ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【国防軍がジェニンで空爆を行い、テロリスト2人を殺害】(Y,P,H)
国防軍は17日夜、ジェニン中心地を走行していた乗用車に対して空爆を行い、乗っていた4人を殺害した。国防軍とシンベトによるとそのうちの2人はハマスのジェニン支部のメンバーで、1週間前にヨルダン渓谷でユダヤ人男性1人が死亡した銃撃テロの企画・実行に関与していた。
声明には、最近逮捕されたテロリストの取り調べからの機密情報からの攻撃だと明言されており、声明内で情報元のテロリストが記載されるのは異例。また空爆後には、自治政府の警察がテロリストの武器を押収しに来たところ民衆と衝突し、実弾による発砲騒ぎにもなっている。(8/17-18)

 

【ハマスは米折衷案を拒否も交渉は続く見通し】(Y,P,H)
16日、2日間にわたるドーハでの休戦交渉が終了した。バイデン大統領は「休戦・人質解放は今までにないほど近い状況」とコメントを出しているが、ハマスはアメリカが提示する折衷案に対して、7月に自身が提示・認めた案しか受け入れないと拒否する姿勢を明らかにしている。
米・エジプト・カタールは会談の最後に発表した共同声明で、(5月にバイデン大統領が発表した案を基にした)アメリカによる新たな折衷案を提示したと認めており、今後はこれをベースにした会談が来週末前にもカイロで再開されるとしている。
しかしガザ・エジプト間とガザ地区を南北に分ける2つの回廊での、治安維持とイスラエル軍の駐屯の有無についての問題は残っており、現状では平行線のままになっている。(8/17)

 

【ネツァリーム回廊での爆発で予備役兵2人が死亡】(Y,P,H)
17日にガザ地区を南北に分断しているネツァリーム回廊で、テロリストが仕掛けた爆発装置による大規模な爆発があり、兵站部隊の司令官と兵士の予備役兵2人が死亡した。ガザ市民の北部帰還の際にはこのネツァリーム回廊を通ることになるため、休戦交渉でも争点(帰還する市民にテロリストが紛れ込まないように国防軍がどのように監視するかなど)になっているガザの要所での事例。
ここ半年以上は国防軍がほぼ完全な形で管理していたため、国防軍は発表の際「異例の出来事」と表している。34歳で司令官だったヨタム・ペレッドさんは、戦死した兵士の遺族を支援するNPOでのボランティア活動もしていたなか、自身が戦死することに。(8/18)

 

【テルアビブのシナゴグの近くでテロ未遂】(Y,P,H)
18日夜、テルアビブ南部のシナゴグの近くで大規模な爆発が発生した。その後の警察・シンベトの調査により、テロリストが爆発装置の入ったカバンを持っていたが目的地に着く前に誤って作動するという、爆破テロ未遂だったことが判明。テロリストは誤爆により死亡している。
シナゴグの監視カメラは約10m離れたベンチにテロリストがカバンを持って座り、立ち上がった瞬間に爆発が起こった様子を捉えており、祈祷を行っていたシナゴグ内に居た市民からは「サイレンが作動しないまま、ロケット弾が着弾したかと思った」との声が。
死亡したテロリストはナブルスに住むパレスチナ人であることが分かっており、他にも通り掛かった男性が負傷しているが、警察は「奇跡的に大規模なテロが起こらずに済んだ」と話している。翌19日、ハマス・イスラム聖戦の両団体が犯行声明を発表した。(8/18)

 

