ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【最後の遺体の返還にハマスの武装解除―イスラエルで高まる不信感】(Y,P)
休戦の第2段階の重要なポイントに関して仲介国との間の意見の違いが表面化しているため、国内では不信感・懸念が高まっている。
まずは19日にハッカビー米大使が現地紙の取材に応え、最後の人質であるラン・グビリさんの遺族が尊厳を持った埋葬を早急にできることを願うと前置きしつつも、「ハマスによる最後の遺体返還の難航が現在見られる(次の段階への)前進を止めることはない」と発言。グビリさんの遺体返還が未履行でも、第2段階に入ることが可能との見解を示唆した。
またこの文脈の中で第2段階での米イ間の不協和音を指摘されると、「不一致があるとの認識はない」と述べている。イスラエル側は休戦協定に則り、「全遺体の返還なくして第2段階なし」の姿勢を公式に取っている。
また同じ日にはアラブメディアの取材に仲介国であるエジプトの外相が応え、第2段階で行われることになるハマスをはじめとするガザ非武装化に関して「武器を集約させての譲渡であり、武装解除ではない」との見解を語った。
ハマスを含むガザの武装解除に関してはトランプ大統領の和平計画に明記されているが、これについて「ガザ内の組織間が共通の理解に至る」ことが重要だと武装解除を前提としたような話し方ではなかったため、これもイスラエル側での不信感を呼んでいる。
これらの仲介国高官の発言などを受けて国内関係者からはハマスが一部の古びた武器などを放棄・譲渡することで多くの武器を隠し持ったまま「武装解除したということにするのでは」と危惧する声が上がっている。また別の関係者は最後の遺体返還が不履行にもかかわらず、第2段階移行の圧力が米側からあることに関し「憂慮すべき事態」と語っている。
(12/19-20)

 

【レバノン首相が「南部の非武装化は年内に完了」も、交戦は不可避か】(Y,P,H)
アメリカがレバノンに対して設定した南部におけるヒズボラ武装解除の締め切りが今月末に迫るなか、レバノンのサラーム首相が声明を発表。数日の間にもリタニ川以南でのヒズボラ武装解除化の計画を完了すると、レバノン政府は今月末の締め切りを守ることが出来るとした。
しかしイスラエル側はこれとは逆の姿勢を示しており、ヒズボラは未だに南部におけるテロ拠点・活動を維持のみならず増強しており、ヒズボラによる度重なる休戦違反をレバノン政府に通達し続けているが適切な措置が取られていないことから、イスラエル・ヒズボラ間の交戦は避けられないとしている。
イスラエル国防軍はレバノン南部に駐屯する部隊へのヒズボラによる攻撃や北部へのミサイル攻撃、また海外のイスラエル・ユダヤ関連施設や人物を標的としたテロ攻撃の可能性があるとしており、臨戦態勢のレベルをさらに高めている。
(12/20)

 

【南シリアで生まれた乳児がイスラエルで心臓病治療を受ける】(Y)

イスラエルを拠点に国際的に活動する医療系NPOと国防軍が共同で南シリアに住む少数派であるドゥルーズ派の生後6か月の乳児とその母をイスラエル中央部にあるウォルフソン病院へと搬送し、治療を行った。
乳児は心臓弁膜症を患って生まれたため、心臓弁が正常に開閉せず血流が悪化した結果右心室の拡大が生じていたが、もともとの医療レベルに加え現在の政情や弾圧されている少数派であることなどから、母国シリアでの治療は不可能なためイスラエルで治療を受けることに。
乳児と母親は同じシリアをルーツに持つユダヤ人の小児心臓専門医率いるチームによって迎えられ、バルーンを用いたカテーテル治療の手術が行われ無事成功した。母親は感謝と共に「ここではユダヤ人にムスリム・ドゥルーズ派と違う背景の人々が一緒に働いています。シリアにもこのような平和が訪れて欲しいです」とイスラエルへの印象を語っている。
これは心疾患を抱える発展途上国の子供たちを救うため同病院内で創設されたNPOによる働きで、今までに75か国から8000人の子供に対して治療を提供。南シリアのドゥルーズ派の子供を助けたのはこれで2例目になる。
(12/21)

