【ICJ:西岸地区におけるイスラエルの政策は国際法違反】(Y,P,H)
東エルサレムを含む西岸地区でのイスラエルの政策に関して国連の国際司法裁判所(ICJ)は19日、事実上の併合という国際法違反であり入植の停止・退去を行い、パレスチナに対して損害賠償を行うべきである、といった勧告的意見を発表した。また国連加盟国は、西岸地区内でのイスラエルの活動に対し支援すべきではない、とも結論付けた。
今回の発表に法的拘束力はなく、安保理でイスラエルに対してこの決定を受け入れる決議になったとしても、米国による拒否権行使によって否決になると予想されている。イスラエル関係者からは、「紛争については両者間の直接的交渉によって解決されるべきであり、この決定は国連機関の政治化を象徴するもの」と批判する一方、BDSといったボイコット運動や入植地に対する経済制裁などがさらに広がる可能性を危惧する声も上がっている。(7/19)
【日本政府、4人の入植者に対して経済制裁】(Y,P,H)
日本政府は23日、違法入植地に住み近隣のパレスチナ人に対して暴力行為を行ったとされる4人のユダヤ人入植者たちに対し、経済制裁措置を取ると発表した。政府報道官は決定に関して、「昨年10月以降、複数の入植者による暴力行為が劇的に増加している。G7などの処置を鑑み、彼らを財産凍結の対象とすることに決めた」と説明。また、全ての入植活動の停止を呼び掛けた。米・英・カナダに次ぐ、過激な入植者たちへの経済制裁。
しかしメディアではハマスをテロ組織に指定し、高官たちに対しても経済制裁を行っていること、イスラエルの自衛権を10/7以降も認めていること、また上川外相がイスラエルを訪問し連帯の意を表したことなどから、「日本はイスラエルに対しておおむね友好的な国」と論じられている。(7/21,23)
【中国の仲裁により、ファタハとハマスが和解か】(Y,P,H)
中国の国営放送は23日、ファタハ・ハマスをはじめパレスチナの計14団体による首脳会談を北京で行い、戦後のガザにファタハ・ハマス共同の「和解・一致内閣」を樹立させるという、合意文書の調印式が行われたと報じた。中国の外相はここ最近における最大の進展であると歓迎の意を表し、ハマスも挙国一致体制について歓迎のコメントを出している。
しかしファタハ関係者はハマスが(単独での)ガザ統治を放棄するとは思えず、悲観的のよう。イスラエル各紙もこのニュースについて報じているが、「ファタハ・ハマス間の和解合意はこれが初めてでもなく、最後でもないだろう」と一様に、具体的な内容はほぼ無く 実現性はゼロだとし、左派ハアレツ紙でさえも「現実的な意味は無し」と見出しにしている。(7/23)
【ネタニヤフ首相、米議会で52分間の演説】(Y,P,H)
米訪問中のネタニヤフ首相は24日、アメリカ上下両院の合同会議で52分間にわたる演説を行った。バイデン大統領に対してはイスラエルと共に堅く立っていることや、軍事支援に対して謝意を述べつつも、「イスラエルは文明という前線で戦っている。より迅速に道具を与えてくれれば、より早く仕事を完了できる」と、イスラエルへの兵器提供の遅延に対して牽制するような発言をした。
またこの戦争はアメリカ対イランの代理戦争に過ぎないことを強調、「私たちは自身だけでなく、あなたたち(米)のことも守っている。私たちの戦いは、あなたたちの戦い。私たちの勝利は、あなたたちの勝利でもある」と発言し、度々拍手喝采が起こっていた。
具体的なガザ戦後については「非武装・過激化したガザが、私のビジョン」とし、イスラエルがガザ再入植を行うことはないと断言。また現段階でも、人質解放・休戦案の交渉が続いているとも語った。イスラエル内では、悪と戦う善とその英雄主義、そして(パールハーバーなどを引き合いに)アメリカという人類の解放者としての歩みとイスラエルを重ねるなど、「アメリカの心を掴んだ演説」と概ね評価されているも、「戦争終結へのレシピはなく、現実と合致しない内容」と酷評する声も。(7/24)
【訪米中のネタニヤフ首相、バイデン大統領・ハリス副大統領と会談】(Y,P,H)
訪米中のネタニヤフ首相は25日、現ネタニヤフ政権樹立後初めてホワイトハウスでバイデン大統領と会談した。バイデン氏が大統領選を撤退したことや2人が旧知の仲であることから、ネタニヤフ氏は「私たちの関係は40年であり、あなたはここ半世紀のイスラエルの歴代首相を知っている。誇り高きユダヤ人シオニストから、アイルランド系アメリカ人の誇り高きシオニストであるあなたに50年間の公務、そしてイスラエルに対する支援に感謝している」と謝辞を述べた。
詳細については明かされていないが休戦案についても話し合いがなされ、バイデン氏も残り少ない任期の中の大仕事として捉えているもよう。1時間半の首脳会談の後には、ネタニヤフ氏は次期大統領候補でもあるハリス副大統領とも会談。その後の記者会見でハリス氏は、イスラエル国家の存続・安全保障に対してはコミットする意を示し、ハマスは「残忍なテロ組織」と明言しつつも、「(ガザでの人道危機に対し)自身の感覚を麻痺させてはならず、私も沈黙することはない」と語った。
イスラエル側の関係者からは、和やかな会談と会見時のトーンの違いに驚きの声があり、「米イ間での意見の相違・不和を少しでも公に見せれば、ハマスはそれを利用し休戦案の締結がさらに遅れる可能性がある」と危惧している。(7/25) |