【ドーハより交渉団が帰国、ウィトコフ特使は「ハマスの要求は非現実的」】(Y,P,H)
休戦第1段階の延長や人質解放・ガザへの支援物資搬入などを盛り込んだ米ウィトコフ特使の案をもとにドーハで交渉に当たっていた、イスラエルの実務者たちが帰国した。交渉団が帰国する前にハマスは生存が確認されているイダン・アレクサンダーさんと4人の遺体というアメリカ国籍を所持する5人のイスラエル人解放を「受け入れた」と発表。
しかしこれはウィトコフ氏の案ではなく、並行してハマスと米国人の解放を直接交渉していたボーラー人質担当特使の案。このタイミングでドーハでは全く議論されていないボーラー氏の案のみに賛同するハマスの行為に対し、イスラエル側は「米イに分裂を生じさせ、交渉を破談させようとしている」と非難している。
ウィトコフ氏は交渉の裏側でハマスは、『非現実的要求』を突き付けていると批判。ウィトコフ氏は当初10人の生存した人質解放を求めていたが、現在は5人にするなどハマスに歩み寄っており、「期限が過ぎた場合に我々はそれ相応の対応を行い、ハマスもそれを理解している」と警告のメッセージを発している。(3/14)
【休戦締結後の2ヶ月間で最大の攻撃、テロリスト6人を殺害】(Y,P,H)
ガザ地区北端でイスラエルとの境界線に隣接する町ベイト・ラヒヤで15日、国防軍は複数のテロリストがドローンを操縦しているのを発見。駐在する部隊への脅威を確認した上で、ドローンを操縦、回収したテロリストの一団に対して攻撃を行った。
ハマスによるガザ保健省と通信省は9人がこの攻撃により死亡したとし、そのうちの5人に関してはラマダンの断食明けの祝宴のテーブルを撮影するという、「ジャーナリストとしての仕事行っていた中での攻撃による死亡」と発表している。
それに対して同日深夜に国防軍は、死亡したハマスとイスラム聖戦のテロリストたち6人を顔写真と共に発表した。それによるとその中の1人は10/7の越境攻撃・虐殺に参加したテロリストで、別のテロリストはイスラム聖戦所属で直近のパレスチナ人囚人釈放でガザに戻った後、再びテロに従事していた。また別のハマスのテロリストは『ジャーナリスト』のふりをしながら、ハマスのテロ行為に関与していたと説明している。
休戦に関する交渉が行き詰まるなかイスラエルは戦闘再開を示唆しているが、ハマス側はこれに対応する形で軍立て直しや、爆発装置を地区内に設置するなど新たな戦闘に対する準備を進めていることが分かっている。(3/15-16)
【戦後のガザ復興計画に関する米政府のスタンスで報道が錯そう】(Y)
戦後のガザに対する米の姿勢に関して180度違う報道が見られている。
米CBSテレビは隣国であるヨルダン・エジプトからの猛反発を受けて、トランプ政権はシリア新政権に戦後ガザ復興時のガザ市民の受け入れを打診した、と報じた。数日前にはスーダン・ソマリア・ソマリランドにも同様の打診があったとの報道がありスーダンは拒否、その他2か国は「打診はなかった」としている。
しかし対照的にアラビア語版スカイニュースは同じ日に、今月初めにアラブ連盟で採択されたエジプトによる復興案に対して、トランプ政権がGoサインを出したと報じている。エジプト案ではガザ外への移住ではなく、ガザ地区内で復興に際しての一時的移住が行われることになる。
米政権はハマスがガザ統治に関与しないことと、ガザ地区全体の武装解除を条件としているが、エジプトの案に沿って復興を進めることに対して態度を軟化させているもよう。(3/17)
【10分でガザ80か所を空爆、国内も「休戦崩壊」と報道】(Y,P,H)
17日深夜に国防軍は数十機の戦闘機による、約10分間で80か所を標的とした空爆を行った。標的となったのはハマスによる司令部や軍事拠点、地下トンネルや政治部の重役たちで、翌18日の日中にはイスラム聖戦のテロリスト・テロ拠点にも攻撃が行われた。
