【男性3人が解放、健康状態は先週の3人よりも良好】(Y,P,H)
23年10月7日にキブツ・ニルオズから拉致された、サギ・デケル=ヘンさん(36)とアレクサンダー・トロパノブさん(29)、そしてヤイール・ホーンさん(46)が、ハマス・イスラム聖戦による囚われの身から解放され、498日ぶりにイスラエルの病院にて家族と再会を果たした。
デケル=ヘンさんはキブツ襲撃の知らせを受けると、当時妊娠7か月の妻と2人の娘をシェルターに隠し、自身はシェルターの外に残りテロリストにより拉致された。彼のおかげでテロリストたちはシェルターを確認せず、家族4人は拉致されずに助かった。
トロパノブさんは母親・祖母そして自身の恋人と共に拉致され、父親のヴィタリさんはテロリストにより殺害された。その後23年11月の休戦期間中に女性3人は解放され、トロパノブさんの帰宅を待っていた。そしてホーンさんは、中央部から祭りのために訪れていた弟のエイタンさん(38)と共に拉致され、当初は兄弟で同じ場所に監禁されていたが、その後ばらばらとなっていた(エイタンさんはこの現段階での解放者のリストにはない)。
今回の解放も『セレモニースタイル』で、ハマスの前指導者ヤヒヤ・シンワル自宅付近(ハンユニス)で行われた。一部のテロリストたちは国防軍の軍服や自動小銃を身に付け、3人を式典まで運んだ車両も10/7にイスラエルから押収したもの。そして舞台にある垂れ幕には「移住先はエルサレムのみ」と、ガザ市民の移住計画を提案する米トランプ大統領を批判するメッセージも見られた。
ホーンさんはかなりやせ細った様子だが、先週と比べると人質の健康状態もそこまで劣悪でなく、式内でも人質への時間を掛けたインタビューではなく、1人ずつが短く挨拶するといった形式で式自体も10分ほどだった。しかし監禁中に娘が誕生しているデケル=ヘンさんには家族への『贈り物』が、そしてホーンさんには被害者の会で中心となっている男性被害者とその母の写真と、「時間はなくなっている」との言葉が添えられた砂時計が『プレゼント』されるなど、現地メディアは「醜いプロパガンダ」と批判して報じた。
イスラエル側からは同日、殺人テロなどによる終身刑の服役者36人を含む369人のパレスチナ人囚人が釈放されている。
(2/15)
【諜報機関ではなく、戦略相が休戦第2段階の交渉担当へ】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相は休戦第2段階に向けた交渉役に、今まで担当していたシンベトのバル長官とモサドのバルネア長官ではなく、自身の側近ロン・デルメル戦略相を任命した。ここ1週間ネタニヤフ氏がシンベトのバル長官の辞任を望んでいることは報道されており、メディアは今回の決定の背景にある首相と諜報機関の冷えた関係を指摘している。
デルメル氏は今後、ウィトコフ中東特使との間で交渉を進めていく予定で、イスラエル側はガザ地区の武装解除(ガザでのテロ組織としてのハマス解体)と、ハマスがガザ統治に関与しないことを求めており、これをハマスが飲まなければ『激しい戦闘』へと戻るとしている。
これについてルビオ国務長官は、16日のネタニヤフ首相との会見時に「ハマスが軍事的また行政的な力として残ることは許されない」としており、アメリカとの間では意見の一致があるもよう。
(2/17-18)
【国防軍、5つの基地を除いて南レバノンから撤退】(Y,P,H)
昨年9~11月の南レバノンからヒズボラを一掃するための地上作戦が行われ、それ以降約半年近くイスラエル国防軍が南レバノンでの駐屯を続けていたが、5つの基地を除いて全ての戦力の撤退を完了した。もともとは1月末に撤退する予定だったが、南部でのレバノン正規軍の配備などに遅れが出ていたことから、イスラエル軍の駐屯が3週間延長されていた。
