【イランによるスパイ行為で72歳男性が告訴される】(Y,P,H)
イスラエル南部在住でトルコを中心にビジネスをしているモティ・マモン(72)が19日、イランの諜報機関に内通しネタニヤフ首相の暗殺計画に関与していた疑いで、南部地方裁で起訴された。マモン被告はトルコでのビジネスを通じてイランの諜報員と関係ができ、その後イランに2度入国。
ハマスのリーダーだったハニヤ殺害への報復攻撃を画策している、イランの高官らと面会し、イスラエル内でのテロ実行の可能性について話し合った疑いがある。その標的にはネタニヤフ首相やガラント防衛相、バルネアモサド長官が。
その後被告が厳重な警備のため困難だと伝えると、イラン諜報部はベネット前首相や地方自治体の首長などの暗殺計画、またその他のスパイ行為を行うよう被告に持ち掛けていた。(9/19-20)
【国防軍、ヒズボラ精鋭部隊の司令官を殺害】(Y,P,H)
国防軍は20日、ヒズボラ精鋭部隊「ラドワン部隊」の司令官イブラヒム・アキルを複数の同部隊メンバーと共に殺害した。アキルは2004年からヒズボラ軍部の幹部を務め、ミサイル発射や爆発テロなどイスラエルに対する数多くの攻撃を指揮。長年にわたって(10/7のような)イスラエル北部への越境攻撃・占領計画を立てていた。
ベイルート・ダヒヤのヒズボラの本拠地地下でアキルやラドワン部隊・その他ヒズボラ司令官の会議が行われていた中、国防軍によるピンポイントの空爆が行われた。同席したヒズボラの司令官15人の死亡が確認されている。国内メディアによると、アキルは7月末に殺害されたヒズボラ軍部最高司令官シュクルよりは下位になるが、より実際の作戦実行を指揮していたことからヒズボラの軍事面を弱体させるという意味で大きな成果とのこと。
アキルは83年にベイルート米大使館で63人が犠牲になったテロも指揮しており、米政府は彼を指名手配し有益な情報に関しては700万ドルの報奨金を設定していた。(9/20)
【ヒズボラによる攻撃激化、ハイファ近郊やナザレにも飛来】(Y,P,H)
ヒズボラは22日未明から早朝にかけて、ナザレなどのイズラエル平原とハイファ近郊に向けて計115発のロケットを撃ち込んだ。大半がアイアンドームによって迎撃され死者は出なかったがシェルター内で4人、シェルターへ急いでの転倒などで12人が負傷した。
ヒズボラによるロケット弾・無人攻撃機による攻撃はここ1年間続いていたが(計約1万発)、そのほとんどがガリラヤ北部やゴラン高原に向けたもの。より南部への広範囲の攻撃を受け、イスラエル各メディアは「国民の10%にあたる、100万人以上がヒズボラ攻撃の射程圏内に入った」と報じている。ハイファ近郊に着弾したミサイルは85キロの爆薬を搭載したもので、近くにあった住宅2件で大規模な被害が見られ、10以上の乗用車が全損した。
未明に行われたイズラエル平原への攻撃は空軍最大規模のラマット・ダビド基地を、早朝のハイファ近郊への攻撃は国有軍事企業のラファエル社を標的としたものだと、ヒズボラは犯行声明を発表。またイラクの親イラン勢力からの無人攻撃機が、ゴラン高原やガリラヤ湖の南にも飛来したが、こちらでは負傷者は確認されていない。これら一連の攻撃を受けて、イスラエルは数十か所のヒズボラ拠点を空爆している。(9/22)
【ハイファ病院が世界最大の地下病院に】(Y,P)
民間防衛軍と保健省がハイファ以北の病院に対して緊急事態の通達を行ったため、ハイファにある北部最大のランバム病院では22日の正午ごろから、入院患者の病床や手術・分娩室などを地下駐車場の2つのフロアへ移動させる作業を行った。
ヒズボラから攻撃があった際、入院患者全員をシェルターに誘導することは不可能なため、シェルターとして機能している地下駐車場に病院の機能を移転させた。2006年のレバノン戦争で大規模な被害を受けたことから、有事の際の地下への移転については計画・準備が軍と共同で行われており、地下にある医療施設としては世界最大規模になる。
