ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【フーシ派の無人攻撃機がテルアビブの米大使館付近で爆発】(Y,P,H)
19日未明、テルアビブ海岸部に無人攻撃機が飛来し米大使館近くに着弾、爆発による破片が胸部に刺さり1人が死亡し、近くにいた10人が軽傷を負った。着弾場所やサイレンが発動しなかったことから、一時テルアビブはパニック状態に。
その後イエメンのフーシ派による攻撃であり、イラン製の無人攻撃機を飛距離を伸ばすために独自改良したものが使用されたこと、またイスラエルの防空システムに迎撃されないようシナイ半島を縦断後に地中海に出、高度を落としてテルアビブに接近したことなどが分かっている。また同じ時間にイラクからも無人攻撃機が発射されこちらは迎撃されているため、『抵抗の枢軸』の中で連携を取ったものではないかとも。ガザ開戦後、フーシ派からは200発以上の無人攻撃機・巡航ミサイルがイスラエルに対して発射されている。(7/19)

 

【イスラエルが初めてフーシ派に対して報復空爆】(Y,P,H)
前日のテルアビブに向けてのドローン攻撃を受け国防軍は20日、フーシ派が制圧しているイエメンの港町フダイダに対して空爆を行った。ガザ開戦以降イスラエルはフーシ派からの攻撃を受けてきたが、同盟国である米英が報復を行ってきたことから直接攻撃は行ってきていなかった。
アラブメディアは、少なくとも80人の死傷者が出ていると伝えている。夜には軍報道官が会見を行い、標的となった港はイランからフーシ派への武器供給として戦略的要所であり、エネルギー施設などへも空爆を行ったと、公式に攻撃を認めた。
フーシ派はこれを受け、イスラエル・米に対する激しい報復を明言しており、イスラエルは防空システムの警戒度を上げた。アメリカが「イスラエルによる単独攻撃」との声明を出した通り単独の報復にはなったが、イスラエルは同盟国に対して攻撃を事前に伝えており、国交のないサウジからの領空通行許可を得ていたとされている。(7/20)

 

【2人の人質男性、ガザ地区内での死亡が確認される】(Y,P,H)
10月7日にテロリストによって拉致された、ガザ境界部のキブツに住む30代と70代の男性2人の安否について国防軍は22日、数か月前に監禁されたガザ地区南部のハンユニスで死亡していたと発表した。
軍は同時期にハンユニス内で軍事作戦が行われていたことは明言し、「死因については調査中」としているため、現段階ではハマスによる殺害か国防軍の作戦に巻き添えになっての死亡か、どちらかは分かっていない。
30代の男性については、3月にハマス報道官がアラブメディアに対して「治療薬の不足と飢餓によって死亡した」と話していた。70代男性はホロコーストに関する歴史家で、イスラエルの高校によるポーランドへのホロコースト研修旅行中、地元ポーランドの高校生たちとの話し合い・交流の機会を持つという、プログラムの発起人だった。これによりガザに居る120人の人質のうち、46人は死亡したという結果に。(7/22)

 

【3か月ぶり… 国防軍が再びハンユニスで軍事作戦を開始】(Y,P,H)
国防軍は22日、4月に軍事作戦を終え撤退していたハンユニスで軍事作戦を開始した。イスラエルとの境界部に近い東部住民40万人に対して、海岸部にある人道支援ゾーンへと避難することを呼び掛け、その後同地域の35箇所に対して空爆が行われ、ナハル旅団もハマスが再建したテロ拠点の発見・破壊を行った。
ハマスが運営するラジオ局の発表によると、37人が死亡したとのこと。3か月前の軍事作戦ではハンユニスの地下から、全長70kmにも及ぶトンネル網が発見されており、軍部はまだ数十kmほどが未発見とのことでその発見・破壊が主な任務のよう。またハンユニスにはまだ生存しているとされる、ラファと南ガザ旅団の司令官2人(1人はシンワルの弟)を含むハマス指導層が潜伏しているとされているため、彼らの排除も目的ではとされている。(7/22)

