ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【エジプト・ガザ境界部に、最先端の監視システム導入か】(Y,P,H)
休戦交渉難航の理由の1つであるエジプト・ガザ境界部のフィラデルフィ回廊について、イスラエルとエジプトの交渉者がセンサーを用いた地下監視システムの導入について協議していることがわかった。イスラエルはハマスの再軍備を理由に(エジプトからの兵器密輸を防ぐため)同回廊での軍駐屯継続を求めているが、ハマスとエジプトは反発。
駐在の代わりになる地下監視システムに関しては、今までにも案としては出ていたがイスラエルが議論に参加しているのは初めて。イスラエルの交渉担当者は最先端技術を用いた監視システムについての説明をエジプト側にするなど、ネタニヤフ首相は同回廊での軍駐屯を休戦案の条件とはしているものの、水面下では代替案についての交渉も進んでいる様子。(7/12)

 

【イスラエル軍、ムハンマド・デイフを殺害か】(Y,P,H)
ハマス軍部総指令官で10月7日の越境攻撃・虐殺を指揮した首謀者である、ムハンマド・デイフに対してイスラエル軍は13日に暗殺作戦を行った。前日午後にシンベトなどから、デイフと彼の右腕であるハンユニス旅団司令官がラファ海岸部にある建物に潜伏しているとの情報があり、約1日間の確認と協議が重ねられた末、13日の11時に空軍戦闘機が重量1トンの爆弾を5発を投下し攻撃が行われた。
空爆は3段階に分けて行われ、まずはデイフたちが潜伏していた部屋に対する爆撃、そして次に建物全体を倒壊させ、最後には地下トンネルに逃亡した可能性のためトンネルを標的としての空爆が行われた。諜報機関や関係者によるとデイフたちはトンネルではなく地上階に潜伏していたため、「重傷を負ったことは確実で殺害された可能性が高い」とはしながらも、正確な情報はまだ報道されていない。
ムハンマド・デイフは2001年以降イスラエルが7度にも渡って暗殺作戦を行ったが、生存し続けてきた。死亡が確認されれば、イスラエルにとっては今回の戦争での最大の戦果であると同時に、20年来のミッション達成となる。シンワルに次ぐガザナンバー2の人物であり、関係者は「デイフの補佐役も殺害されており、後継者が出たとしてもハマス軍部の弱体化は必至」とのこと。
イスラエル国内では拉致被害者の家族を中心に、デイフ殺害により休戦交渉がまた決裂するのではと危惧する声が上がっているものの、関係者たちは「短期的には交渉の停止などが起きるが、長期的に見ればハマスは追い詰められ圧力を各方面から感じているため、交渉にとっても好材料」と話している。(7/13)

 

【中央部の基地近くで車両突入テロ、4人が負傷】(Y,P,H)
中央部のユダヤ人とアラブ人が共存する町ラムラ近郊で14日、20代のアラブ人男性による交差点のバス停に車で突っ込むテロが発生し、重傷者2人を含む計4人の兵士が負傷した。この交差点の近くには大規模な国防軍基地があり、負傷者の中にはガザの軍事作戦で負傷し、リハビリのために基地に来ていた兵士たちも含まれている。
テロリストはイスラエル国籍を保持する東エルサレム住民で、その場にいた3人の国境警備隊の兵士によって射殺された。その後ファタハ軍事部から脱退し現在はハマスの支配下にある武装組織、『ムジャヒディン運動』が犯行声明を出している。(7/14)

 

