ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【西岸内で主権を強める閣議決定、イスラム諸国や米も反発】(Y)
カッツ防衛相と極右スモトリッチ財務相が西岸地区内でのイスラエルの主権を強める複数の政策案を提出し、閣議で了承されたことが8日の現地メディアの報道で明らかになった。
これらの決定は1.西岸地区内における不動産登記の公表、2.非アラブ人の個人の土地売買の許可、3. 契約成立後の行政を担当する軍部の最終認可の廃止などが含まれており、これによりユダヤ人の地C区内での土地購入が容易となる。またアラブ人とユダヤ人が混在するヘブロンでは今までユダヤ人地区内の建設にもパレスチナ自治政府下にある市役所の許可が必要だったが、今後は国防軍からの許可があれば建設が可能となる。
これらの決定は西岸地区内で治安・行政の両方をイスラエルが管理するC地区の入植活動活性化に繋がるものであるため、国内メディアは「総選挙前に西岸地区内での右派的政策を進める選挙戦を見据えた決定」と分析。軍部は「一方的な政策実施は治安の悪化・緊張化を生む」と危惧する声も上がっている。
また国際社会でもこの閣議決定は議論を呼んでおり、アラブ諸国やインドネシア・パキスタンといった8カ国が共同声明を発表、「イスラエルによる違法な形での主権を押し付けるもの」とイスラエルを批判している。この決定に関してはトランプ大統領も反対の意を示しているとされている。
(2/8)

 

【自治政府から給付金を受けた受刑者2人、イスラエル国籍はく奪か】(Y,P,H)
23年に成立したイスラエル国籍を持つテロリストがパレスチナ自治政府から「受刑者給付金」を受給した際に国籍はく奪が可能になるという法案に関してイスラエルは10日この法律が初めて適用され、受刑者2人の手続きが開始されたと発表した。
対象となったのは複数の銃撃テロを実行し23年の刑期を経て2024年に釈放された元受刑者と2016年にエルサレム内で2人の女性市民に刺傷テロを行い18年の禁固刑に服役中の受刑者。両者ともイスラエル国籍を所持するアラブ系市民であり、パレスチナ自治政府への照会により受刑中に同政府より特別給付金を受給していた事実が明らかになったため、国籍はく奪の手続きが裁判所で開始された。(2人目に関しては釈放時にイスラエルではなく、西岸地区に送還される予定)
同法の発案者であるリクード議員は「これ以外にも多くのテロリストたちにこの手続きが進んでいる」と声明を発表。ネタニヤフ首相も歓迎するコメントを発表している。
(2/10)

 

【1年で7度目のイ米首脳会談、イランに関する協議も詳細な報道はされず】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相は11日にホワイトハウスを訪問し、第二次トランプ政権発足(去年1月)以降7度目となる首脳会談を行った。
これまでの会談とは違い報道陣へ対応する時間もなく、ネタニヤフ氏はホワイトハウスの裏口から入るなど目立たない訪問となっており、これはイラン問題というデリケートな議題からだとされる。約2時間の会談の中でネタニヤフ氏はイスラエルにとってのレッドライン(弾道ミサイルの強化と代理勢力への支援継続)を改めて強調し、アメリカとイランが外交的解決に至った場合でも必要時には単独で軍事行動を行う自由を求めたとされている。
またこの首脳会談の前にネタニヤフ氏はイランとの交渉役であるウィトコフ特使・クシュナー氏と会談し先週末にあった交渉に関する説明・最新情報を得、ルビオ国務長官とも面会し『ガザ平和協議会』にイスラエルが参画するという書類に署名を行っている。
首脳会談後にトランプ氏は自身のSNSを更新し非常に良い会談だったとしながらも、「決定的な結論には至らなかった」と認めた。またネタニヤフ氏にはイランとの交渉を継続すべきとの強い主張を繰り返したとのことで、攻撃よりも外交的解決が優先されるという基本姿勢は変わっていないと発言した。
翌12日にはネタニヤフ氏もイスラエルメディアの取材に応え、「大統領はイランが過ち(=昨年6月の交戦)から学んだため、今回は米側が取り決めた枠組みでの良い合意を締結できると考えている。しかしイランとの合意がどんなものであっても、私は懐疑的だという姿勢を表明した」とイ米間での温度差を隠さなかった。
しかしこの両国間のギャップにはこれ以上国外での戦争に巻き込まれるのを嫌うトランプ支持層の強い声から、トランプ氏が対話に尽力していることをアピールしたいという国内事情があるとの分析も。それらの報道によるとイラン攻撃に関する具体的な話し合いがもたれたとされている。
(2/11-12)

