ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【イスラエルと国交のないバングラデシュ、ガザの国際安定化部隊に参画か】(Y,P,H)
バングラデシュの国家安全保障顧問がワシントンを訪問、アメリカの外交高官とガザに関する会談を行い休戦第2段階でガザ地区内に配備される予定の『国際安定化部隊(ISF)』へ参画する意欲を示した。
会談後にはバングラデシュ政府からの声明も出ており、ISFへ参画する国はインドネシア・アゼルバイジャン・パキスタンに続いて4か国目となる(トルコも派兵を明言しているが、イスラエルが反対している)。先月中旬にカタールのドーハで行われた米中央軍主導のISFに関する国際会議には約45か国が参加しており、同様の会議が今月中にもう1度開催され議論される予定。
上記4か国の他にイタリアも(部隊訓練などで)協力に前向きな姿勢を見せているが、アラブ諸国はハマスや武力によるパレスチナの抵抗運動を支持する国内世論からISFへの直接関与には消極的。ただこのISFはトランプ大統領の肝いりプロジェクトであるため、ホワイトハウスは15~20か国に働き掛けを行っているもよう。
(1/11)

 

【イスラエル、アメリカの軍事支援への依存度を今後軽減】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相が英エコノミスト誌の独占インタビューに答え、今後10年を掛けてアメリカからの軍事支援への依存軽減を行い、支援という形を終えるつもりだとの意向を示した。これは2028年までの10年間アメリカから受けている年間約6000億円の軍事支援を指したもので、ネタニヤフ氏は取材のなかでこの軍事支援による依存脱却の「プロセスに入っている」と語った。
この発言の裏には米国内で高まるイスラエル軍事支援に対する2方向からの反対の声がある。1つ目はイデオロギーから反対する(イスラム系を含む)極左勢力で、もう1つは「アメリカ・ファースト」を合言葉にトランプ大統領を熱狂的に支持する保守勢力。後者はイスラエルとの親和性は一見高いが、多くは「アメリカ以外の安全保障への予算投入は不要」との考えからイスラエルを含む同盟国への軍事支援に反対している。
このような背景からアメリカは去年NATO加盟国に公平な分担を強く求め、NATO各国は防衛費の引き上げを決定。イスラエルにも同様の『公平な分担』を求める声が高まっており、ネタニヤフ氏の発言はこの意向に沿ったものだとされている。
この軍事支援打ち切りには警鐘を鳴らす声と同時に「アメリカが失うものも多い」との声も。イスラエルは新型F-35戦闘機を初めて実戦使用しその後戦闘・メンテナンスのデータを共有、これによりアメリカは数十億ドルという研究・開発費を削減できている。またイラン戦争ではイスラエルが使用した米製の戦闘機が中露の防空システムを圧倒し、これにより軍事産業が潤っているという一面も。
したがってイスラエルに関しては純粋な支援ではないので米国側も慎重になるのではとの声が国内専門家から上がっている。
(1/11-12)

 

【不透明な面はあるが、アメリカが『休戦第2段階』の開始を発表】(Y,P,H)
アメリカのウィトコフ中東特使が14日、「大統領の代理として20項目からなる計画に基づき、第2段階の開始を宣言する」と自身のXで発表し、休戦第2段階が開始された。
ウィトコフ氏はその中で非武装化とテクノクラート(専門官僚・技術者)による行政、そしてガザ復興を第2段階として明言。またハマスに「全ての義務に従うよう希望しており、そうでなければ深刻な結果が伴うだろう」と警告、最後の人質の遺体返還と武装解除に関して牽制している。
イスラエルメディアはいくつかの問題点について報じ、まずは最後の人質であるラン・グビリさん(24)の遺体返還が不履行のなかでの第2段階移行であることを指摘。
またハマス非武装化への明確な道筋・ステップをアメリカが明示していないことを問題視している。国防軍はハマスが自ら武器を置くことはないと考えており、武装解除を拒否した場合には休戦違反としてアメリカとの連携を維持しながら再び軍事作戦を行う姿勢を見せており、軍高官は「武装解除はアメリカによる条件であり、それが履行されなければ我々が(軍事的に)行うだろう」とコメント。
またもう1つの大きな問題はテクノクラートの人選に関して。ネタニヤフ首相は「ハマス・自治政府関係者が関わらない」としている反面、シャース議長はアラファト政府時の官僚であるなど自治政府関係者が多くを占め、ハマス関係者とされるNPO代表も含まれるなど不安が残る面々に。現地メディアは「国際社会のバックを得て、自治政府がガザに約20年ぶりの帰還を果たした」と報じている。(1/14)