 

【国防軍、人質5人の遺体をガザで収容】(Y,P,H)
国防軍とシンベトは24日、10月7日に殺害され遺体のまま拉致された民間人3人と兵士2人の遺体を奪還し、イスラエル国内に収容されたと発表した。その中の1人はニル・オズの保育園で保母を務め、生後10か月で拉致されたクフィル・ビバスをはじめキブツの子供たちを育ててきた、マヤ・ゴレンさん。彼女は10月7日も6時からキブツの保育園で働き始めていたところをテロリストによって殺害され、遺体はガザへ拉致されていた。
遺体収容の知らせを受け彼女の子供たちは、「やっと母を、(10/7に殺害、遺体が発見された)父の隣の墓に迎えることができます。私たちが区切りをつけることができたように、まだ115人の家族はこの区切りを付けられずにいるのです」とコメントしている。(7/24)

内政

【首相が交渉団のドーハ行きへGoサインも、国防トップたちと対立…】(Y,H)
ネタニヤフ首相は21日人質解放・休戦案の交渉に関し、参謀総長とモサド・シンベト両長官たち国防関係者と6時間にわたる協議を行い、今週中にも交渉団をカタールのドーハに派遣することを決定した。団長はモサド長官が務めるということで、交渉が進むのではという期待も。
しかし上記3名にガラント防衛相を加えた国防トップは一様に、エジプト・ガザ境界のフィラデルフィ・ガザを南北に分断しているネツァリームという、両回廊からの撤退について休戦第1段階(7週間)であれば可能であり、リスクはゼロではないが人質解放を優先し休戦協定を締結すべき、とネタニヤフ首相に対して働き掛けているが、首相は首を縦に振っておらず、先週報じられた国内での不一致は未だに解決できていない様子。
またハマスとの休戦が、どのように北部のヒズボラやイエメンのフーシ派との戦闘状況に影響するかについても、協議がなされた。(7/21,22)

国際情勢

【ICJ:西岸地区におけるイスラエルの政策は国際法違反】(Y,P,H)
東エルサレムを含む西岸地区でのイスラエルの政策に関して国連の国際司法裁判所(ICJ)は19日、事実上の併合という国際法違反であり入植の停止・退去を行い、パレスチナに対して損害賠償を行うべきである、といった勧告的意見を発表した。また国連加盟国は、西岸地区内でのイスラエルの活動に対し支援すべきではない、とも結論付けた。
今回の発表に法的拘束力はなく、安保理でイスラエルに対してこの決定を受け入れる決議になったとしても、米国による拒否権行使によって否決になると予想されている。イスラエル関係者からは、「紛争については両者間の直接的交渉によって解決されるべきであり、この決定は国連機関の政治化を象徴するもの」と批判する一方、BDSといったボイコット運動や入植地に対する経済制裁などがさらに広がる可能性を危惧する声も上がっている。(7/19)

 

【日本政府、4人の入植者に対して経済制裁】(Y,P,H)
日本政府は23日、違法入植地に住み近隣のパレスチナ人に対して暴力行為を行ったとされる4人のユダヤ人入植者たちに対し、経済制裁措置を取ると発表した。政府報道官は決定に関して、「昨年10月以降、複数の入植者による暴力行為が劇的に増加している。G7などの処置を鑑み、彼らを財産凍結の対象とすることに決めた」と説明。また、全ての入植活動の停止を呼び掛けた。米・英・カナダに次ぐ、過激な入植者たちへの経済制裁。
しかしメディアではハマスをテロ組織に指定し、高官たちに対しても経済制裁を行っていること、イスラエルの自衛権を10/7以降も認めていること、また上川外相がイスラエルを訪問し連帯の意を表したことなどから、「日本はイスラエルに対しておおむね友好的な国」と論じられている。(7/21,23)

 

