ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【今月15日にも休戦交渉再開か】(Y,P,H)
アメリカ・エジプト・カタールの仲介国首脳が8日、15日に休戦交渉を再開する旨を伝えイスラエルとハマスに向けて参加を要請した。3カ国の共同声明によると交渉の場は、ドーハかカイロのどちらかになる予定。
声明内には、「枠組みに関しては一致があり、履行における詳細な部分が残るのみ。両者の期待に合った最終的な解決案を提示する用意がある」とあり、イスラエル側はこの事実を認め交渉団を派遣する意向を示している。ハマスは、姿勢を明らかにはしていない。
米の関係者によると、イスラエル・ハマスの間で隔たりがあるのは(フィラデルフィ回廊や北部への帰還など)4・5点についてとのこと。(8/9)

 

【国防軍、ハマスの南レバノン司令官を殺害】(Y,P,H)
国防軍は9日、レバノン南部のサイダ(シドン)で乗用車に対して空爆を行い、車内にいたレバノンのハマス司令官サメル・マフムードを殺害した。軍報道官によるとサメルはレバノン内でイスラエル攻撃のためテロリストを訓練し、イスラエルの市民を標的とした様々なテロやミサイル攻撃を主導しており、シンベトと軍の合同作戦として攻撃が行われた。
西岸地区や国内での諜報活動を任務とするシンベトが、レバノンでの軍事作戦に表立って関わるのは約20年ぶりで、シンベトが活動方針を変えたのではと現地メディアの軍事評論家。(8/9-10)

 

【ガザ学校への攻撃、国防軍はテロリスト31人の死亡を公表】(Y,P,H)
国防軍は10日未明にガザ北部の学校に対して空爆を行い、パレスチナ自治政府の通信社WAFAは100人以上が死亡と報じた。
イスラエル側は同日夜に標的となった学校はテロの拠点として使用されており、19人のハマス・イスラム聖戦のテロリストたちが死亡したと顔写真付きで発表。空爆前後の学校を写した画像を公表し大規模な倒壊がない様子を示し、「3発の精密爆弾による空爆であって、ガザ側の発表のような被害は起こり得ない」との声明を出している。また一般市民への被害を最小限にするための手段も攻撃前に講じられたとしているが、パレスチナ側の報道から国際的な批判が上がっている。
12日、国防軍はさらに12人のハマス・イスラム聖戦のテロリストの死亡が確認されたと発表している。(8/10, 12)

 

【ヨルダン渓谷で銃撃テロ、1人が死亡し1人が負傷】(Y,P,H)
ヨルダン渓谷を南北に通る国道で11日銃撃テロが発生し、20代のユダヤ人男性1人が死亡し30代のアラブ人男性が負傷した。
車に乗った2人のテロリストが、イスラエル軍が使用しているライフル銃でイスラエルナンバーの車に対して銃を乱射。犠牲となった男性が乗っていた自家用車は数メートルの距離だったため、数十の銃弾を浴びた。負傷した男性の車は200mほど離れており、銃弾ではなく飛んできた破片によって怪我を負ったもよう。テロリストたちはイスラエルナンバーの盗難車に乗っており、テロを犯した幹線道路を使い現場から逃走している。
直後の調査からテロリストたちは20分ほど前に現場に到着し、その付近をうろうろと車で走っていたことが分かっており、標的探しや逃走経路の確認をしていたのではとされている。(8/11)

 

【過激入植者が3歳を含む女性たちに対し、脅迫・暴行行為】(Y,P,H)
パレスチナ自治区のナブルスに向かおうとしていた、イスラエル南部に住むベドウィンの女性たちが途中で道を間違え、近くの違法入植地に。すると住人である極右入植者たちからの暴行行為を受けるという事件が、9日に発生した。
19歳・29歳の男性2人が女性たちに対する投石や持っていたライフル銃を向けての脅迫(なかには3歳の女子も)、そして車への放火などの容疑で逮捕されている。逮捕された2人のうち29歳男性は、過去にも同様の犯罪歴が多くあるようで、シンベトの取り調べを受けて行政拘禁処分になる見込み。
これを受けて極右議員からは「イスラエルナンバーの車で走っておらず、スパイ行為をしていた可能性がある」などといったフェイクニュースが拡散されている。(8/10-12)