◯ 内政

【ネタニヤフ首相が10/7の責任に関する文書を公表も物議を醸す】(Y,P,H)
国家監査官が行っていた10/7の調査についてネタニヤフ首相は5日、自身が提出した55ページにわたる回答書を公開した。
機密情報を含むため一部は黒塗りになっているが、そこでは惨劇の理由として諜報・防衛上の優位性が失われていたことや諜報機関・軍部がハマスは弱体・抑止化されていると信じて疑わず、それ以外の事実を示す情報を自身に提示していなかったことなどが列挙され、10/7の責任の所在は全面的に軍・諜報部にあるとの主張が展開されている。
また攻撃の約3週間前や4日前にあった軍・諜報部との会議の内容なども引用し、ハマスはイスラエルとの長期的な交渉を望んでおりテロ攻撃の可能性は極めて低いとの説明があったのみだとした。またよりマクロな視点からの原因として2000年のレバノンそして05年のガザ撤退を挙げ、自身以外の政権の失策が未曾有の越境攻撃と虐殺を生んだとした。
この10/7の歴史的失態を軍・諜報部や自身が首相ではなかった政権の政策によるものとする回答書の内容に関して、現地メディアは批判的に報じている。
10/7以前に前ガラント防衛相が「周囲の脅威は大きく、パレスチナのテロ活動は力を増している」と記者会見で発言し、シンベトは一か月前に「ガザは不安定化しており、警戒度を上げるべき」と政府に警告、1週間前には同長官がシンワル暗殺を進言していることから、ネタニヤフ氏の「軍・諜報部からの警告が皆無だった」という主張には矛盾がある。
またこれらの不正確な情報の切り取りや矛盾・責任転嫁だけでなく、トップクラスの機密情報を含む文書を自身の裁量で公開・発信したことも、法が定める権限を越えた職権乱用であり選挙の年であることから、「機密文書を選挙キャンペーンに使用している」と批判する声も聞かれる。
(2/6)

 

【予備役兵、賭博行為に機密情報を使い起訴される】(Y,P,H)
テルアビブ地裁は12日に予備役兵を含む市民2人を軍内で得た内部情報を基に予測市場ポリマーケットでイラン戦争に関する複数の予測(賭け)に参加した疑いで起訴したと発表した。
軍の機密情報が関係するという事件の性質もあり被告の名前や部隊、階級や正確な賭け金などは報道規制があるが、2人は匿名アカウントを使用して数万ドル単位の金額をイスラエルがいつまでに、何曜日にイランを攻撃するか、いつまでにイランとの戦闘を終了させるかなどという去年6月のイラン戦争に関する4つの予測に賭けを行い全て的中。
配当金は仮想通貨で受け取ったとされている。彼らの軍内の階級はそこまで高くないため、重罪である『国家安全危害罪』は罪状の中に含まれていないがこの事件は軍に衝撃を与えており、これを受けて機密情報に関わる兵士に情報管理の徹底と漏洩や賭博などに使用した際には重罪に問われるといった警告文書が送られている。
(2/12)

