【ヒズボラ、空軍基地を含む北部を攻撃】(Y,P)
ヒズボラは23日、対戦車ミサイル計3発を北部メロン山にある空軍管制基地に向けて発射した。ヒズボラは犯行声明を行って攻撃成功を発表しレバノンメディアも基地内の着弾を報じているが、国防軍は2発に関しては迎撃、1発は着弾したが基地ではなく山中だったとしている。その日の夜にヒズボラはさらに北部の広い範囲に向けて約60発のロケット弾攻撃を行い、北部の町ツファット郊外にある国内最大の森では着弾による火災が発生している。先月末にイスラエルがヒズボラ軍部トップとハマス最高指導者ハニヤの2人を殺害し、イラン・ヒズボラは報復攻撃を明言。この日の北部攻撃もその序章と考えられており、国防軍は警戒レベルを上げている。
(8/23)
【ハマス、カイロでの休戦交渉に交渉団を派遣も…】(Y,P,H)
アルジャジーラは24日、ハマスがカイロで行われている休戦交渉に対し交渉団を派遣する予定だと報道した。ハマスは仲介国エジプトからフィラデルフィ回廊やラファ検問所に関する、イスラエルからの新しい修正案を受け取ることになるもよう。ハマスは休戦案の変更を全て拒絶する姿勢から、先週末に(ハマス政治部がある)ドーハで行われていた休戦交渉には代表を送っていなかったため、方針変更に。しかし派遣された代表団には一切の交渉権が与えられておらず、新案を受け取った後すぐドーハへ戻り政治部の指示を仰ぐことになることから、現地記者からは「Noと拒絶するだけではない姿を見せるだけの派遣で、交渉を進める意欲からのものではない」との指摘も。ハマスを交渉のテーブルにつけるための新案には、ガザで負傷したハマス高官たちが海外で治療を受けられるという条項もある。
(8/24)
【空軍がヒズボラへ先制攻撃を実施、ヒズボラも北部へ攻撃】(Y,P,H)
1週間前から諜報部は、ヒズボラによる(軍部トップ殺害への)大規模な報復攻撃の計画に関して把握していたが、25日または翌26日朝には攻撃が実施されるという正確な情報を得たため空軍は25日の午前5時前、戦闘機100機によるヒズボラの持つミサイル発射施設など数百の軍事拠点への攻撃を実施、数千発の武器を破壊した。ヒズボラは8200諜報部隊の本拠地であり、軍諜報部の中枢部であるテルアビブ北の基地への攻撃をする予定だったこともあり、事前・阻止攻撃を行ったと国防軍は直後に発表。
するとその数分後の午前5時から7時半までにかけて、ロケット弾・無人攻撃機・ミサイルなど計230発がレバノンからイスラエル北部に飛来した(大半はアイアンドームが迎撃)。
また国防軍の事前攻撃と緊急事態に関する発表を受けて、ヒズボラ攻撃の標的となっていたテルアビブをはじめ中央部は午前中は閑散とし、ベングリオン空港も一時閉鎖され約50便が欠航するなどと、半日近くに渡って国中が緊迫した状況となった。その後ヒズボラ指導者ナスララは、声明を発表。軍部トップとハマスのハニヤ殺害から報復が1月近くも遅れたことに関しては、ガザ休戦のための機会を与えたかったこと、そしてイラン率いる抵抗の枢軸と同時攻撃について協議していたことを挙げた。またイスラエルが主張する先制攻撃は大失敗に終わった一方、ヒズボラの攻撃は驚くべき成功で(事実ではないが)テルアビブ北の基地にも着弾したと成果を強調し、「もし結果が満足いくものでなければ、再び攻撃する権利を有している」と述べた。この言葉や「レバノンは現状で一息つける」との発言から、現地記者は「ヒズボラとしては報復攻撃は終了したとの認識では」と報じ、イランがイスラエルへの直接攻撃を躊躇ったためヒズボラが単独攻撃に出たと、枢軸内で足並みが揃っていないことを指摘している。
(8/25)
【ガザのシンワル、女装をして町の中を移動か】(Y,P)
地下トンネル内を家族と共に移動している様子を捉えた映像を、今年2月に国防軍が発表して以降消息についての有力な情報がないハマス指導者シンワルについて25日、イスラエルの諜報関係者が英紙の取材に応じて新しい情報を語っている。
それによるとシンワルは、イスラエルが自身の位置情報を掴むことへの恐れから、地下トンネル内では36時間を超える滞在・潜伏は避けているようで、女性に扮してガザの街中を歩くこともあるよう。場所を変えながら地上と地下トンネルを頻繁に行き来し、ふとしたことで自身の居場所が分からないようにしている。10日ほど前にはシンワル捕縛のための作戦が行われており、「コーヒーがまだ温かく、数分で彼を捕まえるところだった」と空挺師団長が語っていた。
(8/26)
【ハマスがイスラエル案を拒否も、交渉は継続される見通し】(Y,P)
ハマス高官が25日に自身が運営するテレビ局に出演、「最後に賛同した7月2日の案からのいかなる変更も、いかなる新条項も受け入れない」と発言、イスラエルが新しく提案しエジプトがハマスに対して提示した休戦案を拒否する姿勢を示した。