 

【総額200億ドル以上の、アメリカからの武器売却】(Y,P,H)
米国防総省は13日、総額200億ドルを超えるイスラエルに対する武器売却について承認した。この取引のなかにはF-15戦闘機50機や中距離空対空ミサイル30発、戦車の砲弾3.2万発などが含まれているが、戦闘機がイスラエルに配備されるのは2029年、戦車砲弾でも27年になることから、今回の戦争に対するものではなくより長期的スパンで見た軍事支援のよう。
また発表時にアメリカは防衛関係者のトップたちを中東各地に派遣し、イランの大規模な報復攻撃を阻止するために働き掛けていることから、この発表についてもそういった抑止的な目的があるとイスラエル紙。しかし議会での反対により売却の一部が変更・中止される可能性もあり、議会での最終的な承認には数か月から年単位が掛かるとの予想。(8/14)

 

【ドーハで『ラストチャンス』の交渉開始、翌日も交渉継続】(Y,P,H)
15日の午後にドーハで、米CIA長官にモサド・シンベト長官、カタール首相とエジプト諜報相による、人質解放・休戦交渉が再開された。イランとの緊迫化やそれによる地域戦争の恐れもあるため、現地メディアでは『ラストチャンス・サミット』と評された今回の交渉。
翌16日またはそれ以降も、延長して交渉が行われる可能性が高いもよう。ハマスは事前通達したように不参加、参加のためには自らが7月に提示した休戦案をイスラエルが全面的に受け入れることを条件とするなど、強硬な姿勢を見せている。
また両者間では、恒久的休戦の位置付けや2つの回廊(フィラデルフィ・ネツァリーム)についての問題、生存する人質の解放数や、イスラエルが釈放する受刑者の決め方(イスラエルがハマスの要求に拒否権を持てるか否か)など、前回交渉時の争点についての議論がされたもようで、大きなブレークスルーはない。
13日の報道にあるように、この交渉はイランの報復攻撃にも大きな影響を与えると考えられ、米関係者は「イランは確実に攻撃を行うだろうが、このサミットの結果によって標的・規模が変わって来るだろう」とコメント。またカタール首相は会談後イラン指導層に電話をし、「発展がみられるため、攻撃をするかを熟考するよう」呼び掛けた。(8/15)

 

【暴徒化した入植者たちがパレスチナの村で暴動、1人を射殺】(Y,P,H)
15日に極右・過激派の入植者たち数十人がパレスチナ自治区のジット村に侵入し暴徒化、投石や火炎瓶を投げ付け、住民の車や住宅に対して放火するなどした。国防軍が急行して鎮圧し1人が逮捕されたが、自治区保健省によるとパレスチナ人の若者1人が入植者による発砲を受け死亡、1人が重傷した。
国防軍はシンベト・警察とともに捜査を開始し、ネタニヤフ首相は事態を深刻に受け「これら全ての実行・関与者たちは逮捕され、裁きを受けることになる」とコメント、ガラント防衛相も批判している。極右のベングビル国家治安相は暴徒化した入植者たちを批判したが、同時に「国防軍はジット村のテロリストたちに対処する必要がある」と、軍が遠因であるとも取れる声明を出している。(8/15-16)