【特別作戦により6人の人質の遺体を収容】(Y,P,H)
国防軍は20日、ハンユニスで特別作戦を行い、ニル・オズなどのキブツのメンバーで、10/7に拉致されていた人質6人の遺体を収容したと発表した。35歳から79歳の男性6人で、1人を除いては1~2か月前に死亡が発表されていた。これを受けてハレビ参謀総長はガザ地区の部隊を訪問し、「生存している形での帰還を強く願ってはいたが、犠牲者としてでもイスラエルで埋葬できるようにすることは重要なプロセス」と発言。
死因については調査中だが、6人のうちの少なくとも複数に関しては3月に行われたハンユニスでの空爆が原因の窒息または有害なガスが発生しての死亡の可能性も考えられている。ネタニヤフ首相をはじめ複数の閣僚は「軍事的圧力のみが人質を解放」と主張しているが、「軍事的圧力(強硬な軍事作戦)には、生存していた人質を解放時に遺体にしてしまうリスクもあり、今回の結果はそれ」とする軍事評論家も。
拉致被害者家族の会は「遺体収容は重要なプロセスではあるが、残された109人の人質の即解放を可能にするのは交渉のみ」と、政府に対して休戦を締結するよう呼び掛けるコメントを発表している。22日には6人の遺体からは銃弾が発見されたことが公表されており、近くの(遺体を監視・守っていた)テロリストからは見つかっていないことから、銃殺の可能性も指摘されている。(8/20,22)

 

【イスラム国に関与した疑いでアラブ系イスラエル人医師が起訴】(Y,P)
シンベトと警察は22日、イスラム国(IS)に対して忠誠を誓い関与した疑いでベエルシェバのソロカ病院に勤務する30代のアラブ人を起訴したと発表した。
この男性医師はナザレ出身のアラブ系イスラエル人で、2014年からISによる処刑・斬首の様子や切断された遺体などのビデオを視聴しており、スマホ内からは「爆発物」や「毒物準備」という名前のフォルダがあり、テロ攻撃の手段についてのファイルが見つかっている。起訴状には10/7の直後には友人に虐殺を喜ぶメッセージを送り、勤務先の病院で負傷兵が治療を受けている際、友人からの兵士たちの死を願うメッセージに対し「いいね」をするなどの事例も分かっている。(8/22)

内政

【検事総長ら専門家たちが首相に調査委員会設置を進言】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相は検事総長など司法や政治専門家からの進言を受け、10月7日の惨劇に関する自身を含めた政府の責任を問う委員会を近く設立する予定。ミアラ検事総長は首相に対し、首相やガラント防衛相を人道に反する罪に問うICCの逮捕状が発給される前に、独立した調査委員会を設置し調査することで逮捕状発給を免れる可能性があると説明。
しかし必ずしも発給を阻止できる保証はないため、ネタニヤフ氏は最高裁主体の国家調査委員会ではなく、(自身の影響が大きい)政府内での委員会設置を模索しているようとメディアは報道している。
現在はICCのカーン主任検察官が5月に発表した逮捕状請求に対し、60の国・団体が意見書を提出しカーン氏がそれに回答している。逮捕状が発給されると言われている来月中頃までに、イスラエルは何かしらの手を打つ必要がある。(8/16)

 

【先週の極右による暴動を受け、軍・警察がお互いを批判】(Y)
先週、過激派入植者がパレスチナ自治区のジット村で暴動を起こし、パレスチナ人の若者1人が死亡した事件の調査が続いているが、軍と警察の間で責任転嫁が起きている。
軍など防衛筋は「暴動や衝突の場に警察が急行しない事が多々あり、先週の暴動では逮捕者が1人も居ないなど、10/7以降は西岸地区で警察が機能していない」と、警察側を批判する声が上がっていることを受け、警察側が反応。
「警察は通報後できる限り早く現場に急行した。同地域の主権者である国防軍は発生時から現場に居たが、暴動者の村への侵入を阻止せず、逮捕も行わなかった」と、国防軍を非難している。防衛関係者からの事前情報があったという主張にも、警察側は全面否定。
現地メディアはこの暴動を歴史的なユダヤ人迫害を意味する『ポグロム』という言葉を使うなど深刻に受け止めており、22日には入植者4人が暴動に参加した容疑でようやく逮捕されている。(8/19,22)

