ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週水曜と土曜です。)
◯ 治安

【モサド長官がカタールから帰国、来週にも再び交渉】(Y,P,H) 
5日モサドのバルネア長官が数時間のドーハでの交渉を終え、イスラエルに帰国した。首相府は初期段階的会談であり両者間にはまだ隔たりがあるとコメントしつつ、来週にも再び交渉団をカタールに派遣するとしている。
交渉について報じたアラブメディアは、ハマスがヒズボラ指導者ナスララに「休戦案を飲んだ」と伝えたこと、ハマスは土曜夜までの回答をイスラエルに求めていると報道している。争点は休戦延長のための交渉期間で、ハマスは無制限の交渉期間を求めているが、イスラエルは拒絶している。しかしモサドは仲裁国に対し、「安全保障内閣と政府は現状の案を受け入れるのでは」と楽観的な姿勢を示したもよう。(7/5)

 

【UNRWAへの空爆を実施、国防軍は「テロ拠点化」と説明】(Y,P,H)
6日朝ガザ市の南にあるヌセイラット難民キャンプで国防軍の空爆が行われ、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が運営する学校が被害を受けた。ハマス当局は最低でも14人が死亡したと発表しているが、イスラエル軍はその日の夜に声明を発表。
同難民キャンプはテロ組織による潜伏場所・司令部になっており、イスラエル軍に対する攻撃の企画・実行のために使用されていた、とテロの拠点として使用されていたとしている。また「空爆前に民間人の被害が出るリスクを軽減するために、上空からの監視や諜報をはじめいくつもの手段が講じられた」とコメントしている。
国防軍がUNRWAの学校を攻撃するのは初めてではなく、先月末にはUNRWA学校内から数十の武器が発見されている。(7/6)

 

【ガリラヤ南部・西部にヒズボラからの攻撃、米国人2名が負傷】(Y,P,H)
防空システムを担当する司令官がイスラエルに対する攻撃を実行していたとして無人攻撃機で殺害されたのを受け、7日朝にヒズボラはガリラヤ南部と西部に対して大規模な攻撃を行った。
ガリラヤ南部への攻撃ではティベリア近郊のモシャブ(農業共同体)に着弾、20代男性がミサイルの破片が上半身の複数箇所に刺さり重傷を負った。
軍は約20発の短距離ミサイルが飛来、複数は迎撃されたが、着弾とそれによる火事を確認した。西ガリラヤへの攻撃でもレバノン国境部のモシャブに着弾し、兵士1人とアメリカ国籍者2人が負傷した。後の調査でアメリカ人負傷者は国防軍が注文したドローン業者のスタッフで、ドローン操作のインストラクターとして国境部に来て、攻撃に巻き込まれたもよう。(7/7)

 

【ネタニヤフ首相、妥協しない5つのポイントを発表、波紋を呼ぶ】(Y,P,H)
10日にドーハでCIAとモサド両長官やエジプト・カタールの交渉責任者による休戦・人質解放交渉のためのトップ会談が行われるなか、7日にネタニヤフ首相はイスラエルが妥協しない5点を発表した。1. 戦争の全ての目的達成のため戦闘再開が可能なこと、2. エジプト・ガザ間での武器密輸の撲滅、3. ガザ北部へ数千人規模のテロリストが帰還しないこと、4. 生存するイスラエル人の人質が最大限解放されること、5. 人質解放は戦争の目的達成と相反しないこと、の5つ。
3つ目のテロリストの帰還阻止は現行の休戦案には盛り込まれていない『新条項』で、このためにはガザを南北に分断している軍事回廊に国防軍が駐屯し続ける必要があり、ハマスがこれに反対することは確実。トップ会談前のこの発表には仲裁国だけでなく、国内の防衛や仲裁の関係者たちからも「人質解放の好機に害を及ぼす、不適切な言動」と批判の声が上がっている。(7/7)

 

