【国防軍がジェニンで空爆を行い、テロリスト2人を殺害】(Y,P,H)
国防軍は17日夜、ジェニン中心地を走行していた乗用車に対して空爆を行い、乗っていた4人を殺害した。国防軍とシンベトによるとそのうちの2人はハマスのジェニン支部のメンバーで、1週間前にヨルダン渓谷でユダヤ人男性1人が死亡した銃撃テロの企画・実行に関与していた。
声明には、最近逮捕されたテロリストの取り調べからの機密情報からの攻撃だと明言されており、声明内で情報元のテロリストが記載されるのは異例。また空爆後には、自治政府の警察がテロリストの武器を押収しに来たところ民衆と衝突し、実弾による発砲騒ぎにもなっている。(8/17-18)
【ハマスは米折衷案を拒否も交渉は続く見通し】(Y,P,H)
16日、2日間にわたるドーハでの休戦交渉が終了した。バイデン大統領は「休戦・人質解放は今までにないほど近い状況」とコメントを出しているが、ハマスはアメリカが提示する折衷案に対して、7月に自身が提示・認めた案しか受け入れないと拒否する姿勢を明らかにしている。
米・エジプト・カタールは会談の最後に発表した共同声明で、(5月にバイデン大統領が発表した案を基にした)アメリカによる新たな折衷案を提示したと認めており、今後はこれをベースにした会談が来週末前にもカイロで再開されるとしている。
しかしガザ・エジプト間とガザ地区を南北に分ける2つの回廊での、治安維持とイスラエル軍の駐屯の有無についての問題は残っており、現状では平行線のままになっている。(8/17)
【ネツァリーム回廊での爆発で予備役兵2人が死亡】(Y,P,H)
17日にガザ地区を南北に分断しているネツァリーム回廊で、テロリストが仕掛けた爆発装置による大規模な爆発があり、兵站部隊の司令官と兵士の予備役兵2人が死亡した。ガザ市民の北部帰還の際にはこのネツァリーム回廊を通ることになるため、休戦交渉でも争点(帰還する市民にテロリストが紛れ込まないように国防軍がどのように監視するかなど)になっているガザの要所での事例。
ここ半年以上は国防軍がほぼ完全な形で管理していたため、国防軍は発表の際「異例の出来事」と表している。34歳で司令官だったヨタム・ペレッドさんは、戦死した兵士の遺族を支援するNPOでのボランティア活動もしていたなか、自身が戦死することに。(8/18)
【テルアビブのシナゴグの近くでテロ未遂】(Y,P,H)
18日夜、テルアビブ南部のシナゴグの近くで大規模な爆発が発生した。その後の警察・シンベトの調査により、テロリストが爆発装置の入ったカバンを持っていたが目的地に着く前に誤って作動するという、爆破テロ未遂だったことが判明。テロリストは誤爆により死亡している。
シナゴグの監視カメラは約10m離れたベンチにテロリストがカバンを持って座り、立ち上がった瞬間に爆発が起こった様子を捉えており、祈祷を行っていたシナゴグ内に居た市民からは「サイレンが作動しないまま、ロケット弾が着弾したかと思った」との声が。
死亡したテロリストはナブルスに住むパレスチナ人であることが分かっており、他にも通り掛かった男性が負傷しているが、警察は「奇跡的に大規模なテロが起こらずに済んだ」と話している。翌19日、ハマス・イスラム聖戦の両団体が犯行声明を発表した。(8/18)
【特別作戦により6人の人質の遺体を収容】(Y,P,H)
国防軍は20日、ハンユニスで特別作戦を行い、ニル・オズなどのキブツのメンバーで、10/7に拉致されていた人質6人の遺体を収容したと発表した。35歳から79歳の男性6人で、1人を除いては1~2か月前に死亡が発表されていた。これを受けてハレビ参謀総長はガザ地区の部隊を訪問し、「生存している形での帰還を強く願ってはいたが、犠牲者としてでもイスラエルで埋葬できるようにすることは重要なプロセス」と発言。
死因については調査中だが、6人のうちの少なくとも複数に関しては3月に行われたハンユニスでの空爆が原因の窒息または有害なガスが発生しての死亡の可能性も考えられている。ネタニヤフ首相をはじめ複数の閣僚は「軍事的圧力のみが人質を解放」と主張しているが、「軍事的圧力(強硬な軍事作戦)には、生存していた人質を解放時に遺体にしてしまうリスクもあり、今回の結果はそれ」とする軍事評論家も。
拉致被害者家族の会は「遺体収容は重要なプロセスではあるが、残された109人の人質の即解放を可能にするのは交渉のみ」と、政府に対して休戦を締結するよう呼び掛けるコメントを発表している。22日には6人の遺体からは銃弾が発見されたことが公表されており、近くの(遺体を監視・守っていた)テロリストからは見つかっていないことから、銃殺の可能性も指摘されている。(8/20,22)
【イスラム国に関与した疑いでアラブ系イスラエル人医師が起訴】(Y,P)
シンベトと警察は22日、イスラム国(IS)に対して忠誠を誓い関与した疑いでベエルシェバのソロカ病院に勤務する30代のアラブ人を起訴したと発表した。
この男性医師はナザレ出身のアラブ系イスラエル人で、2014年からISによる処刑・斬首の様子や切断された遺体などのビデオを視聴しており、スマホ内からは「爆発物」や「毒物準備」という名前のフォルダがあり、テロ攻撃の手段についてのファイルが見つかっている。起訴状には10/7の直後には友人に虐殺を喜ぶメッセージを送り、勤務先の病院で負傷兵が治療を受けている際、友人からの兵士たちの死を願うメッセージに対し「いいね」をするなどの事例も分かっている。(8/22) |