【モサド長官がカタールから帰国、来週にも再び交渉】(Y,P,H)
5日モサドのバルネア長官が数時間のドーハでの交渉を終え、イスラエルに帰国した。首相府は初期段階的会談であり両者間にはまだ隔たりがあるとコメントしつつ、来週にも再び交渉団をカタールに派遣するとしている。
交渉について報じたアラブメディアは、ハマスがヒズボラ指導者ナスララに「休戦案を飲んだ」と伝えたこと、ハマスは土曜夜までの回答をイスラエルに求めていると報道している。争点は休戦延長のための交渉期間で、ハマスは無制限の交渉期間を求めているが、イスラエルは拒絶している。しかしモサドは仲裁国に対し、「安全保障内閣と政府は現状の案を受け入れるのでは」と楽観的な姿勢を示したもよう。(7/5)
【UNRWAへの空爆を実施、国防軍は「テロ拠点化」と説明】(Y,P,H)
6日朝ガザ市の南にあるヌセイラット難民キャンプで国防軍の空爆が行われ、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が運営する学校が被害を受けた。ハマス当局は最低でも14人が死亡したと発表しているが、イスラエル軍はその日の夜に声明を発表。
同難民キャンプはテロ組織による潜伏場所・司令部になっており、イスラエル軍に対する攻撃の企画・実行のために使用されていた、とテロの拠点として使用されていたとしている。また「空爆前に民間人の被害が出るリスクを軽減するために、上空からの監視や諜報をはじめいくつもの手段が講じられた」とコメントしている。
国防軍がUNRWAの学校を攻撃するのは初めてではなく、先月末にはUNRWA学校内から数十の武器が発見されている。(7/6)
【ガリラヤ南部・西部にヒズボラからの攻撃、米国人2名が負傷】(Y,P,H)
防空システムを担当する司令官がイスラエルに対する攻撃を実行していたとして無人攻撃機で殺害されたのを受け、7日朝にヒズボラはガリラヤ南部と西部に対して大規模な攻撃を行った。
ガリラヤ南部への攻撃ではティベリア近郊のモシャブ(農業共同体)に着弾、20代男性がミサイルの破片が上半身の複数箇所に刺さり重傷を負った。
軍は約20発の短距離ミサイルが飛来、複数は迎撃されたが、着弾とそれによる火事を確認した。西ガリラヤへの攻撃でもレバノン国境部のモシャブに着弾し、兵士1人とアメリカ国籍者2人が負傷した。後の調査でアメリカ人負傷者は国防軍が注文したドローン業者のスタッフで、ドローン操作のインストラクターとして国境部に来て、攻撃に巻き込まれたもよう。(7/7)
【ネタニヤフ首相、妥協しない5つのポイントを発表、波紋を呼ぶ】(Y,P,H)
10日にドーハでCIAとモサド両長官やエジプト・カタールの交渉責任者による休戦・人質解放交渉のためのトップ会談が行われるなか、7日にネタニヤフ首相はイスラエルが妥協しない5点を発表した。1. 戦争の全ての目的達成のため戦闘再開が可能なこと、2. エジプト・ガザ間での武器密輸の撲滅、3. ガザ北部へ数千人規模のテロリストが帰還しないこと、4. 生存するイスラエル人の人質が最大限解放されること、5. 人質解放は戦争の目的達成と相反しないこと、の5つ。
3つ目のテロリストの帰還阻止は現行の休戦案には盛り込まれていない『新条項』で、このためにはガザを南北に分断している軍事回廊に国防軍が駐屯し続ける必要があり、ハマスがこれに反対することは確実。トップ会談前のこの発表には仲裁国だけでなく、国内の防衛や仲裁の関係者たちからも「人質解放の好機に害を及ぼす、不適切な言動」と批判の声が上がっている。(7/7)
【ガザ市内で軍事作戦、UNRWA本部でハマスが拠点を再構築か】(Y,P,H)
UNRWA本部を含めたガザ市内の複数の箇所でハマス・イスラム聖戦の兵士たちが戻り、テロ拠点化が再び進んでいるとの報告が諜報機関からあったため、国防軍は歩兵・空挺・戦車部隊による師団を市内に進軍させ特別作戦を行った。作戦前には周囲の市民に対して警告・避難勧告がなされ避難経路も確保され、避難する住人たちが確認されている。