◯ 国際情勢

【イラン:デモ拡大で市民約500人が死亡】(Y,P,H)
12月末にテヘランのグランドバザールで始まった物価高騰と生活苦に対するデモが本格化してから約2週間が経ち、多くの死者を出しながら政府への反対運動は拡大を続けている。
当初は抗議者との対話姿勢を見せていたイラン政府だが、デモが急速に全国規模になったことから力による鎮圧へ転換。8日夜にはイランの元皇太子がハメネイを最高指導者とするイスラム原理主義体制の打倒を市民に呼び掛けたことを受け、政府はデモの企画・実施を阻止するため国内全域で電話回線とインターネットの遮断を敢行した。
しかしこの日の夜にはこれまでに見られなかった数十万人規模のデモが国内の約200箇所で見られ、デモ隊は町にあるソレイマニ元革命防衛隊司令官の銅像を破壊し、自治体や国の役所などで破壊行為を行うなどデモが激化。鎮圧しようとした警察・革命防衛隊との衝突により数十人の市民が死亡し、警察・軍側にも死亡者が出ている。
10日には米タイム誌がここ2日間のテヘランで行われたデモだけで少なくとも217人の死者が出たと発表するなど、(特に死者数については)情報が錯綜している部分もあるが週末の間もデモが続いており、この日にはついにハメネイが革命防衛隊にデモ鎮圧の任務を命じることを決定。
駐在していた兵士の死亡例があるが今回は正式な同隊の動員決定であり、イラン関係者によると正規軍・警察からは亡命する例が過去に出ている反面、革命防衛隊は現体制への高い忠誠心からそのような例がなく、「(ハメネイは)自身の運命を革命防衛隊に委ねることに決めた」と話している。
11日にはアメリカを拠点に活動するイラン系人権団体がこの2週間の間に少なくとも490人のデモ参加者が殺害され、10600人がイラン当局により逮捕されたと発表。しかし、テヘラン市内から届いた映像の中にはビニール袋に入った遺体が100近く並んでいる様子があり、そのような資料から実際の犠牲者の数はそれよりも多いだろうと考えられている。
(1/9-11)

 

【米ミシシッピの伝統あるシナゴグが放火被害に】(Y,P,H)
米ミシシッピ州で11日の早朝、同州最古かつ最大のシナゴグ『ベイト・イスラエル』で放火事件が発生した。
フードで顔を隠した犯人が午前3時にシナゴグにやって来てガソリンと思われる液体を撒き、その後放火を行った。これによりシナゴグの事務所と図書館がほぼ全焼し、礼拝に使用される神聖な聖書の巻物2本が焼失、他の5本も火事によって一部が焼けるなどの被害が報告されている。このシナゴグはナチスドイツ下で使用されホロコーストを生き延びた貴重な巻物も所有しているが、この巻物は別の場所でガラスケースの中に展示される形で置かれており被害は出なかった。
安息日の午前に行われるメイン礼拝の数時間前だったが、幸いにも怪我人はなかったとのこと。犯人はすでに逮捕されており(実名は未公表)、ユダヤ人共同体は「明らかにユダヤ人を標的とした反ユダヤ的ヘイトクライム」だとしている。
このシナゴグは1860年に建てられたユダヤ教改革派のもの。ミシシッピで最も歴史があり規模も最大で同州のユダヤ人共同体を象徴する存在であり、1967年にはプロテスタント系白人至上主義団体による襲撃の被害にも遭っている。修復が済むまでの間、このシナゴグは地域のプロテスタント教会で礼拝を行うとのこと。
(1/11)