大半の部隊は撤退しているものの、イスラエルは海岸部から続く国境約70kmの間に5つの基地を国境から数百mの位置に設置、一部はレバノン領内に残ることに。この5つの場所は過去にヒズボラが越境攻撃のため地下トンネルを掘削していたり、地理的に侵入の可能性があったりと戦略的場所で、これらの基地設置は休戦合意履行を監視する米・仏との同意のもとで行われている。
イスラエル軍はレバノン軍への引継ぎ直前まで、山の中に隠されていたヒズボラ武器倉庫の発見・爆破作業を行ったが、治安維持を引き継ぐレバノン軍に関しては「より効果的に動くことへの期待はあったが、レバノンは今まで行っていなかった『ヒズボラへの対抗』を主権者として行っている」と評価、満足感を表している。
(2/18)
【今週は6人が解放、ビバス家は遺体として木曜に返還へ】(Y,P,H)
休戦期間開始以降、1度の例外を除き毎週土曜日に3人の人質が解放されてきたが、今週の土曜日(22日)には10/7に拉致された4名に加え、10年以上前にガザ地区に迷い込みハマスによって拉致された、精神疾患を抱えた男性2人を合わせた計6名が解放されることが正式に発表された。
休戦第1段階における生存者の解放としては、今週末が最後になる。またその前の木曜日には4名の亡くなった拉致被害者4名の遺体が、イスラエルに返還されることになっている。ハマス報道官は、ビバス一家の2人の子供(当時アリエル4歳・クフィル9か月)と母のシリ・ビバスさんは、木曜日に遺体として返還されると発表。しかしこれに対してビバス家は、「報道について把握しているが、100%の確証がない限り、私たちの(解放のための)旅は続く」と、生存の希望を捨てていないとの声明を発表した。
しかし翌19日イスラエルはハマスの発表を認める形で、遺体返還される4人のリストについてビバス家の3人、そしてオデド・リフシッツ(拉致時83歳)だと発表。遺族に対して訃報と、遺体返還について連絡した。
(2/18-19)
【ビバス家をはじめ4人の遺体が返還も―非道な式典に別人の遺体】(Y,P,H)
20日、ビバス家の親子3人とリフシッツさんの遺体がハマスから返還され、503日ぶりに帰国した。イスラエルはもちろん国際赤十字も、犠牲者に対する尊厳・プライバシーを守った遺体返還を求めていたが、ハマスはプロパガンダ的セレモニースタイルでの引き渡しを強行。
式典はハンユニスで行われステージ上には4つの棺が置かれ、背景幕にはドラキュラ風に描かれたネタニヤフ首相と赤く染まった犠牲者たちの顔、そして「ネタニヤフと彼のナチス軍という戦争犯罪者たちが彼らを殺した」との文字が。生存者の解放時と比べると静かではあったが終始明るいアラビア語の音楽が大音量で流され、観衆からは指笛・拍手が聞こえた。
遺族からの希望を汲み、現地TV各局はハマスの式典映像は使用せずに口頭でその様子を「極悪非道/病的なプロパガンダ」と伝えた。
その後赤十字からイスラエル軍に遺体は引き渡されてガザ内で短い追悼式典が行われ、その後テルアビブにある国立法科学センターに身元確認のために搬送された。センターまでの幹線道路には警察や軍だけでなく数万人の市民が国旗や人質解放のシンボルである黄色の旗、ビバス家の子供たちの髪の色であるオレンジ色の風船などを持って、最後のお別れをするために集結した。
当日の間にリフシッツさん(83)の遺体に関しては身元が確認され、1年以上前にイスラム聖戦により殺害されたとの検査結果が遺族、そしてその後メディアに対して発表された。21日未明には2人の子供アリエルとクフィルくんの遺体に関しても身元確認がされたが、母シリさんに関しては「彼女のでも他の人質の遺体でもない(=ガザ市民の遺体)」との発表がされた。イスラエルは重大な休戦合意違反として、彼女の遺体返還をハマスに要求している。
また上記の非道なプロパガンダ的式典の他にも、棺の中にハマスへのプロパガンダとなる品が入れられていたこと、また棺には鍵が掛けられていたがそれらと一致しない鍵がイスラエル側に返還され棺を破壊して開けなければならなかったこと、などに関してイスラエルは仲介国に抗議。犠牲者への侮辱行為をやめさせるため、ハマスに圧力を掛けるよう要請している。
(2/20-21)
|