【暗殺作戦後も交渉は継続…しかしイスラエル内では不一致が】(Y,P,H)
先週ドーハでCIA長官なども参加して行われた人質解放を含む休戦交渉では一定の成果は見られたが、イスラエルはムハンマド・デイフへの暗殺作戦を実行。直後ハマスは休戦交渉の「対話凍結」を明言していたが、その後ハマスそして仲介国のカタールも、交渉の遅れが生じることはないだろうとの前向きな発言をしている。
したがって今週中に再び交渉が継続される予定だが、先週のようにモサド長官が派遣されるのか実務者のみの交渉団になるかは不透明。この背景にはネタニヤフ首相とガラント防衛相や軍部、そして休戦交渉を行う諜報機関との間での不一致があると、現地メディアは報じている。
ネタニヤフ氏はフィラデルフィ回廊の駐屯継続とガザ北部への大規模な住民の帰還に反対する一方、軍部は現状の案でも安全は守れると主張、交渉役の諜報機関も「そこで譲歩をしなければ休戦協定はない」としており、先日の暗殺作戦よりもイスラエル内での相違が交渉の障害になっているとの事が分かった。(7/14-15)

 

【拉致された女性哨兵たちの、拉致後の画像が公開される】(Y,P,H)
ガザ境界部の基地から拉致された女性哨兵5人の両親たちが、ハマスによって人質になった直後に撮影された彼女たちの写真を16日に公開した。手錠を掛けられて拘束され、トラックに乗せられた時の動画は5月に公開されているが、拉致後の記録は初。
母親の1人はネタニヤフ首相に来週の訪米に同行し証言するよう依頼されたが断ったと明かし、「私たちとの面会を。まずは休戦協定で、今はショーのための外遊の時ではない」と話した。被害者家族の会も政府に対して「その目で彼女たちを見、どんな目に遭っているかを想像せよ」との、声明を出している。(7/16)

 

【軍がハマスの現状を発表「約半数のテロリストを排除」】(Y,P,H)
16日に国防軍はハマス軍事部の現状を報告し、約3万人居るテロリストの半分弱となる約14000人を排除したと発表した。また上層部についてムハンマド・デイフの生死について確実な情報はないが、軍部ナンバー2のマルワン・イッサをはじめ計5つの旅団のうち3つが司令官を失っていること、20人以上の大隊司令官・約150人の中隊司令官を排除したとしている。
また37000の標的と25000以上のテロ拠点・ロケット弾の発射台に対して空爆を行い、ハマスの持つロケット弾の数を10分の1の約1500発に減らした一方で、ハマス軍部は未だにテルアビブやエルサレムを射程距離とした長距離ミサイルを保持しているとの、見解を示した。(7/16-17)

 

【国内にガザの子供たちの臨時病院設置の計画】(Y,P,H)
慢性疾患やガンを患ったガザの子供たちの治療を目的とした臨時医療施設を、イスラエルが国内に設置しようとしている事が分かった。関係者によるとUAEなどの第三国で最終的な治療が行われる前の中継地的な役割で、イスラエル国内の各病院から医師やスタッフが集められる予定になっている。
この医療施設が実現すれば休戦案にも盛り込まれるもようで、国際司法裁判所が近くイスラエルに対して厳しい決定を下そうとしているなか、国際社会に対し正当性を訴える意味合いもあるとのこと。この報道を受け首相府は、第三国の了承が完全な形で取れていない現段階では施設設置を許可しない姿勢を示している。(7/17-18)

内政

【与党:ネタニヤフ首相もトランプ氏と同様、暗殺の危険あり】(Y,P,H)
13日のトランプ前大統領の暗殺未遂事件を受けて与党議員たちが、親イスラエル路線を取る同氏に対して見舞いのメッセージを送ると同時に、ネタニヤフ首相もトランプ氏のように暗殺の標的になっている、と発言した。
左派・中道を中心にネタニヤフ退陣・総選挙実施を求めるデモが続いていることを背景としたもので、閣僚の1人(リクード)は「今回の暗殺未遂は彼に反する扇動の結果であり、イスラエルでも同じキャンペーンがネタニヤフ首相に対して見られる。そしてその扇動は(左派からのものだということで)検事総長や司法府に保護されている」と、Xを通じて発信。他の閣僚らも同じような投稿を行った。これには「暗殺未遂事件を政治的に利用している」と、批判の声も。(7/14)

 