イスラエルはこの作戦を米ウィトコフ氏主導の休戦延長案にハマスが拒否し続けていることの処置とし、軍はハンユニスやベイト・ハヌンをはじめ緩衝地域から離れるよう、ガザ市民に呼び掛けている。ハマス側は400人以上の死亡を発表、軍はハマス政治部の重役2人や治安維持部のトップ、イスラム聖戦の軍部報道官などを排除したと発表している。
休戦期間は終わっているが、メディアは「休戦崩壊」との見出しで報じている。
攻撃後にカッツ防衛相は、「全ての人質を即時解放しなければ、ハマスは国防軍の力強さを目にすることとなる」と発言し、ネタニヤフ首相も「今後は攻撃を受けながらの交渉となる」と警告。このようなコメントからもイスラエル側はこの攻撃を大規模な作戦開始・休戦の完全な決裂としてではなく、ハマスがウィトコフ案を受け入れるようにとの軍事的圧力と捉えている。
しかし軍関係者からは「人質の生命が危険にさらされる可能性がある」との声が、また生還した拉致被害者からは「攻撃再開の度にテロリストたちによる人質への扱いはより残酷非道なものとなった」との証言もあり、国内でもこの攻撃再開には反対・疑問を呈す声も上がっている。(3/18)
【イスラエルがネツァリーム回廊での地上作戦を再開】(Y,P,H)
国防軍は1月半ぶりにガザ地区を南北に分けるネツァリーム回廊で地上作戦を開始し、部分的に同回廊をコントロール下にした。この地上作戦は、17日の空爆と同様にハマスがウィトコフ特使の案を受け入れる圧力の他に、南部からの大規模な移動を制限し、テロリストの北部流入・再軍備を防ぐ戦略的な面も持ち合わせている。地上作戦と並行し、前日に続いて数十のハマス拠点へ海・空軍の攻撃も行われたもよう。
現地メディアはハマスの態度が軟化しなかった際に取るだろうイスラエルの次の一手も推測している。それによると、現時点では部分的なものだが同回廊を完全にコントロール下にし、南北の行き来を完全に不可能にすることや、現在は緩衝地域のみの避難警告を北部全体に広げてガザ市民を(休戦前のように)再び南部に集結させ、テロリストたちだけを北部に残し軍事作戦を拡大させる、などが検討されているもよう。
ちなみに17日深夜以降の空爆・地上作戦に関してイスラエルは米との協議・連携していることから、米政府の支持を受けてのハマスに対する軍事的圧力になる。(3/19)
【ハマス・フーシ派からロケット弾・ミサイルが飛来】(Y,P,H)
国防軍がガザでの軍事作戦を拡大させるなか、ハマス(ガザ)・フーシ派(イエメン)からイスラエル中央部に対する攻撃が1日の間に3度行われた。
1度目は20日午前4時にあったフーシ派からの弾道ミサイル1発の飛来で、領空に入る前に迎撃したが、真夜中にエルサレム・テルアビブを中心に数百万人のイスラエル人がサイレンで目を覚ましシェルターへ急行した。
次の攻撃は午後1時頃で、ハマスによる長距離のロケット弾が3発撃ち込まれ、テルアビブを中心とした海岸部から内陸部にかけてサイレンが鳴った。発射場所はハンユニスで1発は迎撃・2発は居住地域外に着弾したが、テルアビブ近郊の4か所でロケット弾または迎撃ミサイルの破片落下が確認されている。
そして午後7時には再びフーシ派によるミサイル攻撃がエルサレムとその一帯に対してあり、死海・ヘブロン近郊からエルサレム全域、そして海岸部近くまでの内陸地方にかけてサイレンが再び鳴った。こちらも領空外で迎撃されており、怪我人・被害は出ていない。
フーシ派による攻撃は2か月ぶり、そしてハマスからテルアビブに対するロケット弾攻撃は昨年10月7日から5か月以上ぶりになる。(3/20) |