【ガザ市内で軍事作戦、UNRWA本部でハマスが拠点を再構築か】(Y,P,H)
UNRWA本部を含めたガザ市内の複数の箇所でハマス・イスラム聖戦の兵士たちが戻り、テロ拠点化が再び進んでいるとの報告が諜報機関からあったため、国防軍は歩兵・空挺・戦車部隊による師団を市内に進軍させ特別作戦を行った。作戦前には周囲の市民に対して警告・避難勧告がなされ避難経路も確保され、避難する住人たちが確認されている。
UNRWA本部内に突入した際に銃撃戦となりテロリストたちは排除され、敷地内から見つかった武器やテロ拠点として使用されていた取調室や拘置室などが破壊された。UNRWA本部では今年2月にも軍事作戦が行われ、その際も約120人のテロリストが立て籠もり、敷地内地下にあるハマスのトンネルにはUNRWA本部から電気が引かれていたことなどが分かっている。(7/8)

 

【ゴラン高原を走行中の自家用車にミサイル直撃、市民2人が死亡】(Y,P,H)
8日ヒズボラから約40発のミサイル攻撃がゴラン高原に対して行われ、その1発が国道を走行中の自家用車に直撃し車両は全焼。乗車していた地元のキブツに住む40代の夫妻が、死亡した。現場に駆け付けた救命士によると、エンジンのあるフロントにミサイルが着弾したため、急行した際には運転手・助手席に乗っていた夫婦は意識不明の状態で発見されたが、救助活動もむなしく現場で死亡が確認された。夫妻は10代の子供たちが3人居る、5人家族でキブツ運営に携わっていた。
ヒズボラはこの日の攻撃を、ヒズボラ指導者ナスララの元SP責任者で現在はシリア・レバノン間の武器密輸の担当をしている高官が、数時間前にダマスカス近郊で標的となり殺害されたことへのイスラエルに対する報復攻撃としている。イスラエル・ヒズボラ間の報復攻撃の応酬はここ数か月間続いているが、今回の一連の攻撃とそれに伴う民間人犠牲者は異例で、イスラエル北部の市民からは大規模な戦闘が必要との声も上がっている。(7/9)

 

【ナスララ「目的は達成。ハマスとの休戦=ヒズボラとの休戦」】(Y,P)
ヒズボラ指導者ナスララが10日、今月初めにイスラエル軍によって殺害された同組織司令官の追悼イベントでビデオ演説。「イスラエルを経済・マンパワー・社会的観点から十分に消耗させた。休戦をせざるを得なくなるだろう」と述べ、ヒズボラは目的を達成し、休戦を望んでいる趣旨の発言をした。
また「休戦交渉の結果を待っている」としながら、ハマスは「抵抗の枢軸(親イラン武装組織ネットワーク)」を代表して交渉しており、ハマスが同意したことが「私たちにとっても十分なものになる」と話し、ガザでの休戦はヒズボラとの北部戦線にも適用されるとの理解を示した。10月7日から現在までについて言及する内容から、ヒズボラが望む休戦に向けての「振り返りの演説」とイスラエルメディア評。(7/10)

 

【国防軍、キブツ・ベエリ虐殺についての調査結果を公表】(Y,P,H)
11日に国防軍は101人が殺害、30人が拉致された10月7日のベエリ虐殺とその日の軍の行動などの調査結果を発表した。それによると大規模な救出部隊が来たのは13時半で、約6時間はキブツ自衛団と20人程度の兵士が340人のテロリストと交戦していたこと、9時には空軍の特殊部隊がやって来たがすぐに撤退しキブツの門付近で待機していたことなどが分かった。
また国防軍は、1. 数十か所・1000人規模の越境攻撃を想定していなかった、2. テロリスト越境時の警報が迅速ではなかった、3. 負傷者の避難・治療の際に市民よりも兵士を優先した事例があった、など軍の過ちを認めている。しかし人質が集められていた住宅に戦車が砲撃し、結果的に13人が犠牲になった事例については、交渉を試みた上での最終手段として司令官の正しい判断がなされたとし、4発の威嚇砲撃は家に向けてではなく近くに向けたものであり、それによる死亡者は0で負傷者が2名出ただけ、そして13人のうちの大半はその後テロリストによって殺害された、と軍側に問題はなかったとの結論に。
ベエリ住民からは一定の評価をする声があるものの、「すでに知っている内容であり、時系列をまとめただけ」や「なぜ13時半まで大規模な部隊が来なかったのかという、最も重要な疑問に対して答えていない」などと、厳しい声が。(7/11)