◯ 国際情勢

【今週のイラン問題:米イの直接交渉が開始されるも、臨戦態勢は継続】(Y,P,H)
オマーン首都のマスカットで6日、アメリカ・イラン間による交渉が午前と午後の2度行われた。ウィトコフ特使・クシュナー氏とイラン外相が率いる両国の交渉団が直接対面することはなく、オマーン外相とそれぞれが対話するという形で主にウラン濃縮を含む核開発に関して意見が交わされたもよう。
交渉後にイラン側は米交渉団に中央軍司令官が加わっていたことについて「脅しながらの交渉」と批判しつつ、外相が「良いスタートだった」と発言するなど近いうちに2度目の交渉の場が設けられるだろうとしている。またトランプ大統領も来週中にも2度目の交渉があると明言、「イランは合意を熱望している」とイランが譲歩する可能性をほのめかしたが、イラン側は否定し「トランプは嘘つきだ」と返すなど、場外での舌戦が起こっている。
この米・イラン間の交渉本格化をイスラエルは危惧しており、翌7日には現地メディアがネタニヤフ首相の米訪問とトランプ氏との首脳会談が11日に前倒しになったと報道。これに合わせて首相府も「全ての交渉において、弾道ミサイルの制限と代理勢力への支援打ち切りが協議されるべき」とコメントし、アメリカが譲歩しないように牽制している。
イスラエルは核開発放棄の他に、より差し迫った脅威である長距離ミサイルと抵抗の枢軸問題を交渉の議題に加えるよう求め、アメリカも当初は理解を示していたが、イランが「核問題のみの交渉」という立場を崩さないまま交渉が始まったことから、トランプ氏がその要求を飲んでしまったのではとの危機感を募らせている。
9日には首脳会談でネタニヤフ氏はイスラエルが持つ、核とミサイル開発そして反体制デモに参加したイラン市民への弾圧に関する最新の諜報情報を共有、交渉においてアメリカ側が譲歩しないよう働きかけることになるだろう、と会談の内容に関する報道を行っている。
11日にはネタニヤフ・トランプ氏の首脳会談が持たれ、交渉を最優先したい米側と攻撃も辞さないとするイスラエル側での温度差が感じられたが、アメリカがもう1隻の空母を近く中東に配備するよう国防省が動くなど臨戦態勢が整っているという報道も。このように報道の錯綜も見られるため、米がどれだけ外交的解決に本腰を入れているのかは不透明な状況が続いている。
また同日にはイランで79年のイスラム革命を祝う記念日があり、市民たちが米イの国旗を踏みながら行進したり米軍司令官たちの棺が置かれ、軍服を着た子供たちが一緒に写真を撮ったりなどとアメリカを挑発する好戦的な光景が見られている。
(2/6,7,9,11)

 

【イスラエル・ボブスレー代表がチェコで盗難被害に】(Y,P,H)
現在開催中のミラノ・コルティナ五輪でイスラエルとして初出場するボブスレー代表が7日、合宿先のチェコで盗難被害に遭った。トレーニングを終えて滞在場所に戻るとアパートが荒らされており、数千ドル相当の競技器具と代表であるワード・ファワルセ選手のパスポートが盗まれていた。
現在チェコ当局が捜索を行っており、イスラエル五輪委員会の働き掛けにより即時に緊急旅券がファワルセ選手に発行され、同選手も問題なくイスラエル代表としてコルティナ入りし、男子4人乗りの種目に出場する予定となっている。
イスラエルのボブスレー代表はスケルトン競技でオリンピックに出場した米系ユダヤ人アダム・エデルマンさんが2019年に1人で立ち上げたもの。悪戦苦闘しながらもドゥルーズ派の元ラグビー選手であるファワルセ選手やユダヤ人の元短距離・投てき・跳躍などの陸上選手をリクルートし、五輪出場を果たしたというストーリーから注目を浴びている。
ちなみにファワルセ選手はドゥルーズ系市民としては初の五輪選手であり、「軍以外の場所でドゥルーズ派として、共同体と自身の国を代表するのは光栄なこと」と五輪前の取材で語っていた。
(2/7)

 

【ヘルツォグ大統領に反対する大規模なデモがシドニーで発生】(Y,P,H)
昨年12月にシドニーで発生したユダヤ人を標的とし15人が射殺されたテロを受け、豪政府に招待されたヘルツォグ大統領が同市を訪問。
するとヘルツォグ氏訪問に抗議する数千人規模のデモが親パレスチナ団体『パレスチナ・アクション』によって行われた。豪警察は大統領とデモ隊の接触を避けるため3000人の警官をシドニー市内に配備し、訪問先の周辺を封鎖し同団体にデモを許可する地域を制限するなどの厳戒態勢を敷いた。
当日のデモではヘルツォグ氏を戦争犯罪者として逮捕するようなチャントが行われ、(氏の政治的スタンスは左派だが)氏をヒトラーになぞらえるようなプラカードも見られた。またデモ隊の一部が暴動化して警察と衝突、警官たちは催涙ガスを使用し公務執行妨害で15人が逮捕される事態となった。
ヘルツォグ氏は厳重な警備のなか、テロと犠牲者を悼む記念碑を訪問。エルサレムからの石を記念碑に捧げ、「ユダヤ人が1人傷つけられると、私たち全員がその痛みを共有する。私たちが10/7に見たのと、あなたたちが12月にこの場所で見たものは、同じ悪なのだ」と式典で語った。
(2/9)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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