【イスラエル、米に対して休戦案を送付】(Y,P)
イスラエルは27日に、ハマスとの休戦・人質解放案についての修正案を仲介国でもあるアメリカに対して伝えた。このイスラエルによる修正案には、ガザ・エジプト境界部での国防軍の駐屯継続と、(テロリストの移動を防ぐための)北部へのガザ市民帰還に対するイスラエルによる監視・モニタリングが含まれている。これらについては、防衛関係者たちは譲歩可能としているが、ネタニヤフ氏が強く要求しているポイント。
しかしこの報道直後にハマスは「いかなる修正も受け入れない」と語り、エジプトもガザ境界部の軍駐在については「バイデン大統領が発表した案には含まれていない」と拒否する姿勢を見せている。翌28日にはローマで米・エジプト・カタールを交えた交渉が再開する予定だが、早くも暗雲が立ち込めている。(7/27)
【最北部のドゥルーズ派の村にロケット弾着弾、12人の未成年が死亡】(Y,P,H)
イスラエル最北部にあるドゥルーズ派の村マジュダル・シャムスに27日、約30発のロケット弾が飛来しそのうちの1発が街にあるサッカーコートに着弾。地元のサッカートーナメントが行われていたこともあり10~20歳の計12人が死亡、29人が負傷した。
ヒズボラ高官はロイター紙に対して関与を否定しているが、ヒズボラ寄りのレバノン現地紙は戦闘員の殺害を受けヒズボラが100発以上のロケット弾をイスラエル北部に向けて撃ち込んだ、と報道している。またアイアンドームの破片だとする意見もアラブ側では上がっているが、着弾時にサイレンは鳴っていたがアイアンドームは作動していなかったことを住民たちは語っている。
同村の宗教的指導者は攻撃を受け、「テロリストによる残虐な攻撃で、見るに堪えない光景だった。このような現実が北部では9か月間続いており、今日は越えてはならない全てのレッドラインを越えてしまった」と語っている。イスラエルは報復についての協議が行われており、10月7日以降最大の被害であるということから、ベイルートや空港などを標的とした大規模な報復が予想されているが、アメリカは地域戦争へと発展しないように大規模な攻撃を自制するよう求めている。(7/27,29)
【ハマスが人質への拷問の映像を、ベングビル国家治安相に送付か】(Y,P)
28日にイギリスメディアが、ハマスが複数の人質に関する映像をベングビル国家治安相に対して直接送り、そのなかには人質が拷問・虐待行為を受けテロリストたちがベングビル氏に向かい、イスラエルで収容されているパレスチナ人囚人たちの待遇を改善するよう、脅す内容の映像が含まれていたと報じた。
2人のイスラエルの高官たちへの取材による記事のようで、それによると映像を見たベングビル氏は、これにより囚人たちの待遇をより厳しいものにするための正当性が出来たと話し、人質が苦しんでいるとの忠告に対し耳を貸さなかったとのこと。ベングビル氏はその後Xに、「ハマスは壊滅させる必要があり、彼らの降伏を求める指図に従うつもりはない。所内のテロリストたちの待遇は厳しく、私はそれを誇りに思っている」と投稿。(7/28)
【イスラエルがベイルートを空爆、ヒズボラナンバー2を殺害】(Y,P,H)
27日にイスラエル北部で12人の子供たちが、ヒズボラによるロケット弾により死亡した事件を受けてイスラエル軍は30日、ベイルート南郊のダヒヤに対して空爆を行い、ヒズボラ軍部の最高司令官フアド・シュクルを殺害した。
ダヒヤはナスララをはじめヒズボラ指導層たちが多く潜伏する組織の本拠地であり、4階建ての建物に3発のミサイルが着弾。彼の側近と計2人が死亡、68人が負傷している。国防軍はシュクル殺害に関して30日夜に発表しているが、ヒズボラはシュクルが攻撃を受けたダヒヤの建造物内に居たことは認めているが、安否については「調査結果を待っている」との声明を翌31日に発表している。(7/30)
【イランでハマス最高幹部ハニヤが殺害される】(Y,P,H)
ハマス政治部最高幹部のイスマイル・ハニヤが30日の夜、滞在中のテヘランで殺害された。イラン新大統領就任式参列のためのイラン訪問中で、前日にはイラン最高指導者ハメイニとパレスチナ・イスラム聖戦指導者アル=ナハラと会談していた。
第一報はイランのテレビ局によるもので、その後ハマスが「シオニストによる攻撃を受けて死亡」との公式声明を発表。政治部トップのハニヤはガザ・西岸地区・海外・(イスラエルの)刑務所の計4支部を束ねており、事実上ハマスの最高指導者だったため10月7日以降最大の暗殺劇になる。
ハニヤは2006年にパレスチナ自治政府の首相に就任するが、翌年にハマスが軍事的にガザを掌握するとアッバス議長が彼の更迭と、ファタハ・ハマスによる一致内閣の解体を決定。その後は2017年にドーハに移り現指導者のシンワルが選出されるまで、ガザの指導者だった。
イスラエルメディアでは後継者について論じており、海外部トップでハニヤが就任するまでの21年間ハマス政治部トップを務めたマシャル、休戦交渉で重要な役割を果たしているハニヤの補佐官ムサ・アブ=マルズクなどが挙げられている。しかしガザ内の大半の指導者が戦死していることや、刑務所内からの選挙参加にはイスラエル側が制限をかけるとの予想などから、後任を決める選挙実施は困難のよう。最高幹部の未選出によりハマス内がカオス状態になるとの憶測から、ハマスの一部幹部からは組織崩壊を危惧する声も上がっている。
8月1日の報道ではミサイルによる空爆ではなく爆破装置によるものであったこと、ハニヤが滞在していた極秘のゲストハウスの一室に数週間前に運ばれ設置されていたことなどが分かっている。(7/31,8/1)
【国防軍、ムハンマド・デイフの死亡を発表】(Y,P,H)
先月13日にハンユニスで空爆の標的となり、負傷は確実とされていたが生死については未発表だったガザ軍事部トップで10月7日の虐殺の首謀者、ムハンマド・デイフの死亡を国防軍が発表した。ガラント防衛相は「『ガザのビンラディン』であるデイフの排除は、軍事・統治組織としてのハマスの殲滅という戦争の目的達成のための大きな一歩」と歓迎すると同時に、「テロリストたちには降伏か死かの、どちらかを選ばなければならない」とハマスに対して呼び掛けている。
これに対してハマスは「彼は健康的な状態で、占領者によるこの噂についても耳にしている」と、死亡の事実を否定している。(8/1) |