UNRWA本部内に突入した際に銃撃戦となりテロリストたちは排除され、敷地内から見つかった武器やテロ拠点として使用されていた取調室や拘置室などが破壊された。UNRWA本部では今年2月にも軍事作戦が行われ、その際も約120人のテロリストが立て籠もり、敷地内地下にあるハマスのトンネルにはUNRWA本部から電気が引かれていたことなどが分かっている。(7/8)
【ゴラン高原を走行中の自家用車にミサイル直撃、市民2人が死亡】(Y,P,H)
8日ヒズボラから約40発のミサイル攻撃がゴラン高原に対して行われ、その1発が国道を走行中の自家用車に直撃し車両は全焼。乗車していた地元のキブツに住む40代の夫妻が、死亡した。現場に駆け付けた救命士によると、エンジンのあるフロントにミサイルが着弾したため、急行した際には運転手・助手席に乗っていた夫婦は意識不明の状態で発見されたが、救助活動もむなしく現場で死亡が確認された。夫妻は10代の子供たちが3人居る、5人家族でキブツ運営に携わっていた。
ヒズボラはこの日の攻撃を、ヒズボラ指導者ナスララの元SP責任者で現在はシリア・レバノン間の武器密輸の担当をしている高官が、数時間前にダマスカス近郊で標的となり殺害されたことへのイスラエルに対する報復攻撃としている。イスラエル・ヒズボラ間の報復攻撃の応酬はここ数か月間続いているが、今回の一連の攻撃とそれに伴う民間人犠牲者は異例で、イスラエル北部の市民からは大規模な戦闘が必要との声も上がっている。(7/9)
【ナスララ「目的は達成。ハマスとの休戦=ヒズボラとの休戦」】(Y,P)
ヒズボラ指導者ナスララが10日、今月初めにイスラエル軍によって殺害された同組織司令官の追悼イベントでビデオ演説。「イスラエルを経済・マンパワー・社会的観点から十分に消耗させた。休戦をせざるを得なくなるだろう」と述べ、ヒズボラは目的を達成し、休戦を望んでいる趣旨の発言をした。
また「休戦交渉の結果を待っている」としながら、ハマスは「抵抗の枢軸(親イラン武装組織ネットワーク)」を代表して交渉しており、ハマスが同意したことが「私たちにとっても十分なものになる」と話し、ガザでの休戦はヒズボラとの北部戦線にも適用されるとの理解を示した。10月7日から現在までについて言及する内容から、ヒズボラが望む休戦に向けての「振り返りの演説」とイスラエルメディア評。(7/10)
【国防軍、キブツ・ベエリ虐殺についての調査結果を公表】(Y,P,H)
11日に国防軍は101人が殺害、30人が拉致された10月7日のベエリ虐殺とその日の軍の行動などの調査結果を発表した。それによると大規模な救出部隊が来たのは13時半で、約6時間はキブツ自衛団と20人程度の兵士が340人のテロリストと交戦していたこと、9時には空軍の特殊部隊がやって来たがすぐに撤退しキブツの門付近で待機していたことなどが分かった。
また国防軍は、1. 数十か所・1000人規模の越境攻撃を想定していなかった、2. テロリスト越境時の警報が迅速ではなかった、3. 負傷者の避難・治療の際に市民よりも兵士を優先した事例があった、など軍の過ちを認めている。しかし人質が集められていた住宅に戦車が砲撃し、結果的に13人が犠牲になった事例については、交渉を試みた上での最終手段として司令官の正しい判断がなされたとし、4発の威嚇砲撃は家に向けてではなく近くに向けたものであり、それによる死亡者は0で負傷者が2名出ただけ、そして13人のうちの大半はその後テロリストによって殺害された、と軍側に問題はなかったとの結論に。
ベエリ住民からは一定の評価をする声があるものの、「すでに知っている内容であり、時系列をまとめただけ」や「なぜ13時半まで大規模な部隊が来なかったのかという、最も重要な疑問に対して答えていない」などと、厳しい声が。(7/11) |