国際情勢

【ブリンケン国務長官がイスラエル訪問】(Y,P,H)
米ブリンケン国務長官が10/7以降9度目となるイスラエル訪問を行い、ネタニヤフ首相やガラント防衛相、ヘルツォグ大統領と会談を行った。特にネタニヤフ首相との2者会談は約3時間にも及び、ネタニヤフ氏は先週の交渉会談で米が提示した折衷案を受け入れる姿勢を示し、「良い雰囲気だった」と首相府はコメント。
訪問最後の記者会見でブリンケン氏は、ネタニヤフ氏が米国案を受け入れたことを明言し、「ハマスも受け入れなければならない」と述べた。しかし米紙によると、ハマスのシンワルはこの案をイスラエルが作戦を継続するための『ブラフ』だと考えており、受け入れない姿勢を示している。
イスラエルも参加したカイロでの交渉会談は進展のないままこの日終わったが、今週末にも再びカイロかドーハで会談が行われる予定。またその前後には仲裁国であるカタール首相がイランを訪問し、イランとその代理勢力に対して自制を求める予定になっている。(8/19)

 

【スコットランド、イスラエルの外交官との接触を一時停止】(Y,H)
スコットランドは20日、ガザ停戦に向けての「本当の意味での進展」があるまではイスラエルの外交官との接触を停止すると決定した。ロバートソン対外関係大臣と駐英イスラエル副大使との会談後、イスラエル側の副大使が写真付きで会談の様子を発信したところ国内で論争が勃発していた。
ロバートソン氏は「即刻休戦というスコットランド政府の立場を明確に説明する機会であり、それを行っただけ」と弁明すると同時に、休戦のみについての話し合いを望んでいたが、議題が多岐にわたりそれが叶わなかったことについての遺憾のコメントを発表している。
この決定を受けて駐英イスラエル大使館は「スコットランドを含めた英国内で、人質解放とテロとの戦いのために働き続ける」との声明を出している。(8/20)

 

【国連がテロ被害者追悼国際デーのイベントも…10/7には言及せず】(Y,P)
国連は21日、テロ被害者想起と追悼の国際デーの記念式典を行った。テロの犠牲となった平和のための活動家・教育者が取り上げられたイベントだったが、2023年最大のテロにもかかわらず10/7のハマスによる攻撃・虐殺や、それによるイスラエル人犠牲者に対する言及は一切なかった。取り上げられたのは、9.11や、インドネシアでのテロによる被害者。
これを受けて、今月任期を終えたイスラエルのエルダン前国連大使と新しく就任したダノン大使は、国連を批判。「国連はニュージーランドで犠牲になったパレスチナ人の母親を探し出すことは出来たが、今年起きた最も残虐な私たちに対するテロでの犠牲者は、1人として見つけ出すことは出来なかったようだ」と、ダノン大使は皮肉めいたコメントも。(8/21)

 

【米バイデン大統領が、ネタニヤフ首相と会談】(Y,P,H)
21日に米バイデン大統領はネタニヤフ首相と電話会談を行い、休戦案締結に向けた話し合いを行った。その中でバイデン氏はネタニヤフ氏に対し、カイロでの交渉会談を前に締結のための障害となっているトピックに関し、柔軟になるよう強く働き掛けた。
会談の中心的議題はやはりガザ・エジプト境界のフィラデルフィ回廊に関してで、ネタニヤフ氏は同回廊での駐屯をできるだけ維持することにこだわっており、戦力の一部を撤退させた休戦期間の同回廊の戦力図をイスラエルは提示しているが、エジプトは拒否。米国も非現実的とイスラエルに対して再考を求めているため、会談の雰囲気は緊迫したものだったよう。
ネタニヤフ氏とは対照的に、交渉や防衛関係者は同回廊の駐屯への固執よりも休戦案締結を優先すべきとの姿勢を見せており、同じ日に同回廊を視察したガラント防衛相は「ハマスのラファ師団は解体された。現在は北(ヒズボラ戦線)に目を向けるべき」と語っている。(8/21)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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