病院長は「地下2・3階を合わせると最大2200の病床を収容できるため、通常の稼働が可能となり手術と分娩も24時間体制。(設備の整っていない)北部の別の病院からも、入院患者が搬入される予定」と話している。(9/22)
【空軍、ヒズボラに対して過去最大の攻撃を実施】(Y,P,H)
イスラエル軍は23日、約1600のヒズボラ軍事拠点に空爆を行った。10/7以降では最大のヒズボラへの攻撃で、レバノン保健省は1990年以来となる492人が死亡したと発表している。
今回の攻撃目標の多くは、精密誘導兵器を含むミサイル。ヒズボラは数年間にわたり、南レバノンの住宅を武器倉庫として軍用化し、ここ最近はシリアから入手した旧ソ連製の無人攻撃機を改造した巡航ミサイルの民家内からの発射を試みていた。軍報道官はヒズボラが民家内にミサイルを隠し持っていたことが分かるミサイルの弾頭カメラの映像を公開した。攻撃前に国防軍はレバノン南部の数十万人にSNS・電話メッセージ・ラジオ電波ジャックなどで、北への避難を呼び掛けた。
南レバノンだけでなく、ベイルート・ダヒヤにも空爆を実施。ヒズボラの南部司令官でナンバー3にあたるアリ・カルキを標的したが、こちらは殺害に失敗したと認めている。カルキはシュクルと3日前のアキル殺害以降、ヒズボラ軍部内に残る最主要人物。
またイスラエルに対しても約200発以上のロケット弾による攻撃があり、ハイファ市内やイズラエル平原など北部の広範囲でサイレンがあった。(9/23)
【空軍がヒズボラ上官を殺害、北部にはこの日も200発以上が飛来】(Y,P,H)
空軍は24日の昼頃、ヒズボラ本拠地のベイルート・ダヒヤに空爆を実施し、ミサイル担当の司令官だったイブラヒム・クバイシを殺害した。クバイシは精密誘導ミサイルを含むミサイル攻撃の責任者であり、最高司令官のシュクルの存命中は彼の補佐役だったが、7月末の殺害後にはナスララ直轄の司令官に昇進するような形でミサイル攻撃を正式に指揮していた。また2000年には国境部のイスラエル軍基地で兵士3人を殺害し、遺体を拉致するというテロ攻撃も首謀している。
ここ2月間でヒズボラ軍部の主要メンバーが7名殺害されており、「軍中枢部にダメージが蓄積されている」と軍事評論家。またこの日は今までで最大の2000発の爆弾がレバノン内に投下され、ヒズボラが持つ中・長距離ミサイルの半分は破壊されたと見られている。
またヒズボラも前日を上回る約300発のロケット弾・無人攻撃機を、国境部から50kmまでのイスラエル北部の広い範囲に打ち込んでいる。この数字は第2次レバノン戦争での1日最大250発を越える、イスラエルに対するヒズボラによる過去最大の攻撃。(9/24)
【テルアビブとエイラットにミサイル・無人攻撃機が飛来】(Y,P,H)
25日早朝にヒズボラのミサイルが中央部に飛来し、テルアビブを中心とするダン地区の広範囲でサイレンが響き渡った。ヒズボラからのミサイルが中央部にまで飛来するのは(10/7以前も含めて)初めてだが、迎撃システム「ダビデスリング」が迎撃したため負傷者は出なかった。
ヒズボラは「先週のポケベル・トランシーバ爆発という攻撃への報復として、モサド本部に向けて攻撃を行った」と犯行声明を行い、約1時間後にイスラエルは発射台を空爆、破壊した。今回使用されたミサイルはイラン製の「カデル1」で射程距離は200kmで、弾頭の爆薬は20kg。10/7時点でヒズボラは、約7000発のイラン製精密誘導ミサイルを所持していたとされている。
また同日夜にはイラクの親イランのシーア派武装組織が発射した無人攻撃機2機が、南端の港町エイラットに飛来。1機は迎撃に成功したがもう1機はエイラット港内にある工場内に着弾し、職員2人が軽傷を負った。その後「イラクのイスラム抵抗運動」が、犯行声明を発表している。(9/25) |