 

【ネタニヤフ首相がイランに警告、月末にはトランプ大統領と意見交換】(Y)
ネタニヤフ首相は24日に空軍パイロットコースの修了式に参列し、その演説内でイランに対して攻撃を辞さないという警告を行った。まずネタニヤフ氏は「私の心は犠牲者の家族と共にあり、これは国全体の気持ちだ。彼らの犠牲の上にイスラエルという国が存在している」と犠牲者の遺族や負傷者たちに向かって呼び掛けた。
そして続けて「10/7という底辺の状態から私たちは高く飛翔した―中東全域において我らの戦闘機・ヘリコプター・無人攻撃機が自由に飛行している」と空軍により圧倒的な制空権を手にしていることを称え、12日間に渡ったイラン戦争での勝利についても言及。そして「敵(イラン)は傷を舐めている状態だが、再軍備を模索し昼夜新しい脅威が生まれている。我らは交戦を望んではいないが、目は開かれたままである」と常に臨戦状態であるとし、イランを警告した。
この式典にはカッツ防衛相やザミール参謀総長も出席、カッツ氏も同様にイランを警告する演説をしている。このイラン問題に関しては月末にネタニヤフ氏が訪米する際の首脳会談でも最大の議題になると現地メディアは報道。会談時にネタニヤフ氏はイスラエルが持つ弾道ミサイル製造をはじめとしたイラン再軍備化に関する機密情報をプレゼンし、イランへの対応に関して協議されることになっている。
(12/24)

 

【イランに依頼されベネット前首相の家を撮影―40代男性が逮捕】(Y,P,H)
シンベトと警察はイランからの指示を受けナフタリ・ベネット前首相へのスパイ行為を行った疑いで中央部に住む40代男性を逮捕したと発表した。容疑者は2か月ほど前にメッセージアプリを通じてイランの諜報員とやり取りを始め、先月から諜報員の要請を受け中央部にあるショッピングモールや旅行者がどのようにイスラエルのSIMカードを入手できるかなどについての動画撮影などを行った。
また容疑者は24時間以上の録画ができる車載カメラを購入して車に設置し、ベネット氏の自宅前に駐車することでベネット氏の自宅を録画撮影するようにとの指示を受けていた。そこで男性はベネット氏の自宅前の通りを30分ほど往復し、隣接する駐車スペースを探したが見つからず。その後ベネット氏の自宅前で撮影をしていたところを発見され、事情聴取とその後の調査・取り調べからイランによるスパイ行為に関与していたことが発覚した。
シンベトの取り調べによると男性はイランからの依頼だと認識した上で犯行に及んでおり、さらなる報酬を受け取るため自身のパートナーを装ってさらなる依頼を受けようとしていたことが分かっている。
先週にはイランによりベネット氏のスマホがハッキングされる被害が出ており、同氏を標的としたイランによるスパイ・サイバー攻撃が増加傾向にある。
(12/25)

