ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【中央部でアラブ人同士の抗争、4人が死亡12人が負傷】(Y,P,H)

中央部のユダヤ人とアラブ人が共存する町ラムラの目抜き通りで12日、手榴弾が衣料品店に向かって投げ入れられ、女性2人と少女2人の計4人が死亡、重体の生後2か月の男の子を含む12人が重軽傷を負った。この事件は町で活動する2つの犯罪組織を構成するアラブ人家族間の、4年以上続いている抗争の一部で、死亡した20歳の女性は片方の犯罪組織(家族)のリーダーの義理の娘だったことが分かっている。翌13日にはラムラ在住の17歳の少年が、手榴弾を投げ入れた実行者として関与していた疑いで逮捕され、容疑者は被害者の女性を尾行し店に居ることを確認した上で手榴弾を投げ込むという、計画された犯罪だったことが分かっている。今年に入って(警察が介入しにくい)イスラエルのアラブ社会内では162人が暴力事件で犠牲になっており、その中にはこのような地元の犯罪組織(家族)間の抗争に巻き込まれたケースも多くある。(9/12-13)

 

【フーシ派からの弾道ミサイルが中央部に着弾】(Y,P,H)

イスラエル中央部で15日朝、イエメン・フーシ派が発射した弾道ミサイルが飛来、ベングリオン空港をはじめテルアビブ郊外から、エルサレム近郊までの広い範囲でサイレンが鳴った。アイアンドームとアローが迎撃システムとして作動し、迎撃ミサイルの一部が命中したがミサイル全体を破壊することには失敗し、その結果大きな破片がベングリオン空港から数キロの地点に着弾した。ミサイルによる死傷者はなく、シェルターに走ったことによる転倒などで5人が負傷したのみなど被害は最小限だったが、通勤・通学前に中央部の広い範囲で一時騒然となった。ネタニヤフ首相はその日の閣議で、「危害を加える者に対しては、厳しい攻撃を行う。ホデイダ(7月のテルアビブ攻撃に対する、イスラエルの大規模な空爆)を思い出す必要がある」とコメント。フーシ派はその後犯行声明を出し、攻撃に使用されたのは音速の5倍以上の新型の極超音速ミサイルだったと主張しているが、イスラエル側はフーシ派は極超音速ミサイルは兵器として持っておらず、過去の攻撃に使用されたのと同型のミサイルだったとしている。(9/15)

 

【ヒズボラとの戦争開始を、首相が示唆】(Y,P,H)

安全保障内閣の閣議でネタニヤフ首相が「(毎日のように数十発のロケット・無人攻撃機が飛来する)北部での現状がこのまま続くことがあってはならない。私たちはバランスを変えることで、住民を家に戻れるようにする必要がある。国防軍はレバノンでの大規模な軍事作戦のため、準備をしなければならない」と、ヒズボラとの戦争に近く入るような発言を行った。複数の関係者からは、アメリカが模索しているため外交的解決というラストチャンスを与えているが、ヒズボラがレバノン南部を非武装化し安全地帯が形成されることは非現実的なため、戦争は避けられず数週間から2・3か月のうちに開戦するのでは、との声が上がっている。(9/15)

 

【レバノンでの通信機器爆発、イスラエルによるものか】(Y,P,H)

17日の15:30頃、ヒズボラのメンバーが所持していた数千のポケットベルが、レバノン・シリアの計11都市で同時に爆発する事件が発生、12人が死亡し重傷者200人以上を含む計2750人が負傷した。死傷者の大半はヒズボラのメンバーとその関係者で、詳細はまだヒズボラが明かしていないが負傷者には同組織の高官たちも含まれているもよう。ヒズボラは爆発の3時間後に公式声明を発表、イスラエルによるものだとし報復攻撃を宣言した。

翌18日には海外メディアが、ヒズボラは台湾製のポケベル約5000台を発注したのだが、実際にこの注文を請け負ったのはハンガリーにあるBACという会社であり、これが実はイスラエル諜報部が運営するペーパーカンパニーだったこと、そして注文を受けたポケベルの製造時、強力かつ高性能爆薬であるペンスリット数十グラムをバッテリーに付着させていたこと、そしてこのポケットベルはここ最近、イスラエル側にハックされない安全な通信手段として導入され、ヒズボラのメンバー間でメッセージのやり取りが行われていたことなどが分かった。ヒズボラの指導者ナスララは携帯電話を使ったイスラエルによる暗殺を恐れ、今年2月メンバーたちに携帯電話を捨てるよう呼び掛けており、ここからヒズボラの多くがポケベルを使い始めていた。イスラエルメディアはイスラエルによる攻撃とは明言していないが、爆発の2時間前にシンベトが元防衛関係の高官に対する、遠隔操作の対人地雷を用いての暗殺をヒズボラが数日の間に実行しようとしていたことを察知し、阻止したと発表しており、このヒズボラによる暗殺計画と今回の爆発が似通っていることから、関連性があるのではとしている。(9/17-18)

 

【2日連続、レバノンで通信機器が爆発】(Y,P,H)

前日に引き続き18日の17時頃、ヒズボラのメンバーが所持していたトランシーバー数百台が、レバノン・シリアで爆発し、こちらも20人が死亡し450人が負傷した。昨日のポケベル爆発時よりも多くの爆薬が使用されたもようで、前日はヒズボラの政治・執行部のメンバーが標的だった一方、この日のトランシーバー爆発は軍部や特殊部隊「ラドワン部隊」を標的にしたもののよう。レバノンメディアによると、爆発したトランシーバーは昨日の爆発事故に使用されていたポケットベルと同時期にヒズボラ内に配備されていた。(9/18)

 

