【イラン:デモ拡大で市民約500人が死亡】(Y,P,H)
12月末にテヘランのグランドバザールで始まった物価高騰と生活苦に対するデモが本格化してから約2週間が経ち、多くの死者を出しながら政府への反対運動は拡大を続けている。
当初は抗議者との対話姿勢を見せていたイラン政府だが、デモが急速に全国規模になったことから力による鎮圧へ転換。8日夜にはイランの元皇太子がハメネイを最高指導者とするイスラム原理主義体制の打倒を市民に呼び掛けたことを受け、政府はデモの企画・実施を阻止するため国内全域で電話回線とインターネットの遮断を敢行した。
しかしこの日の夜にはこれまでに見られなかった数十万人規模のデモが国内の約200箇所で見られ、デモ隊は町にあるソレイマニ元革命防衛隊司令官の銅像を破壊し、自治体や国の役所などで破壊行為を行うなどデモが激化。鎮圧しようとした警察・革命防衛隊との衝突により数十人の市民が死亡し、警察・軍側にも死亡者が出ている。
10日には米タイム誌がここ2日間のテヘランで行われたデモだけで少なくとも217人の死者が出たと発表するなど、(特に死者数については)情報が錯綜している部分もあるが週末の間もデモが続いており、この日にはついにハメネイが革命防衛隊にデモ鎮圧の任務を命じることを決定。
駐在していた兵士の死亡例があるが今回は正式な同隊の動員決定であり、イラン関係者によると正規軍・警察からは亡命する例が過去に出ている反面、革命防衛隊は現体制への高い忠誠心からそのような例がなく、「(ハメネイは)自身の運命を革命防衛隊に委ねることに決めた」と話している。
11日にはアメリカを拠点に活動するイラン系人権団体がこの2週間の間に少なくとも490人のデモ参加者が殺害され、10600人がイラン当局により逮捕されたと発表。しかし、テヘラン市内から届いた映像の中にはビニール袋に入った遺体が100近く並んでいる様子があり、そのような資料から実際の犠牲者の数はそれよりも多いだろうと考えられている。
(1/9-11)
【米ミシシッピの伝統あるシナゴグが放火被害に】(Y,P,H)
米ミシシッピ州で11日の早朝、同州最古かつ最大のシナゴグ『ベイト・イスラエル』で放火事件が発生した。
フードで顔を隠した犯人が午前3時にシナゴグにやって来てガソリンと思われる液体を撒き、その後放火を行った。これによりシナゴグの事務所と図書館がほぼ全焼し、礼拝に使用される神聖な聖書の巻物2本が焼失、他の5本も火事によって一部が焼けるなどの被害が報告されている。このシナゴグはナチスドイツ下で使用されホロコーストを生き延びた貴重な巻物も所有しているが、この巻物は別の場所でガラスケースの中に展示される形で置かれており被害は出なかった。
安息日の午前に行われるメイン礼拝の数時間前だったが、幸いにも怪我人はなかったとのこと。犯人はすでに逮捕されており(実名は未公表)、ユダヤ人共同体は「明らかにユダヤ人を標的とした反ユダヤ的ヘイトクライム」だとしている。
このシナゴグは1860年に建てられたユダヤ教改革派のもの。ミシシッピで最も歴史があり規模も最大で同州のユダヤ人共同体を象徴する存在であり、1967年にはプロテスタント系白人至上主義団体による襲撃の被害にも遭っている。修復が済むまでの間、このシナゴグは地域のプロテスタント教会で礼拝を行うとのこと。
(1/11)
【イランでデモ拡大+死者数増加、アメリカによる攻撃の有無は?】(Y,P,H)
イラン国内で広がるデモにより市民の死者数増加が続くなか、13日にトランプ大統領はSNS上で「イランの愛国者よ、デモを継続し政府機関を掌握せよ。助けはすぐ来る」と抗議者たちに呼び掛けた。この反政府デモへの呼び掛けを受けてイラン政府は「多くのイラン国民を殺害する者たちの名を挙げよう―それはトランプとネタニヤフだ」と批判し、米イが全国で広がるデモの黒幕に居ると示唆した。
また同政府はこの日、半月以上続くデモで3000人以上の死者が出ていると発表。これは政府による初めての死者数の言及だが、「その中には『テロリスト』によって殺害された数百人の兵士・警官たちも含まれている」と抗議者たちを批判した。死者数について在米のイラン系人権団体は2403人の抗議者の死亡が確認されているとし、イランとパイプがあるホワイトハウス関係者によると身元が未確認の死者も含むと「1~1.2万人というのが正確な死者数では」とのこと(イスラエル関係者は5000人以上)。
また革命防衛隊が警戒度を最高レベルに引き上げたことを受け、14日にアメリカはカタールにあるアル・ウデイド空軍基地に配備されている米兵に基地の一部から同日夕方までに避難するように要請を行った。同基地は昨年6月のイラン戦争時にもイランからのミサイル攻撃の標的となり、その際にも事前に同様の避難要請が通達されている。これらの動きを受け、米攻撃を受けてイランのイスラエル攻撃に備える形でイスラエルは政府専用機を国外に避難させるなど、一時的にイランとの交戦に入ることが現実味を帯びてきている。
しかし14日夜にトランプ氏は「抗議者に対する殺戮は止んだと聞いている」と発言、15日にはイラン政府によるデモで逮捕された市民の死刑執行が中止になったと語るなど、好戦的なトーンを一変させて慎重な姿勢を示している。また同日にはイラン関係者がサウジ・カタールなどの説得を受け、アメリカがイランへの空爆を一時的に延期し、その意思をイラン側に通達したとのコメントが報道された。
この攻撃延期の裏にはバンス副大統領などが空爆に反対しているといった米政府内でコンセンサスがないことやここ数か月で米軍が中東での再配備を行っているといった軍のロジ面での懸念、また去年のイラン戦争の影響でイスラエル国内の防空システムへの懸念からネタニヤフ氏が空爆延期を要請したことなどがあるとイスラエルメディアは報じている。
(1/13-15)
【フランスの教科書「10月7日の犠牲者は『ユダヤ人入植者たち』…」】(Y,P,H)
フランスの教科書などを出版しているアシェット社の高校3年生向けの歴史・地政学の教科書で10月7日のハマスによる虐殺の犠牲者が『ユダヤ人入植者』として表記されていることが判明、フランス国内で批判の声が上がっている。
その中には「2023年10月のハマスの攻撃による1200人以上のユダヤ人入植者の死を受け、イスラエルは経済的封鎖をさらに強化させてガザ地区内の大半に侵攻し、これらが同地区における大規模な人道危機のきっかけとなった」と書かれている。この『入植者』という表現は一般的に1967年以降の西岸地区内に入植したユダヤ人たちを指すため、この教科書の表記の仕方は10月7日の犠牲者たちが国際法に違反する入植者たちと誤解を与えるものになっている。
これに国内のユダヤ人共同体も「ハマスをテロ組織と表記していないことを含めテロの正当化に繋がる受け入れられないもの」と抗議。その後マクロン大統領も「使用された定義は虚偽であり、テロの犠牲者の尊厳を傷つけるもの」と批判のコメントを出している。
その後出版社も謝罪文を発表、すでに約2000冊をリコールし事実解明の調査を行うとしている。
(1/14-15)