【日曜日にも超正統派の若者に召集令状が送付】(Y,P,H)
ガラント防衛相は18日に超正統派の若者に対する徴兵実施に関し、来週の週明けから3段階に分けて兵役対象年齢の18から26歳までに対して召集令状の送付を行う、と発表した。来週初めには約1000通、その後も2度に分けて数千通の令状を目標である3000人の入隊者に達するまで送る予定。
現状では召集令状を受け取る大半は宗教学校で学ぶことを職業とせず、一般的な職に就いている超正統派のようで既婚している男性も含まれるとの予定。しかし担当している軍上官は「全くデータのない人口層なので、段階的に行う予定」と、模索しながら進める意向を示している。(7/16,18)

 

【ネタニヤフ首相が暴言「人質は死んではいない」】(Y,P,H)
16日の閣議で人質解放案についての議題となり、ネタニヤフ首相が拉致被害者への配慮に欠いた失言を行った。首相は「私たちはプレッシャーを感じる必要はない。感じなければいけないのは、ハマス側だ。人質たちは苦しんではいるが、死んではいないのだから」と発言。
閣議に出席した関係者は「首相は人質解放のために全てを行う必要だと強調しており、そのためには(軍事的)圧力を強めることが唯一の有効な手段」とフォローの発言をしたものの、被害者家族の会は「首相に対して発言の趣旨についての説明を求める。残念ながら(首相の発言には反し)人質たちはすでに殺害されており、この瞬間にも生存していた人質たちが殺害されているかも知れないのだ」と、怒りのコメントを出している。(7/17)

 

【国会、パレスチナ国家樹立を反対する宣言文を採択】(Y,P,H)
17日深夜の国会で、パレスチナ国家樹立に反対する宣言文をめぐる決議が行われ、賛成68・反対9の賛成多数で可決された。反対票を投じたのはアラブ政党で、中道・左派の有未来党や労働党は採決を欠席、与党からもネタニヤフ首相とガラント防衛相なども欠席されるなかの採択となった。
この宣言は現段階でパレスチナ国家樹立を進めれば、ハマスとその支持者たちは虐殺による勝利と捉えることになり、イスラム教聖戦主義による中東の支配の序章になってしまう、との内容。象徴的な決定ではあるが訪米・米議会での演説前の採択ということから、ネタニヤフ氏はパレスチナ国家への明確な承認を求める同盟国と、それに断固反対する自身の支持基盤という2つの間で、危険な綱渡りを強いられることになる。(7/18)

国際情勢

【国際司法裁判所が近く、西岸地区についての意見書発表へ】(Y,P,H)
国際司法裁判所は来週にも、東エルサレムを含む西岸地区におけるイスラエルの政策についての勧告的意見を、発表する見通しであることが分かった。今年2月にパレスチナ自治政府の働き掛けで国連総会が採択し要請したもので、西岸地区においてイスラエルが人口構成・土地の性質・エルサレムの地位について恣意的に変更しようとしている疑いと、差別的な法律制定と政策についての意見になる。
南アフリカによるジェノサイド問題の提訴とは違い、今回の発表内容は法的拘束力がないものになるもよう。パレスチナ代表はこのための公聴会で「ガザで200万人が海に押しやられ、別の場所(西岸)ではパレスチナ人が差別・迫害に遭っている」と、発言した。(7/12)

 

【アメリカに続きEUもガザへの物資の輸送妨害団体に経済制裁】(Y,P,H)
ここ数か月間問題になっている、右派団体「ツァブ9」の主導によって行われているガザへ向かう人道支援物資の輸送団への妨害・強奪行為。これを受けてEUは15日、同団体をはじめとする3団体と5人のイスラエル人に対して経済制裁を行うことを発表した。これにより該当者はEU内の資産凍結やEU内を通しての送金などの金融活動、またEU諸国への渡航が出来なくなる。
この5人のなかには、もともとアラブ人をはじめ非ユダヤ人からの民族浄化を標榜するカハネ運動に属し、その後数年前までベングビル国家治安相と『ユダヤの力』の指導者を務めていた、バルフ・マルゼルやベンツィ・ゴプシュテインなども含まれている。(7/15)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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