【中国の仲裁により、ファタハとハマスが和解か】(Y,P,H)
中国の国営放送は23日、ファタハ・ハマスをはじめパレスチナの計14団体による首脳会談を北京で行い、戦後のガザにファタハ・ハマス共同の「和解・一致内閣」を樹立させるという、合意文書の調印式が行われたと報じた。中国の外相はここ最近における最大の進展であると歓迎の意を表し、ハマスも挙国一致体制について歓迎のコメントを出している。
しかしファタハ関係者はハマスが(単独での)ガザ統治を放棄するとは思えず、悲観的のよう。イスラエル各紙もこのニュースについて報じているが、「ファタハ・ハマス間の和解合意はこれが初めてでもなく、最後でもないだろう」と一様に、具体的な内容はほぼ無く 実現性はゼロだとし、左派ハアレツ紙でさえも「現実的な意味は無し」と見出しにしている。(7/23)

 

【ネタニヤフ首相、米議会で52分間の演説】(Y,P,H)
米訪問中のネタニヤフ首相は24日、アメリカ上下両院の合同会議で52分間にわたる演説を行った。バイデン大統領に対してはイスラエルと共に堅く立っていることや、軍事支援に対して謝意を述べつつも、「イスラエルは文明という前線で戦っている。より迅速に道具を与えてくれれば、より早く仕事を完了できる」と、イスラエルへの兵器提供の遅延に対して牽制するような発言をした。
またこの戦争はアメリカ対イランの代理戦争に過ぎないことを強調、「私たちは自身だけでなく、あなたたち(米)のことも守っている。私たちの戦いは、あなたたちの戦い。私たちの勝利は、あなたたちの勝利でもある」と発言し、度々拍手喝采が起こっていた。
具体的なガザ戦後については「非武装・過激化したガザが、私のビジョン」とし、イスラエルがガザ再入植を行うことはないと断言。また現段階でも、人質解放・休戦案の交渉が続いているとも語った。イスラエル内では、悪と戦う善とその英雄主義、そして(パールハーバーなどを引き合いに)アメリカという人類の解放者としての歩みとイスラエルを重ねるなど、「アメリカの心を掴んだ演説」と概ね評価されているも、「戦争終結へのレシピはなく、現実と合致しない内容」と酷評する声も。(7/24)

 

【訪米中のネタニヤフ首相、バイデン大統領・ハリス副大統領と会談】(Y,P,H)
訪米中のネタニヤフ首相は25日、現ネタニヤフ政権樹立後初めてホワイトハウスでバイデン大統領と会談した。バイデン氏が大統領選を撤退したことや2人が旧知の仲であることから、ネタニヤフ氏は「私たちの関係は40年であり、あなたはここ半世紀のイスラエルの歴代首相を知っている。誇り高きユダヤ人シオニストから、アイルランド系アメリカ人の誇り高きシオニストであるあなたに50年間の公務、そしてイスラエルに対する支援に感謝している」と謝辞を述べた。
詳細については明かされていないが休戦案についても話し合いがなされ、バイデン氏も残り少ない任期の中の大仕事として捉えているもよう。1時間半の首脳会談の後には、ネタニヤフ氏は次期大統領候補でもあるハリス副大統領とも会談。その後の記者会見でハリス氏は、イスラエル国家の存続・安全保障に対してはコミットする意を示し、ハマスは「残忍なテロ組織」と明言しつつも、「(ガザでの人道危機に対し)自身の感覚を麻痺させてはならず、私も沈黙することはない」と語った。
イスラエル側の関係者からは、和やかな会談と会見時のトーンの違いに驚きの声があり、「米イ間での意見の相違・不和を少しでも公に見せれば、ハマスはそれを利用し休戦案の締結がさらに遅れる可能性がある」と危惧している。(7/25)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、シオンとの架け橋からのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは sorami@zion-jpn.or.jp よりsorami@zion-jpn.or.jp 宛に送信しております。
シオンとの架け橋、京都府


配信停止 | 登録情報更新 | 迷惑メールと報告する