◯ 内政

【内閣、10/7に関する政治色の強い調査委員会の新設法案を採決】(Y,P,H)
22日に行われた閣議に10/7に関する調査委員会の議題が上がり、最高裁主導の非政治的な『国家調査委員会』ではなく、政府主導の政治色が強い新型委員会設置に関する法案を了承した。
閣議の中でネタニヤフ首相はこの新形式の委員会は10/7やそれに至った経緯だけでなく、93年に締結されたオスロ合意から徹底的に真相解明をすることになると発言、また「バランスの取れた調査委員会を望んでおり、1番最初の調査対象には私が喜んでなろう」とも語った。
この新型委員会は6人の調査委員から構成され、まずは国会の3/4が賛成するような委員構成を目指すことに。しかしこれが実現する可能性は極めて低いため、その際には与野党が3人ずつの委員を選定することになり、この際に野党が協力を拒否した場合にはリクードに所属するオハナ国会議長が野党分の3人を選出するという形になる。
野党は一貫して従来の最高裁による国家調査委員会のみを認める姿勢を示しているため、このまま行くとこの『バランスの取れた調査委員会』は実質与党により任命されたメンバーのみになる可能性が高く、首相をはじめ与党により選ばれた調査委員が首相や政府に対して客観的に調査出来るのかについては大きな疑問が残る。
また調査の範囲や期間などを決める権限は閣僚による委員会に委ねられ、同委員会の議長がネタニヤフ氏であることから、ほぼ全てのイスラエルメディアは『政治的委員会の発足』と批判的に報じている。
この決定とネタニヤフ氏の発言を受けてラピード野党議長は「ネタニヤフが調査対象となる前に、まずは(オスロ合意を結んだ首相で95年に極右により暗殺された)ラビンが調査対象になるようだ」と皮肉を交えながらこの新型委員会を批判している。
この法案は24日の予備読会の議題に上がり、野党や遺族からの激しいブーイングがあるなか賛成53・反対48で可決されて本格的な法整備が始まっている。
(12/22,24)

 

【「首相は情報漏えいについて全て知っていた」―起訴された元側近が語る】(Y,P,H)
昨年9月ネタニヤフ首相の側近が首相にとって益となるような世論操作のため、機密度の極めて高い書類を入手し独紙にリークした事件について、起訴されているフェルドシュテイン元首相府報道官が公共放送のインタビュー番組に出演し、初めてカメラの前で事件について語った。
そのなかで氏は「ビルド紙への漏えいの裏にはネタニヤフ氏が常にあり、彼は全てを把握していた」と首相自身が機密情報の漏えいについて深く理解していたと発言。ビルド紙がスクープした後には同氏と首相そしてメディア担当顧問と3者での打ち合わせが行われ、首相はフェルドシュテイン氏に対して情報リークに関して感謝されたと語った。
ネタニヤフ氏は同紙が掲載した機密情報について「報道で初めて知った」としているが、フェルドシュテイン氏はこれについて「最高機密文書を持ち出すためには首相が必要であり嘘である」と語っている。また10/7直後の報道官就任以降最大の任務は10/7に関する首相の責任問題に関する報道を辞めさせ、引責問題という世論からの向かい風を止めることだったとし、「彼から指示を受けた最初で唯一の仕事がそれだった」とも。
このインタビューを受けて首相府は「首相が情報漏えいやカタールゲートについて関与または把握していたというのは全くの捏造」との声明を発表している。
(12/23)

◯ 国際情勢

【クリスマスのタイムズスクエアの大看板に「イエスはパレスチナ人」】(Y,P)
国内のアラブ人の権利擁護を目的とした市民団体、「アメリカ・アラブ反差別委員会」がクリスマスに合わせて、ニューヨーク・タイムズスクエアにある有名な大看板での広告権を2つ購入。1つ目には「メリークリスマス。イエスはパレスチナ人」との言葉、そしてもう1つにはアッラーによるイエス誕生を天使がマリアに伝えたとされる、コーランの1節の引用が映し出された。
イエスがパレスチナ人だという主張は真新しいものではなく、近年はパレスチナ在外公館や親パレスチナの活動家などによって、特にクリスマスの時期になるとこのキャンペーンが行われている。広告を出した同委員会は「ベツレヘムで生まれたパレスチナ人難民(=イエス)に関する真実を取り戻すためだ」と、その掲載理由を説明している。
イスラエル国内の有識者たちからは「西洋に潜在する反ユダヤ主義を呼び起こす、この『パレスチナ人のイエスがユダヤ人により殺された』というハマス的ナラティブは成功しており、非常に危険な風潮」と警鐘を鳴らしている。
(12/25)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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