【ハマスの前向きな回答を受け、ガザ内の戦闘休止+本格的な休戦交渉へ】(Y,P,H)
3日にトランプ大統領は「日曜夜までに停戦が成立されるべき。もしそうならなければ、地獄の門がハマスに開かれる」と発言し、ハマスにトランプ休戦案を受け入れるよう警告を行った。
現地メディアによるとハマスが返答を渋る理由としては1.全人質の即時解放(段階的解放を希望)や2.国防軍撤退のタイムテーブルがない3.停戦成立後にイスラエルによるハマス攻撃が禁止されていないなど、テロ組織が受け入れ難い項目がある。
そしてトランプ氏による最後通告の数時間後にハマスは声明にて「トランプ案に含まれる全人質の解放に同意する。また協定内の詳細についての交渉を今すぐ開始する準備がある」と発表した。イスラエルが強く求めている武装解除はあえて言及されていないために同案の全面受け入れではないが、トランプ氏はこれを受け「ハマスは平和への準備があるため、イスラエルはガザ攻撃を即刻停止すべき」と発言。
これを受けてイスラエルはここ数日間、ガザ内での地上作戦を行っておらずガザ市内にあるハマス拠点でも作戦を実施していなかったが、4日未明からの一方的停戦を決定した。
近く両者の交渉団と米ウィトコフ特使、そしてトランプ案に深く関わっているとされるトランプ氏の娘婿クシュナー氏がカイロ入りし、日曜または月曜日にも交渉が再開される見通し。
4日夜にはネタニヤフ首相が国内向けに事前収録したビデオ演説を公開し、トランプ案について初めてヘブライ語で言及した。冒頭でネタニヤフ氏は「偉大な成果まであと一歩のところだ」と語り、2日後に始まり1週間続く仮庵の祭りの間には(生存・死者を含む)全人質の帰還に関し、「報告できることを願っている」とした。
楽観的な雰囲気がイスラエル内を中心に広がっているが、ハマス幹部はアラブメディアに「ガザ統治や安全保障に外部者が介入することを受け入れるパレスチナ人は誰も居ない」と発言。これはトランプ氏を議長とする『平和協議会』がガザ統治を監督することや米・アラブ諸国などによる『国際安定化部隊』のガザ内配備といった、トランプ案の核とも言える部分に拒絶を意味している。
したがってトランプ案はあくまで叩き台であり、双方による交渉の攻防が続くのではと現地メディアは報じている。
(10/3-4)
【今月に入って初のフーシ派によるミサイル攻撃】(Y,H)
5日未明にイエメン・フーシ派が弾道ミサイルをイスラエルに発射し、午前5時前にテルアビブ郊外からエルサレム近郊・死海沿岸まででサイレンが作動した。防空システムが迎撃したため怪我人や着弾・破片の落下などの事例は報告されなかったが、数十万人が早朝の時間帯にシェルターに避難しベングリオン空港も一時離発着を中断した。
先月はフーシ派から弾道ミサイル9発と16回の無人攻撃機による攻撃があったが、今月は初めての攻撃に。イスラエルは一方的停戦として4日深夜以降ガザ攻撃を行っておらず、交渉が翌日にカイロで始まるという状況でフーシ派のイスラエルへの無差別攻撃となった。
(10/5)
【トランプ氏は進展強調もハマスは重罪受刑者の釈放を要求】(Y,P,H)
エジプト・シナイ半島のシャルム・エル・シェイクで6日午後から始まった休戦交渉も2日目を終え、トランプ大統領は「合意への真の好機。中東における合意に極めて近づいている」と取材陣に非常に肯定的な発言を繰り返した。イスラエル側も「ポジティブな方向に向かっている」としつつ、交渉は数日間までというリミットを設定。
ハマス側は人質解放が完了するまでに国防軍のガザから完全の撤退とイスラエルで収監されている重罪受刑者のテロリストの釈放を強く求めている。リストには民間人が標的のテロを何度も行ったファタハ内過激組織『タンジーム』の指導者で、ファタハで最も人気のリーダーであるマルワン・バルグーティや観光相暗殺を首謀したPFLP最高指導者、ハマス軍部のリーダーが含まれておりイスラエルがこれに応じる可能性は低いとされている。
(10/7)
【イスラエルとハマスがトランプ案を受け入れ2年の戦争に終止符が】(Y,P,H)
3日目の休戦交渉を終えた8日に仲介国の関係者から「10日には合意に達する見込みで現状の課題は第1段階後にどのように合意履行を確実なものにするか」と人質解放とテロリスト釈放・国防軍撤退という休戦の第1段階のブレークスルーが起こり合意目前と国内外のメディアが報道。
そして8日深夜にイスラエルの交渉役とカタール首相が笑顔で握手をしている写真とともに翌9日に調印が行われるとの報道が。直後にトランプ大統領はSNSで「私たちの和平計画の第1段階にイスラエル・ハマスが同意したのを誇りに思う」と休戦成立の発表を行った。
9日に休戦案の第1段階の内容が明らかになり、それによると休戦が正式に始まるのはイスラエル政府が休戦案を了承した時点(同日深夜1時に了承)になるが、この日の午後には国防軍は撤退を開始しており、金曜日には第1ラインまでの撤退を完了する予定。来週の月または火曜日にハマスは生存者20人そして死亡している人質28人を前回の休戦時のプロパガンダ的式典をせずに解放し、イスラエルは終身刑受刑者250人を含む1972人のテロリストを釈放する。
これに合わせてトランプ氏は日曜日にエジプトに向かい休戦合意の調印式に参加、その後イスラエル国会で演説する予定と報道されている。
ハマスは72時間以内に人質を全員解放することになっているが、「死亡した全人質の場所を特定することは不可能。従って全員解放は約束できない」と主張。遺体の場所が分からない人質は数人程度とされ、イスラエル・トランプ氏も理解しており、遺体の場所特定に仲介国が主導してハマス・イスラエルも関与する多国籍部隊が設置されるのではとされている。
テロリスト釈放はイスラエルが釈放拒否できるテロリストを6~10人ほど選定できるようで、7日に報道されたバルグーティなど『最も重要・象徴的なテロリスト』の釈放は実現しないことになった。1972人のテロリストと同時に360人のテロリストの遺体がハマスに返還されるが、シンワル兄弟は含まれていない。
250人の終身刑受刑者はハマスを支援しているカタールとトルコが主に受け入れる予定だが、その多さからマレーシアやパキスタンも受け入れるのではと報道されている。
現地メディアはハマスが休戦案を了承した要因としてカタールと並んでハマスに影響力を持つトルコが仲介国に加わってハマスへのアラブ世界の包囲網が確立したこと、あるアラブの仲介国がハマスに「これ以上良い提案が提示されることはなく、もう(拒否は)十分だ。ガザの苦しみを止める時」と強い口調の最後通告があったと報じている。
またこの休戦成立の裏にはアラブ世界内でのパワーゲームも隠れており、ここ2年間ハマスとのパイプとしてカタールが台頭したため存在感を失っていたエジプトが休戦合意の場所として選ばれたのはガザと隣接し実際のガザ復興などで不可欠な存在である同国の影響力回復という狙いもあったとメディアは分析している。
9日の未明からテルアビブの人質広場を中心に国中が祝賀ムードに。並行して解放された人質を最初に国内で迎えるレイーム基地やテルアビブの病院内の人質のための特別病棟では来週初めの人質の受け入れ態勢の準備を開始している。
(10/8-9) |