【ハマスによる休戦違反:人質ではない遺体の引き渡しに支援物資強奪】(Y,P,H)
ハマスは10月31日夜に人質3人のものと思われる遺体を国際赤十字経由でイスラエルに引き渡したが、身元鑑定の結果ガザに残されている11人のものではないことが1日朝に判明した。
科学捜査研究所によると、その他のイスラエル人の人質・犠牲者のDNAとも一致しないとのこと。イスラエル側では失望感が広がっているが、関係者曰く「当初より人質のものである可能性は低いと考えられており、休戦合意の中で人質のものである可能性がある場合は引き渡すという取り決めがあるため、この件については明確な休戦違反ではない」とのこと。
しかし同関係者は同時に「人質の遺体の未返還と一連の遅延行為は休戦違反である」としている。また1日にはイスラエル南部の多国籍部隊の司令部を指揮し、双方の休戦合意順守を監視するためドローンを飛行させているアメリカ軍がその映像の一部を公開。
そのビデオの中では複数のテロリストが支援物資を載せたトラック運転手を襲撃し、積載されている物資を強奪している様子が見られる。アメリカ軍によるとこれらのテロリストはハマス所属であるとのこと。
(10/31-11/1)
【3人の兵士の遺体が返還され、ガザに残る人質は8人に】(Y,P,H)
2日にハマスはガザ地区南部において3人の人質の遺体を発見したと発表、同日夜に国際赤十字を通じてイスラエルに遺体を返還した。その後イスラエルで身元鑑定が行われ、3日朝には遺体がアサフ・ハマミ旅団長とオメル・ネウトラ中隊長、オズ・ダニエル分隊長の3人の国防軍兵士のものであることを発表した。
ハマミ旅団長は10/7時にガザ師団内の南旅団司令官として国境部防衛に当たり、無線上で兵士たちと「我々は今、戦争の中にある」と発言。その後ガザ南部付近のキブツでハマス・ヌフバ部隊との交戦中に戦死し、遺体として拉致されていた。同旅団長の無線内での「戦争」発言は軍内に残る記録の中で戦争を明言する初めてのものであり、最高位の人質となった司令官であると同時に「戦争を初めて宣言した司令官」でもあった。
またネウトラ中隊長とダニエル分隊長は同じ戦車の乗員として境界部の防衛に当たっていたが、テロリストによる攻撃を受けて戦車が炎上して走行不能に。配備されていた戦車としては唯一乗員全員がガザへと拉致され、唯一生還したのは先月13日に解放されたニムロッド・コーヘンさんのみ。またネウトラさんはニューヨークで生まれ育ち、18歳の時にイスラエルに帰還した米国系イスラエル人であることから、米政府も遺体収容のために尽力していた。身元鑑定の結果はトランプ大統領にも伝えられ、追悼のコメントも発表されている。
これでガザに残されている人質の遺体の数は8になった。
(11/2-3)
【戦死した19歳とタンザニア人学生の遺体が返還、ガザに居る人質は6人に】(Y,P,H)
4日午後にハマスはガザ市内のシェジャイヤ地区でイスラエル人人質の遺体を発見した。イスラエルはここ数日間、国防軍のコントロール下にある黄色ラインの外側に入っての捜索を認めており、国際赤十字立ち会いのもとハマスは人質の遺体を探していた。
同日夜にハマスは遺体をイスラエルへと返還、身元鑑定の結果遺体は戦車部隊の兵士として10/7に国境部で戦い、ナハルオズで戦死したエイタン・ヘンさん(19)のものであることが判明した。
ヘンさんは父親がアメリカ系で母親がドイツ系であることから、三重国籍者。これでアメリカ国籍所持の人質は全て、ガザから解放または遺体として返還されたことに。またヘンさんは10/7の人質としてはガザに残された最後の兵士だったことから、これであの日拉致された兵士たちは全て帰宅したことになる。
ハマスはヘンさんの遺体発見・返還に際し、「重機の投入と国際赤十字スタッフの同行が遺体発見に貢献している」と発表しているが、イスラエル側は大半の遺体に関してハマスはもともと場所を把握していると考えており、尽力しているというハマスの『パフォーマンス』だと懐疑的な姿勢を崩していない。
そして翌5日にハマスはもう1人の遺体をイスラエルに返還。身元鑑定の結果、10/7の約3週間前から農業を学ぶためイスラエルに留学していたタンザニア人学生ジョシュア・ロイトゥ=モレルさん(21)の遺体であると発表した。父親のルイトさんは遺体返還のために尽力し、ジョシュアさんのメッセージを世界に発信し続けたイスラエルに謝意を述べる音声メッセージを寄せている。
これでガザに残された人質の遺体の数は、6になった。
(11/4-5)
【人質遺体返還を条件にテロリストたちに安全な通行許可か】(Y,P,H)
ここ数日の間、国防軍のコントロール下の地域にあるハマスの地下トンネル内に最大200人のテロリストが隠れていることから、イスラエル側がテロリストたちに黄色ラインの内側への安全な通過の容認について検討しているのだが、その背景にはその地下トンネル内に人質の1人であるハダル・ゴルディンさんの遺体が隠されている可能性があるとの情報が現地メディアに報道された。
ゴルディンさんはギブアティ旅団の特殊部隊の指揮官として2014年の軍事衝突時にラファでの地上作戦にて戦死。その後テロリストたちが遺体を持ち去り、10年以上の間ハマスが遺体を保持している。
この(10/7まではハマスにとって数少ない拉致成功であり象徴的だった)彼の遺体と引き換えのテロリストの通過容認にはネタニヤフ首相も一時前向きに検討していたが、スモトリッチ財務相など極右閣僚の反発で諦めたとのこと。しかし現地メディアは「イスラエルが仲介国を通じてハマスと現在も交渉を行っている 」と報道している。
(11/5)
【レバノン南部に大規模な空爆、短期的な軍事作戦も視野か】(Y,P,H)
休戦合意にあるにも関わらずレバノン南部でのテロ拠点再構築を進めているヒズボラに対して断続的な空爆を行っているイスラエルだが、6日午後には今までにない大規模な空爆を実施した。午後3時に国防軍のアラブ語報道官が南部にある5つの村に対して空爆前の避難勧告を行い、その後テロリストや複数の拠点を標的とした空爆が4時間に渡って行われた。
空爆後の国防軍の声明によると標的となったのはヒズボラ精鋭部隊である『ラドワン部隊』の拠点や武器庫だったとのこと。この攻撃を受けてヒズボラは自身のメディアを通じて「抵抗が我らの選択であることは変わらない」との軍事衝突を辞さないと取れるメッセージを報道している。
またこの日にはレバノン問題に関する閣議も行われたため、現地メディアは「ヒズボラの再軍備化を無効化するための短期間の軍事作戦が行われるのでは」と報じている。軍部は前最高指導者ナスララなどを排除した去年9月の大規模な空爆から1年以上が経ち、一新されたより若い軍部リーダー層が経験と自信を付けてきていることを察知しているため、作戦の必要性が生まれてきている。
(11/6) |