内政

【イラン報復の緊張が高まるなか、首相と防衛相が非難の応酬】(Y,P,H)
12日にガラント防衛相は「交渉による安定化か戦争に繋がる緊迫化か―その分かれ道に私たちはいる」と発言、自身や防衛関係者は前者を支持し、人質解放交渉が進んでいない理由はイスラエル(=ネタニヤフ首相)であると語った。また議論の中ではハマスへの絶対的勝利を叫び続ける首相を、「口だけの英雄によるばかげた話」と揶揄。
それに対する与党議員から批判の声には、「メディアや政治は不得意だが、防衛は少しは理解している」と反応した。この公の場でのネタニヤフ批判を受けて首相は、ガラント氏が『反イスラエル的ナラティブ』を採用し人質解放に害を及ぼしているとし、「絶対的勝利のみが唯一の道」との主張を繰り返し強調した。
現状では(去年3月の更迭発表時のような)抗議行動が再び起こる恐れや、アメリカからの目もあり更迭されることはないが、「ヒズボラとの緊迫化が進めば、自身に賛同する他の人物を防衛相にする可能性も」と首相関係者。(8/12)

 

【ベングビル国家治安相が神殿の丘へ。ネタニヤフは火消しも各国から非難】(Y,P,H)
ベングビル国家治安相は13日朝、約1500人のユダヤ人正統派と共に神殿の丘にのぼった。現状維持協定を破棄しユダヤ人の礼拝・宗教行為を認めるべき、と日頃から発言している極右閣僚との神殿の丘訪問ということで、通常時は禁止されているヘブライ語で賛美する様子なども。そして約50人は、地面に突っ伏して祈るなどといった行為を行った。
その後に約50人が警察による取り調べを受けたが、訪問時に警察が止めるなど介入する様子は見られず、ベングビル氏は「私たちの政策は、(ユダヤ人の)祈祷を認めることだ」と語った。その直後に首相府は、「政策を決めるのは政府とそれを率いる首相であり、閣僚1人による個人的政策などは存在しない」と、批判するコメントを発表。
しかし欧米各国やエジプト・サウジなどのアラブ諸国も、休戦交渉の重要なタイミングでのこの行為を非難。特に神殿の丘の宗教的な権威を持つヨルダンは、イランによる報復攻撃時にイスラエルに対して協力しない可能性も示唆し、批判のコメントを出している。(8/13)

国際情勢

【イラン:休戦案が締結すれば、攻撃は行わない】(Y,P,H)
イラン政府の高官3人がロイター紙の取材に応え、「もし交渉が決裂した場合には、代理勢力とともにイランはイスラエルを直接攻撃するだろう。それを止めることができるのは休戦のみ」と発言した。
イランが、休戦交渉とイスラエルへの報復攻撃を結び付けたコメントをするのは初めて。これが本当であれば、15日に行われるであろう休戦交渉に関する話し合いは、ガザやレバノン(ヒズボラ)戦線以上の意味を持つことに。現地メディアでは、「攻撃に引くに引けなくなったイランが取った、大規模交戦への回避策では」とも報道されている。
またアメリカは防衛のトップたちが現在ベイルートやドーハを訪問しており、欧米各国もイランによる報復攻撃を防ぐ意味でも休戦交渉締結のため働き掛けている。しかし11日に、ハマスは休戦交渉を欠席する意向を示している。(8/13)

◯ 文化

【パリ五輪閉幕、新体操の銀でメダルは計7つに】(Y,P,H)
パリ五輪は10日新体操の団体総合決勝が行われ、イスラエル代表が銀メダルを獲得した。得意のフープで点が伸びない苦しい出だしとなったが、イタリア・ブルガリアなどメダルを争う国も一様に得点を稼げない状況に。
そして最終種目のボール・リボンでは素晴らしい演技を見せ、中国に次ぐ銀メダルとなった。代表のズスマンコーチは取材に対して、「(東京五輪金メダルの)リノイ・アシュラムが5年間も世界トップで戦い続けたことで、団体もトップレベルをキープできた。私たちが一つになれば、それは全てを勝ち取る強さになる」とコメント。
イスラエルは21年の東京五輪の計4つを越える最多7個のメダルを獲得し、花形競技のマラソンでも女子選手が9位と過去最高の結果を残すなど、イスラエルにとっては過去最高の大会に。(8/10-11)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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