内政

【与党内の極右は休戦案に反対し連立脱退を示唆、野党議長は安全網を打診】(Y,P,H)
極右のスモトリッチ財務相は8日、自身の宗教シオニズム党の会議にピースしたシンワルの写真を持って登場、「休戦案にサインすれば、ガザでこの光景を見ることになる。私たちはこの休戦案という名のハマスへの降伏に加担しない。このような案は圧倒的勝利ではなく、完全な敗北だ」とネタニヤフ首相に呼び掛け、イスラエルが休戦交渉を続けるのであれば連立離脱の可能性を仄めかした。
対極に位置する野党議長のラピード党首は同じ日に会見を行い、ネタニヤフを批判しつつも「最重要なのは人質の帰還。もし極右議員が連立を抜け首相からの申し出があるのであれば、私たちは休戦案を支持するセーフティーネットになる。また(一時的な連立入りのために)、首相と詳細について取り決めるために会談する準備がある」と話している。休戦案が現実味を帯びて来た際に極右が連立離脱を仄めかすのは初めてではなく、今年1月にも同様の状態になった際にラピード党首は上記のような発言をしている。(7/8)

 

【ガザ囚人を虐待した疑いで、予備役兵に起訴状か】(Y,P,H)
現在はガザで逮捕した囚人たちの臨時拘留所として使用されている南部の国防軍基地で、予備役兵1人が囚人たちに暴行を働いた疑いで起訴されることが8日判明した。同基地の司令官たちが複数の囚人たちの体にあざなどの異変を発見したため、捜査を始めたところ複数の予備役兵が暴行を行っていた疑いが浮上。
取り調べと調査を進めた結果、そのうちの1人が容疑を認め、また取り調べの場所と拘留所間の移動車の中で、手錠がかけられた囚人たちを殴っている様子を自身で撮影した動画が発見された。容疑を認めたこの兵士は起訴される見通しで、この戦争における兵士の重大な刑事責任を国内で問う最初の例となる。
南部の同基地については、6月に米メディアが内部告発者の証言から「兵士による暴力行為が日常的に行われている」と報道。国際的な批判を浴びていた。(7/9)

 

【ガラント防衛相、自身と首相を対象にした国による調査を要求】(Y,P,H)
11日に国防軍の士官コースの修了式典が行われ、ガラント防衛相がネタニヤフ首相と共に参列し祝辞演説。ガラント防衛相は10月7日の惨劇に言及、「事実を明らかにする国家レベルでの調査が求められており、それは国の調査委員会によるものだ。客観的に政府と国防軍、その他の安全保障の組織を調べる必要がある。私や首相、参謀総長を調査しなければならない」と、国による独立した調査委員会の発足と調査開始を求めた。
調査に関してネタニヤフ氏は「戦争中ではなく戦後に行うべき」との発言をしているが、どのような調査になるかは明言していない。この問題に関しては、国家による調査委員会ではなく、首相の権限が大きくなる政府内での調査委員会による調査を望んでいること、また国の調査委員会によるものとなった場合には、(通例の)裁判官ではなく、広く公人から委員会議長に選出する意向を示しているなどとの報道もあり、ネタニヤフ氏の消極的な態度が目立っている。(7/11)

国際情勢

【イスラエル、ウクライナに対して子供のガン患者受け入れを提案】(Y)
8日ウクライナの首都キーウの小児病院ロシアからの空爆を受け34人が死亡したことを受け、イスラエル政府はゼレンスキー大統領に同病院でガン治療を受けている子供たちを一時受け入れる提案を行った。
在ウクライナ大使館を通しての申し出で、「開戦直後にも悪性腫瘍を患った複数の子供たちをイスラエルで受け入れるなど、医療面における協力の歴史がある」と大使館は、その経緯を説明。受け入れの数は患者の病態などによって変わるが、テルアビブにあるシバ病院が転院先になることは決まっており、イスラエルはゼレンスキー大統領の回答を待っている。(7/10)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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