【最後の遺体の返還にハマスの武装解除―イスラエルで高まる不信感】(Y,P)
休戦の第2段階の重要なポイントに関して仲介国との間の意見の違いが表面化しているため、国内では不信感・懸念が高まっている。
まずは19日にハッカビー米大使が現地紙の取材に応え、最後の人質であるラン・グビリさんの遺族が尊厳を持った埋葬を早急にできることを願うと前置きしつつも、「ハマスによる最後の遺体返還の難航が現在見られる(次の段階への)前進を止めることはない」と発言。グビリさんの遺体返還が未履行でも、第2段階に入ることが可能との見解を示唆した。
またこの文脈の中で第2段階での米イ間の不協和音を指摘されると、「不一致があるとの認識はない」と述べている。イスラエル側は休戦協定に則り、「全遺体の返還なくして第2段階なし」の姿勢を公式に取っている。
また同じ日にはアラブメディアの取材に仲介国であるエジプトの外相が応え、第2段階で行われることになるハマスをはじめとするガザ非武装化に関して「武器を集約させての譲渡であり、武装解除ではない」との見解を語った。
ハマスを含むガザの武装解除に関してはトランプ大統領の和平計画に明記されているが、これについて「ガザ内の組織間が共通の理解に至る」ことが重要だと武装解除を前提としたような話し方ではなかったため、これもイスラエル側での不信感を呼んでいる。
これらの仲介国高官の発言などを受けて国内関係者からはハマスが一部の古びた武器などを放棄・譲渡することで多くの武器を隠し持ったまま「武装解除したということにするのでは」と危惧する声が上がっている。また別の関係者は最後の遺体返還が不履行にもかかわらず、第2段階移行の圧力が米側からあることに関し「憂慮すべき事態」と語っている。
(12/19-20)
【レバノン首相が「南部の非武装化は年内に完了」も、交戦は不可避か】(Y,P,H)
アメリカがレバノンに対して設定した南部におけるヒズボラ武装解除の締め切りが今月末に迫るなか、レバノンのサラーム首相が声明を発表。数日の間にもリタニ川以南でのヒズボラ武装解除化の計画を完了すると、レバノン政府は今月末の締め切りを守ることが出来るとした。
しかしイスラエル側はこれとは逆の姿勢を示しており、ヒズボラは未だに南部におけるテロ拠点・活動を維持のみならず増強しており、ヒズボラによる度重なる休戦違反をレバノン政府に通達し続けているが適切な措置が取られていないことから、イスラエル・ヒズボラ間の交戦は避けられないとしている。
イスラエル国防軍はレバノン南部に駐屯する部隊へのヒズボラによる攻撃や北部へのミサイル攻撃、また海外のイスラエル・ユダヤ関連施設や人物を標的としたテロ攻撃の可能性があるとしており、臨戦態勢のレベルをさらに高めている。
(12/20)
【南シリアで生まれた乳児がイスラエルで心臓病治療を受ける】(Y)
イスラエルを拠点に国際的に活動する医療系NPOと国防軍が共同で南シリアに住む少数派であるドゥルーズ派の生後6か月の乳児とその母をイスラエル中央部にあるウォルフソン病院へと搬送し、治療を行った。
乳児は心臓弁膜症を患って生まれたため、心臓弁が正常に開閉せず血流が悪化した結果右心室の拡大が生じていたが、もともとの医療レベルに加え現在の政情や弾圧されている少数派であることなどから、母国シリアでの治療は不可能なためイスラエルで治療を受けることに。
乳児と母親は同じシリアをルーツに持つユダヤ人の小児心臓専門医率いるチームによって迎えられ、バルーンを用いたカテーテル治療の手術が行われ無事成功した。母親は感謝と共に「ここではユダヤ人にムスリム・ドゥルーズ派と違う背景の人々が一緒に働いています。シリアにもこのような平和が訪れて欲しいです」とイスラエルへの印象を語っている。
これは心疾患を抱える発展途上国の子供たちを救うため同病院内で創設されたNPOによる働きで、今までに75か国から8000人の子供に対して治療を提供。南シリアのドゥルーズ派の子供を助けたのはこれで2例目になる。
(12/21)
【ネタニヤフ首相がイランに警告、月末にはトランプ大統領と意見交換】(Y)
ネタニヤフ首相は24日に空軍パイロットコースの修了式に参列し、その演説内でイランに対して攻撃を辞さないという警告を行った。まずネタニヤフ氏は「私の心は犠牲者の家族と共にあり、これは国全体の気持ちだ。彼らの犠牲の上にイスラエルという国が存在している」と犠牲者の遺族や負傷者たちに向かって呼び掛けた。
そして続けて「10/7という底辺の状態から私たちは高く飛翔した―中東全域において我らの戦闘機・ヘリコプター・無人攻撃機が自由に飛行している」と空軍により圧倒的な制空権を手にしていることを称え、12日間に渡ったイラン戦争での勝利についても言及。そして「敵(イラン)は傷を舐めている状態だが、再軍備を模索し昼夜新しい脅威が生まれている。我らは交戦を望んではいないが、目は開かれたままである」と常に臨戦状態であるとし、イランを警告した。
この式典にはカッツ防衛相やザミール参謀総長も出席、カッツ氏も同様にイランを警告する演説をしている。このイラン問題に関しては月末にネタニヤフ氏が訪米する際の首脳会談でも最大の議題になると現地メディアは報道。会談時にネタニヤフ氏はイスラエルが持つ弾道ミサイル製造をはじめとしたイラン再軍備化に関する機密情報をプレゼンし、イランへの対応に関して協議されることになっている。
(12/24)
【イランに依頼されベネット前首相の家を撮影―40代男性が逮捕】(Y,P,H)
シンベトと警察はイランからの指示を受けナフタリ・ベネット前首相へのスパイ行為を行った疑いで中央部に住む40代男性を逮捕したと発表した。容疑者は2か月ほど前にメッセージアプリを通じてイランの諜報員とやり取りを始め、先月から諜報員の要請を受け中央部にあるショッピングモールや旅行者がどのようにイスラエルのSIMカードを入手できるかなどについての動画撮影などを行った。
また容疑者は24時間以上の録画ができる車載カメラを購入して車に設置し、ベネット氏の自宅前に駐車することでベネット氏の自宅を録画撮影するようにとの指示を受けていた。そこで男性はベネット氏の自宅前の通りを30分ほど往復し、隣接する駐車スペースを探したが見つからず。その後ベネット氏の自宅前で撮影をしていたところを発見され、事情聴取とその後の調査・取り調べからイランによるスパイ行為に関与していたことが発覚した。
シンベトの取り調べによると男性はイランからの依頼だと認識した上で犯行に及んでおり、さらなる報酬を受け取るため自身のパートナーを装ってさらなる依頼を受けようとしていたことが分かっている。
先週にはイランによりベネット氏のスマホがハッキングされる被害が出ており、同氏を標的としたイランによるスパイ・サイバー攻撃が増加傾向にある。
(12/25)