 

【イランでデモ拡大+死者数増加、アメリカによる攻撃の有無は?】(Y,P,H)

イラン国内で広がるデモにより市民の死者数増加が続くなか、13日にトランプ大統領はSNS上で「イランの愛国者よ、デモを継続し政府機関を掌握せよ。助けはすぐ来る」と抗議者たちに呼び掛けた。この反政府デモへの呼び掛けを受けてイラン政府は「多くのイラン国民を殺害する者たちの名を挙げよう―それはトランプとネタニヤフだ」と批判し、米イが全国で広がるデモの黒幕に居ると示唆した。
また同政府はこの日、半月以上続くデモで3000人以上の死者が出ていると発表。これは政府による初めての死者数の言及だが、「その中には『テロリスト』によって殺害された数百人の兵士・警官たちも含まれている」と抗議者たちを批判した。死者数について在米のイラン系人権団体は2403人の抗議者の死亡が確認されているとし、イランとパイプがあるホワイトハウス関係者によると身元が未確認の死者も含むと「1~1.2万人というのが正確な死者数では」とのこと(イスラエル関係者は5000人以上)。
また革命防衛隊が警戒度を最高レベルに引き上げたことを受け、14日にアメリカはカタールにあるアル・ウデイド空軍基地に配備されている米兵に基地の一部から同日夕方までに避難するように要請を行った。同基地は昨年6月のイラン戦争時にもイランからのミサイル攻撃の標的となり、その際にも事前に同様の避難要請が通達されている。これらの動きを受け、米攻撃を受けてイランのイスラエル攻撃に備える形でイスラエルは政府専用機を国外に避難させるなど、一時的にイランとの交戦に入ることが現実味を帯びてきている。
しかし14日夜にトランプ氏は「抗議者に対する殺戮は止んだと聞いている」と発言、15日にはイラン政府によるデモで逮捕された市民の死刑執行が中止になったと語るなど、好戦的なトーンを一変させて慎重な姿勢を示している。また同日にはイラン関係者がサウジ・カタールなどの説得を受け、アメリカがイランへの空爆を一時的に延期し、その意思をイラン側に通達したとのコメントが報道された。
この攻撃延期の裏にはバンス副大統領などが空爆に反対しているといった米政府内でコンセンサスがないことやここ数か月で米軍が中東での再配備を行っているといった軍のロジ面での懸念、また去年のイラン戦争の影響でイスラエル国内の防空システムへの懸念からネタニヤフ氏が空爆延期を要請したことなどがあるとイスラエルメディアは報じている。
(1/13-15)

 

【フランスの教科書「10月7日の犠牲者は『ユダヤ人入植者たち』…」】(Y,P,H)
フランスの教科書などを出版しているアシェット社の高校3年生向けの歴史・地政学の教科書で10月7日のハマスによる虐殺の犠牲者が『ユダヤ人入植者』として表記されていることが判明、フランス国内で批判の声が上がっている。
その中には「2023年10月のハマスの攻撃による1200人以上のユダヤ人入植者の死を受け、イスラエルは経済的封鎖をさらに強化させてガザ地区内の大半に侵攻し、これらが同地区における大規模な人道危機のきっかけとなった」と書かれている。この『入植者』という表現は一般的に1967年以降の西岸地区内に入植したユダヤ人たちを指すため、この教科書の表記の仕方は10月7日の犠牲者たちが国際法に違反する入植者たちと誤解を与えるものになっている。
これに国内のユダヤ人共同体も「ハマスをテロ組織と表記していないことを含めテロの正当化に繋がる受け入れられないもの」と抗議。その後マクロン大統領も「使用された定義は虚偽であり、テロの犠牲者の尊厳を傷つけるもの」と批判のコメントを出している。
その後出版社も謝罪文を発表、すでに約2000冊をリコールし事実解明の調査を行うとしている。
(1/14-15)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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