国連調査委員会はパレスチナに関する調査結果を12日に発表し、10月7日以降にイスラエル軍が性的暴力を含む「人類に対する犯罪」を行っていると結論付けた。
報告書には「公共の場で服を脱がせ裸にするなどを含む違反行為は、その頻度と悪質さから、共同体全体に屈辱を与え、占領民への服従を強調させるために行われた」とあり、パレスチナ人男性が集団投降した際、身体検査を行ったことが『性的犯罪』に当たるとされている。イスラエルはこれらの写真が報道された昨年12月、「自爆ベストなどの武器所持の有無の検査であり、直後に衣服を返した」と説明しており、米国報道官も「実施すべき適切な措置だった」と述べている。
この報告書の中には10月7日のハマスによる虐殺についても言及があり、「性的暴力の傾向」が見られるとはしているが、レイプなどの事例は立証できなかったと報告。(6/12-13)

◯ 文化

【コールドプレイのライブで「Bring Them Home!!」】(Y,P,H)
9日夜、アテネで英ロックバンド「コールドプレイ」がライブを行い、数千人のイスラエル人が参加。大ヒットナンバーで、現在イスラエルでは人質解放を願う色でもある「イエロー」が歌われた後、数千人のイスラエル人観客による「Bring Them Home!!」というチャントが起こり、それに合わせるようなギター演奏も行われた。
またイスラエルから来た12歳の少年が、10月7日に犠牲になった女性兵士シール・エイラットさんを追悼する、「あなたのシール(歌の意も)は、永遠に」とのプラカードを持って参加していたところ、ボーカルがカメラに彼をアップするよう指示。MC中に少年とやり取りし、その後花火が打ちあがるといったサプライズの演出が見られた。アテネでのライブにもかかわらず、イスラエルの琴線に触れるような出来事だった。
12日にはルーマニア・ブカレストでのライブでも、ボーカルの指示で人質解放のネックレスを身に付けたイスラエル人女性がスクリーンで映され、アップされるといった1コマが起きている。(6/10, 13)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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