【今月15日にも休戦交渉再開か】(Y,P,H)
アメリカ・エジプト・カタールの仲介国首脳が8日、15日に休戦交渉を再開する旨を伝えイスラエルとハマスに向けて参加を要請した。3カ国の共同声明によると交渉の場は、ドーハかカイロのどちらかになる予定。
声明内には、「枠組みに関しては一致があり、履行における詳細な部分が残るのみ。両者の期待に合った最終的な解決案を提示する用意がある」とあり、イスラエル側はこの事実を認め交渉団を派遣する意向を示している。ハマスは、姿勢を明らかにはしていない。
米の関係者によると、イスラエル・ハマスの間で隔たりがあるのは(フィラデルフィ回廊や北部への帰還など)4・5点についてとのこと。(8/9)
【国防軍、ハマスの南レバノン司令官を殺害】(Y,P,H)
国防軍は9日、レバノン南部のサイダ(シドン)で乗用車に対して空爆を行い、車内にいたレバノンのハマス司令官サメル・マフムードを殺害した。軍報道官によるとサメルはレバノン内でイスラエル攻撃のためテロリストを訓練し、イスラエルの市民を標的とした様々なテロやミサイル攻撃を主導しており、シンベトと軍の合同作戦として攻撃が行われた。
西岸地区や国内での諜報活動を任務とするシンベトが、レバノンでの軍事作戦に表立って関わるのは約20年ぶりで、シンベトが活動方針を変えたのではと現地メディアの軍事評論家。(8/9-10)
【ガザ学校への攻撃、国防軍はテロリスト31人の死亡を公表】(Y,P,H)
国防軍は10日未明にガザ北部の学校に対して空爆を行い、パレスチナ自治政府の通信社WAFAは100人以上が死亡と報じた。
イスラエル側は同日夜に標的となった学校はテロの拠点として使用されており、19人のハマス・イスラム聖戦のテロリストたちが死亡したと顔写真付きで発表。空爆前後の学校を写した画像を公表し大規模な倒壊がない様子を示し、「3発の精密爆弾による空爆であって、ガザ側の発表のような被害は起こり得ない」との声明を出している。また一般市民への被害を最小限にするための手段も攻撃前に講じられたとしているが、パレスチナ側の報道から国際的な批判が上がっている。
12日、国防軍はさらに12人のハマス・イスラム聖戦のテロリストの死亡が確認されたと発表している。(8/10, 12)
【ヨルダン渓谷で銃撃テロ、1人が死亡し1人が負傷】(Y,P,H)
ヨルダン渓谷を南北に通る国道で11日銃撃テロが発生し、20代のユダヤ人男性1人が死亡し30代のアラブ人男性が負傷した。
車に乗った2人のテロリストが、イスラエル軍が使用しているライフル銃でイスラエルナンバーの車に対して銃を乱射。犠牲となった男性が乗っていた自家用車は数メートルの距離だったため、数十の銃弾を浴びた。負傷した男性の車は200mほど離れており、銃弾ではなく飛んできた破片によって怪我を負ったもよう。テロリストたちはイスラエルナンバーの盗難車に乗っており、テロを犯した幹線道路を使い現場から逃走している。
直後の調査からテロリストたちは20分ほど前に現場に到着し、その付近をうろうろと車で走っていたことが分かっており、標的探しや逃走経路の確認をしていたのではとされている。(8/11)
【過激入植者が3歳を含む女性たちに対し、脅迫・暴行行為】(Y,P,H)
パレスチナ自治区のナブルスに向かおうとしていた、イスラエル南部に住むベドウィンの女性たちが途中で道を間違え、近くの違法入植地に。すると住人である極右入植者たちからの暴行行為を受けるという事件が、9日に発生した。
19歳・29歳の男性2人が女性たちに対する投石や持っていたライフル銃を向けての脅迫(なかには3歳の女子も)、そして車への放火などの容疑で逮捕されている。逮捕された2人のうち29歳男性は、過去にも同様の犯罪歴が多くあるようで、シンベトの取り調べを受けて行政拘禁処分になる見込み。
これを受けて極右議員からは「イスラエルナンバーの車で走っておらず、スパイ行為をしていた可能性がある」などといったフェイクニュースが拡散されている。(8/10-12)
【総額200億ドル以上の、アメリカからの武器売却】(Y,P,H)
米国防総省は13日、総額200億ドルを超えるイスラエルに対する武器売却について承認した。この取引のなかにはF-15戦闘機50機や中距離空対空ミサイル30発、戦車の砲弾3.2万発などが含まれているが、戦闘機がイスラエルに配備されるのは2029年、戦車砲弾でも27年になることから、今回の戦争に対するものではなくより長期的スパンで見た軍事支援のよう。
また発表時にアメリカは防衛関係者のトップたちを中東各地に派遣し、イランの大規模な報復攻撃を阻止するために働き掛けていることから、この発表についてもそういった抑止的な目的があるとイスラエル紙。しかし議会での反対により売却の一部が変更・中止される可能性もあり、議会での最終的な承認には数か月から年単位が掛かるとの予想。(8/14)
【ドーハで『ラストチャンス』の交渉開始、翌日も交渉継続】(Y,P,H)
15日の午後にドーハで、米CIA長官にモサド・シンベト長官、カタール首相とエジプト諜報相による、人質解放・休戦交渉が再開された。イランとの緊迫化やそれによる地域戦争の恐れもあるため、現地メディアでは『ラストチャンス・サミット』と評された今回の交渉。
翌16日またはそれ以降も、延長して交渉が行われる可能性が高いもよう。ハマスは事前通達したように不参加、参加のためには自らが7月に提示した休戦案をイスラエルが全面的に受け入れることを条件とするなど、強硬な姿勢を見せている。
また両者間では、恒久的休戦の位置付けや2つの回廊(フィラデルフィ・ネツァリーム)についての問題、生存する人質の解放数や、イスラエルが釈放する受刑者の決め方(イスラエルがハマスの要求に拒否権を持てるか否か)など、前回交渉時の争点についての議論がされたもようで、大きなブレークスルーはない。
13日の報道にあるように、この交渉はイランの報復攻撃にも大きな影響を与えると考えられ、米関係者は「イランは確実に攻撃を行うだろうが、このサミットの結果によって標的・規模が変わって来るだろう」とコメント。またカタール首相は会談後イラン指導層に電話をし、「発展がみられるため、攻撃をするかを熟考するよう」呼び掛けた。(8/15)
【暴徒化した入植者たちがパレスチナの村で暴動、1人を射殺】(Y,P,H)
15日に極右・過激派の入植者たち数十人がパレスチナ自治区のジット村に侵入し暴徒化、投石や火炎瓶を投げ付け、住民の車や住宅に対して放火するなどした。国防軍が急行して鎮圧し1人が逮捕されたが、自治区保健省によるとパレスチナ人の若者1人が入植者による発砲を受け死亡、1人が重傷した。
国防軍はシンベト・警察とともに捜査を開始し、ネタニヤフ首相は事態を深刻に受け「これら全ての実行・関与者たちは逮捕され、裁きを受けることになる」とコメント、ガラント防衛相も批判している。極右のベングビル国家治安相は暴徒化した入植者たちを批判したが、同時に「国防軍はジット村のテロリストたちに対処する必要がある」と、軍が遠因であるとも取れる声明を出している。(8/15-16) |