【ガザ戦争で初、女性兵士が戦死】(Y,P,H)

ガザ南部ラファで17日午後、軍事作戦を行っていた建物に設置されていた爆破装置が爆発し、戦闘部隊の兵士3人と女性の衛星兵の計4人が死亡、5人が重軽傷を負った。作戦実行前に爆破物の有無がチェックされたにも関わらずの爆発であることから、軍は原因について調査している。衛生兵として戦闘部隊に同行し犠牲となったアガム・ナイームさん(20)は、ガザでの戦闘で戦死した最初の女性兵士に。ナイームさんは本来は先週末に任務を終えていたが、約1年間共に闘い救助を行った兵士たちに最後の挨拶をしたいということで再びガザに入り、その直後に爆発事故で犠牲になった。(9/18-19)

 

【2つの爆発事件後、ナスララが初の演説】(Y,P,H)

2日連続での大規模な(イスラエルによるものとされる)通信機器爆発という事例を受けて、ヒズボラ指導者ナスララが演説を行い、初めて言及。演説の中でナスララは「レバノンにおいて前例のない損害」と被害の大きさを認め、「イスラエルは全てのストッパーを解除し、全ての法を破り、レッドラインを越えた。これは厳しい対応(ヒズボラによる報復)に繋がるだろう」と、イスラエルに対する報復を明言。またイスラエル北部からの避難者については、「いかなる攻撃・暗殺・全面戦争も、住民を帰還させることは出来ない」と述べ、ガザでの停戦のみがヒズボラからの攻撃を止め北部の市民が帰宅できる唯一の手段だという、従来の姿勢を繰り返した。従来の姿勢を繰り返すにとどまった演説から、イスラエルメディアは「ナスララは大規模な戦闘・国防軍による南レバノン侵攻を恐れているのでは」との推測も。(9/19)

◯ 内政

【人質解放を求めるビラをシナゴグで配布し、女性3人が逮捕】(Y,P,H)

テルアビブの北にあるヘルツェリアで13日、シナゴグの椅子の上に人質解放を求めるビラを置いた60代2人を含む女性3人が逮捕され、約9時間にわたって警察署に連行されて取り調べを受けた。ビラが置かれたシナゴグはリクード党のエデルシュテイン議員が祈りに来ているシナゴグで、女性たちは「ソ連のKGBにより逮捕・監禁された彼であれば、監禁されている人質たちの心情に、他の議員よりも共感できると思った」とその理由を説明しており、ビラには同議員の写真も印刷されていた。これについては不法侵入の容疑で逮捕されたがシナゴグが開いており侵入ではないこと、(一般的な)出頭要請がないままの即逮捕、女性たちが手足に手錠を掛けられていたことや、長時間の取り調べ・拘禁などから、数十人がエデルシュテイン議員の自宅周辺や3人が居た警察署前で、「政治犯にされた」とデモを実施した。警察は調査委員会を開き、対処が正当なものだったかの調査を始めている。(9/14)

 

【ネタニヤフ首相、防衛相更迭を考えるも延期へ】(Y,P,H)

去年3月に一時更迭されるなど戦争前からネタニヤフ首相との関係悪化が表面化し、開戦以降は戦争の進め方において亀裂がさらに広がっているガラント防衛相に関して、国内メディアは16日一斉に、ガラント氏が同日中にも更迭されるだろうと報じた。現在ネタニヤフ氏は新希望党のギドン・サアル党首に対して連立入りを持ち掛けており、サアル氏がガラント氏に代わって防衛相になるという内容で両者は合意しているもよう。サアル氏はリクード党議員だったが、ポスト・ネタニヤフ筆頭とされていたこともあり政敵となり、2020年に離党して自身の党を結成、一時はガンツ前国防相のナショナル・ユニティにも合流していた。ネタニヤフ氏がガラント氏の更迭を望んでいる最大の理由は休戦交渉や北部戦線ではなく、超正統派の兵役義務に関する法案について。現状で政府は超正統派に対して約1600人の若者に対して兵役を義務付け、毎年その枠を250人ほど増やすという法案を成立させようとしているが、これは超正統派の人口増加スピードよりも遅いため、実質的には超正統派の徴兵率を年々下げ、兵役免除を拡大する法案となっている。そのため軍のトップであるガラント氏は反対し、「野党からの幅広い支持が必要」との姿勢を示していた。ネタニヤフ氏や超正統派議員たちは、サアル氏が後任になれば法案成立がスムーズに進むのではと期待している。翌17日にはレバノンでの爆発など北部戦線で新たな展開があったため、ガラント氏の更迭とサアル氏の連立入りは一時的に延期されることに。しかし、交渉については着々と進んでいる様子。(9/16-17)

国際情勢

【国連、武器輸出禁止などを含むイスラエルに対する決議を採択】(Y,H)

国連総会は18日、パレスチナ内の占領地からの半年以内の撤退やパレスチナ人の祖国への帰還、イスラエル高官への経済制裁やイスラエルへの武器輸出禁止などを呼び掛ける決議を、賛成124・反対14・棄権43の賛成多数で可決した。パレスチナ自治政府による提案でこの決議は拘束力のない象徴的なものだが、米・英・独がイスラエルへの武器輸出を一部制限・停止している流れを受けての決議ということから、現地メディアではこの武器輸出禁止にスポットを当てて報道されている。パレスチナの占領地内で使用される可能性がある武器に対する輸出禁止を呼び掛けたもので、イスラエルはこの決議から武器輸出制限を行う国がさらに出てくるのではと懸念しているもよう。関係者の間ではイスラエルから兵器を輸入しているギリシャ・キプロスが、賛成に回ったことに関しての失望感が広がっている。(9/18)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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シオンとの架け橋、京都府


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