やはり問題はガザ・エジプト境界のフィラデルフィ回廊に関してで、イスラエル軍駐屯の有無について両者間では大きな隔たりが。イスラエルは駐屯する場所の数や兵力を削減するといった妥協案を提出したが、ハマスはイスラエル軍の全面撤退を強く要求している。
アメリカをはじめ仲介国は現在、釈放されるテロリストとそれに対するイスラエル側の拒否権の有無といった、両者が歩み寄る可能性のある問題についての話し合いに注力し、両者間の一致という成功を重ねることで、より大きい問題などについての交渉のはずみをつけたいもよう。またこれには、休戦交渉の前進を見せることで、イランのイスラエルへの報復攻撃とそれによる地域戦争を防ぐためといった理由もあると現地メディア。
(8/26)
【アラブ系イスラエル人の人質が、ガザからから救出】(Y,P,H)
27日ガザ地区南部の地下トンネル内で作戦を実行していた、海軍の特殊部隊とヤハロム部隊(特殊工兵部隊)にシンベトから人質が居る可能性についての情報があり、急きょ救出作戦が敢行されファラハン・アル=カディ(52)さんが救出された。326日ぶりの帰還となったアル=カディさんは、遊牧アラブ民族ベドウィン系のイスラエル市民。キブツでガードとして働いていたところ10/7の攻撃に遭い、テロリストたちにより拉致されていた。兵士たちが駆け付けたところアル=カディさんは1人で、国防軍の接近を知ったテロリストたちは逃亡したために銃撃戦なども起こらずに救出されることに。同日午後には家族や友人たちが南部の病院に駆けつけ再会し、首相・大統領も祝電を行い、アル=カディさんは「イスラエル国家と軍に感謝したい」と話した。家族に対しては約1年間の地下トンネルでの惨状を話しており、少量のパンが渡されていたが毎日ではなかったと飢餓の体験についても語っている。生存された状態で救出された人質はこれで8人目だが、地下トンネルからの救出は初。地下トンネルからの救出はハマスにとっても屈辱的な事例であるため、ガザ内では「アラブ系のムスリムということで、ハマスが自発的に解放した」とのフェイクニュースも。
(8/27)
【拉致されていた兵士の遺体を収容】(Y,P,H)
国防軍は28日、10/7に戦死し遺体としてガザに拉致されていた男性兵士1人の遺体を、ガザで収容したと発表した。シンベトや逮捕されたテロリストたちからの情報で、イスラエル兵が南部の地中に埋められていることが判明し、ナハル旅団を中心とした救出作戦が行われての遺体での帰還となった。この兵士の死亡について国防軍は半年前に状態を把握しており、遺族にも伝えられていた。遺族は名前の非公開を望んだため、身元はメディアなどでも報じられていない。これでガザに残っている人質の数は107人となり、予測ではそのうちの50人ほどがまだ生存しているとされている。
(8/28)
【西岸地区北部と西部で、国防軍が大規模な作戦を実施】(Y,P,H)
28日夜に国防軍は、イスラエル中央部に隣接する西岸地区西部のトゥルカルムとジェニンをはじめとする北部で、大規模な軍事作戦を開始した。先週テルアビブで起こったテロ未遂など、西岸地区からイスラエルへ侵入してのテロという事例の増加が予想されているため、事前にテロ組織の拠点を解体することを目的としたこの対テロ作戦。パレスチナメディアは12人のテロリストの死亡を報道しており、そのうちの8人は空爆によるもの。作戦が行われている難民キャンプのモスクからはテロ行為のための司令部と、すぐにでも設置・発動できる爆発装置が発見されている。作戦開始時に国防軍は、テロリストが病院内に逃亡・潜伏し民用物のテロ拠点化を防ぐため病院を包囲し、救急車をはじめ病院への出入りを監視しているが、病院内での作戦・攻撃に関しては否定している。
(8/28)
【ハマス、パレスチナ内の世論調査を捏造】(Y,P,H)
国防軍は29日、パレスチナ政策調査研究センター(PSR)が行った世論調査について自身に対する幅広い支持があるように見せるため、調査結果の捏造をハマスが行っていたと発表した。戦争中の支持率について実際には32%だったハマスへの支持率が62%に、シンワルへの支持率は22%だったが発表時には52%と大きく増えていた。また戦争における勝者は誰になるかという質問に関しても、ハマスという回答は実際には30%だったが56%になっている一方、イスラエルに関しては51%が18%となって発表されるなど、どの質問でもハマスにとって都合の良いものに。内外に対し高い支持率を誇示ため、ハマスが行ったものだと考えられている。国防軍は発表の際、PSRが関与した証拠はなくハマスによる捏造であると強調してはいるものの、パレスチナ内では最も有名で信用されている世論調査機関での不正は、ハマス以上に同機関の信用を落とすのではと現地メディア。
(8/29) |